デラーズ紛争はジオン残党の活動が活発化するきっかけになった。ジオン残党は、4月には月面都市「エアーズ市」での労働争議。9月以前には気化弾頭によるジオン共和国へのテロ未遂行為「シルバーランス事件」を引き起こしている。
サラミス改級『セイロン』はアレキサンドリア級『アル・ギザ』の横に並んだ。彼らは無事に合流ポイントにたどり着けたのだ。
アレキサンドリア級『アル・ギザ』では艦長がミーティングを始めていた。ミーティングルームにはパイロットと乗組員を含めて20人以上が集まっている。
『アル・ギサ』の艦長が作戦内容を説明している。
「サイド1にある廃棄コロニーにジオン残党が出入りしているという情報があった。これは、付近を航行していた民間船から得た情報だが信頼できる情報だろう。我々は廃コロニーの調査と残党勢力の鎮圧を行う」
「戦力の配置だが、エリアス大尉の第7小隊は後方支援を頼む。ベイト大尉の第6小隊とライアン小隊は廃コロニー内部の調査が任務だ。ジオン残党を見つければ攻撃しても構わん。私が許可する」
艦長によるミーティングが終わった。人々がミーティングルームを出ていく。ライアン小隊も部屋を退出しようと席を立った時、第6小隊に所属している中尉が2人の少尉に声をかけた。
彼らに声をかけてきた中尉は袖をまくり、胸元まで服をはだけていた。顔は30歳を越えたぐらいで口髭を生やしているのが特徴だなとマイクは思った。
モンシアという名前の中尉が言った。
「少尉が2人混じっているじゃないか」
「俺達はガキ共のお守りをさせられるのかよ」
ベイトと呼ばれた大尉がモンシア中尉を止めた。
「まぁ、落ち着けよ。モンシア」
「彼らもティターンズの一員だ」
士官学校を卒業した軍人は叩き上げから妬まれると先輩から聞いていたが、これほどとは思わなかった。マイクは感情を顔に出さないように口をむっと閉じた。
ライアン大尉が2人の少尉に退席をうながした。2人はミーティングルームから出ていった。
「ホセ少尉とマイク少尉は早く母艦に戻れ」
「はっ 了解しました」
申し訳なさそうな表情のアデル中尉がライアン大尉に謝った。
「うちのモンシアがすみません。彼は腕は良いんですが口が悪くて」
不死身の第4小隊は、1年戦争で戦死者を1人も出さずに生き残ったことで知られている。デラーズ紛争でもジムカスタムに乗って活躍しており、紛争後はティターンズに入隊したほどの腕前を持つ凄腕のパイロットだ。
ライアン大尉はホセとマイクをなぐさめた。
「2人とも気にするな。バカにされたら見返してやればいい」
「私は1年戦争を戦った世代だ。1年戦争で誰も欠けずに生き残った小隊があると聞いたことがある」
「えっ、ライアン隊長は1年戦争を戦った過去が」
「マイク、私はジム後期型に乗ってジオンと戦った。ソロモンとア・バオア・クーは地獄そのものだったよ。大勢の仲間が死んだ」
(第4話に続く)