宇宙世紀.0085年3月、ティターンズはジオン残党が拠点にしている小惑星基地の攻略を開始した。作戦には3隻のサラミス改級『セイロン』と『ダッチハーバー』と『セントルシア』が参加している。
艦隊が持つモビルスーツは合計で10機と言ったところだ。その内訳はジムクゥエルが5機、ジムキャノンⅡが2機、ハイザック先行量産型が2機、ザク強行偵察型が1機という編成になっていた。
サラミス級から発進したザク強行偵察型は、偵察用カメラを腰と、右肩と左肩に設置しており、右手にはカメラ・ガンを持っている。
ザク偵察型を見たチャーリー中尉がけらけらと笑っている。中尉は皮肉を込めた口調でこう言った。
「ティターンズがザクを使うとは滑稽だな」
「でも、ザクは良いモビルスーツですよ」
「マイクは自分の意見を言うようになったな。良いことだ」
ホセはハイザックに強い嫌悪感を示していた。ジオンの象徴であるザクが気に入らないようだ。
「随分とジオン色が濃いモビルスーツだが。俺はハイザックに乗るのは遠慮するよ。気に入らないね」
「ホセ、実を言うと俺はザクに乗った事があるんだ」
「マイク、それは初耳だ。知らなかったぜ」
サラミス改級『セイロン』のルーカス艦長はマイクを手に取った。艦長は久しぶりの実戦にわくわくしている。
「総員、第2戦闘配備から第1戦闘配備へ移行」
「艦隊は横一文字隊形に移動。微速前進」
艦内のふいんきも急を告げている。戦闘開始の放送が繰り返し流れているからだ。艦のクルーは急いで持ち場に向けて走っている。
《第1戦闘配備。繰り返す、第1戦闘配備》
「各員は持ち場に急行するように。パイロット」
ブリッジの乗組員が急いで艦長に報告した。小惑星を目前にして敵艦を発見したのだ。
「10時の方向にムサイを2隻、ザンジバル級を1隻確認」
「艦の進路変更、10時の方向に艦首を向けろ」
砲雷科でも敵艦発見の連絡を受けた。砲雷長が大きな声で言った。
「ムサイにビーム砲をお見舞いしてやれ」
「2連装メガ粒子砲 1番と2番を30秒ごとに発射」
「1番 2番を30秒ごとに発射」(復唱)
「ミサイル全門装填。発射用意」
サラミス改級『セイロン』はムサイの左右エンジンを破損させた。熱核融合エンジンの誘爆によりムサイは轟沈。爆発する光がブリッジからも見えている。
「ムサイの撃沈を確認。ムサイが沈みます」
たちまち『セイロン』が集中砲火を浴びる破目になった。ブリッジの横をビームが通り過ぎる程の砲撃を受けている。ブリッジにいる乗組員の表情にも焦りが見える。
「ザンジバルとムサイの抵抗激しく、前進困難」
「ダッチハーバー被弾。艦隊から離脱します」
ムサイ級のビームがサラミス改級『セイロン』の右舷に被弾した。被弾した右舷では乗組員が汗をかいて隔壁閉鎖と消火剤防御を行っている。誰もが被害を最小限に食い止めようと必死だった。
ルーカス艦長は乗組員に現状を問い合わせた。艦長は冷や汗をかいている。
「オペレーター、被害状況を知らせろ?」
「右舷に被弾しましたが、まだ戦えます」
「ビーム砲を一斉射だ。ムサイに応射」
「了解。ムサイに応射します」
その時、オペレーターがレーダーに急速接近する機体に気づいた。オペレーターは慌てた表情で敵機発見の報告をした。
「右舷からモビルスーツが4機接近。機種はリック・ドム」
「対空機銃で敵モビルスーツを攻撃。弾幕を張れ」
「右舷の弾幕が薄いぞ。何をやっているんだ」
「オペレーター、ジムクゥエルに敵を迎え撃つように伝えろ」
「了解。彼らに敵機接近。直ちに攻撃しろと伝えます」
「追伸、艦長は非常に怒っていると追加するように」
(8話に続く)