ティターンズは3隻のサラミス級で小惑星基地を攻略する作戦を開始した。ライアン小隊は『セイロン』に近づく敵モビルスーツの排除を試みている。
ライアン隊長は頭をかきながら小隊のメンバーに「艦長は非常に怒っている。後で私が弁明しておく」と言った。
チャーリーはザク偵察型から送られた情報を分析していた。敵の数はティターンズを少し上回っている。
「敵さんの数は全部で13機。ザクが4機、リック・ドムが8機、ゲルググが1機か」
ライアン隊長は黒いゲルググとマシンガンの撃ち合いをやっていた。残党のなかでも、1機しかいないゲルググは攻撃をあっさりと避けている。
ゲルググのパイロットがライアン隊長に向けて言った。口元はにやけているが目は笑っていない。
「ぬるい。動きが読めるぞっ! 」
マイクはライアン隊長を援護しようとゲルググに接近した。1年戦争からのベテランである隊長が苦戦している。彼はゲルググのパイロットが凄腕に違いないと確信した。
ゲルググはビーム・ナギナタでジムライフルを切断した。マイクは左手に握ったビームサーベルを素早く降り下ろしたが、ゲルググはヒートナギナタでビームサーベルを受け止めている。
「しまった。ジムライフルが! 」
「どうした。貴様の実力はそんなものか? もっと楽しませてくれよ」
マイクは技量が相手より劣っていることを強く自覚した。ゲルググのパイロットが強いことを身を持って実感したのだ。彼は「ここでやられるわけにはいかない」と意識を集中させた。
ゲルググが接触回線を使って通信を開いた。黒いモビルスーツからはしゃいだ声が聞こえる。
「私はスペースノイドのために戦っている。貴様はどうだ? 」
マイクはティターンズの誇りを頭に思い浮かべた。彼は自身の行動が正義だと信じて疑っていなかった。
マイクは「ぼくは地球の平和と治安を守るために戦っている」と堂々と胸を張って言った。
ゲルググのパイロットはマイクの考えにガッカリした。思想教育で教えられるような陳腐な内容を言っているだけだと思ったのだ。
「フハハハ、貴様には強い信念がないんだよ。強い信念が」
「それは貴様の考えか? 違うだろう。上から押し付けられた思想を我が物顔で語るのか」
「スペースノイドにアースノイドの何がわかるって言うんだ! 」
「私は貴様と違って強い信念に基づいて行動している。己の正義を信じて戦っているからな」
マイクは瞬間湯沸し器状態になった。地球にコロニーを落下させたジオンの言葉に激昂した。
「なんだと、それがテロリストの言う言葉か! 」
「この私をテロリスト呼ばりか。ふざけるな小僧」
「このイカレポンチ野郎が。えらそうに! 」
その時、ジムキャノンⅡが2機のモビルスーツに向けてビームを盛んに連射した。ゲルググのパイロットは蹴りを入れてジムクゥエルを突き放した。
「私はハウゼン・エルガー。貴様を倒す敵だ」
「ぼくはアモン・マイクだ。覚えておけ」
マイクはコックピットのモニターを拳で叩いた。
「ぼくはあいつに勝ちたい、勝ちたいんだ。ぼくは強くなりたい」と悔しがった。
2機のリック・ドムⅡがゲルググを迎えに来た。いずれも90mmマシンガンを装備している。
「中尉、ザンジバルに戻れなくなりますよ」
「すまんな。レイズナー、ユリユス」
「ザンジバルに撤収する。撤収だ」
ライアン隊長がマイクに声をかけた。彼は強敵と戦った部下に励ましの言葉をかけたかった。
「お前は充分に頑張ったよ。援護に感謝する」
「マイクは母艦に戻って補給を受けろ。Eパック式のビームライフルを取ってこい」
マイクはしょんぼりした声で「了解しました。ライアン隊長」と答えた。
(9話に続く)