男の娘が冒険したって良いじゃない、寧ろしていけ 作:magunetto01
およそ数十分程前、パルガトラ火山内部で大規模な振動と空間の歪みが観測された。その原因を調査するため私とカトレア、ルゼットと兵士数十人を連れてパルガトラ火山洞に行くことになった
「数ヶ月前のあの出来事を思い出しますね~」
鬱蒼とした森を歩む最中、ルゼットが懐かしむ様にそう呟いた
──数ヶ月前、最後の試験まで勝ち残った当時アルケミスト候補生だったルゼットとアマリリス、他のアルケミスト達を連れて今と同じようにパルガトラ火山の調査に向かった
そこで出会ってしまった。炎の様に赤く、人の数十倍は優にある巨大な体躯、首から上が無い鎧姿。その巨躯は動く度に炎を生み、地響きを轟かせ、どこからか鐘の音を響かせる。後に調べてみるとそいつは
あと少しで殺されかけた所を幻獣から力を受け取り、戻ってきたルゼットに助けられ、余力を振り絞り、ゼネスペトロが動いたせいで脆くなった洞窟を崩落させることでその場はなんとか生き残ることができた
その数日後、ゼネスペトロを完全に仕止める為に万全の状態に整え、再びパルガトラ火山洞内部の崩落地に向かったけど……そこには岩塊以外何も無かった。まるであの巨大な兵器なんて元から無かったかのように
「──ツィアさん!ルクレツィアさん!!」
「っ!?……ごめんなさい、考え事をしていたわ。それで、ルゼット?何かしら?」
「火山洞に入れる唯一の入口がヴィフラテイルのせいで塞がれてるみたいですよ!」
鬱蒼とした森を抜け、パルガトラ火山の麓まで近付いて漸くその存在が確認できた
ヴィフラテイル。嵐を連れて羽ばたくと言われる鳥型の幻獣。それが何故無様にもパルガトラ火山に突っ込んでいるのだろうか?いえ、今はそんな事を考える必要は無いわね
「調査の邪魔になるわね。蹴散らすわ」
ヴィフラテイルが塵となって消えていく。パルガトラ火山に突っ込んでいたおかげで一方的に攻撃し、倒すことが出来た
「だ、誰か倒れてますよ!?息は……してます、生きてますよ!」
ヴィフラテイルが突っ込んでいた洞窟の奥でヴィフラテイルの雷でボロボロになったと思われる服を纏い、身体には傷一つ見当たらない少女が倒れていた。直ぐに救護班に手当てをさせ、カトレアに護衛を頼みルゼットと私は洞窟の奥に進んだ
「今のところ、何も異常はありませんね」
「そうね。岩塊しか見当たらないわ」
やがて行き止まりに到達し引き返すしか無くなってしまった。大規模な振動と空間の歪みの原因らしき物は何も無かったわね。となると手掛かりとなるのはあの少女かしら
──熱い。目覚めてから感じたのはそれだった。いや、目覚めてないねこれ。多分明晰夢的なやつだろう。何せ前世で住んでいた自宅の前に月の都の兵士用の服を着て立ってるんだから
「懐かしいなあ……」
夢の中とは言え懐かしの我が家を見れたのは嬉しい。……周りが火の海じゃなかったらもっと嬉しいんだけどなあ。そうやってかつての自宅と虚空を見ていると視界の端に人影が写った。ただその人影はぼやけすぎていて誰だか分からないし首から上のシルエットが無いような……?
ぼやけた人影を見続けていると段々と体の感覚が無くなっていくのを感じた。多分夢から目覚め始めているんだろう。その感覚に身を任せて目を閉じる
──何処からか響く鐘の音を聞きながら夢から目覚めた
お決まりの展開の様に目覚めた僕の視界には知らない天井が写っていた
「あっ、あの娘起きてますよルクレツィアさーん!!」
医務室と思わしき部屋の扉が開いて一瞬だけ緑色の髪が見えたと思ったら次の瞬間には声だけ残して消えてしまった……。数分後にさっきの緑色の髪の少女とそれに加えて銀髪の少女がやってきた
「初めまして!私はルゼット、でこちらは」
「ルクレツィアよ。早速だけど貴女の名前と、何故あの洞窟に居たのか話してくれるかしら」
それから僕は話せる部分だけ話して、その次に記憶喪失認定を受けながらこの世界について聞いた
この世界には幻獣と呼ばれる、天災そのものと言える生物が存在するらしく僕が気を失う前に見たあの大きな鳥はヴィフラテイルと呼ばれる幻獣らしい。ルゼットさん達みたいに幻獣の成り立ちを調べる人達はアルケミスト、と呼ばれているらしい。うん、成る程理解が追い付かない
そんな訳で療養と経過観察のため暫くはここ、アルケミスト養成学院に身を置くことになった。元の世界に戻る手掛かりを探すためにもこの世界について学ぶためにも、後でこの学院の書庫に行ってみよっと
クリプトラクトで好きなキャラはバルドル君です(隙自語)