男の娘が冒険したって良いじゃない、寧ろしていけ 作:magunetto01
港の喧騒が聞こえる宿屋の一室に魔力切れで倒れた蒼夜が寝ていた。あの後、船長が周りに呼び掛けたのととあるアルケミストの助けもあり、蒼夜をこの宿屋まで運んだのだ
時折、蒼夜の左胸から僅かながら炎が零れる。その量は微量で直ぐに消えてしまうため宿屋が焼ける心配は無いがそもそも炎が零れる事自体がおかしいのだ。その原因は少年の夢の世界、或いは精神世界的なつまり内部で起きている戦闘が原因のようだ
ただただ真っ白い景色だけが続く世界で炎を纏った剣が左から右へ斜めに振り下ろされる。それを躱した蒼夜は即座に横凪ぎに今しがた振るわれた剣と酷似しているものの、炎を纏っていない剣を振るう。しかし、相手の振り上げによってその剣を破壊され無防備になった所を叩き付ける様に斬られて死亡。これで五度目だ
またあの首が無い騎士の前にリスポーンする。これで五回目だっけ。死んだ時に痛みを感じないけど不快感は残る。その不快感を振り払うように駆け出し、相手の心臓を貫こうと切っ先を突き出すもなんと片手で捕まれ一瞬だけ止まる。けれどちょっとだけ違うものの阻まれるのは想定内、柄を手放し左斜め上から迫る刃を躱して相手の左後ろに回り込む
「──はっ!?」
飛び起きた。最悪な終わりだったよ。相手の剣を奪おうとして腕を動かした瞬間にいきなり後ろ蹴りを入れられて怯んだ所を逆手に持った剣で体のど真ん中を貫かれて起きるなんて……。あの嫌な最後を思い出していると殆ど意味の無いノックの音と扉を開ける音が同時に聞こえた
「あら、起きたみたいね」
青いカエルみたいな生物を肩に乗せた金髪の女性が入ってきた。どちら様?
「起きたばかりで状況を把握できてないだろうから簡単に説明するわ。貴女はクラーケンの幼体の群れを相手に奮闘してその後魔力切れで気絶。そして気絶した貴女を船長さんと私の協力でここに運んだって訳、今の説明で分かったかしら?」
「分かりやすい説明ありがとうございます。あの、気になってたんですけど貴女ってアルケミスト……なんですか?」
「ええ、そうよ。私はリディ。ここクリアランドを拠点にしてるアルケミストよ。貴女のその兎から察するに貴女もアルケミストみたいだけど……今年の認定試験で貴女を見た記憶が無いのよねえ。貴女の法獣ちょっとだけ他より強い力を感じるし記憶に残ると思うんだけど」
「えっと、僕は今年の試験は受けてなくて来年のを受ける予定なんです。今はちょっとした旅をし始めたばかりで」
「ふーん、じゃあクリアランドを案内してあげる。起きたばかりだろうけど立てる?」
「大丈夫……みたいです」
少しフラつく足で立ち上がって外へ向けて歩き始めた
「そうそう、折角街に出るんだからオシャレとかしてみない?スカートとか着てさ」
「僕、見た目はこんなでも男なのでスカートとかはちょっと着たくはないかな~、って」
「えっ!?」
性別の誤解を解いた後、リディさんの案内でクリアランドを見終わった後、リディさんと別れて宿に戻ろうとした時にふと耳に綺麗な歌声が微かに聞こえてきた。郊外にある屋敷の方から聞こえてくるような?
そう言えば郊外の屋敷は呪われている。て言う噂を聞いたっけ。けれども好奇心に押されて屋敷に向かった
音を出来る限り出さないように草を掻き分け進み続けるとそこそこ手入れのされている広い庭が見えた。その中心で黒いドレスを着た少女が演劇の様に歌い続けている
「素晴らしい演目だったよメイディア」
少女の歌が終わり、少しの間をおいて青い紳士服を着た男性の拍手が鳴り響く。鎧を纏った騎士風の女性や少女達の拍手も鳴り始めた
「ところで──そこに隠れているお客さんは、出てこなくていいのかな?」
紳士服を着た男性の拍手が鳴り止むと同時にその視線と目が合った。ば、バレてる……
「あー、えっと……見物料はいくら払えば良いのかな?」
ガルニエの怪人好き。ある意味ハッピーエンドで好き。
もっと長く書きたかったけどいやーきついっす。ブレス・オブ・ザ・ワイルドに時間を取られ過ぎた。女装リンク君がメチャクチャ性癖に刺さる