「問おう。汝が俺のマスターか?」
私は全力で首を縦に振る。
「そうか。では我が名を教えよう」
そう言ってサーヴァントは刀を抜いた。
「我が名は織田信長。いわゆる[プロト]という感じで召喚されたらしい。此度のクラスはセイバーだ。よろしく頼む」
「よろしく、セイバー」
私はセイバーと挨拶を交わす。
「ところでマスター。最初の敵はあれか?」
私はセイバーが指を指した方向を見る。
そこには一人の少女と一人の男。
男の方は武装状態。右手には槍を持っている。
クラスは【ランサー】だろう。
「貴女がカルデアのマスターさんね?私はメディア。ランサーのマスターよ」
どおりで見たことあったような…と思ったら
オケアノスにいたキャスターのようだ。
でも何故サーヴァントがサーヴァントのマスターに…?
「何も知らないって顔ね。いい?名古屋の聖杯戦争は特殊でね。聖杯に呼ばれた【キャスター達】がサーヴァントを使役して戦うものなの。だから貴女は邪魔ってこと」
…何か違和感がある。
こう何というか…口調が違うような…?
「気をつけるんだ!そのキャスターは反転している!オルタだ!」
ダ・ヴィンチちゃんが叫ぶように言う。
メディアの口元がニヤリと歪む。
「バレちゃったかぁ…じゃあやっちゃおうか…ランサー!」
あれはアメリカで見たケルトの…。
「やぁ私の真名はフィン・マックール。前に会ったことがあるような気もするが…まぁその時とは違う私だから、その辺りは気にしないでくれたまえ」
そう言ってランサーは槍を構えた。
「私から逃げたければ!フェニアンサイクルでも読んでくるがいい!」
「なんで急にネタに走ったの?!」
ランサーが槍を投げる。
すかさず槍を避け、数歩ほど後ろに下がる。
槍は地面に刺さっている。
「いやぁかの有名なゲイボルクの真似事をしてみたが
まぁ冗談はよしこさんということで」
槍を地面から引き抜いて再度、ランサーは構えた。
「それじゃ死んでくれるかな?」
ランサーが槍を振る。
その槍を止めたのは刀だった。
「俺を忘れて貰っては困るのだが、まぁいい。
ここで死ね。ランサー」
セイバーが槍を受け止めている。
槍を払いのけ、ランサーの腹を左から右に。
セイバーの刀が走る。
ランサーはセイバーの刀をギリギリで避け、後方へ飛んだ。
「やれやれ、これだからセイバーは…。仕方ない。マスター、ここは一旦引こう。私と彼では相性が悪い」
「そうね。引きましょう。次会った時が貴女達の最後だわ。覚悟しておくことね」
メディアとランサーはそう言って姿を消した。
「マスター。我々も引こう。我が城へ案内しよう」
セイバーはどこかへ歩きだした。
私はセイバーに着いて行く。
「ここだ」
セイバーが指差したのは言うまでもない。
名古屋が誇る城。
名古屋城だ。
「ここが拠点?名古屋城だよね?」
セイバーがため息を吐く。
「何を言っている。ここは【那古野城】だぞ?」
那古野城?名古屋城じゃないのか?
と思ったが次のダ・ヴィンチちゃんの言葉で疑問が解けた。
「成る程。1580年時点ではまだ那古野城だね。名古屋城が建てられたのは1600年ごろだ」
「そういうことだ。さぁ入るぞ」
セイバーに連れ込まれる。
この時代の那古野城はまだ使われていたはずだが、
特異点の影響で今は廃城になっていた。
「あ?誰かと思えば…カルデアのマスターじゃねぇか」
そこにいたのは言わずもがな。
ケルトの偉大な猟犬。
クー・フーリンだった。