ジョジョの奇妙な冒険〜蒼い礼奏〜 作:カリオルサファイヤ
1998年エジプト。
「これは、いったい……穴、なのか?これは小さな穴だ……中は暗い。ライトで照らしてみても保加のとは明らかに違う」
とある冒険家はピラミッドにきていた。既に発見されていていろんな研究者達が調べあげた後だった。
「クモの巣がある。だがこのピラミッドは既に研究者達が調べあげたんだ。
冒険家は喜んだ。奥に空洞があるとは言え『壁』を壊すことは
「なんだ?思ったより狭いな……ん?」
冒険家は壊れた壁に手をやると僅かに動いた
「これは……扉だったのか。隠し扉だったのか。悪いことしたなぁ。まあ古いし劣化だってバレないか。ここは隠し部屋。足元にあるのは価値のあるものだけれど、どれも古く錆びている。宝石ではないな。研究者ではない俺にはモノだ」
冒険家が自身にとって無価値だと知り、その空洞から出ようとしたとき、突如足元が崩れた
「うおおおお!!!!足元が!!……つー、ここまで壊れたら流石に劣化って誤魔化せないかな……にしても何でこんなところに空洞が。狭いし」
新たに見つけた空洞を見るとそこには錆びた箱が1つだけ置いてあった。そして、奇妙な事にそこの空洞には一切の生物が入った形跡が無い。クモの巣もなければネズミが小便した後も無かった。あったのは人の足ぐらいの大きさの跡だけだった。
「どういう事だ?隠し部屋にはクモの巣があったのに……いや、それよりもこの箱の中身は?!」
冒険家は箱を開ける。中身は『矢』だった。決して長いわけではないこの箱に納める為か、矢じり以外は必要無いのかわからないが折られて入っていた。
2002年東京都A区A市玉味町。
「ジョッシュ・ジョレット、22歳独身。アメリカ人のような名前だが戸籍上日本人。日本人とのハーフであり父親である『ジョメル・ジョレット』は既に亡くなっており母親である『奏・ジョレット』との二人暮らし。だった筈が一年前に突如として1人暮らしを始め、ここに引っ越した。外見はそこらの日本人と代わりないが瞳の色は青い宝石、サファイアのような色をしている」
「てことはとりあえず青い瞳の色を探せば良いって事すね。承太郎さん」
「そう言うことだ。ただし、油断はするなよ。スピードワゴン財団からは『矢』みたいなモノを持っていたと言う情報だ。真実ならばそいつはスタンド使いと見て間違いない」
「でもその人の家に行っても不在だったんですよね。でしたら待てば良いと思うんですが」
「俺も最初はそう考えたんだがそいつは休日に野宿をすることが趣味の為か数日は帰らない。それに先週、この道路で車が突如ハンドルを切りガードレールに衝突する事故が起きた。その時並走していた車を運転したのがジョッシュだ。もしそいつがスタンド使いで故意的に事故を起こしたのならこのまま野放しにはできない。見つけても直ぐには近づくな。必ず連絡しろ」
「わかりました!」
「わかったっすよ」
「頼んだぞ、康一くん。仗助」
「とは言ったものの、どこで野宿しているかもわからない人をみつけろって言われてもねぇ、どこを探せって言うんすか?どこで野宿するかぐらい検討をつけてから探しても良かったんじゃないすか?」
『東方仗助』。社会人1年目。杜王町出身。小さい頃リーゼントの人に助けられ、憧れを抱くようになり自分もリーゼントにする。髪の毛を貶されると激怒する。ぶどうヶ丘高校3年の時に意地でもリーゼントのままにしたせいか就職に失敗。
スタンドの名は『クレイジーダイヤモンド』。近距離パワー型。あらゆる物を元通りに修復する能力を持つ。
3年前、杜王町に潜むスタンドの使いの殺人鬼『吉良吉影』との戦いに負傷しながらも勝利した。
今はスピードワゴン財団の研究所で働いているが研究者としてではなくスタンド能力がなかなかに便利な為である。給料はそこそこ良い。
「……あの公園の木に沢山の黒い何かが止まってるぞ?」
そこには虫取網を持った子供達が群がっている。必死で網を伸ばすがその黒い何かにギリギリ届いていない。仗助は気になって見に行った。
「カブトムシ!クワガタ?!な、なんだ!この数は!いったい何10匹いるんだ?!」
木のある一定の高さの幹にところ狭しとぎっしりにカブトムシやらが止まっている。子供達に狙われているにも関わらず一匹も飛ぼうとはしていなかった。
子供の1人が仗助に気付き、無視網を差し出す
「お兄ちゃん、あのカブトムシ取って?」
「おにいちゃ……お前は俺の弟でも家族でもないんタだけどよ……しかたねえな」
仗助は虫取網を受けとると沢山のカブトムシにその網をぶつけようとする。
「おぉい!!そこのお前!勝手にとってんじゃあねえぞ!!これは俺が仕掛けた罠に引っ掛かってるカブトムシだ!!」
「……ッ?!木の上に人が居やがる!」
仗助が見上げるとそこには男がいた。迷彩柄の青い服を着た男が。顔は木の枝でわかりずらいが日本人なのはたしかだ。
「そこのお前だ!リーゼントのお前に言っているんだ!カブトムシがほしければなあ、自分で罠をはるか別の所にいるやつをつかまえることだ!」
「それは悪かった。けれど取ろうとしているっつーならよー、ここにいる子供達もそうじゃねえのか?」
仗助は虫取網を子供に返す。すると先ほど網に引っ掛かりそうであったであろうカブトムシが羽を広げている。
(飛ぼうとしているのか?だけど何で木から離れない。どういう事だ?!何故羽を動かしているのに木から離れないんだ!!)
仗助はその奇妙な光景に僅かながらに冷や汗をかく。
「子供はいいんだ。子供はな。何せ純粋に育てようとするからだ。専用の虫籠を買い、土を買い、餌を買う。そして毎食餌を与え、観察する。そして喜ぶ」
男は木にしがみつきながらカブトムシへと近づく。左腕だけでしがみつくと右手でカブトムシとクワガタを数匹選んでは取り、ぶら下げている虫籠へいれる。
「おお!こりゃいいな!ここ最近一番地良いやつじゃあないか!」
ブブブブブブブ
取ったカブトムシの周辺のカブトムシやクワガタが危機を感じてか直ぐに飛び立とうと羽を動かす。しかし、一匹たりとも木から離れずにいた。隣のやつが飛ぼうとしているためかその隣の虫も飛ぼうとして羽を広げる。それが連鎖し、木にくっついているカブトムシ達が羽を広げ音を奏でるもその場に留まり続けていると言う奇妙な演奏が始まった。
「どういうことだ!いったいどんな罠を仕掛けたらこんなことが起こるんだ!接着剤やゴキブリホイホイとかじゃあねえ!……ッ?!」
「……これ以上はいけない。これ以上はストレスが溜まるからな。虫は自由じゃあないと」
次の瞬間、カブトムシは一斉に飛び立った。今すぐにでもここから逃げたいのか真っ直ぐに、迷いなく。
「やったぁ!おっきいの取れたぁ!」
「俺も!」
「僕は取れなかったぁ」
「俺なんか三匹も取ったぜ!」
一斉に飛び立ったカブトムシが咄嗟に振った虫網に引っ掛かり喜ぶ子供達。男も良いのを取れて喜んでいる。ただし、仗助だけは喜んではいなかった。先ほどの奇妙な光景を作り出した男を凝視する。その男の瞳は青く、サファイアと呼ぶにふさわしい程のモノだった。
「ジョッシュ・ジョレット?!まさかこいつが!」