悪魔と神の決闘   作:ウボァー

1 / 2
ダイヤモンドガイの効果ってキンクリじゃない?という作者の気の迷いと、ある呟きをキッカケに書かれた小説です。
闇のゲームじゃないのでご安心ください。


前編

 むさい男達が肩を寄せ合い、お互いを尊重など微塵もせずに、クッソしょうもない事で喧嘩をおっ始める事が日常茶飯事の荒木荘。

 

 

「DIO貴様あああああああああ!」

 

「WRYYYYYY!?」

 

 

 今日も六畳一間に誰かの叫び声が響いている。少し覗いてみるとしよう。

 

 

 

「……どうしたんだ一体?」

 

「あ、吉良さん!」

 

 この惨劇を見て腹痛に悩まされているこのサラリーマンこそが荒木荘きっての稼ぎ頭、吉良吉影。彼の毎日に平穏などない。

 スタンドのキラークイーンに猫じゃらしやマタタビを与えてみようかと真面目に検討した事もあるとか。吉良、あなた疲れてるのよ……。実は殺人鬼だったりするのだが、超高齢の問題児の面倒を見るのに手一杯で『彼女』探しなど出来るはずがない。今日も町は平和です。

 

 そんな吉良吉影の呟きに答えたのは荒木荘一かわいいと評判のドッピオ(ディアボロ談)。

 ここではディアボロと分離しているため、突然「とおるるるるるるるるん」する事はない。連絡ある時は普通に携帯電話使います。普段は温厚だがキレると怖い。流石ギャング。

 

 

「実はですね、ボスが食べようと買っていたアイスを――」

 

「わかった。もうわかったから皆まで言うな」

 

 今回もクッソしょうもない事をきっかけにした喧嘩のようだ。

 

「もう我慢ならん! 今日こそ貴様を倒し、俺こそが真の帝王であると分からせてやる!」

 

「ほう……たかが人間がこのDIOを倒すだと? 随分と愉快なことが言えるようになったじゃあないか、ディアボロ」

 

「ええい五月蝿い! 外でやれ貴様らッ!」

 

 キラークイーンがシアーハートアタックを全力投球する構えに移行しているのを見た帝王達は大人しく外へ移動し始めた。ドッピオはボスが気になるようで二人と一緒に外へ出て行った。吉良は三人が出て行ったのをみると胃薬を飲むための白湯を用意しだした。

 

 

 

「頑張って下さいボスー! そんなファッションセンス皆無の吸血鬼なんかやっつけちゃって下さーい!」

 

「ああ、任せろドッピオ」

 

「……フン。セーターの下に網を着ていた男がファッションセンスとは笑わせてくれる」

 

「ああ゛!? ボスを馬鹿にするんじゃねえよテメェーッ!」

 

「ところでディアボロ、ルールだが」

 

「マスター3だろう? ……全く、新マスタールールに慣れようともせずにリンクを嫌うんじゃない」

 

「このDIOが生まれた時代にリンクなど――」

 

「それを言ったらお前が生まれた時代にはデュエルモンスターズのカード自体ないぞ」

 

 咳払いをして誤魔化す吸血鬼。左腕にデュエルディスクを装着した二人は同時に叫んだ。

 

 

 

「「デュエル!」」

 

 

 

ディアボロ

LP 4000 手札5

 

DIO

LP 4000 手札5

 

 

 

 デュエルディスクが示した先行は――ディアボロ。

 

「俺の先行か……俺は《D-HERO(デステニーヒーロー) ダイヤモンドガイ》を通常召喚!」

 

 

《D-HERO(デステニーヒーロー) ダイヤモンドガイ》

星4/攻1400

 

 

 ディアボロのフィールドに現れたのは、複数のダイヤモンドの柱が体表から生える人型のモンスター。

 

「《D-HERO(デステニーヒーロー) ダイヤモンドガイ》の効果発動! 自分のデッキの一番上のカードをめくり、それが通常魔法カードだった場合、そのカードを墓地へ送る。違った場合、そのカードをデッキの一番下に戻す。さあ、我が運命を見せろ《ダイヤモンドガイ》!」

 

 本来、デッキトップを操作してから使う事が望ましいこの効果。だがディアボロほどのデュエリストであれば、この効果で通常魔法カードを引き当てる事は必然となる。

 

「めくられたカードは《デステニー・ドロー》! 『コスト(過程)』を無視し、この世には発動するという『効果(結果)』だけが残る! 次の俺のメインフェイズに《デステニー・ドロー》が発動する運命が確定した!」

 

 《D-HERO(デステニーヒーロー) ダイヤモンドガイ》の効果で発動が確定した魔法はコストを支払わずに使用できる。過程を飛ばし、結果だけを残す己のスタンド、キング・クリムゾンと似通った能力を持つ故にディアボロはこのモンスターを愛用している。

 

「カードを2枚セットしてターンエンド」

 

 DIOは盤面を見渡すと、つまらなさそうに呟く。

 

「フム、大口を叩いた割にいつもと変わらんではないか……私のターン、ドロー」

 

 ドローカードを確認したDIOは口の端を歪める。

 

「《ヴァンパイアの眷属》を召喚。さらに永続魔法、《ヴァンパイアの領域》を発動」

 

 

《ヴァンパイアの眷属》

星2/攻1200

 

 

 体の右半分は闇に、左半分は美しい白の毛並みに覆われた狼が颯爽と現れる。

 

「500LPを払って《ヴァンパイアの領域》の効果発動。このターン私は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「ヴァンパイア」モンスター1体を召喚できる。《ヴァンパイアの眷属》を生贄に捧げ、出でよ《シャドウ・ヴァンパイア》!」

 

 

DIO

LP 4000→3500

 

《シャドウ・ヴァンパイア》

星5/攻2000

 

 

 DIOが己が血(ライフ)を《ヴァンパイアの領域》に与えた事で、ヴァンパイア達は活性化を始める。

 

「召喚に成功した《シャドウ・ヴァンパイア》の効果で、私はデッキから《ヴァンパイア・デューク》を特殊召喚する!」

 

 

《ヴァンパイア・デューク》

星5/2000

 

 

「特殊召喚に成功した《ヴァンパイア・デューク》の効果! モンスター・魔法・罠の内一つを宣言して発動、貴様は私が宣言した種類のカード1枚をデッキから墓地へ送らねばならない。私が宣言するのは魔法カードだ」

 

「チッ……俺はデッキから装備魔法《旋風剣》を墓地に送る……」

 

 

 【D-HERO(デステニーヒーロー)】に限らず、基本どの様なデッキでも魔法カードは重要な役割を果たす。また、墓地の魔法を回収する手段は限られており、ディアボロは回収するためのカードは殆ど入れていない。

 その為、このデュエルでDIOを打ち倒す為に必須ではない……言い方を変えてしまえば必要ないカード、装備魔法《旋風剣》を墓地へ送ったのだ。ノーコストでデッキ圧縮が出来た、とプラス思考で考えるべきだろう。

 だが相手の戦術にいい様にされるのはディアボロとしてはとても腹立たしい事だ。ディアボロは苛立ちを隠そうともせずにカードを墓地へ送った。

 

 

「このターン、私は《シャドウ・ヴァンパイア》の効果により《ヴァンパイア・デューク》でしか攻撃できない……だが、そのうっとうしいモンスターを倒すには十分だ! バトル! 《ヴァンパイア・デューク》で《D-HERO(デステニーヒーロー) ダイヤモンドガイ》に攻撃!」

 

 血に飢えたヴァンパイアが闇のHEROに襲いかかる。

 

「俺が防御手段も無しにモンスターを棒立ちにすると思っていたのか? 罠発動! 《D(ディー)-シールド》!」

 

 牙と爪は突如現れた無数の瓦礫に阻まれる。瓦礫の盾は《ヴァンパイア・デューク》の攻撃を受けても壊れる様子はない。

 

「この罠は自分フィールド上に攻撃表示で存在する「D-HERO」と名のついたモンスターが攻撃対象になった時に発動する事ができる。このカードは装備カードとなり、攻撃対象になったモンスターを守備表示にしてこのカードを装備する。そして――装備モンスターは戦闘によっては破壊されない。残念だったなぁ、DIO?」

 

 

《D-HERO(デステニーヒーロー) ダイヤモンドガイ》

攻1400→守1600

 

 

「フン……メインフェイズ2に移行する! 墓地の《ヴァンパイアの眷属》の効果、手札の《ヴァンパイアの使い魔》を墓地に送り、自身を特殊召喚する。この効果で特殊召喚した《眷属》は、フィールドから離れた場合除外される」

 

 

《ヴァンパイアの眷属》

星2/攻1200

 

 

 蝙蝠の群れが墓地へと向かい、眷属は墓地より舞い戻る。

 

「《ヴァンパイアの眷属》が特殊召喚に成功した場合、500LPを払って発動できる。デッキから「ヴァンパイア」魔法・罠カード1枚を手札に加える。私は罠カード《ヴァンパイアの支配》を手札に」

 

 

DIO

LP 3500→3000

 

 

 DIOの指先にぷつりと浮かぶ赤い雫。今か今かと落ちるのを待つ眷属。現実ではほんの数秒、しかし眷属の精神にとっては何時間にも及ぶ苦悩の時。ようやっと落ちた雫を口に入れた眷属は歓喜の雄叫びを上げ、DIOの手札に《ヴァンパイアの支配》を捧げる。

 

「墓地の《ヴァンパイアの使い魔》の効果、フィールドの《ヴァンパイア・デューク》を墓地に送り自身を特殊召喚。そして特殊召喚に成功したことで500LPを払い効果発動。デッキから《ヴァンパイア・フロイライン》を手札に加える」

 

 

《ヴァンパイアの使い魔》

星1/攻500

 

DIO

LP 3000→2500

 

 

 《ヴァンパイア・デューク》が無数の蝙蝠に分裂したかと思えば、それらも眷属と同様に血の一滴を授かる。キイキイキイ、と鳴き叫び《ヴァンパイア・フロイライン》を手札へと招く。

 

「カードを1枚セットしてターンエンド」

 

 間違いなく、あのセットカードは《ヴァンパイアの支配》――あらゆるカードの効果発動を無効にし破壊できる効果を持つカウンター罠。

 

「俺のターン、ドロー! ……《D-HERO(デステニーヒーロー) ダイヤモンドガイ》の効果発動! デッキトップを――」

 

「無駄無駄無駄! カウンター罠、《ヴァンパイアの支配》発動! その効果の発動を無効にして破壊! 更にモンスターを破壊したことで、私はその元々の攻撃力分だけLPを回復する!」

 

 

DIO

LP 2500→3900

 

 

 効果を発動しようとしていた《ダイヤモンドガイ》が苦悶の声をあげ、破壊される。使い魔により運ばれてきたワイングラスと、そこへなみなみ注がれた血。DIOはくるりとグラスを回し、香りを楽しんだ後、一息に飲み干した。

 

「ンッンー、やはり貴様のシモベの血は美味いなァ」

 

 DIOは見せつける様に口の端に付いた血を舐め取る。

 

「それは勝利の美酒などではない、我が絶頂を維持するための対価よ! 貴様がそうするだろう事はエピタフを使わずとも読めていた! 俺の本命はこっちだ! 魔法カード、《フュージョン・デステニー》!」

 

 融合召喚時に現れる渦のエフェクトがフィールドに出現する。

 

「俺の手札・デッキから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、「D-HERO」モンスターを融合素材とするその融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する!」

 

 デッキから飛び出すのは3体の《D-HERO(デステニーヒーロー)》達。渦に飛び込んだモンスター達のの輪郭はぐにゃりと歪み、融けあい――そして一つになる。

 

「俺はデッキの《D-HERO(デステニーヒーロー) ドレッドガイ》、《D-HERO(デステニーヒーロー) ディスクガイ》、《D-HERO(デステニーヒーロー) ディバインガイ》の3体を融合! 来い! 《D-HERO(デステニーヒーロー) ドミネイトガイ》!」

 

 

《D-HERO(デステニーヒーロー) ドミネイトガイ》

星10/攻2900

 

 

 『ドミネイト』――英語では支配する、威圧するという意味を持つ言葉だ。その名を冠した闇のHERO、《ドミネイトガイ》は巨大な剣を右手に持ち、ぶわりとマントを翻してフィールドに降り立った。

 

「《D-HERO(デステニーヒーロー) ドミネイトガイ》の効果発動! 俺のデッキの上からカードを5枚確認し、好きな順番でデッキの上に戻す!」

 

 ディアボロはデッキトップから5枚のカードを引き抜き、並べ替え、デッキに戻した。

 

「ム、成る程……先程の貴様のターンで、このメインフェイズに《デステニー・ドロー》で2枚ドローする運命が確定している。デッキを操作し、ドローしたいカードをデッキ上部へ持ってくる事により手札の質を上げるつもりか」

 

「中々理解が早いな、その通りだ。今、《ダイヤモンドガイ》によって確定した運命が発動する! デッキから2枚ドロー!」

 

 この効果でディアボロの手札は4枚に回復した。

 

「バトル! 《D-HERO(デステニーヒーロー) ドミネイトガイ》で《ヴァンパイアの使い魔》に攻撃!」

 

 闇のHEROはゆっくりと剣を構えて使い魔へと近付く。抗う術のない使い魔はキイイ、と命乞いにも聞こえる鳴き声をあげる。

 

「――手札の《ヴァンパイア・フロイライン》の効果。モンスターの攻撃宣言時、このカードを守備表示で特殊召喚する」

 

 

《ヴァンパイア・フロイライン》

星5/守2000

 

 

「ッ!!」

 

 

 《ヴァンパイア・フロイライン》――アンデット族モンスターが相手モンスターとバトルする際、LPを払う事でアンデット族モンスターの能力を上昇させる効果を持つヴァンパイア。

 

 忘れてはいけない、相手のフィールドには《ヴァンパイアの領域》も存在している。あのカードがDIOの魔法&罠ゾーンに存在する限り、DIOの「ヴァンパイア」モンスターがディアボロに戦闘ダメージを与えた場合、その数値分だけDIOのLPが回復する。

 

 

 ――この2枚のカードがフィールドにある限り、戦闘は避けなければならない。

 

 

「《ヴァンパイアの使い魔》でサーチした時に私はちゃんと名前を言っていたのだがな。忘れていたとはな……貴様らしくないミスだ。余程デュエルの決着を急いているのか……? まあいい、私のフィールドにいるモンスターの数が変化した事で巻き戻しが発生する。バトルを続けるか?」

 

「………………バトルはしない。メインフェイズ2へ移る。……モンスターをセット、カードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

 

 ボス……と不安そうにドッピオが呟く。互いに一歩も譲らない展開。これまでにも彼等は何度かデュエルをしているため、互いにどんなカードがデッキに入っているのかは知っている。

 本当にフロイラインの存在を忘れていたのはミスなのか? 何か狙いがあるのではないか? そうドッピオは考える。でも、いや、やっぱり……と何度も自問自答をして――自分には分からない、と結論づける。

 

 

 ディアボロの真意は、ディアボロ自身にしか分からないのだから。




ディアボロ 使用デッキ【D-HERO】
キンクリからのイメージ。なんか似合いそうだよね!

DIO 使用デッキ【ヴァンパイア】
吸血鬼イメージ。何のひねりもないね!

吉良吉影 使用デッキ【ヴァルカノン】【トポロジック】
爆破イメージ。すごく爆破させてくるよ!

ドッピオ 使用デッキ【デストーイ】
二面性イメージ。ぶん殴ってくるよ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。