「私のターン、ドロー」
DIOがデッキからカードを引く。ドッピオは互いのフィールドを見比べ、どうデュエルが展開していくのかを考えて――嫌な想像をしてしまったのか頭を振って忘れようとする。
ディアボロは顔色を変えず、DIOを射殺すかのように真っ直ぐに視線を向けている。
ディアボロ
LP 4000 手2
モンスター 《
魔法・罠 伏せカード2枚
DIO
LP 3900 手2→3
モンスター 《ヴァンパイアの使い魔》
《ヴァンパイアの眷属》
《シャドウ・ヴァンパイア》
《ヴァンパイア・フロイライン》
魔法・罠 《ヴァンパイアの領域》
「《ヴァンパイアの眷属》を生贄に、現れよ《ヴァンパイア・レッドバロン》!」
《ヴァンパイア・レッドバロン》
星6/攻2400
重装備を身に纏い、馬に跨っているのは騎士にしてヴァンパイア。そしてフィールドを離れた《ヴァンパイアの眷属》は自身の効果により除外される。
「1000LPを払い、《ヴァンパイア・レッドバロン》の効果発動。私のフィールドの『ヴァンパイア』モンスターと貴様のモンスターのコントロールを入れ替える。私からは《ヴァンパイアの使い魔》を差し出す。……さあ、そのセットモンスターを貰おうか」
DIO
LP 3900→2900
吸血鬼がぐるりと槍を回すと、互いのモンスターの立ち位置が入れ替わる。
「セットモンスターを反転召喚……ほう、《
《
星4/守2700→攻100
ディアボロが先程のターンでセットしていたのは高い守備力を持つモンスター。次のDIOのターンで受ける戦闘ダメージを出来る限り減らし、耐えようとしていたのだろう。
「速攻魔法、《エネミーコントローラー》! 私は第二の効果を選択し発動。《シャドウ・ヴァンパイア》をリリースし貴様のモンスターのコントロールを得る! さあ、我がしもべとなるがいい《
誘蛾灯に吸い寄せられるように、ふらり、ふらりとおぼつかない足取りで《ドミネイトガイ》がDIOのフィールドへと移る。
「(やはりそう来るか……クソッ)」
《フュージョン・デステニー》の効果によって融合召喚されたモンスターは、次のターンのエンドフェイズに破壊される。それを利用し《
「《
《
ランク6/攻2600
『元々の持ち主が相手となるモンスターをこのカードのX召喚の素材とする場合、そのレベルを6として扱う。』――《
《エネミーコントローラー》で奪ったモンスターはエンドフェイズまでしかコントロールを得ることができない。ディアボロへターンを回してしまえば、奪ったモンスターは元通りになってしまう。それをDIOは許さないとばかりにエクシーズ素材へと変えてしまった。
「オーバーレイユニットを1つ使い、《
オーバーレイユニットとして墓地へ送られたのは《
――ディアボロは、その瞬間を待っていた。
「そこだッ! 対象となったセットカード、《
《
星8/攻2800
有用な墓地の
チェーン処理により効果を発動した《
「《
「ぬうッ……!?」
DIO
LP 2900→1300
《ディストピアガイ》の掌に発生した漆黒の渦がDIOに向けて放たれ、ヴァンパイア達の効果を発動するためにかなりのLPを払ったDIOに追い打ちをかける。
「くっ……! だが私が圧倒的に優位なのは変わらん! バトルだ! 《ヴァンパイア・レッドバロン》で《ヴァンパイアの使い魔》に攻撃!」
ディアボロ
LP 4000→2100
DIOが送りつけた《ヴァンパイアの使い魔》の攻撃力は500。対する《ヴァンパイア・レッドバロン》の攻撃力は2400。
蝙蝠は偉大な吸血鬼である主人への糧となるため、ディアボロのLPと共にその身を捧げる。戦闘に敗れた《ヴァンパイアの使い魔》は自身の効果で除外され、フィールドから姿を消した。
「ぐぅっ……戦闘ダメージを受けた事で、俺は罠カード《運命の発掘》を発動する! 効果で1枚ドロー!」
「《ヴァンパイアの領域》の効果により、私は貴様に与えた戦闘ダメージ分LPを回復する」
DIO
LP 1300→3200
「さあて、そのモンスターにも消えてもらおうか……《
《ヴァンパイア・フロイライン》の効果によりLPさえあれば攻撃力の差はどうとでもなる。《ヴァンパイアの領域》があればLPをいくら払おうとも戦闘ダメージで回復できる。このサイクルを崩す術を、ディアボロは――。
「――手札の《
攻撃力の上昇。何故、今ここで――? DIOの疑問はすぐに解決した。《ヴァンパイア・フロイライン》の破壊、という結果で。
「――な、何ィッ!?」
「何が起きたか分からないか? 攻撃力が変化した事で、《
《運命の発掘》でドローした《
デュエリストが呼び込む必然ともいえる運命――それのなせる技だろう。
元々の攻撃力は相手の方が上。《ヴァンパイア・フロイライン》がいない今、ディアボロのモンスターを戦闘破壊することはできない。
「クッ、先に使っておけば良かったか……? メインフェイズ2に《強欲で貪欲な壺》を発動。デッキの上からカード10枚を裏側表示で除外し、デッキから2枚ドロー」
ドローしたカードを見たDIOの顔色は思わしくない。どうやら、ドローしたカードはこの状況を変えられるカードではなかったようだ。
「……カードを1枚セットしてターンエンド」
「俺のターン! ドロー! 《ヴァンパイア・フロイライン》が消え去った今、恐れるものは何もない! 《
《
星4/攻1600
《
星4/攻1600
《
「レベル4のモンスター2体でオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚! 来い! 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》ッ!」
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》
ランク4/攻2500
黒雲を裂いて現れるのは反逆の牙持つ漆黒の竜。
「オーバーレイユニットを2つ使い《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の効果を発動! 《
いかなるモンスターであろうと攻撃力を上回る、確実に戦闘で勝利する為の効果が吸血鬼を襲う。
「させん! 《ヴァンパイアの支配》を発動! 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の効果を無効にし破壊する!」
《
「《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を対象に、速攻魔法《禁じられた聖槍》を発動! この効果により《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の攻撃力は800下がり、このカード以外の魔法・罠の効果を受けない!」
攻撃力と引き換えの絶対的な護り。支配を跳ね除け、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》は高らかに吠える。
《
攻2600→1300
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》
攻2500→1700→3000
「墓地の《
DIO
LP 3200→2800
《
「《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》で《
DIO
LP 2800→1100
「ぐうおおおぉおっ!?」
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》は翼を広げ空へと舞い上がる。そして――急降下。鋭さを増した牙で《
「カードを1枚セットし、エンドフェイズに特殊召喚に成功した《
DIOのフィールドからモンスターが一掃された一方、ディアボロのフィールドは手強いモンスターが2体。
「このDIOが追い詰められている、だとッ…………!? 馬鹿な! そんな事などありえん! 私の、タァーーンッ!」
焦りを隠さぬままにカードを引き抜くDIO。
「《貪欲な壺》を発動! 私は墓地の《シャドウ・ヴァンパイア》、《ヴァンパイア・デューク》、《ヴァンパイア・フロイライン》、《ヴァンパイア・レッドバロン》、《
「何!?」
有無を言わさぬ全体除去。全てを破壊する渦がモンスターを飲み込み、闇へと消えていく。
「《死者蘇生》を発動! 貴様の墓地の《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を我がフィールドに特殊召喚する!」
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の攻撃力は2500。元々の攻撃力がそれよりも高いモンスターが墓地にいるにもかかわらず、DIOはそれを蘇らせた。
「何を考えている、DIOッ……!」
「この魔法カードの前に、貴様の未来は閉ざされる――絶望の表情を見せろ! 《
《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》
ランク5/攻3000
《
厄介な効果を持つ黒い竜は、自身の使用した竜の進化系。まさか、DIOがそれをデッキに入れていたとは――。想定外の状況。DIOがディアボロに与えた衝撃はそれだけではない。
「レッ……レクイエムだとっ……!?」
『レクイエム』――その名は、ディアボロが一生忘れるはずのないあの忌々しいスタンドと同じ名だ。ディアボロの顔に恐怖の色が浮かぶ。それを見たDIOは満足そうに笑い、無慈悲に命令を下す。
「行け、《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》! ディアボロにダイレクトアタック!」
ディアボロの残りLPは2100。この攻撃がマトモに通れば、ディアボロは――。
「っ罠発動! 《ダメージ・ダイエット》! このターン受けるダメージを半分にする!」
《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》はステンドグラスのような美しい翼を広げる。
鎮魂歌は静かに、そして殺意を持って奏でられる。神が悪魔に裁きを下すように。光が、全てを覆い尽くし――視界は白に染まった。
「ううぅっ、ぐっああああぁぁぁぁああーーっ!!」
攻撃によりディアボロは空中へと吹き飛ばされる。あまりの力に受け身をとれず、何度か地面に打ち付けられる。
「――ボスッ!!」
己が半身の悲痛な叫び声。痛みで軋む体を無理矢理に起こす。
「そのまま地に伏していればいいものを……サレンダーしたらどうだ? ここまで良くやった、ディアボロ。誰もお前を責めはしないさ」
DIOはディアボロに敗北を認めろと、エデンの園に住まうヘビのように囁く。
「手札はまだ残っている……俺の『誇り』は、決して! 貴様が脅かせるものではないッ! 俺の……俺の、ターンッ! ドロォォーーッッ!!」
ディアボロの手札は3枚。ここで逆転の手を打たねば敗北は必至。時折痛みのせいか動きが止まりつつもディアボロは手を動かす。
「俺は、《
「《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》の効果! オーバーレイユニットを1つ使い、そのモンスター効果を無効にし破壊する! 消え去れッ!」
『ソリッド』――ディアボロが使用した偽名を持つHEROは、哀れにもレクイエムによって葬られ――、
「――速攻魔法、《マスク・チェンジ》! 《
「墓地へと逃げたか……! だが《
「構わんさ、俺の勝利の道筋は見えている! 地属性の
《
星8/攻2800
「《
《
星1/守300
DIOは妨害効果を使用しない。恐らく勘付いているのだろう。ディアボロがこのターンで『レクイエム』を打ち倒せるモンスターを呼び出すことに。ならば、そのモンスターの効果を妨害するために『レクイエム』の効果を使用するべきだ、と。そう考えている。
「墓地より蘇った《
ようやっと手札へと呼び込めたあるカードを見て、悪魔はにやりと笑う。
「魔法カード、《オーバー・デステニー》発動! 俺の墓地の『
《
星3/攻600
「さあ……これで『フィールドにモンスターが3体』揃った。今度はお前が絶望する番だDIO! 俺は3体のモンスターをリリースし! 《
《
星8/攻1900
禍々しい竜をその身に纏ったかのような
神と同じく3体ものリリースを必要とした割には攻撃力が低いが、それが示すものはデュエリストならば分かりきっている。
「成る程な、それが貴様の
――それは、そのモンスターがとてつもなく厄介な効果を持つ、という事。
「《
「無駄無駄無駄無駄ァ! そんなもの、《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》の効果、で――」
《
「何故だ! 何故、《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》の効果が発動でき――まさか、そのモンスターはッ!」
効果が発動できない、その原因に気付いたDIOの顔が歪む。
「《
ずぶり、ずぶり、と《
「《
よって、《
《
攻1800→3300
「馬鹿な! このDIOが! このDIOがぁッ――!
「これで終いだ! 《
《
DIO
LP 1100→0
攻撃を受け倒れ伏したDIO。立ち上がる様子は見られない。デュエルが終わり、悪魔はふつふつと湧き上がる勝利の実感を噛みしめる。
「やった……ついに! やったぞ! あの忌々しいレクイエムを! 俺の手で!」
「やりましたねボス!」
「え、レクイエムが何ですって?」
「あ」
「え?」
黄金の髪色を持つ青年が、こちらを見て、にっこりと笑っていた。
「――なぁ、あのデュエルの理由アイスなんだよな? 何であそこまでガチでやり合う必要あったんだ?」
天才ジョッキーの核心をついた質問に答える気が有る者は、この場にはいないようだった。
勢いで書いたデュエル、これにて終幕!
粗も多いですが、レクイエムを乗り越えるボスが書きたかったということで何卒よろしくお願いします。