蒼天のキズナ   作:劉翼

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サブタイの雰囲気をちょっとアニメ寄りにしてみました。


第4話:再戦クチバジム!仲間と共に!

 ――あの惨敗と挫折から3日後。

ツバキは再びクチバジムの前に立っていた。

 

「……すうぅ……はあぁ……うん、大丈夫……大丈夫……! できるだけの事はした……はず……」

 

 深呼吸をしたツバキは、肩に乗ったポポと、腰に着けた3()()のモンスターボールを指先で撫でる。

 

「……行こう、ポポくん。皆も、今日はお願い……!」

 

 ツバキの声に応えるように、ポポの物を除いた2つのボールが揺れる。それを受け、自分にあの恐怖と悔恨を刻み付けたジムへと足を踏み入れるツバキ。それを迎えたのは、あの男…クチバジムの門番を自称するゲントだ。

 

「ジ……ジム戦を……お願いします……!」

 

 ツバキの事などすでに記憶の片隅に追いやっていたゲントは、少しツバキの顔を見た後、思い出したような表情を見せる。

 

「誰かと思えば、こないだの素人じゃないか、まったく懲りないねぇ……」

 

 そして、ツバキの腰に着いたボールを見て、嘲るような表情へと変える。

 

「……ふんっ、頭数だけ揃えても意味なんざねぇぞ。そういうのを烏合の衆ってんだ、覚えとけ」

 

 凄まれ、脚は震えるが、決して後ろには退かない。

 

「っ……バ、バトル……してくれますか、してくれませんか……!」

 

「……ちっ……。めんどくせぇが、お前なんざジムリーダーに相手させるわけにはいかねぇ……来なっ!」

 

 こうして再びあの屈辱のバトルフィールドに立ったツバキは、肩のポポに目配せし、羽ばたいたポポがフィールドに降り立つ。

 

「またそのポッポか……行け、ライボルト」

 

 両者がポケモンを出したところで、先日ゲントを咎めていたジムトレーナーがやってくる。

 

「(あいつがやり過ぎないように、寸前でストップをかけなきゃな…またこないだみたいな事になったら、あの子立ち直れないかもしれないし……)このバトル、俺が審判をしよう。お互い、相手の手持ちを全て倒した方の勝ち。バトル中、戦闘不能以外でのポケモンの交代は、チャレンジャーのみ認めるものとする」

 

「交代も何も、俺はライボルトだけでやってやらぁ」

 

「……はぁ……。……それでは、バトル……始め!」

 

「ライボルト、“ほうで……」

 

「ポポくん、“すなかけ”!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ゲントより早くツバキの指示が飛び、ポポが足下に向かって勢いよく羽ばたいた。それによって巻き上げられたフィールドの砂が、ライボルトどころか、後ろのゲントにまで襲いかかる。

 

「ぶえっ!? こ、これが“すなかけ”だと……!? まるで“すなあらし”じゃねぇか……!」

 

「ポ、ポッポは……クチバシが小さくて攻撃は苦手ですけど……その分、天敵を追い払うために羽ばたく力が強いんです……! ポポくん、“でんこうせっか”!」

 

 砂に目をやられ、身動きの取れないライボルトに、舞い上がる砂の中からポポが飛び出して連続で“でんこうせっか”を叩き込む。

 

「くそっ、なんで向こうはこの砂の中で攻撃できる!? 視界の悪さは同じはずだ!」

 

 砂の舞うバトルフィールドから少し離れた控え室入り口……そこにもたれかかった男性が、このバトルを眺めていた。

 

「……特性、《するどいめ》……いかなる状況においても、決して獲物を見失わない、狩人の眼(ハンター・アイ)……。しかもポッポは、方向感覚に優れ、相手の位置さえ最初に把握していれば、視界の悪い中でも攻撃を当てるくらい造作ない事デス。羽ばたきの強さを利用した強烈な“すなかけ”といい、ポケモンの特徴をよく捉え、活用していマスね、ガール」

 

 一方的な攻撃に業を煮やしたゲントは、ライボルトへ広範囲攻撃の指示を出す。

 

「くそぉ……だったら、動かずにフィールド中を攻撃するだけだ! “ほうでん”!」

 

 ライボルトの鬣が電気を帯び、周囲に放射される。しかし、その電気は至近距離ですぐさま拡散してしまう。

 

「このジムのフィールドに使われている人工砂は、粒子が細かい上に、ジム側がフィールド伝いに一方的な攻撃ができないよう、絶縁物質が含まれていマス。普通にバトルしている程度ならともかく、あれだけ盛大に巻き上げられていれば、さながら電気に対するフィルターデスね。その事を知らずとも、ポッポの特徴を活かしての目眩まし……その発想に至っただけでも大した成長デス」

 

 思うように攻撃が届かない理由など、まったくわからないゲントに苛立ちが募っていく。

 

「くそっ……! ……ん……奴の攻撃が止んだ……?よ、よし……! ライボルト、今のうちにジャンプして砂を抜けろ!」

 

 ポポの攻撃が止まったのを好機と見たゲントは、ここぞとばかりに指示を飛ばす。ライボルトはその場で身体を縮め、バネのように飛び上がって砂埃の中から抜け出る。

 

「今だ、“ほうでん”!」

 

 そして、砂のフィルターの無い上空からフィールドに電撃をばらまく。

 

「どうだ!? …………な、何だとっ!?」

 

 砂埃が薄くなり、見通しが良くなると、そこにポポの姿は無く、代わりに身体の半分をフィールドに埋めたナゾノクサ……ミスティが、葉をわずかに帯電させていた。

 

「ほう、ナゾノクサ……。くさタイプのナゾノクサにでんき技は効きにくい上、埋めた脚をアース代わりにしていマスね。元々ナゾノクサは、日中は身体を地面に埋めて根を伸ばす生態……穴を掘って埋まるのは得意というわけデスか」

 

 ことごとく攻撃をいなされ、ゲントの我慢は限界を迎えていた。

 

「それなら……引っこ抜くだけだ! ライボルト、“かみなりのキバ”! 引きずり出しちまえ!」

 

 指示を受けたライボルトは、牙を帯電させてミスティに襲いかかる。

 

「……決まりデスね」

 

 男性が口の端を吊り上げると同時に、ツバキの声がフィールドに響く。

 

「ミスティ、“どくのこな”!」

 

 ボンッという音と共に、葉の間から勢いよく“どくのこな”が噴き出す。ミスティの目前まで迫っていたライボルトは、鼻先に“どくのこな”の直撃を受け、たまらず悶え、転げ回る。その隙にフィールドから身体を抜いたミスティに、ツバキはさらに指示を飛ばす。

 

「ミスティ、“すいとる”!」

 

 ライボルトに葉を絡ませたミスティが、“すいとる”によってその体力を奪い、とうとうライボルトはその場にダウンした。審判の男性は、倒れたライボルトをまじまじと眺めた後、はっと我に返って、高らかに宣言する。 

 

「ラ…………ライボルト戦闘不能! ナゾノクサの勝ち!」

 

 その宣言を受け、そして理解するまでに一拍置いたツバキだったが、次第に喜びの表情へ変わり…。

 

「…………や…………。……やったあぁぁぁーーーーっ!!!」

 

 たまらずフィールドにいるミスティに駆け寄って抱き上げる。

 

「やった……! やったんだよミスティ! ポポくんも! 勝ったんだよわたし達! ありがとう! 頑張ってくれてありがとう……!」

 

 しかし、1人と2匹が抱き合って勝利を喜び合うところへ、ゲントが拳を震わせて言葉を放つ。

 

「……何勘違いしてんだ……まだ俺には……ポケモンが残ってるぞ!」

 

 腰から新たなモンスターボールを手に取ったゲントを、フィールドに響いた声が止める。

 

「ストップ!」

 

「……!?」

 

 その声に目を丸くしたゲントがその動きを止め、ツバキもその声の主に驚愕の表情を隠せない。

 

「え……? あ、あなた……は……?」

 

「マ……」

 

「ゲント、このバトル、Youの負けデース」

 

「……マチスさん!?」

 

 

 

つづく




とりあえずのリベンジ成功です。
ちなみに最後にゲントが出そうとしたのは、レベル48のゼブライカ。
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