蒼天のキズナ   作:劉翼

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アニポケ感の増すサブタイ。
そんな中で第5話です。


第5話:VSジムリーダー、未知なる強者!

 ライボルトを倒されたゲントが、新たなポケモンを繰り出そうとした瞬間、フィールドに響いた声がそれを制止する。

 

「マ……マチスさん……!? 俺の負けって……まだ負けてませんよ俺は!」

 

 自分にはまだポケモンが残っているとモンスターボールを突き出すゲントに、マチスと呼ばれた男性は冷静に言葉を続ける。

 

「確かに、Youにはポケモンが残っていマス。しかし、そのポケモンを使って勝ったとしても、それはポケモンのパワーでゴリ押しただけデス。……が、パワーだけが全てでない事は、そこのガールがたった今証明したはずデース」

 

 そう言ってツバキを指し示しながらも、諭すような言葉は終わらない。

 

「ポケモン達の特徴を捉え、活かし、力を合わせて、見事に格上のはずのライボルトを倒した……。そこにはトレーナーとしての確かなタクティクス…戦術がありマシた。Youは、バトル中、そこまで考えていマスか?」

 

「うっ……」

 

「それに……忘れたのデスか? Youはバトル前、頭数を揃えても烏合の衆、自分はライボルトだけで戦うと宣言したはずデス。トレーナーに二言無しデース」

 

 次々に言葉を並べ立てるマチスに、ゲントは次第に反論のための言葉を失っていく。

 

「し……しかし……こんな初心者に負けたとあっては、クチバジムの名が……!」

 

「ゲント、Youは勘違いしていマス。ポケモンジムの役目は、チャレンジャーを倒す事ではありマセン」

 

「!? ……で、では……では役目とは何なのですか!?」

 

「試練デス。ジムは、トレーナーの前に立ちはだかる壁にして試練なのデス」

 

「……試練……?」

 

 問いかけるようなツバキに、マチスは穏やかな表情で返す。

 

「Yes。トレーナーとポケモンの実力を計り、戦い、その成長を促す……そしてポケモンバトルという文化そのものの活性化を促進する……それがジムの役目デス。

事実、ゲントに敗れたガールは、その悔しさをバネに、ポケモン達と共に立ち上がり、大きく成長してここに立っているではありマセンか。それは、敗北あってこその結果ではありマセンか?」

 

「……で、でも、それは……マチスさんが励ましてくれたからで……」

 

「他人がアンサーを2つ用意しても、そこから選び取るのは本人デス。……ゲント、パワーだけで叩き潰しては、その選ぼうとする意思すら潰してしまうのデス」

 

「…………」

 

 ゲントは顔を俯けたまま、背を向け歩き出し、控え室に消える。

 

「……ガール、感謝しマス。ガールのような、強い意志と才能を持ったルーキーを待っていたのデス。場数を踏んだベテランに負けたり、切っ掛けの無い状態でMeが諭しても、効果はありマセンからね。しかし、これでゲントも成長してくれるはずデス」

 

「い、いえ……」

 

 赤くなるツバキに、微笑ましいという表情を浮かべるマチスだが、すぐにその顔を引き締める。

 

「ガール、Youの実力は見せてもらいマシた。Youは、ジムリーダーに挑むに値しマス。よって、クチバジムリーダー・マチス……Youのチャレンジを受けマショウ」

 

「っ……! ……はいっ……! お願いします!」

 

 精一杯の決意を込めて頷くツバキに、マチスは1つのスプレーを手渡す。

 

「すごいキズぐすりデス。バトル前に、ポケモン達の疲れを取ってあげてくだサイ」

 

「……あ、ありがとうございます! ……ポポくん、翼を広げて。ミスティも、葉を見せてね」

 

 それぞれに疲れたり、ダメージを受けた箇所に、シュッ、シュッとキズぐすりをかける。その間に、マチスは壁に備え付けられたコンソールを操作し、それによって壁から現れた台座からモンスターボールを1つ手に取る。それが終わると、いよいよツバキとマチスは向かい合う。

 

「Meのポケモンは1体……ガールは、手持ち全てを使ってこれを倒して見せなサイ! ……無論、ゲントとのバトルで温存していた1体もデス!」

 

「はいっ!」

 

 しかし、その会話を聞いていた審判の男性が、ふと疑問を感じる。

 

「(1体……? トレーナーレベル1のポケモンは、ラクライとピカチュウの2体のはず…………まさか……!?)」

 

「来なサイ、ガール……いや、ツバキ! ジムリーダー・マチス、全力で受け止めマース!!」

 

――――ジムリーダーのマチスが勝負を仕掛けてきた!

 

 

【挿絵表示】

 

 

「Go! マイフェイバリット、ライチュウ!」

 

 マチスの投げたボールから、長い尾を揺らして、大柄なネズミが姿を現す。ねずみポケモンの『ライチュウ』だ。

 

「(ライチュウ単騎……! やはりあれはトレーナーレベル3…バッジ2つ所持を想定したポケモンだ……! マチスさんがゲントのような考えのはずもない…だとしたら……何かを感じたのか……あの女の子に……それに相当する、何かを……!)」

 

 ツバキは、ライチュウの威容にゴクリと生唾を飲み込むと、意を決してモンスターボールを投擲する。

 

「……お願い……! ファンファン!」

 

 ボールから飛び出したのは、水色をした小柄な象のようなポケモン……ながはなポケモンの『ゴマゾウ』である。

 

「ほう、隠し玉はゴマゾウデスか……。良いのデスか? ゴマゾウはでんき技を無効にできるじめんタイプ……このジムでは切り札になりうるポケモンデス。初手で出してやられては、後が苦しいのではないデスか?」

 

「…………」

 

 黙って微笑を浮かべるツバキに、交代の意思無しと考えたマチスは、それ以上は語らなかった。

 睨み合うライチュウとゴマゾウ…ファンファンの間に、一触即発の空気が流れる中、ついにその言葉が発せられる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「……では、ジムリーダー・マチスと、チャレンジャー・ツバキのジム戦……相手のポケモンを全て倒した側の勝利とする! ……バトル……スタート!!!」

 

 

 

つづく




はい、というわけで、頑なに隠していた3体目はゴマゾウでした。
クチバに到着してからジムリーダー戦に突入するまで、ちょっと時間かかりすぎましたかね……もう少しサクサク進めた方が良いのかな……。
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