ポケモンリーグが開催されるセキエイスタジアムへと続く険路、チャンピオンロード。
洞窟そのものの薄暗さに加え、登って下りて曲がってと変化を繰り返す道に翻弄されるツバキ達の前に現れたのは、ヤミラミの群れ。
統率の取れた連携攻撃に苦戦するツバキであったが、バトル中にマグマラシからバクフーンへと進化したケーンの火力と馬力によって撃退に成功。
勝者へのご褒美か、ヤミラミの案内で大きくショートカットに成功し、巨大な中央のセンタードームと周囲に築かれた一回り小さい4つのドームで構成されるセキエイスタジアムへ到着。
その広大さに圧倒されつつも、トージョウリーグへの参加登録のため、ツバキはセンタードームへと向かった。
「はい、グレンタウンのツバキさんですね。登録完了です。開催は1ヶ月後となりますので、どうぞ選手宿舎で英気を養って本番を頑張ってください。こちらが部屋の鍵となります。部屋には予備のベッドも収納されていますので、お連れ様もお泊まりいただけますよ」
「ありがとうございます」
宿舎の部屋の鍵を受け取り、ツバキとイソラは受付に背を向けて歩き出す。
「カナズミシティのトウマさんですね。登録完了いたしました」
「フスベシティのボック様。登録完了です」
「はい、エイセツシティのスノウさんですね。登録完了となります」
出口へ歩いていると、他の受付で登録を行うトレーナーの姿が散見される。
服装も身体的特徴も様々で、民族衣装のような物を纏ったトレーナーもいる。
「他にもあんなに参加者がいるんだ……わたしの知らない街から来た人もたくさん……」
「トージョウリーグの参加資格はカントーかジョウトのバッジを8つだが、だからといってその2つの地方のトレーナーだけが参加するわけではない。最近は遠くイッシュ地方やカロス地方からもはるばる参加しに来るトレーナーもいるようだぞ」
「そういえばスカーレットさんもシンオウ地方出身だもんね」
2人がそんな話をしながら外へ出ると、もうすっかり夕焼け空となっていた。
「さすがに今日はもう特訓はやめといた方がいいよね……」
「だなぁ。それにしても少し見ない間に施設がさらに充実しているな……さすがポケモンリーグ本部」
5つのドームの周りには選手宿舎の他、さながらホテルのような建物も林立しており、これは観客用のようだ。ドームの収容人数が多いため、建物もそれに見合う大きさと数なのだろう。
他にもトレーナーとポケモン両方を鍛えられるトレーニング施設やショッピングセンター、大浴場に、各地方で知られる有名店が立ち並ぶ総合レストラン。
ポケモンセンターも通常の医療施設も完備し、ストレス発散用のゲームセンターやスポーツジムまで揃っている。
ここまで至れり尽くせりだと、ここに住みたいという人もいるかもしれない。(無論、開催期間外は開放されていないが)
「すごいよね、本当に。まるでここが1つの街みたい……わっ!?」
「ツバキ!?」
道の端に寄って様々な建物を見上げていたツバキであったが、突然何かのぶつかる衝撃に押し出されて倒れそうになり、イソラが慌てて受け止めた。
何事かと顔を上げると、雲をつくような大男と、その左右にそれよりは体格の劣る2人の男が並んでいた。
「んっだコラァ! 兄貴にぶつかって詫びも無しかコラァ!」
「ザッケンナコラー! スッゾコラー!」
左右の男は大声を張り上げて威圧するが、ツバキもロケット団との戦いで耐性がついているので、以前ほどの怯えは無い。
「おい、こちらは道の端で止まっていたんだぞ。そちらが余所見をして歩いていたのではないのか?」
ツバキの前に立ったイソラが睨むと、男達は矛先をそちらへと向ける。
「兄貴の道を塞ぐなっつってんだよコラァ!」
「ザッケンナコラー! 兄貴はなぁ、ジョウトのバッジを8つ集めた超つえぇトレーナーなんだぜコラー!」
「だからなんだ。子供相手に理不尽に当たって良い理由にはならんぞ」
まったく動じずに切り返すイソラに男達はたじろぐが、それまで黙っていた真ん中の男が前に出る。
「気に入らねぇな、生意気な女ってのは。いいかよく聞け。この世は力が全てだ。強い奴が正しく、弱い奴が悪い。そういうもんなんだよ。そして俺様達イワキ3兄弟は強いから正しいんだ」
「……そうか。では、こちらが強い事を証明すれば良いのだな?」
「何?」
目を剥く男へイソラがモンスターボールを握った右手を向け、高らかに宣言する。
「貴様らにバトルを申し込む。バッジ8つの実力を確かめてやる」
「おっ、お姉ちゃん……!?」
「お前は下がっていろツバキ。こいつは腐ってもリーグ参加者……つまり、お前のライバルになりうる奴だ。みすみす手の内を明かす必要は無い」
ツバキとイソラのやり取りを聞いていた3人が顔を見合わせ、一斉に笑い声を上げ始めた。
「ガッハハハハ! そ、そのガキがリーグ参加者だと? ガハハハハ! 聞いたかコウジ、コウゾウ!」
「聞いた聞いた! キヒヒヒヒ! こんなガキがバッジ8つとは……!」
「ケヒヒヒヒ! どうもカントーのジムはかなりレベルがヌルいらしいぜ! 兄貴なら1日で全部終わるんじゃねぇの?」
故郷カントー地方を愚弄するその発言にイソラの眉がピクリと動いたが、男達……イワキ兄弟はまったく気付かず馬鹿笑いを続けている。
「……この挑戦を受けるのか、受けないのか。返答は?」
「ガッハハハハ……! 良いだろう、受けてやろう! 戦いってのは使う物が変わっただけで、今も昔も男のもんだってのを教えてやる! 俺様はエンジュシティのコウイチだ!」
「グレンタウンのイソラ。向こうにバトルフィールドがある。そこでやろう」
一行は茜色に染まりつつあるドーム外周を進み、バトルフィールドへと立つ。
両者はモンスターボールを握り、同時にフィールドへと投げ込んだ。
「行くぞ、ムクホーク」
イソラのボールから現れたのは、基本部分は灰色と白で彩られ、頭部や首回りの黒い羽毛をアクセントとした大型の鳥ポケモン。もうきんポケモン『ムクホーク』だ。
「ふんっ、ひこうタイプか。運の無い奴だ。やっちまえゴローニャ!」
次いでコウイチが出したのは、岩を固めてボール状にしたような身体から手足と頭を出した、メガトンポケモン『ゴローニャ』だ。
さらに、その横に灰色の頑丈な皮膚と鼻先の角が特徴のドリルポケモン『サイドン』と、一見木のような姿をしたまねポケモン『ウソッキー』が現れた。
「えっ……!?」
ツバキが驚いて目を向けると、コウジ、コウゾウと呼ばれた2人がニヤニヤ笑いながらボールを持っている。
これにはいつの間にかバトルの見物に集まっていたギャラリーからもブーイングが起きた。
「3対1なんてズルいぞ!」
「それでも男かよ!」
だが、兄弟はそんな物は屁でもないのか、悪びれる様子など皆無である。
「おいおい、人聞きわりぃな。自信満々でケンカ売ってきたのはそっちの姉ちゃんだぜ? 何の得にもならねぇバトルを受けてやったんだから、こんくらいのハンデ当たり前じゃねぇか」
なおも止まぬブーイングを、右腕を伸ばしたイソラが制し、ムクホークも問題無いとばかりに甲高い鳴き声を夕焼け空へと鳴り響かせる。
あまりにも堂々としたその姿と声に、逆に兄弟とそのポケモン達の方が怯んでしまった。
「……時間が時間だ。さっさと始めようか」
「……ガッハハハハ! イキりやがって! ……“ストーンエッジ”だ!」
「サイドン! お前も“ストーンエッジ”!」
「ウソッキー! “うちおとす”だぁっ!」
ゴローニャとサイドンが地面を踏み鳴らし、隆起した岩を浮遊させてムクホークへ発射し、ウソッキーは小さめの岩を回し蹴りで加速させて飛ばしてきた。
「なるほど、なかなかのパワーだ。ウソッキーへ“でんこうせっか”」
ムクホークはその場で羽ばたいて一気に加速したかと思うと、岩の弾幕を恐れる事無くまっすぐにその中へと突っ込み、飛んでくる岩をきりもみ回転で右へ左へ器用に回避していく。
ある時は時折翼を畳んでわざと失速し、またある時は翼の角度を微調整して身体を傾ける事で、あわや直撃と思われた岩も難無くよけて見せる。
岩の嵐を無傷で抜けたムクホークは、そのままの勢いでウソッキーの顔面目掛けて突進し、すり抜けざまに鋭いクチバシで相手の額を打ったが、さすがいわタイプというべきかわずかによろめいただけに留まる。
「すばしっこい奴だ! “ロックブラスト”だゴローニャ!」
「もう1度“ストーンエッジ”!」
ゴローニャは地面へ拳を打ち付けて20個ほどの大きな岩塊を浮遊させ、それをマシンガンのように連続で発射してきた。
そして、サイドンは再び地団駄を踏んで隆起した鋭い岩にその太い尻尾をバットのように叩き付け、先ほどよりも高速で飛ばしてくる。
「弾幕来るぞ。右、下降、左、右、上昇、左」
迫る岩の群れにも臆せず空を往くムクホークは、イソラの指示からほとんどタイムラグ無しにその通りの動きを実行して次々に岩塊を回避する。
だが、さすがに激しい動きが多いためか、方向転換の度に辺りに羽根が舞い散る。
「よし……! よし……!! 余裕が無くなってきやがった!」
「そのまま追い落とせ!」
弾幕がより激しくなり、徐々にムクホークの高度が下がってくる。
「……取ったぁ! “アームハンマー”だ!」
ちょうど良い高さまで下りてきたところへ、ジャンプしたウソッキーが勢いよく右腕を振り上げる。
「遅い。“インファイト”」
だが、その腕が振り下ろされる事は永遠に無かった。
素早く振り向いたムクホークは、ウソッキーの顔面にクチバシで一撃を加えて怯ませると、強靭な脚の爪で胴と横っ面にキックを立て続けに計2発、そして最後に強烈な回し蹴りの連続攻撃を浴びせてウソッキーを地面へ叩き落としたのだ。
単純な技のダメージに加え、それによって加速した落下速度、そして地面への激突はウソッキーの体力を一瞬にして削りきり、戦闘不能に追い込んだ。
「ば……馬鹿な……一撃……!? ウソッキーは特性《がんじょう》…………あ……ああぁっ……!!」
《がんじょう》は体力がまったく削られていない場合、一撃で戦闘不能になるようなダメージを受けてもギリギリでこらえる事が可能な特性で、主にいわタイプやはがねタイプに多く見られる。
そう、一撃ではない。
さほど大きくは無かったものの、最初の“でんこうせっか”ですでにダメージは負っていたのだ。
「く、くそぅっ! すまねぇ、兄貴達!」
「馬鹿野郎! 何やってんだコウゾウ! ちぃっ……! “かえんほうしゃ”だゴローニャ!」
「サイドンは“れいとうビーム”!」
今度はゴローニャが口から炎を吐き、サイドンは角の先端から冷気を集束した光線を発射して空中のムクホークを襲う。
「ほう、くさタイプ対策にでも覚えさせていたか。だが、駄目だな。対策は結構だが、使うべき局面と相手をよく考えねば逆効果、かえって隙を生む。下降、左旋回」
ムクホークは空中を薙ぎ払うように放たれた炎をかわしながら“れいとうビーム”を誘導し、“かえんほうしゃ”に当てて激しい水蒸気を発生させる。
「“ブレイブバード”」
そこから急降下で飛び出したムクホークは地面スレスレの低空を高速で飛行し、空中の水蒸気に気を取られているサイドンの脚に突進して転倒させた。
サイドンが近くにいたゴローニャまでも巻き込み、揃って地面に倒れ込んでしまった時にはムクホークの姿は遥か上空で、後にはヒラヒラと灰色の羽根が舞うのみ。
「ちょこまかちょこまか……! 早く起きろゴローニャ!」
「お前もだサイドン!」
2人に発破をかけられ、ゴローニャとサイドンはノタノタと地面へ手をついて起き上がる。
「今度こそ当てろよ! “ストーンエッジ”!」
「お前もだ! “ストーンエッジ”!」
兄弟の怒号が飛び、空のムクホークへ発射する岩を用意するため、ゴローニャとサイドンが腕を振り上げる……のだが、その動きは異様に遅く、やっと振り上げたかと思えば振り下ろすのも遅い。
そうして叩いた地面から出てきたのは、最初に使った“ストーンエッジ”とは比較にならないほど小さい岩の欠片。
ひょろひょろ飛んでいった礫は、ムクホークの翼で容易く叩き落とされた。
「な……何やってやがる!? やる気あるのか!?」
「遊んでんじゃねぇぞコラァ!」
トレーナーに叱られ、2体のポケモンは困り顔だ。
「……ふぅ……トレーナーの無茶振りに懸命に応えているというのに、報われないな。そんなだからバトル中、自分のポケモンの様子が変わった事にも気が付かない」
呆れ顔のイソラに触発され、兄弟が睨みつけてくる。
「な、何ぃ……!?」
「ポケモンの様子って………………は? あ、兄貴っ! あれ! あれ!」
「あ? ……な、なんだありゃあっ!?」
改めてゴローニャとサイドンの姿を観察すると、その身体のあちこちから灰色のふわふわした物がはみ出ているではないか。
「言われてやっと気付いたか。ポケモンに実力があっても、それをトレーナーが活かせないのではな」
イソラの頭上をムクホークが通過し、ひらひらと落ちてきた1枚の羽根を右手の親指と人差し指の間に挟んでキャッチする。
「“フェザーダンス”。相手に羽根を纏わり付かせ、攻撃動作を妨害する技だ。ましてゴローニャもサイドンも打たれ強い代償として身体には隙間が多い。関節はもちろん、その隙間に異物が詰まれば、苛立ちやもどかしさから思い通りに力を込める事はできないだろう」
淡々と紡がれるイソラの言葉に、兄弟は揃ってあんぐり口を開けたまま。
「バトル中とはいえ、あれだけ羽根が散る事をおかしいと感じなかったのか? お前達のポケモンはパワーはあるし、指示にも忠実。はっきり言って優秀なポケモンだ。これまでのバトルでもさぞ活躍した事だろう。だが、肝心要のトレーナーがそんなでは、実力の半分も出せていないな」
「ぐ……ぐぐぐ……!」
ぐぅの音も出ないとはこの事か。
実際、鳥ポケモンなんだから羽根が抜け落ちるくらいおかしくないと疑問を抱きすらしなかったのだから、反論のしようが無い。
「これに懲りたら、もう少しポケモンに相応しいトレーナーとなる事だ。ゴローニャへ“ブレイブバード”」
ムクホークが左側へ寄りながら急上昇し、十分な高度まで上がってから翼を折り畳んで急降下。周囲の空気を巻き込みながら、鋭利な針のようなオーラを展開して一直線に突撃していく。
「か、“かえんほうしゃ”だ!」
「“れいとうビーム”!」
ゴローニャ達は思うように動かない身体の向きをどうにか変え、炎と冷気による対空攻撃を行う。
だが、力が入らないのか、直線的にしか飛ばないそれらに対し、ムクホークはわずかに身体をよじるだけで回避し、ゴローニャの身体の上部付近に突進。
丸い身体のゴローニャは高空からの突撃を受けて転がり、サイドンにぶつかってしまった。
「“インファイト”」
そして、2体が一纏めになったところへ肉薄し、風切り音が周囲に響くほどの速度で左右の脚の爪を振るうと、一瞬にしてそれぞれに10発以上の打撃と斬撃が打ち込まれる。
ムクホークが宙返りをしてイソラの肩に止まると同時に、ゴローニャとサイドンは呻き声を上げながら倒れ、辺りに土煙が舞う。
「……これがカントートレーナーの実力だ」
イソラは肩にムクホークを乗せたまま、まるで奇術師がショーを終えたかのように大仰に腕を振って礼をする。
バトルフィールドの周りは一瞬静まり返り、次の瞬間、大歓声と拍手が鳴り響いた。
「に……苦手ないわタイプ3体相手に勝っちゃった……」
ツバキは自分も初めに比べればそこそこ実力をつけたと考えていたが、さらにその上を行くイソラの実力を目の当たりにして呆然としてしまう。
と、その時。ドンッと拳を地面に打ち付ける音が聞こえた。
「馬鹿な……馬鹿なっ! 俺様はバッジを8つ集めたんだぞ! 1度も負けずにだ! なんでこんな女に負ける!?」
「自惚れるなっ!!」
往生際悪く噛み付くコウイチに、それまで物静かに接していたイソラが声を荒げる。
「なるほど、ジムリーダーに勝って自信をつけるのは結構だ。元よりそうしてトレーナーのモチベーションを上げ、ポケモンバトルという文化を活性化させるのがポケモンリーグでありポケモンジムだ。だが」
イソラはムクホークの頬を右手で撫で、一瞬だけ優しい表情を見せた後、再度厳しい視線をイワキ兄弟へと向けた。
「それで天下を取った気になるのは大きな間違いだ! お前達が目の当たりにしたのはジムリーダーの実力のほんの一端に過ぎない! 相手はチャレンジャーに合わせてくれている事を忘れるな!」
矢継ぎ早に飛び出す厳しい言葉の数々は、これまで数多のジムリーダーと戦ってきたイソラの経験も加わり、実に説得力がある。
「トレーナーの成すべき事は、その勝利をバネにしてポケモンと共により高みを目指して精進する事! 自信と慢心を履き違えるんじゃないっ!!」
これには兄弟も返す言葉が無く、ポケモンをボールに戻すと捨て台詞すら吐かずにすごすごと立ち去っていった。
「……ご苦労だったな、ムクホーク。すぐにポケモンセンターに連れていってやるからな」
ギャラリーが散ってくると、イソラもムクホークをボールに戻してツバキの元へと帰ってきた。
「お姉ちゃんすごいっ! 格好良かったよ!」
目を輝かせて興奮気味のツバキであったが、イソラは困ったという顔をしている。
「いや、実を言うとかなり緊張していた。トレーナーはともかく、ポケモンの方は実力が高かったからな。数値換算すると、ゴローニャはレベル70前後。サイドンとウソッキーは60といったところか。どうもポケモンを強く育てるという一点においてのみは才能があったらしい。奴がそれを踏まえて成長すれば、かなりの強敵になるだろう」
「そうなの?」
「ああ。だが、たまにいるんだ。そういう特定の才能だけが飛び抜けていると、他の大事な要素の成長が遅れる奴が。今の奴は強く育てる事はできても、精神の成長が未熟で、自分の使うポケモン以外に興味を持たない……さらに言えばその自分のポケモンすら常に最大のスペックを発揮してくれると思っているタイプだな。機械でなく生き物である以上、そんな事はありえないのだがな」
何かの才能が優れているがために、他が歪になる。
それを聞いてツバキが思い出したのは、ロケット団員のシュルマから聞いたウィルゴ……ベラの話だ。
ポケモンバトルに卓越した才を発揮してしまったが故に周囲との実力差が広がり、全力でぶつかり合うポケモンバトルの楽しさを理解する事ができず、弱者をいたぶる事に快楽を見出す嗜虐嗜好へと歪んでいったという。
ロケット団アジトで一本取る事には成功したが、果たしてあれで彼女の考えを変える事ができたのだろうか?
ロケット団が壊滅した今となっては聞く事はできない疑問が、見上げた紅の空へと消えていった。
つづく
今回も駄文雑文落書きにお付き合いいただきありがとうございました!
思えば作中で散々異名が語られているわりには、イソラが本腰を入れてバトルする場面があまり無かったのでちょっとテコ入れしました。
まぁ、相手は大した事はないんですけどね…。
あと今回使用した分で本作挿絵用の落書きが200枚の大台に乗りました!
ここまで根気強く来られたのも皆様のおかげです!これからもお付き合いいただけるとありがたいかなーって!