蒼天のキズナ   作:劉翼

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おまちどおさまです!第84話が来ました!


第84話:ドラゴン・インパクト

 セキエイスタジアムにて参加登録を済ませたツバキは、広大な敷地と充実した施設に目を丸くしていたが、その時、ジョウト地方からやってきたイワキ3兄弟の長男・コウイチにぶつかってしまい絡まれる。

 道の端で止まっている相手にぶつかりながら「自分はジムバッジ8つを集めた強者である」として威張り散らし、いちゃもんをつけてくる彼らに対し、イソラはバトルを申し込む。

 卑怯にも3体のいわタイプを同時に繰り出してきたイワキ兄弟であったが、イソラのムクホークは危なげ無くこれを撃破。

 なおも食い下がるコウイチに、とうとうイソラから怒号と共に説教が飛び、ポケモントレーナーのあるべき姿勢を説かれたイワキ兄弟は何も言えずに退散するのだった。

 

 

 

 

 昨日のイソラのバトルから一夜明け、セキエイスタジアム敷地内の選手用宿舎では……。

 

「お姉ちゃぁぁーーーーんっ!!」

 

 とある一室からツバキの怒声が響き、窓際にいたマメパトが驚いて飛び去っていた。

 

「もう1つベッドあるんだから、添い寝なんてしなくていいのっ!!」

 

「いや、私もそちらで寝ていたはずなんだが……不思議だ」

 

 なんという事はない。

 別々のベッドで寝ていたはずが、イソラがいつの間にかツバキを抱き枕のようにして寝ていたためにツバキが怒っているという、いつもの光景……いや、こんなもんがいつもあってたまるかという感じだが。

 

「またやったらわたしはポケモンセンターの個室に泊まるからね!」

 

「わ、わかったわかった! すまない! 悪気は無かったんだ!」

 

 腕を組んで怒るツバキに、イソラは両手を合わせて平謝りだ。

 

「……もう……昨日はやっぱり格好良いなって思ったのに、一晩も明けない内にこれなんだから……」

 

「いや、本当に悪かった……たぶん寝ぼけていたんだと思うが、ともかく気を付ける」

 

 とりあえず仲直りを済ませた2人はポケモンセンターへ向かい、サンドイッチで簡単な朝食を終えると、手持ちポケモンの入れ替えを行ってからトレーニング施設へと向かう。

 建物に入り、受付に選手IDを見せて施設利用を申し出てから奥へ進むと、1階にはサンドバッグやランニングマシンといった人間用施設でも見かける基礎的な物が用意されている。

 

「わぁ……色々ある! あ、あっちの階段は何かな?」

 

 地下へ下りると、広いスペースにタイプ別の技訓練用に的が並び、その1つ1つの間には周囲に流れ弾などの被害を出さないように超硬度複合合金製の仕切りが設けられている。

 この仕切りはポケモンリーグ協会の依頼の下、カントーのシルフカンパニーとホウエンのデボンコーポレーションが共同開発した物であり、各地方にある同種のトレーニング施設へ提供されている。曰く、『“はかいこうせん”でも“ギガインパクト”でも100回当てても壊れない』との事。

 バトルフィールドも設置され、屋外のそれと比べて広さに種類があり、あえて狭いフィールドを選ぶ事で細かい動作をより洗練し、最小限の動きで実現できるようになったりする。

 

「すごい! ここなら特訓もはかどりそう!」

 

「まさにそのための施設だからな」

 

「うぅん……こんなに色々あると、何から始めようか迷っちゃうなぁ」

 

 ツバキはここまでに見てきた設備を再度確認しながら歩き、トレーニングに勤しむ他のトレーナーの姿を観察する。

 1階に戻って体力等の基礎部分を鍛える?

 地下で技の精度や効率的な使い方を練習する?

 はたまたバトルフィールドで模擬戦をする?

 そもそも誰を鍛える?

 唐突にできる事がたくさん増えたからか、そんな考えがツバキの頭の中をグルグル駆け巡っていると。

 

「ねぇねぇ、君~」

 

 後ろから声をかけられて振り返ると、少しふっくらとした男の子が立っていた。歳はツバキと同じくらいだろうか。

 

 

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「もしかして~、君もリーグに出るの~?」

 

「えっと……まぁ……」

 

 突然の事で頭を整理しきれていないツバキがそう答えると、安心したかのように息を1つ。

 

「良かった~。周りが強そうな年上の人ばっかりで不安だったんだよ~。あ、オイラはフスベシティから来たボックって言うんだ~、よろしく~」

 

「へぇ、フスベシティ! あ、わたしグレンタウンから来ましたツバキです!」

 

 ツバキが手を差し出すと、ボックも一拍遅れて握り返し、歳の近い者同士握手を交わした。

 

「おーい、ツバキ。何からやるか決まっ……おや?」

 

 施設内を見て回っていたイソラが戻ってくると、なにやらツバキは見慣れない少年と話をしている。

 

「あ、お姉ちゃん!」

 

「ただいま。その子は?」

 

「えっと、今ここで会った、フスベシティのボックさん!」

 

「『さん』はいらないよ~。はじめまして~」

 

 ボックはツバキの呼称にツッコミを入れつつイソラへ頭を下げた。

 

「うん、はじめまして。私はイソラだ」

 

 ぽやんとした見た目のわりに礼儀をわきまえているボックに対して微笑んで挨拶を返すイソラの服の裾を、ツバキがくいくいと引っ張る。

 

「それでね、お姉ちゃん。わたし、とりあえず今はボックさんとバトルしようと思うの!」

 

「ほう、それは良い。やはり実戦は何にも勝るトレーニングになるからな。……ふむ、あそこの中くらいのバトルフィールドがちょうど良さそうだ」

 

 指差したバトルフィールドへ向かうボックの背中を見ながら、イソラがツバキへ耳打ちする。

 

「ツバキ、気を付けろ。おっとりしているが、お前とそう変わらん歳で見事にバッジ8つを集めている相手だ。しかも、フスベシティはドラゴン使いの里として知られる街……もしかしたらドラゴンポケモンを使ってくるかもしれん」

 

「ドラゴンポケモン…………うん、わかった」

 

 ツバキとボックの2人はフィールドの両端で向かい合い、同時に腰のボールを1つ手にする。

 

「行くよ~、ツバキ~! ガバイト、レッツゴ~!」

 

「お願い! バルディっ!」

 

 フィールドに着地したバルディの前に、砂埃を上げて下り立ったのは、青紫色の体色と、背中のヒレ、鋭い1本の爪が特徴的なポケモンだ。

 

 

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 ほらあなポケモン『ガバイト』。ツバキはその姿を一目見ると……。

 

「……? なんだかどこかで見たような……」

 

 ガバイトの身体的特徴にデジャヴを覚えて首を傾げるツバキへ、イソラが答えを告げる。

 

「スカーレットが持っていたガブリアスを覚えているか? あのポケモンの進化前だ」

 

「あ、そっかぁ!」

 

「お~、ガブリアス知ってるんだ~。オイラのガバイトも、いつか立派なガブリアスになるために毎日頑張ってるんだ~」

 

 ボックの言葉を体現するかのように、ボールから出てからのガバイトは腕の爪を振り回してやる気満々だ。

 

「よし、では使用ポケモンはその2体で良いな?」

 

「うんっ!」

 

「いいよ~」

 

 2人の意思を確認したイソラは、右手を振り上げる。

 

「では、バトル……開始っ!」

 

 振り下ろされたイソラの腕を合図に、バトルがスタートした。

 

「先手必勝だ~! “ドラゴンクロ~”!」

 

 素早く走り出したガバイトの両手が激しく荒々しいオーラを噴出し、一瞬にして両腕全体をコーティングする。

 その瞬発力はなかなかのもので、あっという間に距離を詰めてきた。

 

「“ダブルチョップ”で迎え撃って!」

 

 対するバルディは口の両端から突き出た牙へ青いオーラを纏わせ、ガバイトが振り下ろした“ドラゴンクロー”を、首を振ってギリギリで受け止める。

 

「(すごい~! あの体勢から受け止めた~! 驚きのパワ~だよ~!)」

 

 だが、パワーでは決して大きく劣るわけではないにしても体格の差は如何ともし難く、上から力任せに押し込んでくるガバイトに次第に力負けし始める。

 そして、脚が震えてわずかに体勢が崩れた瞬間、ガバイトはここぞとばかりにフリーだった左腕で横薙ぎに“ドラゴンクロー”を叩き付けてきた。

 

「バルディっ!」

 

 やはり腕が長く、攻撃に使いやすいのは大きい。

 実際、口の牙が主武装となるバルディに対し、両腕を使った攻撃を仕掛けられるガバイトは手数にしても対応力にしてもかなり有利だ。

 

「負けないで! “カウンター”!」

 

 吹っ飛ばされたバルディは、短い脚を懸命に伸ばして着地するや素早く地面を蹴ってガバイトへ肉薄し、まさに体勢を整えるところだったその土手っ腹に、お返しとばかりに牙を叩き付ける。

 予想外のパワーで与えた以上のダメージを返され、よろめくガバイトであったが、そこはあのガブリアスの進化前。両脚を開き、尻尾も接地させて身体を支えて見せた。

 

「すごいパワ~だけど~、オイラのガバイトはもっともっとタフなんだよ~! “アイアンテ~ル”~!」

 

 しっかりと地面へ足を踏み込み、前傾姿勢になったガバイトはドスドスと音を立ててフィールドを駆け、勢いをつけると身体を捻り、硬質化して銀色の輝きを放つ尻尾を遠心力で叩き付けるように振り回す。

 

「(っ! これは防げない!)地面に“りゅうのいかり”!」

 

 その質量と遠心力の加わった攻撃を防ぐ事は不可能だと直感的に悟ったツバキの指示を受け、バルディは小さく跳ねて地面へ向けて口から衝撃波を吐くと、その反動で空中高く飛び上がって“アイアンテール”を回避した。

 コマのようにグルグルと回るガバイトはそのまま直進し、しばらく進んだところでやっと停止してバルディを探し始める。

 

「上だよ~! “めざめるパワ~”!」

 

 ボックからの指示でバルディの姿を確認したガバイトの口から6つの赤いエネルギー弾が放出され、一斉に空中のバルディへ対空砲火のように放たれた。

 

「“りゅうのいかり”!」

 

 対するバルディは大きく息を吸い込んでから大口を開き、ここまでで最大級の衝撃波を発射。

 空気をビリビリと振動させるほどの衝撃波でエネルギー弾が掻き消され、その余波はガバイトにも襲いかかった。

 

「うわぁ~! ま、まるで“りゅうのはどう”だよ~……!」

 

 ボックは改めてバルディの小さな身体に秘められた驚異的なパワーの恐ろしさを感じる。キバゴの状態でこれなら、進化したらどうなってしまうのか?

 

「……ガバイト~、これは同じドラゴンタイプとして負けられないよ~! “ドラゴンクロ~”!」

 

「勢いを利用するよ! “ダブルチョップ”!」

 

 ガバイトは檄を飛ばされ奮起し、右手の爪に龍を象ったオーラを纏わせてジャンプし、落下してくるバルディを迎撃する。

 バルディも牙を青く発光させ、自由落下による加速を利用して全体重を乗せた一撃をお見舞いせんとガバイト目掛けて落ちていく。

 そして、両者は空中で激突。

 バルディの牙とガバイトの爪が押し合いへし合い、互いに纏わせたオーラが稲光のように伸びたかと思えば激しく爆ぜる。

 だが、今度はさっきとは逆にバルディ側が上から押し込む形となっており、地に足を付いておらず、ジャンプした勢い以外は技の推進力だけが原動力となっていたガバイトは、重力に任せて牙を押し付けてくるバルディに押され始める。

 

「バルディっ! 頑張って!」

 

「負けるなガバイト~!」

 

 ツバキとボックはそれぞれのポケモンへと声の続く限り応援を続けるが、その次の瞬間。突如2体の身体が青白い光を放ち始めた。

 

「えっ……!?」

 

「ま……まさか~!?」

 

「同時にか……!?」

 

 そう、進化だ。進化が始まったのだ。

 しかし、自然界でならばともかく、別々のトレーナーが所持していて種の異なるポケモン同士が、バトル中に同時進化するなどイソラでも見た事が無い。

 

「(ポケモンはトレーナーの強い想いに応えるとは言うが……それがまったく同じタイミングに重なるとは……!)」

 

 ポケモン達は若き主の闘志をその身に宿し、それを形とするかのように姿を変えていく。

 両者共に身体が肥大化し、ガバイトの腕の翼が、バルディの突き出た牙が伸びていく。

 進化が始まったのが同時なら、進化が終わったのも同時。2体を包んでいた光が消失し、わずかな粒子のみが舞い散る中、両者は同時に目を開き、進化後の余韻も無く一層の力を込めると相手から勢いよく離れてトレーナーの前へと下り立った。

 片やマッハポケモン『ガブリアス』。ツバキも見覚えのある姿へと進化した。

 そして片やあごオノポケモン『オノンド』。

 

 

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 キバゴに比べて体色は濃くなり、表皮は見ただけでわかるほどに硬質化してさながら鎧のよう。特徴であった牙は倍以上に伸び、刃と形容して差し支え無いほどの鋭さを備えた。

 

「や、やった……! ついに進化だねバルディ! たくましくて格好良い! ……そっか、オノンドかぁ……!」

 

「念願の進化だよ~! 夢が叶ったね、ガバ……ガブリアス~!」

 

 ツバキは図鑑でバルディの進化で変化した姿と技を確認し、ボックも待ちに待ったガブリアスへの進化でテンションが高い。

 進化の当事者である両者は地面へ足を付けると、改めて自分の身体の変化を確認するように腕や尻尾を振り回したり、その場で足踏みをしていたが、それが終わると互いに顔を見合わせてニヤリと不敵に笑う。

 その表情からは、「これでもうお前には負けないぞ」という意思が伝わってくるかのようだ。

 

「やる気は……」

 

「十分みたいだね~! それじゃ行くよ~! “ドラゴンクロ~”!」

 

 ガブリアスが咆哮し、右腕全体を強大なオーラで覆う。

 そのオーラは進化前よりも遥かに大きく、海原を往く龍のごとく激しく波打つ。

 

「それならこっちは……“りゅうのまい”!」

 

 それに対してツバキは、新たに習得した技を指示した。

 その場の空気を切り裂くかのように大きな牙を振るい、ずんぐりとした体格からは想像のつかない軽快な動きで舞うバルディの身体から闘気が放出され、背後に巨大なドラゴンが控えているかのような錯覚を受ける。

 その迫力に一瞬怯んだガブリアスだったが、頭を左右に振って迷いも恐怖も振り払いつつ前屈みの突撃体勢を取ると、ガバイト時よりも発達した脚で勢いよく地面を蹴った。

 舞を終えたバルディは、右腕のオーラを脈動させて突撃してくるガブリアスを見据えると、脚を広げて待ち構える。

 

「“ダブルチョップ”!」

 

 見るからにガバイトのそれより強力になっているガブリアスの“ドラゴンクロー”。

 強大なドラゴンに対抗するにはこちらもドラゴンをぶつける……それが今の状況ではベストとツバキは考えた。

 “つじぎり”ではあの勢いにはまず押し負けるし、悠長に“カウンター”を待っていて一撃で倒されましたでは話にもならない。

 となれば、“りゅうのまい”で強化し、かつバルディの本領たるドラゴンタイプの技である“ダブルチョップ”が最適解だ。

 左右の牙をガブリアスにも劣らぬ激しいオーラでコーティングし、こちらも走り出した。

 互いに相手を睨みながらフィールドを駆け、ちょうど中央辺りで両者はぶつかり合う。

 先手を取ってジャンプからの振り下ろしを仕掛けたバルディの牙を、ガブリアスは咄嗟にオーラで包んだ左腕を水平に構えて受け止めて、右腕の“ドラゴンクロー”で仕留めようとしたが、バルディはそのまま力を入れて牙を押し込み、慌ててその状態を維持しようと跳ね上げたガブリアスの腕をバネにして前方へ跳んだ。

 空中で身体を捻ってガブリアスの背後へ着地したバルディは間髪入れずその背中へ突進していくが、ガブリアスも負けじと左脚で身体を支えてその場で180度回転し、連続で振り回される牙を両手の爪で捌いて見せる。

 

「(“りゅうのまい”を使ったバルディの攻撃に、どうにかではあるが対応している……やるな、あのガブリアス。どうもバルディ同様に負けず嫌いらしい)」

 

 性格が似ている上に同じドラゴンタイプ同士。ライバル意識が生まれるのはむしろ当たり前と言えるだろう。

 

「そこだ~! “アイアンテ~ル”~!」

 

「跳ねてかわして! “つじぎり”!」

 

「爪で受け流すんだ~!」

 

 “ドラゴンクロー”と“ダブルチョップ”の応酬の合間に他の技による搦め手も割り込むが、2体は近接戦闘の間合いから離れようとはせず、一拍おくと再びドラゴンのオーラを得物に纏わせた格闘戦を繰り広げる。

 2体のドラゴンは優に30回以上も剣戟を重ねたが、その内にスタミナ差でバルディの動きに鈍りが出てきた。

 進化した数が相手は2回、バルディは1回で、言ってしまえばパワーアップの回数が少ないのだ。

 加えて、バルディは体格のわりにパワーがあるが、言い換えれば身体に蓄えられるエネルギー量に対して体力の消費量が大きいという事だ。

 結果、好戦的で常に全力を出すバルディの性格と肝心の肉体が噛み合わず、極めて持久力が無いという事になってしまっているわけである。

 

「(……まずいかも……バルディがかなり疲れちゃってる……! なんとかしないと……!)」

 

 この状況を打開すべくツバキは脳をフル回転させるが、そうこうしている間にもバルディは押していた状態から徐々に押され気味になってきた。

 

「今だ~! “アイアンテ~ル”~!」

 

「っ!!」

 

 横から飛んできた“ドラゴンクロー”を受け流すため、頭をより大きく振って牙で弾いたが、視線が横に逸れたその隙を突いてガブリアスが宙返りをするように“アイアンテール”を放つ。

 下側からアッパーのように迫る硬質化した尻尾を確認した時には遅く、顎に一撃を叩き込まれてバルディの身体が空中に浮いた。

 

「“ドラゴンクロ~”!」

 

 素早くオーラで覆った右腕を振り下ろし、宙を舞うバルディの腹部へ強烈な追撃が入った。

 

「バルディっ!!」

 

 地面へ押し付けられたバルディは、コイキングのように口をパクパク開閉していたが、ついにガクリと力が抜けて動かなくなってしまった。

 

「……そこまでっ! このバトル、ガブリアスの勝ちとする! ……荒削りではあるが、身体のあらゆる部位を活用した良い戦い方だった。見事だ」

 

「へへ~……ありがとう~。ガブリアス~、もっと強くなろうな~」

 

 イソラからの賛辞を受けたボックは、フラフラのガブリアスを支えながら共にガッツポーズ。

 

「ツバキ。お前とバルディも良く戦ったが、彼らには1歩及ばなかったな。だが……」

 

「うん、わかってる。めげないよ! わたしも、バルディも!」

 

 バルディを抱くツバキは、目の端に浮かんだ涙を拭い、笑顔を浮かべてイソラに答えた。

 

「……すぐポケモンセンターに連れてってあげるから、それまで休んでてね。……ボックさん、ありがとうございました!」

 

 バルディをボールに戻したツバキは立ち上がり、ボックに手を差し伸べた。

 

「こちらこそだよ~! そのオノンド、進化したばっかりであんなに強いんだから末恐ろしいよ~……オイラ達もうかうかしてられないな~……!」

 

 ボックが笑顔で握り返すと、ツバキも笑みを返して2人は笑い合う。

 若いトレーナーが互いをライバルとして切磋琢磨する姿に、イソラはまだまだポケモンバトルという文化の未来は明るい事に安堵して表情を和らげる。

 

「(……って、私もまだ18だった……何を年寄りみたいな事を言っているんだ……)」

 

 心中でノリツッコミをしつつ、2人を労うべく歩み寄るイソラであった。

 

 

 

つづく




今回も駄文雑文落書きにお付き合いいただきありがとうございました!

突然ですが…
腰 を 痛 め ま し た !
痛い…寝転がりからの起き上がりが特に痛い…。

時に、ここから
あっという間に1ヶ月後が経った…というド○ゴンボール的な時間跳躍ってアリだと思いますかね?
最低限のプロットはありますが、この期間中に進化やゲットのような重要イベントが挟まる事は無いので、時間と話数を食うわりには必要性があまり無いんですよね、特訓編。
それよりもリーグ本番のが気になる人もいると思うので、特訓編をキングクリムゾンしてしまおうかとも考えております。
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