蒼天のキズナ   作:劉翼

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腰の状態が改善されてきましたので更新再開です!


第85話:トージョウリーグ開幕!予選開始の狼煙!

 イソラとイワキ兄弟とのバトルの翌日、選手宿舎に宿泊して朝を迎えたツバキは、イソラのいつものアレに辟易としつつトレーニング施設へと向かう。

 充実した設備にどんなトレーニングをしようかと悩んでいた中で出会ったのは、ジョウト地方はフスベシティからリーグに参加する少年トレーナー・ボック。

 歳の近い2人は意気投合し、トレーニング代わりにバトルをする事となる。

 バルディとガバイトというドラゴンタイプ同士のバトルは熾烈にして苛烈を極めたが、そのバトルの最中、2体のポケモンが同時に眩い光を放ち、まったく同じタイミングでの進化を遂げた。

 オノンドへと進化したバルディはさらに磨きのかかったパワーで攻めるが、大柄な身体を活かした柔軟なバトルを行うガブリアスには1歩及ばず敗北を喫する。

 ツバキとバルディは敗北の悔しさをバネに、さらなる特訓を重ねてリーグ本番に臨む事を決意するのだった。

 

 

 

 ボックとバトルした翌日。今日もツバキはトレーニング施設を訪れていた。

 ツバキの前でサンドバッグに一定のテンポで牙を打ち込んでいるのはバルディだ。

 

「ワン・ツー、ワン・ツー」

 

 ツバキの手拍子に合わせ、テンポを崩さないように順番に左右へ身体を捻って牙を振るう。

 周りでは他のポケモン達もサンドバッグを叩いたり、ランニングマシンの上で走ったり、バーベルを持ち上げたりと自己鍛練に励んでいる。

 

「気合いが入ってるな、バルディは」

 

「あ、お姉ちゃん。うん、やっぱり昨日ガブリアスに負けたのが悔しかったみたい。……わたしもだけど」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ツバキはイソラと話している間にも手拍子は忘れず、バルディもそのタイミングに合わせて動き、逸りすぎず遅れすぎないように気を付けているようだ。

 

「なるほどな。それでペース配分を考えるように一定のリズムで身体を動かしているのか」

 

「うん。バルディはパワーがあるのは良いんだけど、おかげですぐに体力を使いきっちゃうみたいだから」

 

 闘争心を抑え、パワーをセーブする事を覚えれば、押しきれそうな相手は全力を出して短期決戦を目指し、そうでない相手には様子を見ながら要所要所で強力な一撃を叩き込むという対応の幅が生まれ、バルディはさらなる強さを身に付ける事ができるだろう。

 実際、オノンドへ進化したバルディはパワーだけで言えばシェルル以上であり、多少セーブしたとしても十分戦闘には耐えうるのである。

 

「確かにそこさえどうにかなれば、バルディの頼もしさは得難いものだからな」

 

「バルディは生まれてそんなに経ってないから、加減がわからないんだと思う。それを根気強く教えてあげれば……。ね、ポポくん」

 

 ホバリングしながらサンドバッグにクチバシを突き立てているポポへ声をかけると、一連の動作を中断して返事のように一声を上げた。

 ポポもポッポからピジョンに進化してからは、それまでのようにツバキの頭に乗る事ができなくなったために肩に掴まるようになったが、そのバランスの取り方や適切な力加減を覚えるまでは時間がかかったものだ。当然、ピジョットに進化してからはますますシビアになり、何度か加減を間違えてツバキの肩に爪が食い込んだ事もあった。

 それでも繰り返し練習を重ねた結果、滑空してきてから掴まっても即座にバランスを取り、ツバキの肌を傷付けるような事も無くなったのだ。

 

「だからバルディもきっと今よりずっと強くなれるよ。わたしや他の皆も一緒に頑張るんだからね! 開催までの残り1ヶ月……みっちり特訓して、長所を伸ばして欠点は克服しよう!」

 

 腕を突き上げたツバキの声に応じ、ポケモン達も一斉に声を上げた。

 

 

 

「申し訳ございません……他の利用者様のご迷惑になりますので、大声は……」

 

「はい、ごめんなさい……」

 

 ……スタッフに注意されてポケモン達ともども頭を下げる事になったが。

 まぁ、それはそれとして、施設の充実ぶりから特訓の効率も日を追うごとに上がっていき、地下のバトルフィールドや技用ターゲットですぐに実力の向上を実感できる楽しさから、特訓の日々は流れるように過ぎていった。

 光陰矢の如しという言葉があるが、まさにその通りであり、1ヶ月という期間が過ぎるのは一瞬のようにすら感じられた。

 そして、開催が1週間後に迫ったある日。

 

「今日のトレーニングも良い感じだったな、ツバキ」

 

 この日もラストスパートに差し掛かった特訓を終え、トレーニング施設を出たツバキとイソラ。

 ツバキの肩に乗ったポポもくたびれたという顔だ。

 

「うんっ! 皆も出会った時とは別人みたいに頼もしくなったよ!」

 

 ポケモン達からすれば、以前は臆病でいつもビクビクしていたツバキの方が今では別人のようなのだが、本人にはあまり自覚は無いようだ。

 ……と。そんな2人の前を、赤い髪を靡かせて風のように走り去っていく人物がいた。

 

「わひゃっ!?」

 

「っ! ……今のはまさか……」

 

 どうやら件の人物はセンタードームに入っていったらしい。

 2人が後を追ってみると、参加登録を行うカウンターの前に立った人物がポケモン図鑑を差し出し、受付スタッフがパソコンを操作している。

 

「はい、ズイタウンのスカーレットさんですね。登録完了しましたよ。こちら、選手宿舎の個室の鍵と、選手IDとなります」

 

「…………ありがとうございます」

 

 息を切らせて受け取り、ただでさえボサボサの髪が全力疾走でさらに凄い事になったスカーレットが、深呼吸をして振り向く。

 

「…………あ」

 

 そこにいたのは、驚いた顔のツバキと、呆れた顔のイソラだった。

 

「……スカーレットさん……」

 

「前々から疑問だったんだが、なんでお前はバッジ集めはやたら早いくせに、肝心の大会への参加登録だけはいつもギリギリ滑り込みなんだ……」

 

 イソラからの至極真っ当な疑問に、スカーレットは顎に人指し指を当ててしばし考え込む。

 

「………………なんでかな?」

 

「いや、こっちが聞いてるんだが……」

 

 考えても仕方無いと判断したのか、スカーレットは腰を屈めるとツバキの頬に両手を添え始めた。

 

「…………来た。ツバキも。……負けないよ」

 

「ツバキの頬をプニプニしながら言っても締まらんぞ」

 

 と、そんな感じでスカーレットがギリギリで参加登録を済ませ、さらに1週間……そう、トージョウリーグ開催の日がやってきたのだ。

 

 

 

 

「えーっと、ポケモン図鑑よし。選手IDカードよし……」

 

 朝。ベッドの上に並べた持ち物を確認しながらバッグへ詰めていくツバキ。

 全て詰め込んだバッグを身体にかけると、モンスターボールを腰のベルトへ装着し、最後に帽子をかぶって鏡の前に立つ。

 

「い、いよいよ今日なんだ…………よしっ!」

 

 ピシャッと頬を叩いて勇気と気合いを充填したツバキが部屋を出ると、イソラが壁にもたれかかって待っていた。

 

「準備は万全か?」

 

「うん!」

 

 他の部屋からもぞろぞろと選手が現れ、宿舎を出ていくので、ツバキ達もその後に続いて進む。

 外へ出ると、凄い数の人が行き交い、あちこちから聞こえる話し声や足音が混ざり合う。

 

「こ、この人達全部観客……!?」

 

「……と、選手に運営スタッフだな。トージョウリーグは規模が大きいからな」

 

 人混みの中をセンタードームへ向かって歩いていると、上空から何かが羽ばたく音が聞こえてきた。

 

「あっ、あのモンスターボール型の帽子……いたいた! ツバキ~♪」

 

 自分を呼ぶ声に顔を上げると、リザードンに乗った両親が手を振っている。

 が、さすがにこの人の群れの中へ降りるわけにはいかない。開会式にはまだ時間があるため、ツバキ達は誘導するように人の少ない方へ移動する。

 

「ご苦労だったなリザードン」

 

 シャコバがリザードンをボールへ戻し、2人が着地した。

 

「っと」

 

「よいしょっと♪」

 

「パパ! ママ!」

 

 舗装された地面に下り立った両親へ、ツバキが駆け寄って抱き付く。

 

「こうして顔を合わせるのもしばらくぶりな気がするな。イソラちゃんも久しぶりだね」

 

「はい、お久しぶりです。うちの親は?」

 

「乗れるポケモンがリザードンしかいなかったんで、やむなく船で来ると言ってたよ。離島はこういう時不便だ。……お、そうだ」

 

 イソラの両親に関して話していたシャコバが、背負っていたリュックを下ろし、中から出した布の両端を掴んで広げて見せた。

 空色の布地に、黒い縁取りを施された白字で大きくツバキの名が書かれている。

 

「どうだツバキ、この横断幕! 本当はもっと大きくしたかったんだが、ママに止められてな」

 

「いくら娘の晴れ舞台だからって、大きすぎて周りに迷惑かけちゃいけないものねぇ」

 

 とは言うものの、妥協の産物であろうこれでさえ大の大人であるシャコバが両手をいっぱいに伸ばしても広がりきっていないので、十分に大きい。

 恐らくイソラの両親も含めた4人が横並びになり、両端の2人で持つ事を想定している長さなのだろう。

 

「……は……恥ずかしい……」

 

 自分の名前がでかでかと書かれた横断幕を持って大声で声援を送る両親達の姿を思い浮かべたツバキは、顔を真っ赤にしてしまった。

 

「か、開会式始まるからもう行くからね!」

 

 恥ずかしさを誤魔化すかのように、わざとらしく足音を立てて歩き出す。

 

「ツバキ。私もおじさん達と観客席に行く。……頑張れよ」

 

「あっ……」

 

 そうだ。ずっと共に行動していたイソラだが、今回の彼女はリーグ参加者ではないので一緒には来てくれない。

 ここから先は正真正銘、自分とポケモン達だけで戦い抜かねばならないのだ。

 一瞬寂しげな表情を見せたツバキであったが、一旦伏せた目を開いた時にはもう覚悟を決めた顔へと変わっていた。

 

「……うん、わかった。皆と一緒に精一杯頑張る!」

 

 並んだモンスターボールを撫で、右手で握り拳を作ってやる気満々の表情を向けるツバキの姿は、旅立ったばかりの頃からは想像もつかない頼もしさを感じさせる。

 背中を向けて人混みの中へ消えていったツバキを見送り、イソラ達もセンタードームの観客用入口へ移動していく。

 

「……グレンジムでのバトル以来、昔のツバキの事を思い出す事があるんだ」

 

 歩きながらシャコバがポツリと口を開く。

 

「声が小さくて、すぐに私達やイソラちゃんの後ろに隠れたり、家の中に閉じこもったり……今のようにポケモン達と共に広い世界を活発に動き回る姿なんて考えられなかった」

 

「ふふっ、そうでしたねぇ……外に出る時だって、イソラちゃんと一緒じゃないとテコでも動かなかったし……」

 

「そう考えると、本当にツバキは変わりました」

 

 保護者3人は、しみじみとツバキのこれまでの歩みを回想して笑い合う。

 

「ツバキを決定的に変えたのはポケモン達なんだろうな。……そんなポケモン達との大きな挑戦なんだ。きっとツバキはもっともっと高く翔べる! ……親としての勘だけどな」

 

「なかなかどうして勘とは侮れないものです。……ここまで来たら、私達はただひたすらにツバキとツバキのポケモン達の健闘と勝利を祈りましょう。その飛翔を信じて」

 

 

 

 センタードームの受付では、それぞれの選手IDに対応したパッと見スマートフォンのような見た目の縦長の機械が用意されており、ツバキ達選手に渡されていく。

 

「こちらの端末は『リーグ・サポート・デバイス』……『LSD』と言いまして、選手の皆様個人のデータが登録されており、開会後は試合の日程や、スタジアムのどこでどのような試合が行われるのかなどの情報が配信されますので、紛失しないようお願いいたします」

 

「わかりました!」

 

 つまり、今受け取ったこの機械は、ポケモンリーグ協会のデータベースに登録された物に加え、参加登録時に申告した様々なツバキ個人のデータが詰まっており、ツバキの今大会での行動をサポートしてくれる便利アイテムとなるわけだ。

 

「全参加者の到着を確認いたしました。それでは皆様、奥へお進みください」

 

 しぱらくの間ロビーに待機していたツバキ達であったが、スタッフの先導で移動を始める。

 

「……よっ、ツバキ」

 

「えっ? あっ……ゲントさん!」

 

 移動中、後ろから声をかけられ振り返ると、元クチバジムトレーナーのゲントが歯を見せてニッと笑っていた。

 

「ふふん、やっぱりお前も参加できたんだな。ま、優勝すんのは俺だけどな」

 

「それは違うよ~」

 

 自信満々に意気込みを語るゲントの後ろからさらに別の声が割り込み、声の主はツバキの右に並ぶ。

 

「ボックさん」

 

「ツバキ久しぶり~。それよりおじさん。優勝するのはオイラだから~、さっきのは間違いだよ~」

 

 まさかのおじさん呼ばわりにゲントが固まる。

 

「おじ…………あ、あのなボウズ……俺はまだ17! おじさん扱いされる歳じゃねぇ!」

 

「そうなの~? 老け顔だね~。それよりツバキ~。できれば決勝戦で戦いたいね~」

 

「はいっ!」

 

 互いに勝ちを譲るつもりは無いというライバル同士の会話をしている内に、光の零れる大きな扉が見えてきた。

 

「っ……! …………わ……わあぁぁぁ……!」

 

 扉を抜けた先に広がっていたのは、これまでに見るどころか想像すらできなかったほどの広大なフィールド。

 ジムのフィールドや野外の公共バトルフィールドなど比較にすらならない。

 

「これがセキエイスタジアムが誇る世界最大級のバトルフィールド……マスター・グランド・ステージか……! 初めて見たぜ!」

 

 その広大さにゲントが感嘆の声を漏らす。

 

「皆様、これより開会式を執り行います。IDコード1桁の方はこちらの列へお並びください。同じように隣の列に10代、20代と順番にお願いいたします」

 

 自身のIDを確認した選手達がぞろぞろと指定された列へ移動し、7つの列が出来上がった。

 

「ご協力ありがとうございます。それでは、トージョウリーグチャンピオン・ワタル氏から開会のご挨拶をいただきたいと思います!」

 

 選手達の目線よりも一段高い位置に設置された舞台上へ、緋色の逆立った髪と、外側が黒、内側が赤のマントを揺らして1人の男性が上がる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 彼こそトージョウリーグ四天王のさらに上、チャンピオンの座に君臨するドラゴンポケモン使いとして名高きカントー・ジョウト最強のポケモントレーナーたるワタルである。

 舞台の上に立ったワタルは、マイクを握り、フィールドに並んだ選手達を右から左へと見渡すと、再度正面を向いて口を開いた。

 

「……諸君! 君達はカントー、またはジョウトの8つのバッジを集め、ここに集った強者である! その道程は決して平坦な物ではなかっただろう! 負けそうになった事もあるだろう。諦めそうになった事もあるだろう。挫けそうになった事もあるだろう。だが、君達は君達の信じるポケモンと共に、その弱い心に……安息という名の堕落への誘惑に打ち勝ち、今ここに立っている!」

 

 デモンストレーションも兼ねているためか、ワタルの身振り手振りはひとつひとつが大仰だが、そこに陳腐さなどを感じないのは、チャンピオンとしての経験の中で備えた風格や威厳故か。

 

「今大会では、君達がその厳しい戦いの日々で培った知性と強さ、ポケモン達との絆の全てを遺憾無く発揮し、四天王……そしてこのワタルをも破るつもりでポケモンリーグ史に残る熱いバトルを見せてほしい! それでは、チャンピオン・ワタルの名において、ここにトージョウリーグの開会を宣言する! トレーナー諸君! 夢と決意を胸に……奮起せよ!!」

 

 マントを煽るように右腕を勢いよく振って、会場全てに響かせるかの如く高らかに開会宣言を行うワタルの言葉が終わると、選手からも観客席からも拍手喝采と大歓声が巻き起こる。

 

「す、すごい迫力……! あれがチャンピオン……ワタルさんなんだ……!」

 

「そうだよ~、格好良いでしょ~。オイラもいつかワタルさんやフスベジムリーダーのイブキさんみたいな、強くて格好良いドラゴン使いになるんだ~」

 

 ツバキもボックも最高峰のトレーナーを前にして興奮気味で、この辺りはさすがに歳相応といったところ。

 

「チャンピオン、ありがとうございました! では皆様、これより予選のルールを説明させていただきます。受付で渡された端末、LSDをご覧ください」

 

 司会からの説明という事で、選手達は自分のLSDを取り出して画面に目を落とす。

 すると、一瞬のノイズの後、ツバキの持つLSDの画面に『B』の文字が現れた。

 

「はい、お手元のLSDの画面には、AからDのアルファベットが表示されたと思います。それは選手の皆様が予選のためにそれぞれ向かう場所を示しています。Aはここセンタードームの北、ノースドーム。Bは東のイーストドーム。Cは南のサウスドーム。そしてDは西のウェストドームで試合が行われる事を意味しています」

 

 つまり、ツバキはBだったのでイーストドームへ向かえば良いというわけだ。

 

「そして、予選の内容は各ブロックごとのトーナメント形式でのバトルとなり、持ち物無しでのダブルバトル! 相手の出した2体を両方撃破した選手が勝ち上がり、その繰り返しで生き残った各ブロックの上位選手2名……つまり、4つのブロックから計8名が決勝トーナメントへ進む事ができるのです!」

 

 今並んでいる選手の列が7つという事は、参加者は60から69人。

 それが4つのブロックに分けられ、最終的にそこからさらに8人にまで減って決勝トーナメントへ駒を進めるのだ。

 相手は全員ジムバッジ8つを集めた実力者である事を思えば、予選の時点で突破難度はかなり高いと言えるだろう。

 

「予選第1回戦は、30分後に各ブロックで一斉にスタートします。移動時間を含めてもロビーのパソコンで手持ちを入れ替える時間は十分にありますので、万全の準備を整えて試合に臨んでください。なお、予選の様子はこのマスター・グランド・ステージに立体映像で映し出されますので、観客の皆様はこの場でお楽しみいただけます」

 

 気が付けば周りの選手達はちらほらと移動を始めており、ツバキも慌ててロビーへと戻ってパソコンを操作する。

 

「(ダブルバトルって事は、広い範囲を攻撃できる技があると便利だよね……ファンファンの“じしん”、ケーンの“ふんか”、シェルルの“いわなだれ”……)」

 

 5分ほど唸ってようやく手持ち6体を決めたツバキは、LSDに表示されたスタジアム内部の地図を確認しながらイーストドームへと歩き出した。

 

「試合開始までの時間も出てるし地図も見れるし便利だなぁ」

 

 大会に参加し、進んでいく上で必要となるあらゆる情報が詰め込まれたこの小さな機械がとても頼もしく感じる。

 

「えっと、イーストドームは……あっ、向こうか」

 

 画面に映る地図には、自分の現在地を示す光点と、目的地として設定したイーストドームを示す矢印、そしてそこまでの最短ルートが光って表示されている。

 しかも大まかな所要時間までわかるので、自分がしっかり時間管理できれば慌てるような事態にもならない。

 光っている道順に従って進むと、10分ほどでイーストドームの予選会場に到着した。

 広い会場には十分な面積のバトルフィールドが20個もあり、見渡すと用意されたベンチに座って待機する選手や、多数のスタッフの姿が見られる。

 

「……ここでバトルするんだ」

 

 その広さに呆気に取られていると、LSDからアラームが鳴り響き、ボーッとしていたツバキは驚いてしまう。

 わたわたと端末を取り出して確認すると、表示されたのは右上にBと書かれたトーナメント表だ。

 どうやらこれはツバキの参加する予選Bブロックのトーナメント表らしい。

 これによるとこのBブロックの参加者はツバキ含め16人。最後の1人まで戦うのではなく、上位2人が決勝トーナメントへ進めるという事は、8人によるトーナメント×2と考えるべきか。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「(だからって、先に進むのが楽になったわけじゃない……ちょっとでも気を抜いたらあっさり予選落ちも…………うぅん、悪い方ばっかりに考えちゃ駄目! 今はただ、気合いを入れて全力で挑むだけなんだから……!)」

 

 刻一刻と近付く予選開始の時。

 果たしてツバキは無事に予選を突破し、決勝トーナメントへと進めるのだろうか……?

 

 

 

つづく




今回も駄文雑文落書きにお付き合いいただきありがとうございました!

大規模大会という事で当初はもっと…それこそ100人くらいの大会にしようかとも思いましたが、ダイジェストにしてもくどすぎるのでやめました。
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