超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編 作:ホタチ丸
それでは、 大人の時間を はじまります
「……ロムとラムのホワイトチョコが1番かな」
ホワイトチョコがちょっと意外だったこともあるけど、あの2人が一生懸命に作ってくれたことが食べて伝わって来た。
帰ってからチョコを食べてみたんだけど、1つとして同じ形のチョコがなかったのだ。
全部微妙に形が崩れているのが、余計に頑張って作ったんだなって思わせた。
それに、ルウィーの教会で食べさえてもらった時のホワイトシスターの顔がすごく嬉しそうだったのが印象的だった。
……って、変なことを思い出して顔が熱くなってきた!?
ま、まあ、とりあえず行くところも決まったことだし、早速向かうとしますか。
* * *
わたし達はルウィーの教会で、夢人が来てくれるのを待っている。
バレンタインで上げたホワイトチョコはよくできたってお姉ちゃん達も言っていたし、きっと夢人はルウィーに来てくれるよね!
……来てくれるかな。
「ラムちゃん、どうしたの?」
「う、ううん! 何でもないよ!」
隣にいるロムちゃんが心配そうに顔を覗き込んできて、わたしは少し焦ったけど笑って返すことができた。
不安だけど、待ってるしかないんだよね。
……それにしても、ロムちゃんは何でそんなに平気そうなんだろう。
わたしなんてドキドキしっぱなしなのに……
「ねえ、ロムちゃんは夢人が来てくれると思う?」
「それはわからないけど、来てくれたら嬉しいな(にこ)」
わたしと比べてロムちゃんはウキウキしっぱなしだ。
そうだよね。夢人が来てくれたら嬉しい、って思うくらいの気持ちでいた方がいいのかもしれない。
わたしも少し落ち着こう。
「そうだね。夢人が来たら何をしよう……」
「ごめんくださーい!」
「って、本当に来た!?」
わたしが何をしようかロムちゃんに相談しようとした時、教会の扉が開いて夢人が入って来た。
い、いくらなんでも登場が急過ぎるわよ!?
心の準備とかも必要なのに、どうして急に来るのよ!?
「夢人お兄ちゃん、いらっしゃい(にこにこ)」
「ああ、お邪魔するぞ、ロム、それにラム」
「ついでみたいに言わないで!! ま、まあ、よく来たわね」
ロムちゃんは嬉しそうに笑いながら夢人に近づいて行ったけど、わたしは腕を組んでそっぽを向いてしまった。
頬が熱くなって素直に夢人が来たことを喜べないよ。
「アハハ、今日は改めて2人にチョコのお礼に来たんだよ」
「わたし達のチョコが、1番美味しかったの?」
「ああ、1番美味しかったよ」
「よかった(にこっ)。ラムちゃんも、嬉しいよね?」
「べ、別に嬉しくなんてないわよ!? で、でも、ありがとう」
「どういたしまして……って、これは変だな」
アハハと笑う夢人と寄り添うようににこにこしているロムちゃんを置いて、わたしは心臓が飛び出るくらいに喜んでいた。
よ、よかった!!
初めて作ったチョコが美味しいと言われて嬉しい!!
それにネプギアやユニちゃん、ナナハちゃんの所じゃなくて、わたし達の所に来てくれたのも本当に信じられないくらいだ!!
でも、これで今日は1日ロムちゃんと一緒に、夢人を独占できるわけね!
ネプテューヌさんもいいことを考えてくれたものよね!
……でも、隣にいたアイエフさんとコンパさんの様子もおかしかった気がするけど、きっと気のせいよね!
「いつまでもそんなところいないで、中に入りましょ!」
「夢人お兄ちゃん、わたし達について来て」
「わかったわかった。だから、そんなに引っ張らないでくれよ」
嬉しさのあまり、わたしはロムちゃんと一緒になって夢人の手を引っ張って教会の中へと連れて行った。
夢人も困ったように言いながらも、笑顔だった。
よーし、今日は3人で楽しく過ごすわよ!
* * *
ルウィーの教会に来て早々、俺はロムとラムに連れられて2人の部屋へと入って行った。
この部屋に入るのは、ロムが記憶喪失になった時以来だな。
「夢人お兄ちゃん、これ読んで」
ロムが本棚から一冊の本を取り出して俺に手渡してきた。
ああ、何だこんなところもあの時と同じじゃないか。
あの時も俺が2人に絵本を読み聞かせしてあげたんだよな。
「ああ、いい……って、何だこりゃ!?」
「どうし……って、これはやめようよ!?」
俺とラムはロムから手渡されて本のタイトルを見て、揃って驚愕した。
いやいや、これは絶対に読めないって!?
「ダメなの?」
「ダメに決まってるじゃない!? それに、こんなのいつの間に買ったのよ!?」
「この間、ミナちゃん達と一緒に買い物に行った時。ラムちゃんは、日本一さんとゲームしてた」
「あの時なの!? なんて本を買ってきてるのよ!?」
まったくもってその通りだ!!
こんな本が流通していることさえ、俺には理解し難いことなのに!!
「だって、これ夢人お兄ちゃんの絵本だから」
ロムは照れながら指をもじもじとし始める。
いや、まあ、確かにこれは俺に関する本ですよ?
でも、でもさ、これは俺であって俺じゃないんだよ!?
だから、この『それゆけ! ゆうしゃくん』の絵本は絶対に読みたくない!?
「どうしても、ダメ(うるうる)?」
「うっ、それは……」
「ゆ、夢人!? 負けちゃダメよ!?」
「ラムちゃんも、お願い(ぐすっ)」
「って、ああもう!? そんな顔でお願いしないでよ!?」
俺とラムはロムが瞳を潤ませてお願いしている姿に、どうすることもできずに揺れてしまう。
断ることは簡単だけど、今日は2人のためにここに来たんだ。
ここは俺が恥を忍んで、これを読めばロムが笑顔になってくれるはず!
ラムも同じ決意をしたのか、お互いに顔を見合わせて1度頷く。
「……わかった。読むよ」
「ありがとう、夢人お兄ちゃん(にこっ)」
「……頑張ってね、夢人」
小声で俺を応援してくれるラムの声援を受けて、俺は2人に絵本の内容が見えるように座った。
すると、ロムは俺の腕の間に体を滑り込ませて膝の上に座ってしまった。
「えへへ、ここに座ってていい?」
「ああ、座り辛くないか?」
「大丈夫だよ。ラムちゃんも、お願いしていい?」
「もちろんだ。ほら、ラムも来いよ」
「……う、うん」
にこにこと笑うロムとは対照的に、ラムは頬を赤く染めて俺の膝の上に座って来た。
こんなところはあの時と変わらないな。
なんだか2人の姿に癒されてしまう。
……多少現実逃避が含まれているかもしれないけど、2人が喜んでくれるなら俺も嬉しい。
よし、これでこれから始まる苦行に耐えられるはずだ。
いざ、逝かん!
* * *
「……こうして、ゆうしゃくんは困っている人達を助けることができたのでした。めでたしめでたし……面白かったか?」
「うん、とっても(にこにこ)」
「そいつはよかった……あ、あはは」
絵本を読み終えた夢人お兄ちゃんは遠い目で乾いた声出しながら笑い始めた。
どうしたんだろう?
もしかして、わたし達が膝に座っていたから疲れちゃったのかな?
「夢人お兄ちゃん、大丈夫?」
「……心配いらないさ。大丈夫大丈夫」
「夢人もそう言ってることだし、ロムちゃんもあまり気にしちゃダメだよ」
「うん、わかった」
夢人お兄ちゃんは眉根を下げて笑いながら大丈夫だと言ったけど、本当にそうなのかな?
ラムちゃんも夢人お兄ちゃんのことを大丈夫だって言うけど、わたしは心配してしまう。
「そ、そうだ。2人に渡す物があったんだ」
「わたし達に?」
「渡す物?」
思わずラムちゃんと顔を見合わせたけど、わたし達に渡す物っていったい何だろう?
「バレンタインのお返しだよ。ほら、これだよ」
夢人お兄ちゃんは柔らかく笑いながら、持ってきていた鞄の中からリボンで縛られた何かを取りだした。
「ロムが水色で、ラムがピンクの表紙の奴だな」
手渡された物は大きなノートのようなものだった。
でも、ノートのように糊で止められているのではなく、黒いわっかで綴じられている。
「これって何なの? 普通のノートじゃないわよね?」
「ああ、それは図画帳……まあ、簡単に言えばお絵描き帳だな」
「こんなに大きいのが?」
わたし達がいつもお絵描きに使うのは、お姉ちゃん達が使っているようなノートと同じ物だ。
それを大きくした物ってことでいいのかな?
「見たことないのか?」
「うん、それに何で糊で綴じられてないの? これじゃ、簡単に破けちゃうじゃない」
「それでいいんだよ。1枚書いたら、図画帳から切り離していろんな人に見せられるだろ?」
「あ、そうか」
糊じゃないから簡単に書いたページが取り外せるんだ。
「2人ともお絵描きが好きだろ? なら、これでいろんな物を描いて皆に見せられるな」
確かにこれなら、わたし達も簡単にお姉ちゃん達に描いた絵を見せることができる。
いつもは描いたページを探したりするんだけど、これなら画用紙のように使えるんだね。
でも、画用紙のように1枚1枚袋から取り出す手間も省けて、ページをめくるだけで次の絵が描ける。
「え、えーっと、微妙だったか? 2人のことを考えたら、すぐにお絵描きのことが思いついたからこれにしたんだけど……」
「そんなことないよ(ふるふる)」
「うん、とっても嬉しいよ」
わたしもラムちゃんも嬉しそうにはにかみながら、夢人お兄ちゃんからもらったお絵描き帳を抱きしめた。
でも、今日は夢人お兄ちゃんに絵本を読んでもらったり、貰ってばかりだ。
チョコのお返しだって言うけど、何かわたし達もお礼がしたい。
あ、そうだ! いいこと思いついた!
「ラムちゃん(こそこそ)」
「うん、やろうか」
わたしはラムちゃんにこれからすることを話すと、笑って同意してくれた。
「ん? どうしたんだ2人と……っ!?」
言葉の途中で、夢人お兄ちゃんは目を見開いて動きを止めてしまった。
何故なら、わたし達は夢人お兄ちゃんの膝の上で、合体変身してホワイトシスターの姿になったのだから。
「な、何で急にその姿に!?」
「お礼がしたいんです」
「お、お礼って……だから、これはバレンタインの時のお礼なんだ……」
「それはもう貰ってます。わたし達は夢人さんと今日1日一緒にいられて嬉しかったんですよ」
チョコのお返しなら、夢人さんが一緒にいてくれたことでお礼をしてもらっている。
だから、これはお絵描き帳を貰ったお礼です。
「ちゅっ」
「なななななな!? 急に何するんだよ!?」
「何って、おでこにキスしただけですよ?」
前にお姉ちゃんの部屋にある本で読んだことがある。
大人の女性は、男の人にお礼をする時にキスをすることがある。
唇はちょっと恥ずかしいから、おでこにしちゃったけど、大丈夫だよね?
わたし達の感謝の気持ち、ちゃんと伝わってくれたよね?
「ありがとうございます、夢人さん。大切に使わせてますね」
「あ、ああもう!? お礼はいいから退いてくれないか!? その姿で座ってられたら……」
「嫌です。もう少しだけこのままでいさせてくださいね」
夢人さんは顔を真っ赤にして退いてくれと頼んできたけど、わたし達はもう少しだけこのままでいたい。
……大人の体でも、もう少しだけ甘えさせてくださいね。
わたし達は慌てる夢人さんのことが可愛く見えてしまい、この特等席からしばらく動くことはなかった。
わたし達がいつまでも子どもじゃないこと、ちゃんとわかってくださいね。
という訳で、今回は以上!
よし、これで残るはナナハ1人だけです。
もうこうなれば後は書きあげるだけ、全力で取り組ませていただきます!
それでは、次回もお楽しみに!