超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編 作:ホタチ丸
今年ももう七月になったんですね。
半年があっという間に過ぎていった感じがします。
それでは、 仮面ライダーになった男 はじまります
「うわあああああああ!? ……へぶっ!?」
……気が付けば俺は地面とキスしていた。
と言うのは、別に冗談とかではなく、本当のことで黒い穴みたいなのに引っ張られたと思ったら、急に目の前に地面があった。
過去に似たような経験をしたことを思い出せば、いきなり空中に投げだされてフリーフォールを体験するよりはマシだったのかもしれない。
……いや、やっぱり空中の方がよかった。
あの時とは違って、空中で体勢を立て直して上手く着地することくらい今の俺なら簡単にできるはずだ。
そう思うと、地面と激突した顔の傷が余計に痛み出す。
俺は特に熱く感じる箇所、おそらく傷になっている箇所に触れずに手で顔を覆って頭を左右に振った。
……そう、いつまでも現実逃避をしている場合じゃない。
ここがどこなのかを確認しないと……
「きゃああああああ!? ……ねぷっ!?」
「ごほっ!?」
「きゃああああああ!? ……あうっ!?」
「もがっ!?」
「ぐえっ!?」
うつ伏せの体勢から立ち上がろうとした時、いきなり背中に重たいものがぶつかった衝撃を受けた。
しかも、時間差で2度も。
不意打ちであったため、俺の腕は自分の体重プラスアルファを支えることができずに、体は地面へと逆戻りしてしまった。
『ぐっ、3人とも無事……か?』
ひんやりした地面と無造作に伸びている草の感触を否応なく味わわされていると、慌てた様子の相棒の声が聞こえてくる。
……でも、何で最後に語尾を上げてるんだ?
それに3人?
そう言えば、衝撃を受けると同時に聞こえてきた声は……
「あんっ。あ、暴れないでくださいまし、ネプテューヌ。へ、変な声が出てしまい……ひゃん!?」
「もごもがもぐ……ぷはっ! べ、ベールがわたしの顔を押し潰したのが悪いんでしょ! おかげで苦しかったんだから!」
「なっ、好きであなたの上に乗ったわけではありませんわ。あなたが勝手にわたくしの下に……あら、ここはどこかしら?」
「わたし達さっきまでプラネテューヌの教会にいたはずなのに……それに真司はいったいどこに……」
『……お前達の下だ』
「ん? 下って……真司!?」
「真ちゃん!?」
……とりあえず、サンキュー相棒。
ようやく背中に感じていた2つの重みがなくなり、俺は体を起こすことができた。
そして、振り返った先にはおどおどとしているネプテューヌとベル姉、呆れたように俺達を見下ろす相棒の姿があった。
「ってて、2人は怪我してないか?」
「う、うん、わたし達は大丈夫だけど……」
「なら、よかった」
言い辛そうに視線をそらすネプテューヌの言葉を聞いて、俺は安心して頬を緩める。
それが意外だったのか、2人は驚いて目を見開いてしまう。
「し、真ちゃん? そ、その、怒ってはいないのですか?」
「はあ? 怒る? 何を?」
「だ、だって、わたし達真司の上にずっと乗っかってたわけだし……」
「バーカ」
しゅんとする2人の額を小突くと、俺はにかっと歯を見せて笑う。
「皆無事なら何も言うことないだろ? それに、伊達に俺だって鍛えているわけじゃないよ」
「真司……うん、ありがとう!」
「ありがとうございますわ、真ちゃん」
俺の言いたいことが伝わったようで、2人も笑顔を見せてくれた。
うん、やっぱり俺のせいで暗い顔をしているよりも、笑っている顔の方が2人には似合っている。
『……はあ、相変わらずと言うか何と言うか。まあ、それがお前達の強みなのかもしれないがな』
呆れているのか感心しているのか、多分どっちも含まれているんだろうと思われる相棒の声が聞こえてきた。
確かに、ちょっとのほほんとし過ぎたのかもしれないと思い、俺は2人から視線を外して辺りを見回した。
……何もなかった。
いや、この言い方だと語弊があるが、本当に周りに草原が広がるだけで、何も見つけることができなかった。
時折吹く風が涼しく感じられ、見上げた先には青い空とぷかぷか浮かぶ雲しかない。
完全に屋外です。ありがとうござい……って、言うわけないだろ!?
どこだよここ!? 俺達さっきまでプラネテューヌの教会にいたはずなのに!?
「あっ、真司それはさっきわたしが言ったじゃん」
「って、何で俺の考えていることがわかるんだよ!?」
「ふっふーん、乙女の勘を舐めちゃいけないよ。特に、好きな人の考えていることなんて簡単に読めちゃうんだから、ね?」
「当然ですわ」
それってあんまり関係ないような気がするんだけどなあ。
でも、実際に言い当てられているし、誇らしそうに胸を張る2人にわざわざ訂正する必要は……え、本当にそんなに的中率があるのか?
『……さて、本当にここはどこなのだろうな?』
またわき道にそれてしまった俺の思考だったが、棒読み加減で発せられた相棒の声で正常に戻ることができた。
乙女の勘についての議論は置いといて、本格的にここがどこだかを考えなければいけない。
……焦ってないように思えるけど、それはきっと慣れたせいだ。
こう言う時は慌てた方が負け……
「んー? あら? もしかしたら、ここってガペイン草原、でしょうか?」
「え? ベル姉はここがどこだかわかるの?」
「ええ。わたくしの記憶が正しければ、ここはリーンボックスのガペイン草原で間違いないはず、ですわ」
そう言う割には、ベル姉はどこか釈然としない様子だった。
周りを見つめる目も警戒を示すように細められており、下唇に指を添えて考えこんでいる。
「ですけど、何かおかしいんですの。ここがガペイン草原だってことはわかるのですけど、いまひとつ確信を持てないと言いますか……」
「もー、ベールが何を言いたいのかまったくわからないよ。とりあえず、ここはリーンボックスのガペイン草原なんでしょ? 間違いないんだよね?」
「そうなのですけど、何となく雰囲気が変わっているような気がしまして……それに、景観にも微妙に違和感があるんですわ」
煮え切らないベル姉の言葉に、ネプテューヌは不服そうに唇を尖らせて抗議する。
そんな中、俺は俺達をここに連れてきた黒い穴……ひいては、急に光を発したブランクカードのことを考える。
アレが原因であるとしても、わざわざ俺達をプラネテューヌからリーンボックスに運んだ意味がわからない。
……あれ? そう言えば、そのカードは今どこにあるんだ?
他の2枚のカードは地面に激突した際に手放してしまったけど、今はちゃんと回収してある。
でも、俺の手から離れたカードはどこに行ったんだろう?
疑問に思った俺がちょっと視線を下に向けて辺りを探してみると、意外と近くにあった。
まだ謎のあるカードだけど、アレが俺達をここまで連れてきたのには必ず意味があるはずだ。
とにかく、俺はそのカードを回収するために言い合いを続ける2人……まあ、ネプテューヌが不満を言って、それにちょっとだけ苛立ち始めたべル姉を尻目に、腕を伸ばした。
……だが、そんな俺達の視界は急に薄暗くなってしまう。
最初は太陽が雲に隠れたのかなと顔を上げたのだが、目の前にはごつごつとした岩のような物しか見えない。
もしかして……
「グルグルルルル」
突然現れた岩が低い声を出しながら唸っているのに気付くと、俺はもうそのまま後ろに倒れてしまうのではないかと思うくらいに顔を仰け反らせて見上げた。
……何だろう、これがお約束って奴なのかな?
こういう状況がわからない時やピンチの時って大抵コイツが出てきたような気がするぞ。
トゥルーデ洞窟や相棒のご神体が祭られていた遺跡、最近では黒くなった奴とも戦っている。
驚いてないと言えば嘘になるけど、見慣れているから冷静でいられるのかもしれない。
……まあ、ここまできたら何が起こってもおかしくないし、黒くもないしな。
「エンシェントドラゴン!?」
「いいえ、ここに生息しているのはその亜種のエレメントドラゴンのはずですわ!? でも、どうして急に!?」
達観にも似た境地にいた俺をよそに、2人は驚愕の声を上げていた。
と言うより、コイツってエレメントドラゴンって名前だったのか。
「……完全に俺達を狙ってるよな?」
『ああ、そのようだ』
確認するように尋ねたけど、俺は間違いなく戦闘が避けられないことを確信していた。
何故だかわからないけど、エレメントドラゴンは酷く目が血走っているし、鼻息も荒く興奮しているように見える。
俺達が急に奴の縄張りに入りこんだのが原因かもしれないけど、そんなの相手には関係ないしな。
……仕方ない。エレメントドラゴンには悪いけど、俺達もただでやられてやるわけにはいかない。
こっちは3人もいるんだから、難しいかと思うけど気絶させることくらいはできると思う。
見逃してくれればいいんだけど、あの様子だと逃げたらずっと追いかけてきそうだよな。
その間にここを離れれば問題ない……かな?
まあ、現状はこれ以上にいいアイディアを思いつくことができない。
「ネプテューヌ、ベル姉、相棒……」
「わかってますわ。心苦しくはありますけど、ちょっとだけ眠っていてもらいましょう」
「ちょっと難易度は高めだけど、エレメントドラゴンは悪いことしてないもんね。なるべく傷つけないにしないとね」
2人の方を向くと、何故かわからないけど俺の考えが筒抜けだった。
え、これが乙女の勘?
以心伝心と言えばいいように感じられるけど……うん、やっぱり深くは考えない方がいいよな。
まあ今は戸惑いよりも、何も言わなくても俺の考えに賛同してくれた2人の存在が嬉しく思う。
……言葉にすると恥ずかしいけど、確かな絆がここにあると感じられる。
俺は例のカードを回収して立ち上がり、威圧するように低い声を漏らすエレメントドラゴンを睨む。
龍神剣や龍神の籠手でも充分かもしれないけど、油断は禁物だと思い、俺はデッキケースに手を伸ば……
「うおりゃあああ!!」
「ギャウ!?」
……そうとした時、エレメントドラゴンの姿が急にぶれた。
いや、何かに横から殴られたんだ。
突然の事態に俺もネプテューヌ達も呆然としてしまう。
エレメントドラゴンを殴った人物……と言っていいのかわからないけど、でも声が聞こえたってことは人でいいんだよな?
でもな、敢えて今この気持ちを言葉にすると……
「ロボットおおおおお!?」
そいつは全体的に青いメタリックカラーをしている2足歩行のロボットだった。
背中にある大きな2つのタイヤがまるで翼のように見える。
目の錯覚かもしれないけど、先ほどエレメントドラゴンを殴った時に拳が光っていたような気がする。
特に目立った武装は見えないけど、その姿は何故か力強く感じられる。
……いやいやいやいや!? 何で急にロボット!?
しかも、状況的に俺達を助けに来たみたいだけど、どこの誰ですか、あなたは!?
「ボーっとしてないで、今のうちに……って、ネプテューヌにベール様!? どうしてこちらに居るんですの!?」
青いロボットがエレメントドラゴンと戦闘をしている姿をどこか現実味のない物として捉えていた俺の思考を遮り、特徴的な白い帽子を被った少女が声をかけてきた。
でも、何で彼女はネプテューヌとベル姉の姿を見て驚いたんだろう?
確かに2人は女神だし有名なのはわかるけど、彼女の反応はそういう類のものではない気がする。
俺が視線で尋ねてみても、2人も困惑しているみたいで互いに顔を見合わせるだけだった。
「……え、えっと、その、確かにわたしはネプテューヌだけど、あなたはいったい誰なの? と言うか、何でベールには様付けしてわたしは呼び捨てなの!? そこの所、ちゃんと説明してよ!?」
『論点がずれているぞ』
「まったくですわ。まあ、これもわたくしとネプテューヌの女神としての差ですわね」
「な、なにをー!? そんなことないもん!? ベールよりもわたしの方が人気があるに決まってるよ!? この引きこもり廃人ゲーマー!!」
「あなたの方こそ、しょっちゅう仕事を真ちゃんやネプギアちゃんにやってもらってるサボり魔じゃありませんか!!」
「え、あ、あの……」
「ああ、ごめん。2人も悪気があって君のことを無視してるわけじゃないんだけど……ああなっちゃうと長いから」
ネプテューヌとベル姉が再び言い合いを再開させると、彼女は戸惑いながらおずおずと俺へと視線を向けてきた。
さすがにこの状況でのフォローは苦しいからか、上手く愛想笑いも浮かべられない。
……ってか、真面目に戦っているあのロボットが不憫すぎる!?
一応、俺達を助けるために戦ってくれているのに、肝心の俺達は本当に何やってるんだ!?
ああやばい、何か変に汗かいてきた。
服が背中にピッタリとくっつくジトっとした嫌な感触がある。
「は、はあ、所であなたはどなたですの? わたしはがすとと言うですの」
「あ、俺は加賀美真司。よろしくねがすと、でいいのかな?」
「わたしに聞かれても……」
俺もだいぶ混乱しているみたいで彼女、がすとに尋ね返してしまう。
がすともやや引き気味……いや、ちょっといい解釈をして俺のことを警戒してか眉をひそめていた。
だが、すぐにハッとして口を開く。
「っと、こんなところでのんびりしている暇はありませんの!? アイツを夢人が引きつけているうちに加賀美さんは早く逃げるですの!? ……と言うより、2人が付いていながら、何でモンスターを怒らせるような真似なんてしたんですの!?」
「ねぷっ!? そんなこと言われても、わたし達だって好きで怒らせたわけじゃないんだよ!?」
「わたくし達だって状況がわからな……」
「うわああああああ!?」
何故だかわからないけど、がすとの怒りの矛先が2人に向かっている時だった。
2人の釈明が言い終わる前に、先ほどのロボットの悲鳴が聞こえてきた。
振り向いて状況を確認すると、ロボットは仰向けで地面に倒れており、黒くなったエレメントドラゴンが爪を振り下ろそうと……黒くなってる!?
「相棒!? あれって……」
『ああ、奴の影から禍々しいものを感じる。奴はあの時のエンシェントドラゴンと同じだ』
「ちっ!?」
相棒に推測を肯定されると、俺は舌打ちをして駆け出す。
俺達を助けようとしてくれたあのロボットを助けるために!
「ちょ、ちょっと待つですの!? 危ないですの!?」
「大丈夫! だって、俺は……」
後ろからがすとの呼び止める声が聞こえてきたので、俺は彼女を安心させるように笑みを浮かべてサムズアップ、親指を上げる仕草をしてみせた。
そして、再びロボットと黒くなったエレメントドラゴンに向き直ると、俺はデッキケースを取り出して前方に構える。
すると、俺の腰にいつの間にかベルトが出現する。
「変身!!」
掛け声とともにベルトの真ん中、ちょうどバックルに当たる部分にデッキケースを装着する。
同時に体は鎧に包まれ、憧れていたヒーローと同じ名を持つ、俺のもう1つの姿へと変身を完了させる。
俺はすぐさま左腰に携えている『召喚聖剣ドラゴニック・セイバー』を抜いて、柄の部分にあるカードを差し込む口を開きながら走り出す。
途中、バックルに右手をかざすとそこには俺が今使いたいカードがデッキケースから自動的に飛びだした。
俺はそのカードを迷うことなく、ドラゴニック・セイバーへと装填して、効果を発揮させる。
『Summon Sword!!』
機械的な音声とともにどこからともなく槍、ドラゴニック・ランサーが俺の手元へと飛んでくる。
慣れた手つきでしっかりとキャッチすると、俺はすぐさまドラゴニック・ランサーを黒くなったエレメントドラゴンへと投擲する。
「ギャアアアアアウ!?」
ロボットにしか意識がいっていなかったらしいエレメントドラゴンの腕にドラゴニック・ランサーが突き刺さる。
思いのほか深く突き刺さったらしく、エレメントドラゴンは悲鳴を上げて仰け反ってしまう。
その間にロボットは体勢を整えると、俺のすぐ横に移動してきた。
「助かっ……って、ええええええ!? もしかして、仮面ライダー!?」
ロボットが俺を見ると、信じられないと言った感じで叫び出す。
……まあ、驚かれる理由はもちろんわかってる。
何たってあんな真似をしたんだしな。
でも、何だか妙に人間っぽい反応をするロボットだな、コイツ。
「何で仮面ライダーがここにって……あなたはいったい……」
「ドラゴニック・ハート」
「ドラゴ……え?」
戸惑っているような雰囲気を滲ませるロボットにちょっとした違和感を感じたが、俺は構わず指をエレメントドラゴンへと向けて宣言する。
「俺は仮面ライダードラゴニック・ハート……ゲイムギョウ界を守る仮面ライダーだ!!」
力強く宣言するとともに、俺はエレメントドラゴンへと向けていた指を上へと傾け、肘を曲げる。
ちょうど手の甲、本家では指輪を見せつけるポーズを取った。
さあ、ショータイムだ!!
と言う訳で、今回は以上!
全編真司君視点、ちょっと冷静すぎたかな?
上手く書けてなかったらごめんなさい!
それでは、次回をお楽しみに!