超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編 作:ホタチ丸
今回はメインの交流パートです。
それでは、 同じようで、異なる次元 はじまります
まあ、何だかんだあってチカさんから頼まれたプロトのデータ集めができなかった俺達。
正直チカさんからは説教を喰らうのではないかと内心ビクビクしていたのだが、特にお咎めなしで終わったことはよかった。
代わりに明日の早朝に再びガペイン草原でテストをすることが決まり、今日はリーンボックスの教会に泊まることが全員で泊まることが決定した。
……そう、ここに来た全員で。
「ねえねえ、仮面ライダーのことについてもっと教えてよ!」
「いいよ……そうだな。せっかくだから、仮面ライダー1号と呼ばれた本郷猛の物語から話そうか。彼は深紅のマフラーをなびかせ、どこからともなくバイクに乗ってやってくるヒーローだったんだ。普通の青年だった彼は悪の秘密組織ショッカーによって体を改造されたんだけど、脳改造手術の前に彼の恩人である緑川博士によって助けられ、人々の自由と平和を守る正義の戦士として立ちあがったんだ」
「それでそれで!」
俺から少し離れた席で、ユニとナナハの作ってくれた食事を食べながら日本一が瞳をキラキラさせて真司に話しかけていた。
真司も日本一の食いつきようが嬉しいのか、楽しそうに口元を綻ばせて熱っぽく話を続けている。
異世界、この場合平行世界なのかもしれないけど、俺達がいるゲイムギョウ界とは違った歴史を辿った次元からやって来た真司達を連れてリーンボックスの教会に帰って来た俺達を出迎えたのは、ユニの呆れたような声だった。
その後、事情を説明して真司達が元の次元に帰れる方法が見つかるまで教会内で内密に保護しようと言う話に決まった。
理由としては、この場にベールが2人いるからだ。
リーンボックスの教会なんだから、当然連れてきた真司達の次元のベールと俺達の次元のベールが出会ってしまったわけだ。
本当に瓜二つで、気が付けばどちらがどちらの次元のベールなのかわからなくなってしまう程だった。
こんなところを国民に見られたら大騒ぎになってしまう。
女神が2人になった、なんて騒ぎになったら俺達だけでなく、真司達にもかなり迷惑がかかる。
だから、真司達のことは俺達とここまで来るのに出会った数人の教会職員しか知らない。
そんなベール達はと言うと……
「はあ、こちらの次元のわたくしが羨ましいですわ。まさかわたくしにこんなに可愛い妹がいるだなんて」
「ふふ、そうでしょ。ナナハはわたくしの可愛くて大切で愛しくて大事な自慢の妹なんですわよ」
「……そんなに言われると恥ずかしいよ、ベール姉さん」
チカさんを挟む形で2人のベールがナナハを話題にして盛り上がっている。
チカさんの正面に座っているナナハは照れているようで少しだけ頬を染めて2人のベールから視線をそらしている。
その仕草が余計につぼに入ったらしく、ナナハを見つめる2人のベールは瞳を蕩けさせていた。
……いや、2人よりもチカさんの方がやばいな。
2人のベールに挟まれているだけじゃなく、正面にナナハが座っているので、チカさんの顔がすごく幸せそうに緩んでいる。
常日頃からナナハとベールに対する愛情を隠すことなく表に出しているので、チカさんが今どんな気持ちでいるのかは簡単に察しが付く。
ってか、チカさんは2人のベールとナナハに囲まれてハーレム状態なのか、あれ?
「それでね、わたし達の次元のユニちゃんはうちのネプギアやブランの所のロムちゃんとラムちゃんとも大の仲良しで親友同士なんだよ」
「こっちの次元のユニも同じですの。ただツンツンしててあまりそう言う気持ちを素直に出そうとしないですの」
「ちょっと!? 勝手に何言ってんのよ、がすと!?」
にこにことネプテューヌとがすとが真司達の次元の自分のことを話している横で、顔を真っ赤にしたユニが抗議している。
ああ、でも真司達の次元のネプギア達も仲良しなんだな。
こっちはネプテューヌ達が捕まっていたせいか、やけにぎすぎすした関係だったもんな。
以上、俺から席の遠い順でお送りした今の状況でしたっと。
それで俺が何をしているかと言うと……1人で黙々と食べてるんだよ。
別にはぶられているわけじゃないぞ!?
話に混ざれなくて、1人で寂しい思いをしているわけでもない!?
……ただ気まずいんです。
「ゲルショッカーはショッカー時代の遺産である6人のショッカーライダーを使って仮面ライダーやその仲間たちを襲ったんだ。ショッカーライダーは1号と2号と同等の力を持ちながら、指先からマシンガンのように弾丸を発射したり、足のつま先には鋭いナイフを隠し持っていたりと特殊な改造を施されていたんだ。そんなショッカーライダーとゲルショッカーの怪人を同時に相手にしなければいけない状況に追い込まれ、1号は破れてしまったことがあるんだ」
「やられちゃったの!? で、でも、正義の味方が簡単に負けるはずないよね!? 1号はどうなったの!?」
「慌てるなって。そんな強敵に打ち勝つため、1号と2号は新技の特訓を開始したんだ。その名も、ライダー車輪! 1号と2号が互いを追いかけるように円を描くように駆け、タイミング良く空中に跳び上がって交差する必殺技だ! ただ、少しでも2人のジャンプするタイミングが狂ってしまえば、1号と2号は空中で激突して命を落としてしまう危険な技だった。でも、1号と2号は見事にライダー車輪を成功させ、6人のショッカーライダーに勝利することができたんだ!」
「くぅー、すっごいんだね、仮面ライダー1号と2号って! やられても、命がけの必殺技を身につけて強敵に勝利する! まさに正義のヒーローだね!」
「そうだろ! 仮面ライダーが強いのは決して怪人達より強い必殺技があるからじゃない! どんなに辛い戦いでも、人々を守るために立ちあがる不屈の心が彼らの1番の武器なんだ! ちょっと話は飛ぶけど、仮面ライダーオーズの時なんて……」
こんな気まずい思いをすることになった理由の人物は、日本一と興奮気味に仮面ライダーについて語り合っている。
別に真司が悪いわけじゃないんだよ。
ただな……少し、いやもの凄く一方的に気にかかってることがあるんだ。
……アイツがハーレムを築いている、ただその1点のみが俺の心に影を落としている。
真司がネプテューヌ達とイチャイチャしてても別に構わないよ。
少し話しただけだけど、真司がいい奴だってことは間違いないと思う。
だからこそ、ネプテューヌとベールも真司に恋人と言われて嬉しそうにしていたわけだし、俺が彼らの気持ちを否定するのは筋違いだしな。
真司を中心としたハーレムで納得して、全員が幸せそうなら俺が口出しをするのは野暮ってものだろ。
でも、その真司ハーレムの中にネプギアがいることが俺に大きな衝撃を与えた。
もちろん、俺の知っているネプギアと真司の次元のネプギアが別の人物であることはわかってる。
でも、ベールのように同じ姿をしていて、真司といちゃついているネプギアの姿を思い浮かべると、どうしても胸から湧きあがってくるこの感情を抑えられそうにない。
別人だとわかっていても、ネプギアに好かれている真司に嫉妬してしまう。
確かに真司はイケメンだし、あの黒くなったエレメントドラゴンを倒したことから、俺なんかよりかなり強いんだろう。
比べて、俺はいっつもパッとしないだのさえないだの言われる容姿と失敗魔法でしか戦えなかった。
同じような境遇だったのだから、スタートラインは同じだったんだろうけど、俺と真司との間にはかなりの差がある。
恋愛においても、強さにおいても……
「夢人? もしかして、美味しくなかった?」
「……あ、ああいや、そんなことないさ。前に食べた時と同じで美味しいよ」
ボーっと真司との差について考えていると、隣に座っていたユニが心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
慌てて取り繕うように笑みを浮かべたのだが、ユニは明らかに不機嫌そうに眉をひそめて口を開く。
「何をうじうじと考えてんのよ? それと、そのモザイク処理しなきゃ見れない気持ち悪い笑い方はやめなさいよね。思わず殴り飛ばしちゃいたくなるじゃない」
「ひ、酷くないか、それ?」
「そんな顔をするアンタが悪いのよ」
やれやれと言った感じで重い息を吐くユニに、俺の頬は引きつってしまう。
前にも同じことを言われたことがあるけど、ユニなら実際に俺のことを殴ってきそうで怖い。
さすがに気持ち悪いと言う理由で殴られるのは勘弁願いたい。
「何に悩んでるのか知らないけど、そんな顔をするくらいならさっさと行動に移しなさいよね。馬鹿なアンタがいくら考えたところで、答えなんて出ないんだからさ」
「……馬鹿は余計だっての」
俺のことを馬鹿にするように言い放つユニだったが、その表情は困ったように眉根を下げてほほ笑んでいた。
ユニなりの気遣いなんだろう。
それが嬉しくて、俺は自然と頬が緩んでしまっていた。
「ありがとうな、ユニ。やっぱり、お前の料理美味しいよ」
「ふふん、アタシが作ってるんだから当然じゃない」
改めて俺がお礼と料理の感想を言うと、さも当然のようにユニは胸を張って答えてくる。
余程料理が美味しいと言われたことが嬉しかったのか、その顔は満面の笑みである。
……そうだよな。
ただ嫉妬しているだけじゃ、何も解決しないじゃないか。
確かに真司がネプギアに好かれていることや強いことは羨ましく思う。
でも、強いのは真司が努力した結果だろうし、いつまでも俺が卑屈に考えていたら失礼になる。
俺だって頑張れば1人でも……うん、危険種とかスライヌは無理でも、ダイコンダーくらいは倒せると思う。
さて、そうと決まれば羨まけしからん状態になっている真司に1度鉄槌を加えて、この気持ちを流すことにしよう。
真司にとってみれば理不尽に思われるかもしれないけど、これもハーレムなんて築いているのが悪いと諦めてもらおうか。
ネプギアを含めた8人の恋人がいるんだから、多少なりともそう言う嫉妬の対象になることは織り込み済みなんだろうからな。
となると、問題は真司に対して俺がどうやってこの胸に湧き上がった感情をぶつけるかだが……っ、閃いた!
ここには錬金術師であり、アレを作り上げたがすとがいるじゃないか!
アレなら、いくら俺と真司で実力差があろうとも関係ない!
ただアレを真司に飲み込ませればいいだけなんだから!
……B.H.C.と言う名の黒い栄養剤をな!
くっくっくっくっく、君はいい奴だったよ真司。
ネプギア達8人に好かれ、仮面ライダーを名乗るにふさわしい活躍や強さを持っている。
容姿も優れたイケメンで、皆に好かれる好青年だろう。
こんな形の出会いでなければ、きっと親友になれたに違いない。
……だけど、知ってしまったからにはこの気持ちを我慢することなんてできないんだ。
くっ、こんな弱い俺を許してくれ。
そして、大人しく皆の前で黒歴史をさらけ出してくれ!
そうすれば、きっと俺達はB.H.C.被害者の会としてアイエフやノワールと共に同士となれるはずだ!
さあ、真司!! B.H.C.を飲み込んで、お前の黒歴史を解放しろ!!
何も怖いことはない!! 人は誰しも同じ過ちを繰り返してしまうだけなんだ!!
……と、その前に確認しなきゃいけないことがあるな。
「悪い、ちょっと席外すな」
そう言って、俺は立ち上がり部屋から出て1人になれる所を目指した。
目的は、ネプギアに連絡を取ることだ。
……いや、だって平行世界とはいえ、ネプギアが真司のことを好きなら、この次元のネプギアの好みも同じじゃないかと不安に思っても仕方ないだろ?
だから、これは必要なことなんだ。
もしそうだって言われたら……本当にどうしよう。
* * *
さてさて、夢人君が何か決意のこもった目で部屋を出て行ったのが気になるけど、それ以上に気になることがあるんだよね。
ちょうど夢人君もいなくなったし、聞いちゃっても問題ないよね? いいや、聞いちゃうもんね!
「ねえねえ、ユニちゃんってもしかして夢人君のことが好きなの?」
「ぶっ!? 急に何言ってるんですか、ネプテューヌさん!? べ、別に夢人のことなんて……」
ちょっとからかうようつもりでにやにやと笑いながらわたしの知っているユニちゃんじゃない、この次元のユニちゃんに尋ねると、面白いくらいに顔を真っ赤にして慌てだした。
もう、そんな反応しちゃったらすぐにわかっちゃうもんね。
この態度はわたしの次元のノワールと同じで、素直になれないツンデレな反応だよ。
この次元のユニちゃんはわたしの次元のユニちゃんよりもツンデレの素質をノワールから受け継いでいるんだね。
「まあまあ隠すことないって。夢人君もいないことだし、わたしに内緒で教えてくれるだけでいいからさ。ほら、わたしの経験からユニちゃんに夢人君と付き合うためのアドバイスを送ってあげられるかもしれないからね」
「だ、だから、そう言うんじゃ……」
頬を染めてもじもじとしているけど、わたしの方をちらちらと見ていることから、ただ恥ずかしがっているだけみたい。
何だか初々しい反応で応援したくなっちゃうな。
わたし自身、真司と恋人になれて幸せな時間を過ごせるようになったからこそ、いくら別の次元のユニちゃんと言えども幸せになって欲しいと思う。
もちろん、まだ会ってないこの世界のわたしやネプギア達にも幸せになってもらいたいよ。
でも、まずは目の前にいるユニちゃんからだね。
よーし、幾人もの女の子を虜にした真司に選ばれた実績がある、言わば女神で1番魅力あふれるこのわたしがユニちゃんの恋をプロデュースしちゃうよ!
「まずは夢人君との慣れ初めはどんな感じだったの?」
「え、えっと、それは……」
「ほらほら、夢人君と初めて出会った時のことを話してごらんよ」
「……奴隷」
「へ?」
「……アタシ、アイツのことを奴隷って呼んでたんです」
さっきまでの可愛らしく照れている様子から一転して、ユニちゃんは落ち込むように項垂れてしまった。
……って、奴隷って何?
ユニちゃん、いったい夢人君に何を……それともこの場合は夢人君が悪いのかな?
でも、正直この反応は困った。
一気に恋バナをする空気じゃなくなっちゃったよ!?
この状況で、どうやってユニちゃんを立ち直らせればいいの!?
教えて、がすと!?
「……そこでがすとの方を見られても困るですの」
「で、でも、この反応は予想外だったし、ユニちゃんと夢人君の間にいったい何があったの?」
「まあ、色々あったんですの……それよりも、ネプテューヌ様は夢人のことを夢人君って呼ぶんですのね」
苦笑しながら話題を変えてきたがすとに、わたしは目を丸くした。
え、えっと、別に夢人君のことを夢人君って呼ぶのはおかしいことじゃないよね?
「がすとの知っているネプテューヌは夢人のことをゆっくんって呼ぶんですの。ですから、ネプテューヌ様が夢人君って呼ぶのに少し違和感があるんですの」
「ああ、そう言うことなんだ。だって、わたしは真司の恋人でしょ? それなのに、他の男の人を愛称で呼ぶのはちょっとね」
がすとの疑問に答えるうちに、わたしは自分の頬が少しだけ熱を持ったことに気付いた。
言ってて少し恥ずかしいけど、わたしの中ではやっぱり真司が特別な男性なわけだし、勘違いされたくないなって思う気持ちもあるわけなんだよ。
もし仮にわたしが夢人君のことを愛称で呼んで真司が嫉妬してくれるのは嬉しいのかもしれないけど、そんな傷つけるような真似はしたくないな。
だから、この次元のわたしとは違って、わたしは夢人君のことを夢人君って呼ぶことにしたんだよね。
……と言うより、この次元のわたしってどんな感じなんだろう?
ちょっと会ってみたいかも。
頼んで呼んでもらっちゃおうかな?
うー、そう考えると、この次元のネプギアやコンパ、あいちゃんにいーすんとも会いたくなってきちゃったよ。
いっそのこと、黙って会いに行っちゃおうかな?
わたしだって、ベールのようにこの次元のわたしに……
「ね、ねえ、ナナハちゃん、でいいんですわよね? わ、わたくしのこともお姉ちゃんって呼んでは下さいませんか?」
「え、それって……」
「なっ、何を言ってるんですか!? ナナハはわたくしの妹なんですわよ!? あなたの妹ではありませんわ!?」
「別に減るものではないのですから、いいではありませんか! ほら、わたくしのことをベールお姉ちゃんって呼んではもらえませんこと?」
ふと、視線を横に向けると、2人のベールがナナハちゃんのことに関して何か言い合いをしている。
そう言えば、ベールは1人だけ妹がいなくて、真司にベル姉なんて呼ばせるだけじゃなくてネプギアのことも妹にしようとしていたんだよね。
よっぽど妹がいるこの次元のベールが羨ましいんだと思う。
「それじゃ……ベールお姉ちゃん?」
「はうっ!? ベールお姉ちゃん、なんて言い響きなんでしょうか。ナナハちゃん……いえ、ナナハ。わたくしのことも本当の姉のように慕っても……」
「いいわけありませんわ!! ナナハの家族は、わたくしとチカで間に合ってます!! あなたの入る余地なんて微塵もありませんわ!!」
戸惑うようにナナハちゃんがお姉ちゃんって呼ぶと、ベールは顔を蕩けさせてしまった。
すぐさま顔を引き締めて凛々しい表情を作っているのだが、わたしにはにやけているようにしか見えない。
そんなベールを止めたのはこの次元のベール、つまり本当のナナハちゃんのお姉ちゃんだった。
「だいたい、何を勝手にナナハにお姉ちゃんだなんて呼ばれているのですか!! わたくしだって、最近になってようやくベール姉さんと呼ばれるようになったんですのに!!」
「あら、それはあなたがわたくしよりも姉としての魅力が劣っていたからではありませんこと?」
「なっ!? そんなこと断じてありませんわ!! わたくとナナハは強い絆で結ばれた姉妹ですわ!! あなたのようなポッと出のにわかお姉ちゃんなんかに負けるはずがありません!!」
「に、にわかですって!? わたくしにだって真ちゃんとチカと言う立派な弟と妹がいます!! 最近にならなければ、姉と呼ばれなかったあなたの方が駄目な姉なのではありませんか!!」
「何ですって!!」
さっきまで和気あいあいとナナハちゃんのことを話題ににこやかにしていたベール達が、今は互いに火花を散らしているように見えるよ。
と言うより、わたし達の所のベールはそんなに妹が欲しいの?
確かにナナハちゃんみたいな妹がいるこっちのベールが羨ましいのはわかるけど、そんなに興奮することなのかな?
……まあ、わたしがベールと同じ立場になったら、羨ましく思っちゃうかもしれないけどね。
もし、わたしにネプギアって妹がいなくて別の次元にいるんだったら、羨ましく思っちゃうもん。
そう考えると、余計にこの次元のわたしとネプギアに会いたくなってきちゃったよ。
この次元ではわたし達ってどんな感じなんだろうな?
「……いいですわ。それなら、どちらが姉として相応しいのかナナハに決めてもらいましょう」
「ええ、構いませんわ。まあでも、ベールお姉ちゃんって呼ばれたわたくしに勝てると本当に思っているのですか?」
「くっ、ベール姉さんがベールお姉ちゃんに劣るだなんて思わないでくださいまし!! ベール姉さんの方が親密度が上ですわ!!」
「ふふ、ならベールお姉ちゃんの方が愛情度が上ですわね」
何やらこっちのベールが鬼気迫る勢いで提案したことをわたし達の所のベールが余裕そうに笑みを浮かべながら了承した。
何でそんなにこっちのベールは怖いくらいに真剣な雰囲気を出しているんだろう?
もしかして、ナナハちゃんと何かあったのかな?
それで、当のナナハちゃんはと言うと……あっ。
「さあ、ナナハ!! このベール姉さんと!!」
「ベールお姉ちゃん!!」
『どちらを……って、あれ? ナナハ?』
2人が同時にナナハちゃんのいた場所に視線を戻すと、そこはすでにもぬけの殻であった。
2人は驚いていたけど、ナナハちゃんの行動は当たり前かもしれないね。
何時までも自分を放っておいて、勝手に話を進められたら堪ったものじゃないもん。
その肝心のナナハちゃんはと言うと……
「はいはい、ユニもいつまでも気にしてても仕方ないよ」
「……初対面でいきなり夢人のことを奴隷扱いしたことがないアンタが言わないでよ」
「そんなこと言ったら、私だって夢人のことを女装している変態だって思ってたよ。だから、今夢人のことを好きな気持ちが大事なんだよ」
「……うん」
まだ落ち込んでいたユニちゃんの頭を優しくなでながら慰めていました。
……と言うより、また気になるワードが出てきたんだけど。
夢人君っていったいこの子達にどう思われてるの?
奴隷だったり、女装好きな変態だったり……わたしには夢人君がもうわからないよ。
因みにその光景を見て、2人のベールは仲良く項垂れてしまった。
勝敗をつけるなら、ダブルノックアウトってところかな?
ナナハちゃんの1人勝ちだもんね。
「ん? 悪い、ちょっとトイレ行ってくる」
「うん、場所はわかるの?」
「ああ、だいたい俺達の次元の教会と同じだからな。すぐ戻ってくるよ」
わたし達がそんなことをしている間も真司は日本一と仮面ライダーについて話をしていたのだが、そそくさと部屋から出て行ってしまう。
さーて、せっかくこうして出会ったんだし、日本一ともちゃんと話そうかな。
日本一のことはもちろん……夢人君がどんな人なのかも。
* * *
「ふぅー、間に合ってよかった」
トイレから出た俺はそんな独り言をこぼしていた。
教会の作りが俺達の次元の物とほとんど同じだったから、見つからなくて迷った時にはさすがにちょっと焦ってしまった。
でも、やっぱりここって別のゲイムギョウ界なんだな。
最初は半信半疑だったけど、ベル姉が2人いるところを見たら納得せざるを得なかった。
しかも、俺と同じようにゲイムギョウ界に呼ばれた奴がいるなんてな。
「あれ? もしかして夢人?」
皆がいる部屋に戻ろうとした時、テラスのようになっている廊下の先の所に夢人がいることに気付いた。
何をしているんだろうと思い、俺は自然と足を夢人がいる所に向けていた。
どうやら夢人は星空を眺めながら、誰かと会話しているようだ。
「……ああ、お休み。約束はちゃんと守るから、ちゃんと寝るんだぞ、アカリ……うん、ネプギアも……うん、俺も楽しみにしているよ。それじゃあ、お休み」
テラスに出るためのガラス張りの扉が開けっぱなしであったため、近づいたら会話が聞こえてきたんだけど……相手はこの次元のネプギアか? それに、アカリっていったい誰なんだろう?
「さて、俺もそろそろ戻って……うおっ!? 何で真司がここにいるんだよ!? もしかして聞いてたのか!?」
「あ、いや、さっき来たばかりで、聞こえたのはお休みって言った所だけだ」
「そ、そっか……よかった」
振り返って俺がいることに驚いた夢人が慌てて尋ねてきたので、盗み聞きしてしまった罪悪感から正直に答えることにした。
それに納得したようで、夢人は安心して胸をなでおろした。
「悪い。盗み聞きするつもりはなかったんだけど、夢人が何をしていたのか気になって……」
「気にするなって。ただ娘とその子にママって呼ばれている子に電話していただけだからさ」
「そうか、娘……って、娘!?」
にかっと笑いながらNギアを見せる夢人の一言に俺は大きく目を見開いて驚いた。
夢人って娘がいるのか!?
つまり、結婚してるってことだよな!?
俺と同じ年くらいなのに結婚しているだなんて……
「実際本当の血の繋がった娘って訳じゃなくて、ちょっと変わった生まれだけど俺のことをパパって呼んで慕ってくれる子がいるんだよ」
「そ、そうなのか」
俺が勘違いをしていることに気付いたのか、夢人は苦笑しながらもとても優しい眼差しでその娘のことを教えてくれた。
言葉の端端にその娘に対する夢人の愛情のような物を感じられる。
突然の発言に少し動悸が激しくなっていたが、どうにか落ち着いてきた。
「それより、さっきは悪かったな。急に殴りかかったりしてさ」
「まあ、実際そうされる原因があるからな」
「この、余裕やって奴か?」
晴れやかに笑いながら謝罪してくる夢人に俺は口元を緩めながら答える。
他の男からしたら、ネプテューヌ達は8人と恋人である俺がどう言う目で見られるかはとっくに理解している。
嫉妬ややっかみを受けることはもう覚悟の上で、俺は彼女達と共にいることを選んだんだしな。
そう答えると、夢人はにやけながら俺の肩を小突いてきた。
昼間に殴りかかって来た時とは違う、気安さを感じられる。
そのことが無性に嬉しくて、俺も口角をニッと上げながら軽く夢人の肩を小突き返した。
……何だかんだ言って、俺がゲイムギョウ界に来てからこう言う男同士でのコミュニケーションって奴に飢えていたんだと思う。
ネプテューヌ達みたいな可愛い女の子達とは多く知り合えたけど、こう言う風に身近に感じる男の知り合いっていなかったと思う。
相棒は相棒だし、他に男と言えば……孤児院の子ども達やあの変態ぐらいだったか? 後は、密漁者だったっけ?
どちらにせよ、同年代の男と軽い口調で会話をするなんて久しぶりだ。
「それじゃ、元の部屋に……」
「あ、ちょっと待ってくれ。1つ質問してもいいか?」
何時までもここで男2人で会話しているわけにもいかないので、皆が待っている部屋に戻ろうと提案すると夢人が真剣な顔で待ったをかけてきた。
不思議に思った俺が首を傾げていると、夢人は言い辛そうに顔を歪めて尋ねてくる。
「そっちの次元にフィー……いや、デルフィナスって女神はいるのか?」
「デルフィナス? ……ごめん、聞いたことないや」
「……そっか。悪いな、引きとめて。それじゃ、戻ろうぜ」
俺が答えると、夢人は悲しそうに目を細めて歯を食いしばったように見えたのが唇の動きでわかった。
でも、そんな感情をおくびにも出さずに、夢人は俺に無理に作り笑いを浮かべながら謝って、教会の中に戻って行ってしまう。
……デルフィナス、っていったい誰なんだ?
俺はテラスで立ち尽くしたまま、何故か泣いているように見える部屋に戻って行く夢人の後ろ姿を見つめていた。
そして、一瞬夢人の右腕に巻かれている紫色の水晶のような物がついたブレスレットが蛍光灯からの光の反射とは違う光を放ったような気がした。
と言う訳で、今回は以上!
本当はもっといろいろな子達を出したかったのですが、収集がつかなくなったので断念。
くっ、せめてネプテューヌかネプギアを……と思いましたが、出したら出したで大変なことになりそうですからね。
それと、コラボ話もいよいよ大詰めに入ります。
予定よりも長くなりましたが、もう少々お付き合いください。
それでは、次回もお楽しみに!