超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編 作:ホタチ丸
3連休だったのに碌に投稿できなかった・゜゜・(/□\*)・゜゜・
それでは、 異変 はじまります
俺達が別次元に来て、この次元のリーンボックスの教会でお世話になり、1夜明けた今日。
一宿一飯のお礼と言うのはちょっと違うかもしれないけど、俺達は夢人達の仕事を手伝うために一緒にガペイン草原に来ていた。
移動手段は俺とネプテューヌがドラゴニック・チェイサーに、夢人とユニちゃんがワンダーに、プロトに日本一とがすとがそれぞれ2人乗りで来ていた。
……何でベル姉やこの次元のベールとナナハちゃんが来ていないのかと言うと、ちょっとした理由がある。
いや、まあ昨日のことの延長戦みたいなことなんだけどな。
* * *
「なあ、真司」
「うん? どうかしたか?」
朝食を食べ終え、ゆっくりとしている真司に夢人はにこやかに笑いながら声をかけた。
何のようかと思い首を傾げる真司に、夢人は隠すように背中に回していた物を見せながら口を開く。
「昨日は急に殴りかかったりしたのに、ちゃんと謝れなかっただろ。だから、お詫びの品としてこれを受け取ってくれないか?」
「気にするなって。あれはそもそも俺が……」
「いいや、それじゃ俺が納得できないんだよ」
一粒の黒い錠剤の入ったガラス瓶を見せながら言葉を続ける夢人に、真司は苦笑してしまう。
真司としては、食後のテラスでその話題については終わったものだと思っていたのである。
それなのに、お詫びの品だと言って無理やり手渡されるガラス瓶と真剣な表情の夢人を見比べて、律儀な奴だなと思いながら真司は口元を緩めた。
「それじゃ、ありがたくもらっとくよ。それで、これはいったい何なんだ?」
「ただの栄養剤さ。1粒飲めば、たちまちストレス解消間違いなしの優れ物……ただ、俺の懐事情で1粒しか買えなかったんだ。悪いな、本当だったら30粒くらい渡してやろうと思ったんだけど」
「いや、そんなに貰うわけにはいかない……って、これってそんなに高い代物なのか?」
「おう。普通の栄養剤に0が1つ多く付いちまう値段なんだよ。まあ、それでも顔見知りってことでいくらか安くしてもらってるんだけどな」
真司が手渡された黒い粒の正体を尋ねると、夢人は眉間にしわを寄せて無念そうにつぶやく。
その値段に軽く目を見開いて驚きながら、真司は本当に貰っていいのかと思ってしまう。
心配そうに自分を見つめてくる真司の表情から、何を考えているのかをだいたい理解した夢人は軽く手を振りながら困ったように笑う。
「お金のことなら心配するなよ。今日のプロトの実験が終われば、多少なりとも収入が入るんだからさ。それよりも、俺は少しでもお前の助けになりたいんだ」
「夢人……」
「違う次元とは言え、俺と同じような境遇でゲイムギョウ界にやって来て、仮面ライダーとしてネプテューヌ達と一緒に平和を守って戦うお前を応援させて欲しいんだ」
柔らかくほほ笑みながら紡がれる激励の言葉に、真司は胸の中に温かいものが込み上げてくる感覚を覚えた。
心の中では昨日の晩にユニ達からフィーナのことを夢人の承諾も得ずに聞いてしまった罪悪感もあり、真司はどう接したらいいのかと気まずさを感じていた。
しかし、夢人は真司が勝手に同情している一方で、自分のために高価なものをプレゼントしてくれた。
驚愕、戸惑い、申し訳なさが胸の内に渦巻いている中、真司は自分のことを気遣ってくれている夢人の厚意を嬉しくも思っている。
急いで真司も夢人のためにできることはないかと考えるが、何も思いつかない自分を恥じて目元を手のひらで覆ってしまう。
……だから、真司は気付かなかった。
夢人の口角がにやりと吊り上ったのを……
手渡された黒い粒がただの栄養剤でないことを……
「ほら、せっかくだし早速試してみろよ」
「ああ、そうだな」
「俺も何度か試したことがあるけど、心が本当に軽くなるぞ。心にため込んだ何かが解放される、そんな爽快感を感じられるはずさ」
にやけてしまいそうになる頬の筋肉を引き締め、夢人は真司に手渡した栄養剤を勧める。
感極まっている真司は、夢人の言葉の意味を深く考えずに了承し、ガラス瓶から取り出した黒い粒を手のひらに乗せて一気に飲み込もうと……したところで、横から伸びてきた腕に邪魔されてしまう。
無言のまま伸びてきた腕は、真司の手のひらから黒い粒を奪い取っていく。
突然の事態に目を白黒させていた真司がその腕が伸びてきた方へと顔を向けると、そこには黒い粒を見つめながら頬をヒクヒクと引きつらせているユニの姿を見た。
しまったと、夢人が動きだそうとするよりも早く、ユニは黒い粒を床に思いっきり投げつけ、粉々になるまで足で踏みつぶし始める。
「おい、ユニ!? お前何して……」
「何してはこっちの台詞でしょ!! アンタ、なにB.H.C.を真司さんに飲ませようとしてんのよ!!」
「……へっ? B.H.C.?」
既に原形を留めていない黒い粒のことを嘆く夢人の胸ぐらを掴み上げ、ユニはあのまま放置していたら怒っていたであろう惨状を思い浮かべて怒りのまま叫んだ。
1人、ユニが激昂している理由や夢人が先ほどまでの晴れやかな笑顔から一変して冷や汗を流している状況に置いていかれた真司は戸惑いながら首を傾げることしかできない。
夢人が真司に渡そうとした栄養剤と言った黒い粒、それは紛れもなく昨晩の内にがすとから購入していたB.H.C.であった。
いくら真司に劣等感を感じているだけでは駄目だとか、ドラゴニック・ハートから色々と話を聞いたとはいえ、夢人の中に燻る嫉妬の炎は消えてくれない。
そのため夢人は食事の時に計画していた通り、B.H.C.を飲ませて真司の黒歴史を晒してやろうと考えていたのである。
一方で、ユニは真司が夢人から渡されたB.H.C.を飲もうとしたのを発見した途端、体が自然と動いてしまっていたのである。
発見できたのは偶然であり、夢人に今日は自分もプロトの実験に付き合う旨を話そうとしていた時であった。
ナナハと共に食べ終えた食器を片づけ、いざ夢人へ話しかけようとした時にはすでに真司と談笑していたので、ユニは話しかけるタイミングを見計らっていた。
だが、夢人の口から出る不穏な単語の数々に覚えがあり、ユニは嫌な予感を感じていた。
栄養剤、黒い粒、心にため込んだ何かの解放……極めつけに、夢人が浮かべたあくどい笑み。
そこで思い至ったのが、以前栄養剤と言いながら黒い粒を溶かした液体を飲んでおかしくなってしまったノワールだった。
まさか、と思ったユニは黙って真司から黒い粒を奪い取っていたのである。
手に取って見てみれば、黒い粒の正体……B.H.C.であったことに気付いたユニはすぐさま真司に飲ませないようにするために粉々に砕くことを決めていた。
ユニにとってB.H.C.は愛する男性と尊敬する姉を豹変させる悪魔の薬である。
そんなユニのトラウマを刺激するような物を真司に飲ませようとした夢人に怒りを感じるのは当然であった。
「あー、それは、えーっとだな、うーん、つまり……」
「まったく、真司さんが何も知らないことをいいことにあんな物を飲ませようとするだなんて、本当に何考えてんのよ」
必死に言い訳を考えようとして視線をさまよわせる夢人に、ユニは呆れかえってしまう。
ゆっくりと掴み上げていた胸ぐらを離し、ユニはジト目で夢人を責めるように見つめる。
「……真司は“さん”付けなのか」
「何か言ったかしら夢人?」
「いえ、何でもありません!?」
ユニが真司に対して敬称をつけていることに気付いて、夢人はぼそりとつぶやいた。
自分も真司と同い年くらいなのに、どうして自分には“さん”が付かないのだろうなと、どうでもよいことを考えていると、ユニは笑みを浮かべながら有無を言わせぬ迫力を夢人に放つ。
慌てて姿勢を正す夢人と説教を始めるユニの姿を見て、いつの間にか蚊帳の外に追い出されてしまっていた真司は苦笑してしまう。
しばらくは2人でそっとしておこうと、静かに離れた真司の目に映ったのはもう1組の騒ぎであった。
「さて、それではそろそろ白黒はっきりつけましょうか」
「いいでしょう、受けて立ちますわ」
互いに鋭く睨みあっている2人のベール。
少し離れた場所では、2人のベールのちょうど間だと思われる場所にあくびをして億劫そうにしているナナハがいた。
しかし、よく見てみれば、2人のベールの顔色が真司には若干悪く思える。
穏やかでない雰囲気に仲裁すべきかどうかを考えていると、2人のベールは互いをビシッと指さして宣言する。
「まずは昨夜の続きで、パズルゲームですわ!!」
「ええ!! またわたくしの連続コンボの前に沈めて差し上げますわよ!!」
(何だそりゃ!?)
聞いた瞬間体から力が抜けてしまい、真司は前のめりに倒れそうになってしまった。
険悪なムードだったので何事かと思っていれば、あまり大したことにならなそうなことがわかり、真司はため息をついて額を押さえてしまう。
すると、真司は自分と同じタイミングでため息をついたナナハと目が合い、何となく状況を察することができた。
2人はまだナナハの取り合いを続けていたのである。
昨晩、風呂上りにナナハを見失ってしまった2人は互いに気落ちしていたのだが、ここで夢人側の次元のベールがゲームをしないかと提案したのだ。
唯一、もう1人の自分と言うべき真司側のベールと出会った夢人側のベールは内心で一緒にゲームをすることを楽しみにしていた。
チカが相手では自分がリードする他なく、ナナハはそもそもゲームをしない環境にいたので、夢人側のベールは自分と同程度のレベルであろうゲーマーと見た真司側のベールと並んでゲームしたいと思っていたのである。
オンラインゲームでなら、自分と同じレベルのゲーマーを見つけることは容易いが、実際に並んでゲームをする機会は少ない。
しかも、相手は別次元と言え同一人物……ゲーマーとしてゲームのスキルで負けるわけにはいかないと夢人側のベールは静かに闘志を燃やしていたりもした。
……だが、悲劇は起こってしまう。
普段ならCP相手を相手にする対戦格闘やら、頭脳ゲーム、強力プレイなどをして楽しんでいた時、真司側のベールがふと漏らしてしまう。
【ただゲームするだけでは詰まりませんもの。明日の朝食の席で、どちらがナナハの隣に座るのか賭けませんこと?】
その提案を聞いた瞬間、夢人側のベールから楽しむと言う気持ちが完全に消えてしまった。
それから互いに真剣に勝利だけを目指して、ゲームをプレイし続けたのである。
しかし、問題はどちらも負けを認めなかったことであろう。
片方が負ければもう一回だと言い、勝った方は勝者の余裕からそれを承諾して対戦するゲームを変えながら朝まで勝負を続けていたのだ。
……結果、朝食の席に出遅れてしまった2人の前でナナハは夢人とユニの間に座ってしまう。
余談ではあるが、正面の席には当然と言わんばかりに輝く笑顔でチカが座っていた。
ゲームに熱中し過ぎたことを後悔しながら、眠たげな様子で朝食を食べ終えた2人だったが、めげずにすぐさま今度はナナハとの2人っきりの買い物を賭けた勝負を食事中に取り決めていたのである。
「さあ、そうと決まれば早速わたくしの部屋に戻りますわよ!!」
「わかりましたわ!!」
「……そう言うことみたいですから、夢人とユニに頑張ってと伝えておいてください」
「わかったよ」
2人のベールが勢いよく食堂を出て行った後、ナナハは申し訳なさそうにしながら真司へと伝言を頼む。
プロトの実験に参加する夢人のことならわかるが、何故ユニにも頑張れと応援するのかと真司は疑問に思った。
しかし、ユニの自分と夢人への態度の違いと昨日の話を思い出し、その秘めてるであろう思いの正体を推測してナナハに困ったように笑いながら返す。
そのことに満足したナナハは微かに口元を緩めると、踵を返して2人のベールを追いかけて行ってしまう。
(それじゃ、俺も何か手伝おうかな)
未だ説教を続けるユニと縮こまっている夢人に、ナナハから預かった伝言を伝えるタイミングを見計らいながら、真司は今の状況で自分が何をできるのだろうかと考えるのであった。
* * *
まあ、そんなこんなあって結局俺とネプテューヌ、相棒の3人は夢人達の手伝いをすることに落ち着いたわけだ。
俺達の側からの視点も必要だとこっちの次元のチカさんからも頼まれたので、しっかりと働かなくちゃな。
……でも、仕事を受ける時にまったく笑っていない目で俺のことを見つめてきた時は心臓が止まるかと思ってしまうくらいのホラーを感じてしまった。
と言うより、その視線はもうベル姉を恋人にした時に経験済みなんですよ!?
あの目はアレだ!? 大好きなベールと同じ姿をしているベル姉と恋人である俺のことを射殺さんとばかりに憎しみを抱いている目だったよ!?
アレか!? 俺がベールにも手を出すとでも考えてるのか!?
8人も恋人にしている俺が言えた義理ではないけど、そんな節操なしじゃないからな!?
さすがに会って1日2日で恋のロマンスが始まるわけ……
「おーい、真司?」
「っ、ああ、どうした?」
「いや、何かボーっとしていたみたいだけど大丈夫?」
「ちょっと考え事を、な」
考えに耽っていると、隣にいたネプテューヌが心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
眉根を下げて心配そうにしている表情を見て、俺は正直に答えると、ネプテューヌを安心させるように軽く頭を撫でながらほほ笑んで見せる。
頭に乗せられた手に少し驚いたネプテューヌだったが、すぐに気持ちよさそうに目を細めて俺が撫でやすいように頭を寄せてきた。
……これからプロトの実験が始まると言うのに、ネプテューヌとイチャイチャしてしまうのは夢人達に申し訳ないけど、俺ももう少しだけこのままでいたい。
「それでは早速始めるですの。まずはプロトのアーマーモードの機能確認をするんですの」
「オッケー! チェーンジ・プロト! スイッチ・オン!!」
俺達が場違いにもいちゃついている間に、がすとからの指示を受け日本一がプロトを昨日見た黒い人型のロボット、アーマーモードと呼ばれるモードに変形させる。
ってか、ロボットだからその掛け声は間違ってないと思うけど、色々とおかしいぞ!?
その掛け声は戦闘機の3体合体だろ!?
しかも、初めてアーマーモードの変形シークエンスを見たけど、思いっきり鎧武にそっくりじゃん!?
プロトが宙に浮きあがって、日本一目掛けて落下していくところなんて本当にそのままだよ!?
「シャッキーン! どうだったアタシの変身は!」
「はいはい、バッチリ決まってましたの」
アーマーモードに包まれた日本一は両手を大きく斜め上へと伸ばしてポーズを取りながら、がすとへと興奮気味に問いかけている。
いや、確かに俺もアーマーモードを装着すれば、日本一のように興奮してしまうかもしれない。
仮面ライダーに変身するのとは違う、何と言うか男心を刺激するんだよな、変身って。
……べ、別に日本一が女の子らしくないって言ってるわけじゃないぞ!?
ご、ごっほん、俺が言いたいのはプロトの実験が終わった後、俺もアーマーモードを試させてもらえないかなって思っているだけなんだ。
他意はないぞ?
まあ、そんなどうでもいい俺の考えは置いといて……適当にあしらいながら返事をするがすとが日本一に指示を出そうとした時であった。
……突然、背中に寒気を感じてしまった。
「っ!? な、何だ!?」
違和感を覚えたのは俺だけではなかったようで、何時の間にか体ごと擦り寄って来ていたネプテューヌも慌てて辺りを見渡している。
いや、ネプテューヌだけじゃなくて夢人とユニちゃんもだ。
……あの感覚は錯覚じゃないのか?
原因を探していると、少し離れた草陰の中から空へと一筋の赤い光が空へと伸びていた。
……いったいあれは何なんだ?
俺が疑問に思っていると、背後から夢人の焦った声が聞こえてくる。
「嘘だろ!? まさか残ってたのかよ!?」
……夢人は何か知っているのか?
詳しく尋ねようと夢人に振り向こうとした俺の視線の先、赤い光の柱に変化が訪れる。
赤い光が扇形のように広がり始め、何やら黒いシルエットを作り出す。
頭部には凶悪な角を生やし、背中には巨大な翼を携え、先端が鋭く尖った尻尾を生やしている。
そいつの名前は……
「エレメントドラゴン!?」
思わず叫んでしまったが、そいつは俺と夢人で昨日倒したはずの黒くなったエレメントドラゴンであった。
唯一違う個所は胸の辺りに赤く光る何かがあると言うことだけだ。
……だが、異変はそれだけでは終わらなかった。
「え、ちょっと待って!? 何これ!?」
「日本一!? どうしたんだ!?」
「な、何か急に視界が真っ赤に……」
俺達が黒くなったエレメントドラゴンの急な復活に驚いている中、アーマーモードを装着していた日本一が慌てだした。
慌てて夢人が尋ねても、日本一は言葉の途中で沈黙してしまう。
……しかし、それだけに収まらなかった。
何が起こったのかわからないが、日本一の装着しているアーマーモードの頭部のカメラアイが赤く光り、赤い光の中から出現した黒いエレメントドラゴンと並び立つように俺達を飛びこしていった。
しかも、黒いエレメントドラゴンは隣に躍り出てきたアーマーモードのことなどお構いなく、俺達を憎々しげに睨んでいる。
アーマーモードはアーマーモードで、本当に日本一が中にいるのかと思ってしまうくらいに静かに腕を俺達へと向けていた。
「……やるしかないな」
「……ああ」
俺が覚悟を決めて黒いエレメントドラゴンと黒いアーマーモード、黒々コンビと戦うためにカードデッキを取りだすと、夢人もワンダーのボタンに手をかける。
『変身!!』
俺と夢人は同時に叫び、俺は仮面ライダードラゴニック・ハートに、夢人はワンダーの青いアーマーモードを装着した。
状況はまだ完全にわかったわけではないが、まずは黒いアーマーモードに囚われている日本一を助けだすのが先決だ!
俺と夢人は同時に黒々コンビへと駆け出す。
迎え撃つように黒々コンビも俺達へと踏み出し、戦いが始まるのであった。
と言う訳で、今回は以上!
ようやくコラボ話のラストパートに入れました。
次回はなるべく早く投稿できるように頑張らないと。
それでは、 次回もお楽しみに!