超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編 作:ホタチ丸
ついにコラボ話最終話です!
真司君達を書かせていただく許可をくださりましたULTRA-7様には本当に感謝の言葉しかありません。
それでは、 情熱と約束を胸に はじまります
……立っていたのは黒い2つの存在だけであった。
今現在、ガペイン草原には大小様々な影が無造作に転がされている。
ある者は右手首に紫色の水晶が連なっているブレスレットを嵌めた青年、ある者は上着の上から通常よりも太いベルトを巻き付けた青年、他にも年若い少女達や青いボディが黒く焦げ付いたバイク、力なく地に伏せてしまっている巨大なドラゴン。
彼らは体の至る所に傷を負い、意識を失っている者すらいる。
「……ユニっ……がすとっ……ワンダーっ……っ!」
「……ネプテューヌっ……相棒っ……っ!」
倒れている者の2人、夢人と真司は這いずりながら互いにそれぞれ近くにいる大切な存在へと手を伸ばす。
夢人と真司が気を失っていなかったのは必然であった。
夢人はワンダーのアーマーモードに守られ、真司はドラゴニック・ハートと変身した時に装着したボディスーツがそれぞれ衝撃を緩和してくれていたのである。
しかし、それでも2人は無傷ではない。
体に走る痛みが2人を苦しめ、立ち上がることすら困難な状態である。
いっそ気を失ってしまっていた方が楽であったであろう状況であっても、2人は意識を手放そうとはしなかった。
呼びかけても何の反応も返してくれずにいる大切な人達の安否に加え……自分達をここまで追い詰めた存在がすぐ近くにいるのだから。
「グルルルルルルル」
〔……〕
片や低い声で唸りながら、片や無言のまま頭部のカメラアイを赤く光らせて、2つの黒い存在はゆっくりと立ち上がれない夢人達へと近づいていく。
まるでわざと焦らすように2つの黒い存在、黒いエレメントドラゴンと黒いアーマーモードは夢人と真司が地面を這うスピードと同じ速さで動いている。
そのことが夢人と真司の心を焦らせ、悔しさを募らせていく。
(くっ、まさかプロトにあんな物まであったなんて……ワンダーのアーマーモードも使えなくなった今、俺にできることなんて……)
(変身が解けたせいで体中が……しかも、ドラゴニックアサルトまで効かないなんて……)
2人の心に絶望がよぎる。
明らかな勝者と敗者の図、悠然とトドメを刺すべく歩む無傷の黒いエレメントドラゴンと黒いアーマーモード、体中に傷を負いながら悔しさに顔をしかめて立ち上がれないでいる夢人と真司。
ユニもがすともネプテューヌも、ワンダーやドラゴニック・ハートまでもが意識を失った現状で、立ち上がる力すら振り絞れない自分達に何ができるのだろうか、と夢人と真司は敗北を認めてしまいそうになるほど追い詰められていた。
……だが、2人の瞳に諦めの色はない。
(だからって、このまま寝てるわけにはいかないんだよっ! まだ俺は、この平和になったゲイムギョウ界でネプギア達と新しい俺としての1歩すら踏み出せていないんだっ!)
(でも、こんなところで無様に倒れてたら、俺は俺の憧れを、俺を仮面ライダーだと認めてくれたあの人達を侮辱してしまうっ! 俺を信じてくれるネプテューヌ達を裏切ることになるっ!)
『だからっ!!』
2人の男は立ち上がる。
声を張り上げ、痛みを我慢し、勝てるかどうかもわからない相手に立ち向かうために。
ただ同じような境遇でそれぞれのゲイムギョウ界の問題に巻き込まれただけで、胸に秘めた思いも戦う理由も強さすら何もかも違う2人の男だったが、今その心にある思いは1つ。
……大切な者を守る、ただそれだけだった。
「夢人、まだやれるのか?」
「当たり前だろ。お前の方こそ、変身が解けてるけど平気なのか?」
「ああ、問題ない。このくらいで諦めてたら、仮面ライダーなんて名乗れないからな!!」
「そうか。だったら、尚更俺が諦めるわけにはいかないだろ!!」
立っていることすら辛いはずなのに、2人の顔は穏やかにほほ笑んでいる。
2人の心には、既に焦りも不安も悔しさすらない。
あるのは思いを貫くその意思のみ。
だからこそ、2人は自然と笑みを浮かべられる。
黒いエンシェントドラゴンと黒いアーマーモードに勝つ自信が湧いたからではない。
同じ思いを抱く仲間が傍にいるからだ。
「俺はゲイムギョウ界を平和にするって、守るって約束したんだ!! 勇者じゃない、俺御波夢人として!!」
「この次元に来たことや夢人達と出会ったのは偶然かもしれない。でも、俺は俺が出会った人達と最後まで関わり抜いてやる!! 俺はゲイムギョウ界を守る仮面ライダーだ!!」
夢人も真司も互いに譲れない思いを叫ぶ。
その言葉や言い切る姿に嘘も迷いもない。
雄々しく強敵に立ち向かおうとする2人は紛れもなく同じ名称で形容されるだろう。
……ゲイムギョウ界を守るヒーロー、と。
『ふっ、ならば私達も眠っているわけにはいかないな』
〔共に戦う相棒だからな〕
2人の勇気に触発されたのか、気を失っていたドラゴニック・ハートとAIが機能を停止していたワンダーも立ち上がる。
それぞれが相棒と定めた者達と共に戦うために。
「もー、男子だけで盛り上がるの禁止!! ちゃんと可愛い担当のわたし達がいることを忘れないでよね!!」
「いや、可愛い担当かどうかはともかく、アタシ達だってまだやれるわよ」
「がすとだって、意地があるんですの。このまま夢人達におんぶにだっこされるなんて絶対にごめんですの」
さらに、ネプテューヌにユニ、がすとも立ち上がり、夢人達と並び立つ。
傷だらけでも、全員の顔に諦めはない。
逆に、全員が浮かべている余裕すら感じさせる口元の笑みに黒いエンシェントドラゴンと黒いアーマーモードが警戒してしまう。
今ここに、異なる次元に住む者達の間に確かな絆が誕生した!
その新しい絆が奇跡を呼び起こす!
「これはっ!?」
真司のバックルに付けられたカードデッキが突然光り出し、3枚のカードが勢いよく飛び出す。
それは真司達がこのゲイムギョウ界に来る前に持っていたブランクのカード達であった。
しかし、真司の目の前に浮かぶ3枚のカードには段々と絵柄が浮かんでくる。
1枚目は、鮮やかな紫色の剣。
2枚目は、青いロボット。
3枚目は、胸部にドラゴンの顔がある2枚目のロボット。
完全に絵柄が浮かび上がると、3枚のカードは自然と真司の手のひらに収まる。
まるでカード自体が意思を持ち、使えと言っているようであった。
「……そう言うことか。なら、変身!!」
それだけで今何をすればいいのかを理解できた真司は再度仮面ライダードラゴニック・ハートへの変身を完了させる。
そのまま黒いエンシェントドラゴンと黒いアーマーモードに対して腰から引き抜いたドラゴニック・セイバーの切っ先を向けるかと思いきや、真司はすぐ横にいる夢人の方を向く。
「ちょっとくすぐったいぞ」
『Final Hard Foam! Fina!』
「えっ、なっ、はああああ!?」
何故自分の方を向いたのかわからない夢人は思わず身を引いてしまうのだが、真司は構わず1枚目のカードをドラゴニック・セイバーに装填する。
ドラゴニック・セイバーから機械音が聞こえるとともに、真司は夢人……ではなく、その右手首に嵌められているブレスレットを指で軽く突いた。
すると、ブレスレットは夢人の右手首から離れて宙を舞い、やがて1本の剣になった。
最初はブレスレットが変化したことに驚いていた夢人であったが、その紫色の剣が自身の手に収まると先ほどとは違う理由で大きく目を見開かせてしまう。
「これって、ゲハバーン?」
ブレスレットが変化した剣は、夢人も知っている物とそっくりであった。
魔剣ゲハバーン、『再誕』の女神として自身を確立させようとしたフィーナの剣。
夢人にとって、最後に自分にブレスレットを託して消えた大切な娘の1人の剣であった。
ふいに、夢人は胸の内から込み上げてきた感情に泣きそうになってしまう。
今夢人の手の中にある剣はかつてフィーナが使い、ギョウカイ墓場で犯罪神に壊されてしまったゲハバーンではない。
しかし、それによく似た剣であり、ドラゴニック・セイバーからフィーナの名前と共に変化したブレスレットである。
それがどんな意味を持つのかを、仮面ライダーを知っている夢人は理解していたのである。
(フィーナ、力を貸してくれ)
ゲハバーンを握っている手とは逆の手で強引に瞼を拭った夢人は、その鮮やかな紫色の刀身に映し出される自分の顔を見ながらこの力を託してくれたフィーナのことを強く思う。
そして、迷いを断ち切るように斜めに一閃し、再び諸手で柄を握って切っ先を黒いエンシェントドラゴン達へと向けた。
「次はコイツだ!」
『Summon Wonder Armor Mode』
〔ぬおっ!?〕
続けて真司は2枚目のカードをドラゴニック・セイバーに連続して装填し、今度はワンダーの座席をなぞるように触れた。
すると、ワンダーは1人でに空中に舞い上がり、普段のアーマーモードへの変形プロセスを展開し始める。
だが、そこで普段なら誰かに装着されることで完成されるアーマーモードであったが、ワンダー単体で青いロボットとして完成してしまった。
〔ど、どうなっているんだ? 何故私はアーマーモードになっているんだ?〕
「まだ終わっちゃいないぜ。もう1枚……」
「おっと、最後は俺に任せてもらおうか」
困惑して自分の手のひらを何度も開いたり閉じたりするワンダーに苦笑しながら、真司は3枚目のカードをドラゴニック・セイバーに装填しようとする。
しかし、カードをドラゴニック・セイバーに装填する前に横から伸びてきた夢人の腕に奪われてしまう。
何をする気だと視線で尋ねる真司に対して、夢人はにやりと口角を上げて3枚目のカードを手首の振りで強調させながら口を開く。
「こう言うことなら、俺達にだってできるんだぜ。ふっ、そりゃ!」
そう言った夢人はカードを真上に投げると、ゲハバーンで両断してしまう。
真司達が何を馬鹿なことをしているんだと思っている中、夢人の口元の笑みは消えない。
両断されたカードは粒子状に分解されてゲハバーンの刀身の周りを対空する。
「さて、ドラゴニック・ハート」
『な、何だ?』
「敢えて言わせてもらうぞ……痛みは一瞬だ」
『いや、何を……っ!?』
嫌にいい笑顔で近づいてくる夢人にドラゴニック・ハートは悪寒を感じてしまう。
だが、その感覚は正常であった。
……何故なら、夢人はドラゴニック・ハートの質問に一切答えることなく、その足の裏めがけてゲハバーンを突き刺したのだ。
これにはさすがに真司達も驚愕したのだが、すぐにその行動の意味を知ることができた。
足の裏に突き刺したゲハバーンの刀身が淡く光り出すと、ドラゴニック・ハートの体に変化が起こり始める。
まずは少しだけ大きさが縮小し始め、全身が真っ直ぐに伸ばされる。
両手足も極限まで左右に開かれ、翼は前身を隠すように折りたたまれてしまう。
そのまま空中を移動し、単体でアーマーモードになったワンダーの真上に辿り着くと、そのまま重なるように落下する。
ちょうど円柱のようになっていたドラゴニック・ハートの体はワンダーの体をすっぽりと隠してしまう。
すると、次の瞬間翼が大きく開かれ、ワンダーは先ほどまでと違った姿を現す。
両腕両足にはドラゴニック・ハートの鋭い爪が、背中には翼と尻尾が装着される。
最後に真っ直ぐ伸ばされていた首が折れ曲がり、ワンダーの胸部にドラゴニック・ハートの顔がドッキングする。
不思議とドラゴニック・ハートの首を透過したワンダーの頭部にまるで戦国武者の兜のような金色の三日月が出現し、一連の変化が終了したと思われるとゲハバーンから機械音が発せられる。
『Collaboration Dragonic Armor』
ワンダーとドラゴニック・ハート、2人のヒーローの相棒同士が合体した姿ドラゴニック・アーマーの誕生である。
真司との絆により生まれたカードを夢人がゲハバーンで操作した『再誕』の力である“カット”と“ペースト”を用いたことで実現したのである。
『う、うむ、何とも不思議な感覚だ』
〔あ、ああ。だが、どんどん力が湧いてくるっ!〕
合体したとはいえ、独立した意識を持つ両者はドラゴニック・アーマーになったことに戸惑いを感じながらも、体中に満ちてくる力を自覚し、拳を強く握りしめる。
そして、全員から1歩前に出る形で夢人と真司が声を上げた。
「それじゃ、反撃と行こうぜ、真司!! 皆!!」
「ああ!! ここからが俺達のステージだ!!」
* * *
まず初めに夢人達を襲ったのは、黒いアーマーモードの両腕から発射されるアクセルショットの嵐と黒いエンシェントドラゴンの口から放射される火炎であった。
先程よりも強い戦う意思を持った夢人達を警戒しての先制攻撃である。
広範囲に広がっていく炎のブレスに加えて、高速で飛来するエネルギーの塊。
大地を焦がしながら砂塵と黒煙を撒き散らしていく。
……だが、それを切り裂くように1つの影が上空高く舞い上がる。
〔では、私達はプロトから……〕
『日本一殿を救いだそう!!』
青空に溶け込んで見えるほど高く舞い上がり大きく両翼を広げたドラゴニック・アーマーは急降下を始め、一直線に黒いアーマーモードへと飛翔する。
当然、黒いアーマーモードもドラゴニック・アーマーを警戒してアクセルショットを次々と放つのだが、それらは1発も掠らない。
巨体を誇りながらも軽やかに弾幕を避けて行き、ドラゴニック・ハートはその両足の爪を持って黒いアーマーモードの両肩を鷲掴みにして黒いエンシェントドラゴンから引き離す。
〔ハッ!!〕
〔!?!?!?〕
そのまま再び上昇を始めたドラゴニック・アーマーは空中でバク転のように体を回転させて、黒いアーマーモードを上空へと投げ飛ばした。
黒いアーマーモードには飛行するための機能が備わっていないため、稼働しているAIがどう行動すればいいのかわからずに正常に機能しなくなり、戸惑ったように無防備を晒してしまう。
その隙を逃すことなく、ドラゴニック・アーマーは翼をはためかせ、高速で黒いアーマーモードに向かって飛翔する。
拳や翼、時には蹴り上げることで黒いアーマーモードをさらなる上空へと浮かび上がらせていく。
さながら、ドラゴニック・アーマーの動きは竜巻、もしくは雷のようである。
先ほどまでは無傷でいた黒いアーマーモードのボディも段々と削れていき、ドラゴニック・アーマーのされるがままになっていた。
〔トドメだ!!〕
『行くぞ!!』
ついには青空に浮かぶ白い雲よりも高く黒いアーマーモードを浮かび上がらせると、ドラゴニック・アーマーは量の拳を打ち合わせる。
すると、胸部にドッキングしていたドラゴニック・ハートの口が開き、ドラゴニック・アーマーの体を赤い炎が包み込む。
そのまま空に向かって吠えるように体を反らしたかと思うと、ドラゴニック・アーマーは猛スピードで真っ直ぐに黒いアーマーモードへと突撃する。
……それは激突する音もなく、一瞬の出来事であった。
衝突したと思ったドラゴニック・アーマーはいつの間にか全身に纏っていた赤い炎が消え去り、黒いアーマーモードよりも下に位置している。
その腕に日本一を抱いて。
〔ドラゴンアクセル〕
『私達の、勝利だ!!』
ドラゴニック・ハートの勝利宣言と共に、腹部に巨大な円状の穴が開いた黒いアーマーモードは爆散してしまうのであった。
* * *
一方で、もう1つの戦場でも状況が動きつつあった。
「ちゃんと合わせなさいよ!!」
「わかっているですの!!」
「っ、グギャアアアア!?」
ユニのライフルから黒いエンシェントドラゴンの頭部めがけて放たれる弾丸を狙ったがすとの魔法、おとのはのしらべが爆発を起こす。
至近距離からの爆発による衝撃には、真司達を苦しめた再生能力も意味はない。
何故なら、これはあくまで次の攻撃に続けるための陽動に過ぎないのだから。
「とっくべつに大きいの行っちゃうよ!! それ!!」
「っ、ガアアアアアア!?」
ユニとがすとによって視界を封じられているエンシェントドラゴンに向かって、ネプテューヌは離れた位置から指を振り下ろす。
すると、ネプテューヌの魔法によって頭上高くに形成されていた青白い剣、32式エクスブレイドが普段よりも大きく鋭くなって黒いエンシェントドラゴンへと突き刺さる。
直撃した腹部から背中まで貫通して、刀身は帯電しているようにバチバチと火花を散らす。
「真司!!」
「コイツでフィナーレだ!!」
『Final Break』
夢人が声をかけると同時に、真司はカードを1枚ドラゴニック・セイバーに装填する。
次の瞬間、2人はその場で高く跳び上がる。
限界まで跳躍すると、夢人はゲハバーンを、真司は龍神剣を構えて黒いエンシェントドラゴンへと斬りかかる。
狙いは胸の辺りで光る赤い物体。
黒いエンシェントドラゴンは腹部に突き刺さる32式エクスブレイドを引き抜こうとしているので、2人にまったく気付く様子がない。
「はあああああああっ!!」
「せいやあああああっ!!」
2人は交差するように落下し、赤い物体を十字に斬り裂く。
斬り裂かれた赤い物体は砕け散るように軽い音を響かせながら、黒いエンシェントドラゴンの体から剥がれおちてしまう。
すると、黒いエンシェントドラゴンは断末魔の叫びも残さぬまま、その巨体を霧が掻き消えるように霧散してしまった。
引き剥がされて残った赤い物体も、地面に落下するとともに弾けるように消滅し、後には何も残らない。
……そして、次に真司達の体に異変が起きる。
* * *
「やったな真……って、お前体が!?」
「うん? ああ、そうみたいだな」
黒いエンシェントドラゴンを倒した喜びを分かち合おうと声をかけた夢人であったが、まるで体全体が泡のような物に包まれているかのように見えずらくなっていく真司の姿に目を見開いてしまう。
対して、真司は自分の体に起こった異変にあまり驚かず、手のひらを見つめたり、同じ異変が起きているネプテューヌや地面に降りてきていたドラゴニック・アーマーへと視線を向ける。
因みに、真司は変身もすでに解けており、ベルトが腰に巻かれている状態であった。
「多分、俺達がこの次元ですることが終わったんだと思う。だから、俺達も元の次元に戻るみたいだ」
「……そうなのか」
真司の言葉に納得しつつも、夢人は少し寂しそうに笑みを浮かべる。
それは真司も同じ気持ちである。
出会いから別れまで短い時間であったが、2人の間には確かな絆が構築されていたのだ。
別れを惜しむ気持ちがあるのは当然であった。
「最後に夢人、これを受け取ってくれ」
「これって……」
寂しさを誤魔化すように真司はカードデッキから1枚のカードを引き抜き、夢人へと手渡した。
そのカードは夢人との絆の証、ゲハバーンの絵柄が描かれていたカードである。
その背景にはうっすらとネプギアによく似ている少女がほほ笑んでいる姿が浮かんでおり、カードの下の部分には“FINA”と書かれていた。
「俺は会ったことないけど、その子がお前の娘のフィーナなんだろ?」
「……ああ」
「カードの名前が“DELPHINUS”じゃなくて、ちゃんと“FINA”になってるな」
「……っ、ああっ!!」
夢人は真司の言葉に同意しながら、カードを愛おしそうに見つめる。
最後の瞬間、フィーナが自分のことを『再誕』の女神である“デルフィナス”ではなく、夢人達の娘である“フィーナ”であることを選んだ何よりの証拠であった。
そうでなければ、カードに書かれている名前は“DELPHINUS”であっただろうし、ほほ笑んでもいなかっただろう。
夢人は頬に流れる涙を拭い、柔らかく頬を緩めながら口を開く。
「ありがとうな、真司。お前のおかげで、これからも俺はフィーナのことを胸を張って大切な娘だって誇れるよ」
「よかった。俺も夢人に会えて、この次元に来れて本当によかった」
互いに別れの名残は尽きないが、時間は過ぎ去っていく。
次第に真司の体はどんどんと薄れて行き、別れの時は目前になった。
「今度は俺達の方からお前達に会いに行かせてもらうぜ。その時はフィーナじゃない、もう1人の娘を紹介してやるよ」
「じゃあ、俺は俺の大切な人達を紹介するよ」
「それって他の恋人達のことか? このハーレム野郎が」
「ハハッ、その時はお手柔らかにってことでね」
2人の間に既に険悪な雰囲気など微塵も存在しない。
同じようで違うゲイムギョウ界に呼ばれた2人のヒーローの友情は確かに存在しているのである。
「それじゃ、お前達が来るのを楽しみにしてるぞ、夢人!!」
「ああ!! 必ずそっちの次元に行ってやるからな!!」
互いに握った拳を突き合わせると、トントンと叩き合わせた後でもう1度突き合わせる。
友情の証を終えると、真司は体を覆っていた泡が消えるようにその姿を消してしまった。
周りを見てみると、ドラゴニック・アーマーもビークルモードのワンダーに戻っており、ネプテューヌの姿もどこにもない。
真司達が元の次元に戻ったのだと理解した夢人は青空を見上げてつぶやく。
「また会おうぜ、真司」
その手に1枚のカードを握りながら……
と言う訳で、今回はここまで!
計10話に及ぶコラボ話にお付き合いくださりまして、本当にありがとうございます。
本当、予定ではこの半分くらいで収まるんじゃないかって思っていたんですけど、まだまだ見通しが甘かったです。
書きたいネタが次々に湧いてきて、もっといろいろな子達で話をさせてみたかったですよ。
では、最後に真司君達をお借りしましたULTRA-7様に、ここまで読んで下さった読者の皆様に感謝をして、コラボ話の幕を引きたいと思います。
本当にありがとうございました!
それでは、次の更新をお楽しみに!