超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編 作:ホタチ丸
めでたく、今日で投稿が一周年を迎えました!
という訳で、今回は以前から告知していた記念小説を投稿させていただきます。
それでは、 もしも、夢人君がプラネテューヌ以外で召喚されたら…… はじまります
もしも、夢人君がプラネテューヌ以外で召喚されたら……
「ここが……」
私はぼそりとつぶやいて辺りを見回した。
初めて来るこの場所は、今までプラネテューヌの中しか知らなかった私にとって衝撃的でした。
隣にお姉ちゃん達がいると言うのに、何だか怖いと感じてしまう。
「ネプギア、無理なら今からでも……」
「ううん、大丈夫だよ。私もお姉ちゃん達と一緒に戦わせて」
心配して声をかけてくれるお姉ちゃんの言葉に、首を横に振りながら私は答える。
気が付けば、お姉ちゃんだけじゃなくて他の女神の皆さんも私のことを心配そうに見つめていた。
私自身もいつの間にか握っていた手のひらに汗をかいている。
……でも、私1人で帰るわけにはいかない。
最初にいーすんさんから話を聞いた時から嫌な予感が止まってくれなかった。
だから、私もお姉ちゃん達の手伝いをすると無理にお願いして、一緒に連れてきてもらった。
私1人が増えたくらいで何ができるかわからなかったけど、とりあえず動かなくちゃ不安に押しつぶされてしまいそうだった。
「わかったわ。でも、危なくなったら1人でも逃げなさい。それだけはちゃんと約束して」
「ちょっとネプテューヌ。わざわざ不安にさせるようなこと言うんじゃないわよ」
「わたしら4人がいて、しくじるとでも思ってるのか?」
「そうじゃないわ。ただ、場所が場所だけに不安なのよ」
強がりに思われたのか、お姉ちゃんは真剣な顔で私の目を真っ直ぐに見つめながら言った。
すると、お姉ちゃんと同じ女神のノワールさんとブランさんが不満そうに目を細める。
でも、お姉ちゃんは振り返って軽く首を振るだけ。
顔は見えないけど、多分不安な顔をしているんだと思う。
「そこまでにしておきましょう。わたくしも今回のイストワ―ルからの要請、一筋縄ではいかないと思っていますわ」
「……何よ、あなたまで弱気なわけ?」
「そう言うわけではありませんわ。ただ、わたくしもネプテューヌの妹を心配する気持ちがわかるだけですわ」
少しだけ空気が悪くなったと感じていると、ベールさんがお姉ちゃんとノワールさん達の仲裁に入った。
その言葉にまだ不満が残っているノワールさんが尋ねると、ベールさんは私のことを優しく見つめてくる。
「わたくしは絶対に“あの子”の所に帰ると約束したのですから」
「……まあ、そう言うことならわたしもわかるぜ。“アイツら”、悪戯ばかりでまだまだ手が離せそうにないからな」
「……まったく、だからあなた達も私と同じように妹を置いてきたんでしょう? だったら、尚更弱気になってないで、サクッと終わらせて帰るわよ」
「ええ、確かにそうね――ネプギア、一緒にいーすんやあいちゃんとコンパの所に帰るわよ」
「うんっ!」
皆さんもベールさんの言葉に思い当たることがあったみたいで、少しだけここにいない誰かのことを考えだした。
でも、ノワールさんの言葉に全員が力強く頷き、お姉ちゃんは私にいつもの凛々しい顔で声をかけてくれる。
それが嬉しくて、私は今まで感じていた不安が消し飛んでしまう。
うん、お姉ちゃん達と一緒ならきっと大丈夫。
……ちょっとフラグかなとも思うけど、気のせいだよね。
だって、女神が4人もいるんだから。
例え、今いる場所が相手の本拠地――ギョウカイ墓場でも、お姉ちゃん達さえいれば何とかなる。
――ううん、私もお姉ちゃん達と一緒に精一杯頑張るんだから、きっと平気だよね。
* * *
ギョウカイ墓場は思ったよりも複雑じゃなかった。
廃棄された機械で積み上げられた山と山の間に1本の道ができていたから、私達は迷うことなく犯罪組織の人達がいると思われる塔まで真っ直ぐに向かうことができていた。
……でも、1つだけおかしいことがある。
あまりにも道が綺麗になっている。
何となくイメージ的にもっと荒れ放題になっていると思っていたけど、まるで掃除をしたかのように私達の通る道が綺麗になっている。
犯罪組織の人達って、もしかして結構綺麗好きだったりするのかな?
「油断しちゃだめよ。もしかしたら、わたし達を誘き寄せるための罠かもしれないわ」
「う、うん。わかったよ」
お姉ちゃんに注意されて、私も皆さんのように辺りを警戒する。
確かに、用心するに越したことはないよね。
ここは犯罪組織の本拠地なんだから、いつ誰が襲ってきてもおかしくない。
私達が周りを警戒しながら少しずつ黒い塔に向かっていると、前の方に人影が見えた。
やっぱり道が綺麗だったのは誘導するための罠だったとわかり、私達はそれぞれ武器を出すと、ゆっくりと警戒しながら待ち構えている人物に近づく。
「ふん、ふふーん、ふふーん……って、あれ? お客さんですか?」
「え、あ、うん、そうなるわね」
私達が近づいてくるのがわかると、鼻唄をうたっていたその人は不思議そうに首を傾げた。
その何も知らない態度はもちろんだけど、その人が持っている物としていた行動に私達は戸惑ってしまう。
――だって、この人竹ぼうきで掃除してたんだもん。
見た感じではどこにでもいそうな男の人に見えるけど、ギョウカイ墓場にいるってことは犯罪組織の一員なんだよね?
あれ? やっぱり、犯罪組織って綺麗好きだったりするのかな?
「あはは、大変の見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ございません。すぐにご案内しますね」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!? 案内するってどこへ連れて行く気よ!?」
私達が戸惑っていると、掃除をしていた男の人は照れたように笑いながら案内してくれようとした。
それを慌てて正気に戻ったノワールさんが止めると、男の人はきょとんとした顔で口を開く。
「どこって、俺の――って、違った。私の上司であるマジック・ザ・ハード様のところですけど? ……ああ!! 申し遅れましたけど、私は『株式会社』マジェコンヌでアルバイトをしている“御波夢人”と申します!」
『は、はああああああっ!?』
にこやかに名刺を差し出す男の人――御波さんの言葉に私達はただ驚いて声を上げることしかできなかった。
『株式会社』マジェコンヌって何!?
私達は『犯罪組織』マジェコンヌをどうにかするようにいーすんさんに頼まれてきたのに!?
何がいったいどうなってるの!?
* * *
――俺、御波夢人には記憶がない。
気が付けば、赤黒い空の下で仰向けに倒れているところを拾われた立場である。
まあ、その拾ってくれた人達もただの人じゃなかったんだけどな。
「どうかしたんですか?」
「あ、いや、何でもないよ。ほら、早くこれを持っていこう。遅いと、またうるさく騒ぎ出すだろうからさ」
「そうですね」
今更なことを思い出していると、隣にいたネプギアちゃんが不思議そうに尋ねてくる。
それににっこりと答えると、ネプギアちゃんは安心したように軽く口元を緩める。
――本当、可愛くて癒されるよ。
ネプギアちゃんが可愛過ぎて、今の自分の職場には不満しか募ってこない。
いつも俺の業績不振のせいで給料を減らしてくる厳しい女上司。
幼女幼女うるさい変態なロリコントカゲ上司。
後はしきりにマシンの調整だと俺のことを実験台に殺す気で襲ってくるバトルジャンキーな上司。
……立派な志を持って活動しているあの巨大なロボットの上司以外は碌な奴がいないな。
他の3人も見習えってんだ……主に俺の扱いについて。
アルバイトだからって、待遇面の改善を訴える権利があるんだぞ!!
――まあ、そんなことしたらただじゃ済まないからできない小心者の俺なんだけどさ。
情けなくて、涙が出てくるよ。
「あっ、来た来た!! おーい、早く新しい漫画持ってきてよ!!」
「ちょっと、騒ぐんじゃないわよ――ところで、ちゃんと私が頼んだ生地と裁縫道具は持ってきてくれたかしら?」
「後、わたしの頼んだ小説」
「それと、わたくしが頼んだ新作ゲームの方はちゃんと持ってきてくれましたか?」
……上司以外にも、俺の頭を悩ませているのが目の前の4人です。
3年近く前に俺がマジック様の所に案内したネプギアちゃんと一緒にいた人達――女神って人達らしい。
正直ブレイブ様やトリック様のように見た目が違うわけじゃないから、女神と言われてもピンとこない。
ただ言えることは――この人達が政府のお役人だと言うことだけだ。
女神って国の行政府である教会のお偉い人なんだろう?
記憶がなくたって、ブレイブ様やリンダ先輩にある程度一般常識を教えてもらってるから知ってるぜ。
えっと……とりあえず、女神って肩書きがついている女の人が教会のトップで、俺達『株式会社』マジェコンヌの天敵みたいな存在だって言ってたな。
3年前の抜き打ち監査から、うちの会社に彼女達は常駐している。
まったく、ブレイブ様の受け売りだけど、俺達は恵まれない子ども達に娯楽を提供すると言うボランティア精神でマジェコンを配っていると言うのに。
歩合制で厳しい給料査定をしてくるマジック様や、幼女を追いまわした揚句に残ったマジェコンを俺に押し付けてくるトリック様だって同じ気持ちに違いない。
……ジャッジ様? そもそもギョウカイ墓場から外に出ないしな。
――そう、俺達は何も後ろ暗いことなんてしてない!!
でもまあ、政府の人からすればいい気持ちはしていないんだろうな。
1度マジェコンの露天販売の許可を取るために教会に行ったら、問答無用で逮捕されそうになったもんな。
……あの時追ってきた茶髪の青いコートの女の子はすごく怖かった。
あのいつも冷淡なマジック様でさえ、ネプギアちゃん達を連れて行ったらコーヒーを噴き出したしな。
政府の人間の恐ろしさを再認識した瞬間だったからな。
その後、俺がネプギアちゃん達のお茶を用意している間にマジック様が暴れてて慌てたっけ。
俺が仲裁に入らなかったら、ネプギアちゃんのことを鎌で斬り裂こうとしていたもんな。
隣で一緒に頼まれていた荷物をネプテューヌさん達に手渡しているネプギアちゃんを見て、俺は随分とあれから時間が経ったものだとしみじみと思った。
割って入った俺にマジック様は、それならネプギアちゃん達の世話を任せると言ってくれたのがきっかけだったな。
何でも口論の末に乱闘騒ぎになってしまい、結果的にうちで常駐して監査を続けるってことになったらしい。
当時何の役職もなく、ただ雑用のように使いまわされていた俺にとって初めて回って来た大仕事だったから、1も2もなく飛び付いたっけ。
これで給料アップ!! と思いきや、現実は非常だった。
――だって、この人達に今渡した漫画やゲームとかの代金は俺の給料から引かれてるんだぜ?
まったく経費から落ちないんだよ!?
どうしてなのかと尋ねてもマジック様は取り合ってくれないし、ブレイブ様に相談しても頑張れと励まされるだけだった。
逆にトリック様は自分の趣味の本を俺に買ってくるように頼むし、ジャッジ様にいたっては話も聞かずにポールアックスを振り下ろしてきた。
……俺の懐は寒くなるばかりだ。
でも、そんな俺にも朗報がある。
お得意様ができたんだ!!
ラステイションの教祖である神宮司さんとルウィーの教祖である西沢さんの2人もできたことで、俺もマジェコンを1台も売れずにギョウカイ墓場に帰るってことがなくなった。
……ただ、やたらノワールさんやブランさんのことを聞いてくるんだよな。
まあ、毎回マジェコンを購入してくれるから別にいいんだけど。
その分、俺もお礼の意味を込めてロムちゃんラムちゃんからの手紙をブランさんに届けたりしているんだから、何の問題もないよな。
最近はマジック様やネプテューヌさん達のことを抜かしたら、俺にも運気が向いてきたってところかな?
この調子でお得意様を増やしつつ、ネプギアちゃんと楽しくジャッジ様のパワードスーツを整備する日々を過ごすのも悪くないかもしれない。
ネプギアちゃん、本当に楽しそうにしてるんだもんな……
――決めた!!
俺、必ずアルバイトから正社員になってネプギアちゃんに正式に交際を申し込む!!
そのためにも、これからもマジェコンを売って売って売りまくるぞ!!
超次元ゲイムネプテューヌmk2 夢の正社員を目指して 始まりません。
という訳で、今回はここまで!
何処までの話にするか悩んだ結果、このような出来になりました。
この後はアンケートも取ったカップリング話を書き終わり次第、随時投稿してきますのでお楽しみに!