超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
本編を更新しないで、番外編の方にまた手をつけてしまいました。
少し遅くなってしまいましたが、ハロウィン記念です。
それでは、 イタズラにする? それともお菓子? はじまります


ハロウィン記念
イタズラにする? それともお菓子?


 ――10月31日、ボクはロムちゃんとラムちゃんに呼ばれてギョウカイ墓場に来ていた。

 イストワ―ルさんに頼んでギョウカイ墓場に送ってもらったボクを出迎えてくれた2人とアカリちゃんはいつもと服装が違っていた。

 

「どう? 今日のわたし達、ちょっと怖いでしょ?」

 

「どうかな(わくわく)?」

 

「がおー、たべちゃうぞー」

 

 いや、まあ今日がハロウィンだってことはわかっていたけど、まさか仮装をしているとは思わなかったからね。

 ラムちゃんは吸血鬼みたいで、黒いマントと牙をつけて不敵に笑っている。

 ロムちゃんの方は魔女っぽく紫色のローブにつばの広いとんがり帽子、そして木の杖を持って目を輝かせてボクの反応を待っている。

 そして、アカリちゃんなんだけど……正直、何の仮装をしているのかがわからない。

 なんかピンク色の恐竜っぽいデザインの着ぐるみを着ているんだけど……

 

「ぶー、なんで何も言ってくれないの?」

 

「怖くないの(ショック)?」

 

「がおー、たべちゃうぞー」

 

「っ、いやいや!? みんなの格好にちょっと驚いていただけだから!?」

 

 唖然としていたために無反応だったボクに、ラムちゃんが頬を膨らませながら不満をぶつけてきた。

 ロムちゃんもちょっと涙目になって尋ねてくる。

 ……ただ1人、アカリちゃんだけは変わらずに両手を上げた態勢で同じ言葉を繰り返す。

 

「まあ、いいわ。とりあえず、フェルも来たことだし、早速行くわよ!」

 

「行くってどこに?」

 

「そんなの決まってるじゃないの! 今日はハロウィンなのよ!!」

 

 慌てて返事をしたボクに呆れた顔を向けたラムちゃんだったけど、すぐに楽しそうに頬を緩めた。

 何の説明も聞かされていないボクが尋ねると、ラムちゃんは片手を大きく上げてウインクしながら宣言する。

 

 ……うん、ここまでの流れで何となくわかってたよ。

 つまり、ハロウィンだからみんなのところを回ってお菓子を貰いに行くんだね。

 トリック・オア・トリート、お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞって……

 

「今日は1年で1度――イタズラをしてお菓子を貰える日なのよ!!」

 

「って、違うよ!?」

 

 ラムちゃんの間違ったハロウィンの認識をボクは慌てて否定した。

 でも、ラムちゃんはまったく話を聞いておらず、楽しげに笑いながらロムちゃんへと話しかける。

 

「楽しみだね、ロムちゃん! 今日はいつもみたいにお姉ちゃんやミナちゃんに怒られることなくイタズラができて、さらにお菓子までついてくるんだよ!」

 

「うん、どっちも好きだから楽しみ(にこにこ)」

 

 楽しそうに会話をする2人に、ボクは頭を抱えてしまう。

 

 ……どうしよう。

 ボクじゃこの2人を止められそうにない。

 と言うより、なんでこの2人は勘違いしてるの!?

 いったい誰が2人に嘘を教えたりしたんだ!?

 

「そう言うわけだから、みんなにイタズラをしてお菓子を貰いに行くわよ!!」

 

「おー!!」

 

「がおー」

 

「って、待って!?」

 

 アレコレ頭を悩ませているうちに、3人は完全にハロウィンを誤解したままみんなの所に行こうとする。

 何とか誤解を解こうと、ボクは3人に待ったをかける。

 

「どうかしたの?」

 

「いや、あの、その――っ、そう!? ボクの仮装が終わるまで待っててよ!?」

 

 不思議そうに首を傾げるラムちゃんに、ボクは誤解を解くための時間を稼ごうと苦し紛れを言った。

 

 よし、これでボクが仮装をしている間に何とか誤解を解く方法を考えないと……

 

「え? だって、フェルは耳が生えるから、そのままで大丈夫でしょ?」

 

 ――ボクの苦し紛れの時間稼ぎは一瞬で終わってしまった。

 確かに、ボクは耳が生えるけど……え、もしかして狼男役?

 

「がおー」

 

 ……アカリちゃんのちょっと棒読みっぽい声が響く中、ボクはそのまま3人に連行されるのであった。

 

 

*     *     *

 

 

「やあ、今日はどうしたんだい?」

 

 4人がまず最初に訪れたのは、ラステイションの教会であった。

 仕事がひと段落ついて休憩をしていたラステイションの教祖である神宮司ケイは、奇抜な格好をしている4人に目を丸くしてしまった。

 しかし、すぐに柔らかくほほ笑みながら教会の中へと4人を招き入れる。

 

「トリック・オア・トリート!!」

 

「イタズラしちゃうぞ(うきうき)」

 

「がおー」

 

「……あ、あはははは」

 

 教会の中に入ったラムが元気よく宣言したことを皮きりに、ロムとアカリもケイに詰め寄った。

 そんな3人を尻目に、フェルは1人乾いた笑みを浮かべてしまう。

 軽く驚きつつも、すぐに事情を察したケイは口元を緩める。

 

(なるほど。そう言えば、今日はハロウィンだったね。差し詰め、彼女達はお菓子を貰いに来たと言うわけか……さて、何かいいものはあったかな?)

 

「……ケイさん」

 

「うん?」

 

 4人に渡すようなお菓子があったかどうかを考えこむケイに、フェルは申し訳なさそうな顔で近づく。

 様子のおかしいことをケイが疑問に思っていると、フェルはラム達に聞こえないように耳打ちをする。

 

「……実はラムちゃん達ハロウィンのこと誤解しているみたいで、イタズラしてお菓子を貰おうとしてるんです」

 

「……そうなのかい?」

 

 フェルから聞かされた内容に、目をパチクリとさせながらケイはラム達の顔を見た。

 そして、少しの間考えるように眉をひそめるたが、すぐにケイはやや大げさに目を見開く。

 

「わあー、それは大変だー。せっかく掃除を終えたところなのに、イタズラされちゃうと困るなー。今お菓子をとってくるから、イタズラしないでー」

 

 わざとらしく教会に並べられている椅子に目配せをすると、ケイは困ったようにほほ笑みながら奥へとお菓子を取りに行ってしまった。

 棒読み加減に呆れながらも、奥へと行くケイが見せた悪戯っぽい笑みにフェルは首を傾げてしまう。

 

「ふっふっふ、よーし! それじゃ、今のうちにイタズラしちゃうわよ!」

 

「何をしようか?」

 

「そんなの決まってるじゃない! ――この椅子を使うのよ!!」

 

 ケイがいなくなったことを見計らい、ラムは早速悪戯をしかけようとする。

 何をするのかを聞いてくるロムに、ラムは当然と言わんばかりに壁に立てかけられているパイプ椅子を指さして言う。

 

「せっかく片付けた椅子をまた並べちゃうのよ!! いいと思わない?」

 

「うん(賛成)! じゃあ、どう並べようか?」

 

「うーん、そうね……いっぱいあるし、まーるく並べてみるのってどうかな?」

 

「いいと思う。おっきく作ろう(どきどき)」

 

 立てかけてあった椅子を並べると言う悪戯のレベルに、フェルはホッとした。

 これくらいならば、多少疲れるだけでそんなに負担にならないだろうと思ったからである。

 わくわくしながら椅子を並べ始める2人の様子を見ていたフェルだが、すぐに疑問を覚える。

 

(あれ? 前来た時にはパイプ椅子なんてなかったのに、どうして置いてあるんだ?)

 

 ラステイションの教会に何度も出入りしたことがあるフェルは、普段ならパイプ椅子なんてないことを思い出したのだ。

 疑問に思っていると、壁に貼ってある1枚のポスターを見つける。

 

(『各国のお菓子を君に!』……って、ブレイブさんがここでお菓子を配るイベントをするんだ)

 

 詳しく内容を見ているうちに、フェルはパイプ椅子があった理由に納得した。

 

 ハロウィンの特別企画として、ブレイブが教会に集まって来た子ども達にお菓子を配るイベントが催されるのである。

 主にブレイブが率先となって企画されたイベントの内容には、ゲーム大会やビンゴなども記載されていた。

 おそらく子ども達が座るために用意したのだろうと予測したフェルは、楽しそうにパイプ椅子を並べるラムとロムを見てケイの思惑を悟った。

 

(イタズラを利用して会場づくりって……)

 

 迷惑にならないなら別にいいかと、フェルは苦笑してしまうのであった。

 

 

*     *     *

 

 

「トリック・オア・トリート!!」

 

「お菓子ちょうだい(お願い)」

 

「がおー」

 

 椅子を並べ終えた頃を見計らってやって来たケイからお菓子をもらったフェル達は、そのまま次の目的地へと来ていた。

 先ほどと同じようにお菓子をねだるラム達3人だが、フェルは1人冷や汗を流してしまう。

 ……理由は3人がお菓子をねだった相手である。

 

(な、なんでわざわざジャッジ・ザ・ハードなの!?)

 

 ――そう、相手は作業着を着て黄色いヘルメットを被ったジャッジ・ザ・ハードであったのである。

 因みに、ラム達が声をかけたのに理由はない。

 ただちょうどリーンボックスについて1番最初に目についた知り合いがジャッジだっただけである。

 

「……そうか」

 

 仏頂面のまま表情を変えないジャッジに、フェルは顔を青くしてしまう。

 

 犯罪組織の幹部の中で唯一最後まで敵であった事や友好的な態度を1度も取られたことがないため、マジック達よりも苦手意識を持っているのだ。

 加えて、ジャッジは不機嫌そうに目を鋭くしている。

 もしもの時があった場合のために、フェルがラム達の前に出ようとすると……

 

「ちょっと待ってろ。すぐに買って来てやる」

 

「……へっ?」

 

 ――ジャッジは被っていたヘルメットをフェルに手渡すと、そのままお菓子を買いに行ってしまった。

 予想外の行動にフェルが驚いている間にも、ラム達は悪戯をしようとする。

 

「ちゃ~んす! 今度はそのヘルメットにお花とか描いちゃうもんね!」

 

「だったら、わたしは猫さんを描こうかな?」

 

「――って、ちょっとそれはやめて!?」

 

 呆然と立ち尽くしているフェルの手からヘルメットをひったくると、ラムとロムは楽しそうにマジックで落書きを始める。

 慌てて止めようとするフェルであったが、2人はやめようとしない。

 

「がおー」

 

「アカリちゃんもやめて!?」

 

 いつの間にかアカリまで楽しそうに笑いながらヘルメットにぐにゃぐにゃの線を描いていることに気付き、フェルは泣きそうになってしまった。

 既に黄色いヘルメットには色とりどりのマジックで落書きが施されており、これをジャッジに返す時のことを思うとフェルは怖くなってしまう。

 

(ど、どどどどうしよう!? 絶対に怒られるよね!? いったいどうしたら……)

 

「ほら、買ってきたぞ」

 

「うひゃあっ!?」

 

 口よりも先に手が出る印象の強いジャッジが怒った時のことを思い、フェルは焦ってしまう。

 どうにか怒られない方法を考えようとするフェルの背後から、お菓子を買ってきたジャッジが帰ってくる。

 驚きのあまりすっとんきょな声を出してしまったフェルを訝しみながら、ジャッジは買ってきたお菓子をアカリへと見せる。

 

「ホットケーキ、好きか?」

 

「うん!! だいすき!!」

 

「……そうか」

 

 買ってきたお菓子――ホットケーキの箱を見て、アカリはパアッと顔を明るくさせた。

 その笑顔にジャッジは少しだけ口元を緩めると、買ってきた4つのホットケーキの箱をフェルへと渡す。

 そして、何事もなかったかのように落書きされたヘルメットを被って、フェル達に背を向けて歩いていってしまう。

 

 ――その背中が、フェルには少しだけさびしそうに見えた。

 

 

*     *     *

 

 

 ――10月31日、世間一般でハロウィンと言うお祭りで口にされる合い言葉を知っているか?

 トリック・オア・トリート……一見すると『お菓子くれなきゃ悪戯しちゃうぞ』って意味になるだろう。

 だがしかし!! これにはもっと深い意味があるのだ!!

 

 トリック・オア・トリート――即ち、吾輩かお菓子のどちらかを選ぶ幼女のための祭りだったのだ!!

 

 ふっ、まさか吾輩と幼女が触れ合える祭りが1年の内にあったとは思わなかったぞ。

 犯罪組織に所属していた時は、ずっとギョウカイ墓場に居てそう言うものと無縁だったからな。

 

 ――だが、今年の吾輩はルウィーにいる!!

 つまり、ロムとラムにお菓子をあげなければ、合法的に幼女をペロペロできるチャンスがあるかもしれないのだ!!

 いつもならうるさいロム達の姉の年増女神や怖い眼鏡教祖も、今日ばかりは口出しはできないはず!!

 何故なら、ロム達自身が吾輩、もしくはお菓子をねだっているのだからな!!

 

 そこまで考えて、吾輩は天才的なひらめきを思いついたのだ。

 ――そうだ。どちらかを選ぶ必要なんてない。幼女のために両方を与えてあげるべきだと。

 そうすれば、お菓子をあげなかったことでがっかりするロム達の顔を見なくて済むし、さらに吾輩も悪戯されて嬉しいこと尽くめではないか!!

 

 アックックック、自分の頭の良さが恐ろしくなる。

 お菓子をあげたことで喜び満面の笑みを浮かべる幼女達から悪戯される――ああ、考えただけで辛抱が堪らん!!

 

 この計画を実行するために、ロムには吾輩に限定して悪戯をしてもよいと伝えてあるからな。

 吾輩が直接言うとラムは反発してしまうが、何故かロムを通すとすんなりと上手くいくのだ。

 まあラムに罵倒されるのも悪くないと思うのだが……っとと、今回の肝はここではない。

 今回はなんと言っても、ロムに“アカリ”も一緒にと伝えたところだな。

 ――つまり、3人もの幼女から悪戯される夢のような出来事が実現しようとしているのだ!!

 

「さあ、いつでも来い!! 吾輩の準備はもうできてるぞ!!」

 

 そのために、吾輩は3人の幼女達が来るのを今か今かと待ちわびている。

 ああ、早く来ないかなあ~。

 

 

*     *     *

 

 

「えっ、ルウィーには行かないの?」

 

 ラステイションとリーンボックスを巡ってお菓子を貰ってきたボク達は今プラネテューヌに来ていた。

 そして、お兄さんが住んでいるアパートに向かう途中でラムちゃんが言った言葉にボクは驚いてしまう。

 

「そうよ。今日はみんなで夢人の所に泊るの。ちゃんとお姉ちゃんやミナちゃんの許可は貰ってあるわよ」

 

「ネプギアちゃんやユニちゃんにナナハちゃんも、もう待ってるよ(わくわく)」

 

 まさかお兄さんのアパートで泊ることになるなんて思わなかったボクは本当に驚いてしまった。

 でも、確かお兄さんが住むまではオンボロだったから、そんなに大勢で押し掛けても泊れないんじゃないかな?

 

「夢人が使っている部屋以外も一応使えるみたいだし、久しぶりにみんなで会ってパーティーしようってことになってるのよ」

 

「……でも、ボク全然そんなこと聞いてなかったんだけど?」

 

 楽しそうにパーティーのことを話すラムちゃんの気持ちとは真逆に、ボクはちょっとだけお兄さんのことを考えて怒りが湧いてくる。

 

 そう言うことなら、ちゃんとボクにも言っておいて欲しかったなあ。

 わざわざ内緒にしなくてもいいのに……

 

「ふふーん、だったら、わたし達で夢人に思いっきりイタズラしちゃおうよ」

 

「うん、フェル君にちゃんと教えなかったからお仕置きしちゃおう(にこにこ)」

 

 不機嫌になっているボクに、ラムちゃんとロムちゃんが今日1番の笑顔で提案してきた。

 

 悪戯をすると言っているけど、多分お兄さんにもっと構って欲しいって言うのが2人の本音だと思う。

 ――でも、ロムちゃんの言う通りだよね。

 ボクに黙っていたお兄さんにはちょっと痛い目をみた方がいいかもしれない。

 

「そうだね。思いっきり飛び付くのはどうかな?」

 

 お兄さんにする悪戯を考えて、ボクは顔を綻ばせた。

 

 ……天国にいる父さんと母さん。

 普通とは違うボクだけど、今こうして一緒に笑いあえる人達がちゃんとできたよ。

 だから、今度島に帰った時に報告するね。

 色々と騒がしいことも多いけど、ボクは幸せですって。

 

 

*     *     *

 

 

「ところで、アカリちゃんは何の仮装をしているの?」

 

「ぎあらす!!」

 

 ……ぎあらすって何だろう?




という訳で、今回はここまで!
去年できなかったハロウィンネタを今年はしたいと衝動に駆られてしまいました。
遅くなっている本編ですけど、多分明日には投稿できそうです。
それでは、次回の投稿をお楽しみに!
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