超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編 作:ホタチ丸
今日はクリスマスイブ!
というころで、以前告知しましたクリスマス記念作品の前編です。
それでは、 クリスマスプレゼントは何がいい? はじまります
クリスマスプレゼントは何がいい?
「パパー! はやくはやくー! ――うにゅっ!?」
アカリが振り返りながら俺を呼んでくる。
歩けるようになったからと言っても、未だに覚束ない足取りで後ろ向きに歩くのは危険だ。
俺がそんなことを思っているうちに、アカリは尻餅をついてしまう。
「っと、大丈夫か? 痛いところないか?」
「……うにゅぅ」
抱き上げながら尋ねると、アカリは不服そうに唸り声をあげる。
すると、身をよじって俺から離れようとしてくる。
「じぶんであるくー! だっこ、いやー!」
「わかったわかった。それじゃ、今度は一緒に手を繋いで歩こうな?」
「うにゅ!」
娘の成長と我がままに少しだけ寂しさを感じつつも、俺の頬は嬉しさに緩んでしまう。
世のお父さん方も同じ気持ちを味わっているんだろうか。
ゆっくりとアカリを下ろし、俺はその手を軽く握る。
すると、アカリは満面の笑みを浮かべて頷いてくれた。
俺達が今いる場所は、プラネテューヌのハネダシティ。
巨大なショッピングモールは今、クリスマス1色に染まっていた。
来るクリスマスまで後わずかのこの時期、俺はアカリのクリスマスプレゼントを探しに来ていた。
一緒にショッピングモールを巡り、アカリが欲しがったものを後で買う予定だ。
……そのお金が全てネプギア持ちなのが悲しい。
ちくしょう、情けなくて涙が出てきそうだ。
「パパ?」
「……え、あ、ああ、どうかしたのか?」
自分が収入ゼロのニートなことに絶望を感じていると、アカリが不思議そうに俺を見上げていた。
呼ばれたことでようやく正気に戻った俺が尋ねると、アカリはきょとんとした顔で飾ってあるクリスマスツリーを指さしながら口を開く。
「アレ、なに?」
「アレはクリスマスツリーって言ってな。クリスマスの日に飾る木だよ」
「クリチュマチュ?」
名前を聞いてもピンとこない様子のアカリは、俺が言った言葉を繰り返すことしかできなかった。
未だに舌ったらずなせいで上手く発音ができないアカリに苦笑しながら、俺はクリスマスについて説明する。
「1年に1度、サンタさんって人がいい子にしている子ども達にプレゼントを配る日なんだ」
「しゃんたさん? わたしもプレゼントもらえる?」
「ああ、もちろんさ……それで、アカリはどんなプレゼントが欲しい?」
首を傾げながらクリスマスツリーから目を離さないアカリに、俺は今日の目的をさりげなく聞いてみる。
すると、アカリは振り向くと同時にパアッと表情を明るくさせて俺に言ってくる。
「フィーナちゃん!!」
「……はい?」
「わたし、しゃんたさんにフィーナちゃんをもらう!!」
――さすがにそのプレゼントは本物のサンタでも無理だろうな。
* * *
「……と言うわけなんだ。アカリのために、どうか協力してくれないか?」
「それは別にいいんだけど……どうしてこのメンバーなの?」
事の経緯を話しながら頭を下げて頼みこんでくる夢人に、私は不満に顔を歪めながら尋ねた。
別に頼ってくれるのは構わない。
だけど、どうしてもこの場に集められたメンバーが今の話に繋がるのかが分からない。
……というより、クリスマスにフィーナが欲しいなんて言うアカリも大概よね。
ネプギアじゃなくてネプテューヌに似たんじゃないのかしら?
まあ、関係図的には間違いなく遺伝よね。
大物って言うより、欲望に素直ってところが。
「そうだねー。わたしとノワール、それにチカさんなんて珍しい組み合わせだと思うんだけど」
「まったく、その通りよ」
ネプテューヌとリーンボックスの教祖も私と同意見のようだ。
――そう、夢人に集められたのは私達3人だけ。
しかも、私は突然やって来たネプテューヌと夢人に無理やり付き合わされてリーンボックスまで連れて来られてしまった。
だから、いくらアカリのためと言われても、なんで私達なのかの理由を夢人にはちゃんと話して欲しい。
まあネプテューヌは別として、それは突然の来訪に顔をしかめているリーンボックスの教祖も同じだと思う。
「それにはちょっと訳があってな。色々考えたら、3人に頼むしかないと思ったんだ」
「ふーん、それでアタクシ達に何をして欲しいの?」
「えっと、まずチカさんにはワンダーの中に記録されているフィーナの音声データをまとめて欲しいんです」
「音声データ?」
私達の質問に、夢人は頬を掻きながら答える。
リーンボックスの教祖が具体的なことを聞くと、夢人は意味のわからない要求を出す。
「はい、実はプレゼントを人形にしようと思っているんです。人形って言っても、小さいフェルトで作ったキーホルダーみたいな感じで押すと声が出るようにしたいんで……」
「ああ、だいたいイメージできたわ。つまり、音源と人形の中に入れる装置を作って欲しいってわけね?」
「ええ、お願いできますか?」
指で人型を宙に描いて、夢人は言葉を選びながらリーンボックスの教祖に説明する。
その意味合いを汲み取ったリーンボックスの教祖が確認すると、夢人は不安そうに表情を曇らせる。
すると、リーンボックスの教祖はため息をついてしまう。
「はあ、別に構わないわよ。そんな手間のかかるものでもないし、ワンダーの発声機構の余りで作れそうだから」
「それじゃ!」
「ええ、引き受けてあげるわ――ただし!」
話がまとまりかけて嬉しそうにする夢人を止め、リーンボックスの教祖は真剣な顔で口を開く。
「クリスマスにはちゃんとナナハとの時間を作りなさい! それが条件よ!」
「えっ、それは……」
「いいわね?」
「……はい」
突き付けられた条件に夢人が戸惑っていると、リーンボックスの教祖は有無を言わせぬ迫力で押し切ろうとした。
頷くことしかできなくなった夢人を尻目に、リーンボックスの教祖は楽しげな様子で口元を緩める。
「それじゃ、早速作ってくるわ。約束はちゃんと守りなさいよ?」
「……わかりました」
「あっ、それとアタクシはナナハに何も言わないから、ちゃんとアナタから誘ってあげるのよ? よろしくね」
「え、ちょっ、それは……!?」
言うだけ言うと、リーンボックスの教祖は今にもスキップをしそうなくらい軽やかな足取りで部屋を後にしてしまった。
慌てて止めようとした夢人の声に耳をかさずに。
……なるほど、ナナハの恋を後押ししようって魂胆ね。
確かに、私も姉として妹の恋を応援した言って気持ちはよくわかる。
誰だって、可愛い妹に失恋の悲しみを味わわせたいとは思わないもの。
それなら、私もユニのために一肌脱ぎますか。
「ほら、いつまでもそうしているんじゃないわよ。それで、私は人形作りのために何をすればいいの?」
「あ、ああ、それは……」
頭を抱える夢人に声をかけ、私は話を進めさせる。
おそらく……と言うより、確実にネプギアとクリスマスを過ごしたいと思っていただろう夢人には悪いけど。
まあ、私への頼みはだいたい予想できるわ。
多分“人形作りを教えて欲しい”ってところかしらね。
人形作りはしたことないけど、衣装に合わせる小物作りなら得意だし、それなら夢人に教えるくらい……
「――ゴスロリ衣装を貸して欲しいんだ」
「ブホッ!?」
あまりにも予想外の頼みごとに、私は思わず噴き出してしまった。
そして、おぞましいものを見るような目で夢人を見ながら、私は後ずさる。
いやいやいや、ゴスロリ衣装を貸して欲しいって、なんでなのよ!?
っ、まさか自分で着る気じゃ……っ!?
「か、勘違いするなよ!? 着るのはネプテューヌだ!?」
「え、わたし!?」
嫌過ぎる予感に背筋が凍る思いをしていると、夢人は慌てて弁明をした。
だが、その発言はネプテューヌも初耳のようで驚いている。
「そうだ! もしもアカリが人形で満足しなかったら、クリスマスの夜にアカリの枕元でネプテューヌには『変身』した姿でフィーナの真似をしてもらいたいんだ!」
「……それ、ちょっと怖くない? アカリちゃん、泣き出しちゃいそうなんだけど?」
枕元にゴスロリ衣装を着たネプテューヌ……うん、私もちょっとした恐怖演出だと思うわ。
時期が違えば、本当に化けて出たみたいに思えるわよ。
「だけど、それくらいしか思いつかないんだ。何とかやってもらえないか?」
「うーん、いくらアカリちゃんのためとはいえ、フィーナちゃんの真似をすると思うとなあ」
頼み込む夢人に、ネプテューヌは珍しく悩むような態度を見せた。
人の真似をするってことよりも、ネプテューヌとしてはフィーナの真似をするってことに抵抗があるんだと思う。
なにせフィーナはネプテューヌの妹であるネプギアの娘、つまり姪なのだ。
姪の真似をしろと言われる叔母の気持ち……私にはまったくわからない心境だが、確かに素直に頷けないのもわかる。
「――頼みを聞いてくれたら、ネプテューヌが俺の家を仕事のサボり場にしていることをイストワ―ルさんに言わないで……」
「任せてよ!! バッチリフィーナちゃんになりきってみせるからね!!」
……最低な交渉風景を見たような気がするわ。
と言うより、ネプテューヌは本当に真面目に働きなさいよ。
毎回説教をしているイストワ―ルが可哀想に思えてくるわ。
「はあ、それじゃ女神化したネプテューヌの用のゴスロリ衣装を用意しておけばいいのね?」
「ああ、よろしく頼む」
「わかったわよ」
情けない理由で脅迫されたネプテューヌのことを思ってため息をついてしまった。
続けて確認するように尋ねると、夢人は笑って答える。
何だか妙に疲れを感じてしまい、私は額を押さえながら再びため息を漏らしてしまう。
……さて、今ある衣装の中で女神化したネプテューヌが着れるゴスロリ服ってあったかしら?
体型はだいたい私と同じくらいだし、新しく作り直す必要もないはず。
後は確か細かいところを直して――あっ。
「ねえ、夢人。それよりももっといい方法があると思うわ」
自室のクローゼットの中身を思い出しながらネプテューヌのコーディネートを考えている途中で、私はとあることを思いついた。
夢人の考えている計画よりもいいと思い、私は少しだけ胸を張りながら提案する。
……クリスマス、アカリがフィーナに会うための奇跡を叶えるために。
という訳で、今回はここまで!
まあ、今回は導入ですよ。
後編は明日、クリスマス当日に投稿します。
後、最近本編がシリアス続き出したので、去年みたいな甘い話を投稿したいと思います。
誰がメインかは投稿してからのお楽しみということで。
それでは、 次回をお楽しみに!