超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
今回はクリスマス記念の後編になります。
メインとして公言していなかった2人が出ていますけど、お気になさらずに。
それでは、 プレゼントを君に はじまります


プレゼントを君に

 アタクシは部屋から出た後、早速夢人に頼まれた音源と発声装置の製作に取り掛かった。

 装置自体の開発は簡単だ。

 ワンダーの発声装置を小型化すればいいだけなんだから。

 仕組みは既にできているので、後は組み立てるだけ。

 問題は音源の方なんだけど……

 

「……うーん、さすがにこれを入れるわけにはいかないわよね」

 

 ワンダーから抽出したフィーナの音声データをまとめようとして、アタクシは頭を悩ませてしまう。

 フィーナの音声データがないわけではない。

 記録されていたのだが……

 

〔ようこそ、待っていたわ……オリジナル〕

 

〔今度こそ確実に殺してあ・げ・る〕

 

〔うふ、うふふふふふふ〕

 

〔アハハハハハハ!! どうしたのどうしたの!! 私を止めるんじゃなかったの!!〕

 

〔その枷、今すぐ外してあげるわ!!〕

 

 ――スピーカーから流れるフィーナの声が部屋に響く。

 先程ワンダーに記録されていた音声データの中で無事だったものを復元した結果である。

 ギョウカイ墓場でフィーナと接触した時、ワンダーは一時的に機能を停止してしまったらしく、音声データにも乱れが生じていた。

 それを修復して再生して、何とかまとめた結果が今現在スピーカーから流れるフィーナの声である。

 

 さすがにこれを人形には入れられないわよね。

 こんなことをしゃべりだす人形なんて、誰も欲しいとは思わない。

 いくらフィーナの声と言っても、アカリも泣き出しちゃうんじゃないかしら?

 この時はまだ仲違いしていたせいでこんなことを言っているけど、最終的にはちゃんと4人で家族になれたらしいし……

 

「うーん、どうしようかしらね?」

 

 実際音声データが手に入らない限り、アタクシには打つ手がない。

 もっと音声データのバリエーションがなければ、アカリが喜びそうな音源を作れそうにないから。

 いくらかは調整できるけど、やっぱり加工しない方がクリアに聞こえる。

 アタクシにはこれくらいしかできないけど、まあできる限りのことはしてあげたいからね。

 でもそうなると、やっぱりギョウカイ墓場にいるエヴァにデータをもらう方がいいのだろう。

 しかし、いくら平和になったからと言って、気軽に行けるような場所じゃない。

 今でもギョウカイ墓場への道はプラネテューヌの教会だけ。

 もしくはワンダーを使う以外に方法はない。

 ……仕方ないわね。

 ナナハとの時間を確約してもらうためにも、アタクシがワンダーでギョウカイ墓場に行くしかないわね。

 

「失礼する。報告書の提出に――むっ? どこかに出かけるのか?」

 

 アタクシが行動を起こそうとした時、ノックと共にジャッジが数枚の書類を持って入室してきた。

 

「ええ、ちょっと野暮用があってね。書類なら、そこに置いて……」

 

〔うふふ、あなたって本当にドMなのね。大人しくして私に全部くれれば、すぐに楽になるって言うのに〕

 

「あっ、その前に電源切らないと……っ!?」

 

 ジャッジに事情を説明しようとしたが、スピーカーから流れてくるフィーナの声に遮られてしまった。

 電源を切るのを忘れていたことに恥ずかしさを感じながら、アタクシは音声データをまとめていたPCを閉じようとする。

 だが、マウスに伸ばした手はジャッジによって止められてしまう。

 急に手首を握られて驚いてしまい、アタクシは大きく目を見開きながらジャッジへと顔を向ける。

 そこには真剣な表情でPCの画面を凝視するジャッジがいた。

 

「今の声はフィーナ様だな。貴様はこれで何をしようとしていた?」

 

「アカリのクリスマスプレゼントに使うだけよ。夢人に声が出る人形をプレゼントしたいから、音源を作ってくれって頼まれたのよ」

 

「……なるほどな」

 

 アタクシの言葉に悩むような仕草をするジャッジ。

 すると、徐に作業着のポケットから1枚のディスクを取り出した。

 そのディスクは丁寧にもレーベル印刷がされており、タイトルは“フィーナちゃんの華麗なる日々(はーとまーく)~かりちゅまでいずPart1~”となって……

 

「……一応聞いておくけど、これはいったい何かしら?」

 

「フィーナ様の日常風景を撮影したものだ。よければこれを使ってくれ。それで足りなければ、他のも貸そう」

 

 人差し指を唇に添えてウインクをするフィーナの顔写真が印刷されているディスクを前にして、アタクシは本気でジャッジの人間性を疑ってしまった。

 いや、元々ジャッジが人間ってカテゴリに当てはまるかどうかは分からないのだが……

 少なくともジャッジはトリックよりも人間性に優れていると思っていたのに。

 

「……ありがたく使わせてもらうわ」

 

「そうか。では、オレも用事ができたので失礼する」

 

 そう言って退室するジャッジを呆然と見送ると、アタクシは何故だかドッと疲れが出てしまい、思わず椅子の背もたれに思いっきりもたれかかってしまった。

 

 ――真面目に仕事ができる奴だと思ってたんだけどなあ。

 

 

*     *     *

 

 

「……こちらネプテューヌ。こちらネプテューヌ。本部、応答せよ。本部、応答せよ」

 

〔ふざけてないで、真面目にやりなさいよ〕

 

 Nギアをトランシーバーに見せかけてスニーキングミッションごっこをしているわたしに、ノワールが軽くお説教をする。

 いやまあ、割りと本気で緊張してるんだよね。

 ふざけてないとこの空気に耐えられないって。

 

 ――今、時刻は深夜。

 ゆっくんからアカリちゃんのクリスマスプレゼントの頼みごとを受けてから数日、今日ついに当日を迎えた。

 夕方から皆で集まってギョウカイ墓場で楽しくパーティーをした後、わたしとノワールはゆっくんに協力するために帰る振りをしてスタンバってたんだけど、予想外の事態が起きてしまった。

 

【きょうは3人でねよう!】

 

 アカリちゃんがネプギアとゆっくんと一緒に寝ると我がままを言いだしてしまったのだ。

 本当ならアカリちゃんがネプギアと寝ている隙に、ゆっくんが用意しておいたプレゼントを枕元にそっと置いておくはずだった。

 しかし、アカリちゃんの我がままにより、ゆっくんが行動不能状態になってしまったため、急遽仕方なくわたしが代理サンタをすることになってしまった。

 ……理由は、わたしがプレゼントの用意にまったく関われなかったから。

 ノワールはそんなわたしに付き合って残ってくれているだけ。

 

〔気付かれないように注意しなさいよ。ここまでやっておいて失敗なんて真似したら、ただじゃおかないわよ〕

 

「分かってる分かってる。もしもの時のために、バッチリ変装もしてあるから大丈夫だって」

 

 心配するノワールに、わたしは努めて明るく返事をする。

 今のわたしの格好は、どこからどう見てもサンタクロースそのもの。

 裾の白い赤い上着とズボン、黒いベルトにとんがり帽子、極めつけにもじゃもじゃしている付けひげまでセットしている。

 これならアカリちゃんの夢も壊す心配はない。

 何故なら、今日はわたしがサンタクロースなんだから。

 

「……でさ、ノワール」

 

〔……何よ?〕

 

「――わたしは何時になったら部屋に入れるのかな?」

 

 クリスマスプレゼントも変装もバッチリなわたしだったけど、今は何故か廊下で膝を抱えて座っている。

 実はもうネプギア達の寝ている部屋の前にいるんだよね。

 後はアカリちゃんが寝静まった頃合いを見計らってプレゼントを置いて撤収するだけだったんだけど……

 

〔あ、あのさ、アカリ? パパ、そろそろママに縛ってもらいたいんだけど……〕

 

〔やーだ!! きょうはずっとてつなぐー!!〕

 

 ……寄りかかっている扉の向こうから聞こえてくるゆっくんとアカリちゃんの声に入れずにいるんだよね。

 クリスマスパーティーで大はしゃぎだったアカリちゃんはすぐに眠ってくれると思ってたんだけどなあ。

 

〔いや、でもさ、パパは縛られてないと眠れな……〕

 

〔あ、あの、わ、私は別に気にしませんよ?〕

 

〔……へっ?〕

 

〔だ、だから、そ、その……きょ、今日はこのまま一緒に寝ても……〕

 

 ごめん、ネプギア。

 わたし、余計に入り辛くなっちゃったよ。

 別に頑張るのはいいんだよ?

 クリスマスだし、特別な日だしさ。

 でも、できればわたしが扉の前にいない時にして欲しかった。

 ここでわたしが部屋に突入したら、滅茶苦茶空気読めない女になっちゃうじゃん。

 このままそっとしておいた方がいいんじゃないのかな?

 

〔うにゅっ!!〕

 

〔んがっ!?〕

 

〔夢人さん!?〕

 

 わたしがプレゼントを枕元ではなく、扉の前に置いて立ち去ろうとした瞬間、部屋の中から何か重いものが落ちるような音がした。

 続けて聞こえてきたネプギアの悲鳴にも似た声に、わたしは思わず扉を蹴破ってしまう。

 

「ネプギア!! どうしたの!!」

 

「お、お姉ちゃん? そ、それが……」

 

 突然入って来たわたしに驚きながらも、ネプギアは音の原因を指さす。

 そこにはベッドから転げ落ちたゆっくんとアカリちゃんがいた。

 2人のおでこは何故か赤くなっている。

 

「えっと、これはどう言う状況なの?」

 

「私もよくわからないんだけど、アカリちゃんが急に夢人さんに頭突きをして……」

 

「頭突き?」

 

 戸惑いながら尋ねると、ネプギアもよくわからないようで見たまんまを説明してくれた。

 頭突きって、どうして急に?

 アカリちゃん、パーティーでの興奮が収まらなかったのかな?

 

「とりあえず、今のうちにクリスマスプレゼントを渡しちゃおう。ネプギアも手伝って」

 

「う、うん」

 

 何はともあれ、アカリちゃんが眠って――いや、気絶しているのをチャンスだと思い、わたしは用意しておいたプレゼントを使おうとする。

 突然の事態について来れず固まっているネプギアにも声をかけ、わたしはベッドから落ちたゆっくんの胸の上にいるアカリちゃんを優しく抱きあげる。

 

「えへへへ~……まってよ~……フィーナちゃん~」

 

 頬をだらしなく緩めたアカリちゃんが呟く寝言に、わたしもネプギアもほっこりしてしまう。

 夢の中で会えたみたいでよかった。

 さて、それじゃ、ネプテューヌサンタのクリスマスプレゼントもちゃんとアカリちゃんに届けなくちゃね。

 

 

*     *     *

 

 

「……う、うにゅぅ? フィーナちゃん、どこ?」

 

 寝惚け眼を擦りながら、アカリは周りを見渡す。

 しかし、アカリの目に映るのは自分を抱きしめて眠るネプギアだけ。

 アカリはむずむずと動きながらネプギアの腕から抜けだそうとする。

 

「う、うーん……あっ、起きたんだ。おはよう、アカリちゃん」

 

「おひゃよう、ママ……ふわぁ」

 

 その振動によって起こされたネプギアは、柔らかくほほ笑みながらアカリに挨拶をした。

 アカリも挨拶を返そうとするのだが、完全に眠気が抜けきっておらず、大きなあくびをしてしまう。

 

「ふふ、ほら、サンタさんからプレゼントが届いているよ」

 

「っ、しゃんたさん!? フィーナちゃんはどこ!?」

 

 その仕草が可愛らしく思え、ネプギアは笑みを深めてアカリを抱き起こす。

 すると、アカリは一気に眠気が吹き飛んだようで慌てて周りを見渡した。

 

「ほら、ここだよ」

 

「……うにゅ?」

 

 騒ぐアカリに、ネプギアは手鏡を渡す。

 言われた通り、アカリは手鏡を覗き込むのだが、すぐに首を傾げてしまう。

 何故なら、そこに映っているのは就寝前にパジャマに着替えたアカリではなく、ゴスロリ衣装を身に纏ったアカリがそこにいたのだ。

 

 ――ノワールの提案は、アカリにフィーナの服をプレゼントすることであった。

 身長や髪の長さは異なるが、同じネプギアを基にして生まれた『再誕』の女神であるアカリとフィーナはそっくりである。

 女神化したネプテューヌがフィーナの真似をするよりも、アカリの方が似ているのだ。

 

「フィーナちゃんとお揃いの服をサンタさんがプレゼントしてくれたんだよ? よかったね」

 

「おそろい……わたし、フィーナちゃんとおそろい!!」

 

 きょとんとした表情で鏡に映っている自分を見つめているアカリに、ネプギアは優しくささやいた。

 すると、アカリは嬉しそうにはにかむ。

 そんなアカリに、ネプギアはもう1つのプレゼントを手渡す。

 

「ほら、これもね」

 

「わああ!!」

 

 手のひらに乗せられた人形に、アカリはさらに喜ぶ。

 それはフェルトで出来たフィーナの人形であった。

 決して上手くない手作り感が出ているそれは、夢人がこの日のために自作したプレゼントだった。

 

「しゃんたさん!! ありがとう!!」

 

〔ホットケーキ!!〕

 

 感極まった様子でサンタへのお礼を口にするアカリの顔には満面の笑みが浮かべられていた。

 同時に強く握った人形からは、アカリとフィーナの大好物の名前が飛び出す。

 ……それは紛れもなくフィーナの声であった。




という訳で、今回はここまで!
このまま甘い話を……っと思ったんですけど、年末思ったよりも執筆に時間が取れないです。
明日も朝から大掃除ですよ。
申し訳ございませんが、勝手ながら甘い話は大晦日にさせていただきます。
本当にごめんなさい。
明日からは通常通り本編の続きを投稿していく予定です。
それでは、次回をお楽しみに!
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