超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編 作:ホタチ丸
1日遅くなりましたけど、予告通りバレンタイン記念の特別編を投稿いたします。
それでは、 伝えたい思いを形にして はじまります
2月14日。
カレンダーを見れば、特別な記念日になっているわけではない普通の1日。
私達女の子――特に、恋をしている女の子にとってはとても大切な1日に変わります。
敢えて名前をつけるなら、恋の記念日かな。
「……ちょっと恥ずかしいけどね」
「どうかしたのか?」
「い、いえ!? 何でもないですよ!?」
「そ、そうなのか」
頭に思い浮かんだフレーズに照れていると、私は独り言をこぼしてしまった。
しかも、それを夢人さんに聞かれてしまったらしく、私は慌ててしまう。
「それならいいんだけどさ」
「は、はい、大丈夫です」
それを最後に、私達の間に会話はなくなってしまった。
気まずそうに頬を掻く夢人さんと、緊張のあまりカチコチになってしまった私。
話したいことはたくさんあるし、渡さなきゃいけない物もちゃんと用意しているのに、私の体は動いてくれない。
本日、2月14日。
バレンタインデー当日に好きな人と2人っきりで一緒に過ごしている私の気持ちを言葉にするならば……
――誰か助けてー!?
* * *
……こんな状況になったのには理由がある。
事の発端は、私が夢人さんに渡すバレンタインデーのチョコを作り終えた昨日のことだった。
「ネプギアには積極性が足りないんだよ!」
「お姉ちゃん? 急にどうしたの?」
ラッピングも終え、明日チョコレートを夢人さんに渡すのを楽しみにしていると、急にお姉ちゃんがわたしのことを指さして言ってきた。
……後、口元にさっきまで食べてたチョコがついているよ?
「だから、ネプギアはもっと積極的になってもいいんじゃないかってことだよ! それって明日のバレンタインデーにゆっくんに渡すチョコでしょ?」
「うん、そうだけど、味の方はどうだったかな?」
「もちろん、美味しかったよ! いやあ、ネプギアも料理が大分上手くなってきたよね。去年はチョコを焦がしちゃって、渡そうかどうかをすっごく悩んでいたって言うのに……」
「わーわーわー!? あの時のことは言わないでよ!?」
去年のバレンタインのことを思い出すと、今でも顔から火が出るくらい恥ずかしい。
チョコを作るのも渡すのも失敗しちゃったんだよね。
あの時は夢人さんが私のチョコを欲しいって言ってくれなかったら、きっと渡せなかったと思う。
「って、そうじゃないよ! ネプギア、まさかチョコを渡すだけで終わらせるつもりじゃないよね?」
「え、えーっと、それは……」
「あー、やっぱり。もー、ネプギアはゆっくんの気持ちを知っているんでしょ? だったら、ちゃんとネプギアもゆっくんに好きって伝えないと、いつまで経ってもこのままだよ?」
「それはそうだけど……でも……」
お姉ちゃんの指摘に、私は俯いて言い淀んでしまう。
……私だって、出来ることなら夢人さんにちゃんと気持ちを告白したいよ。
でも、いざ伝えようと思っても、どう言う風に告白すればいいのか分からないんだよ!?
夢人さんが教会から出て行ってからはなかなか会う機会がないし、会ったとしてもアカリちゃんと一緒なんだよ!?
それに今は就職活動で忙しいし、邪魔をしたくないって気持ちもある。
――うん、そうだよ!
夢人さんの就職が決まってから告白すればいいんだよね!?
それまでにどう言う風に告白すればいいのか考えればいいんだし、明日はチョコを渡すだけでいいよね!?
「もー、そんなんじゃ、ゆっくんの気持ちが変わっちゃうかもしれないよ。ネプギアはゆっくんがナナハちゃん達の内の誰かと恋人になってもいいの?」
「それは……嫌、だけど……」
「だったら、勇気出さなきゃ! ――よし、明日チョコを渡す時にゆっくんに告白してきちゃいなよ!」
「え、えええええー!?」
夢人さんの告白について先送りにすると決めたばかりなのに、お姉ちゃんは私に明日気持ちを伝えるように言ってきた。
確かに、バレンタインは告白するのには打って付けなのかもしれない。
でも、そんなことを急に言われても困ってしまう。
「無理無理無理だよー!? まだ心の準備が……」
「そんなこと言って、このままズルズルと問題を先送りにする気でしょ? こう言うのはタイミングが大事なんだから、明日を逃したらもう2度とチャンスは来ないんだよ」
お姉ちゃんの言っていることは理解できるけど、そんなに簡単には決められないよ!?
だって、告白だよ!?
“好きです”って言うのは簡単かもしれないけど、相手は夢人さんなんだよ!?
想像するだけで頭が真っ白になって何って言ったらいいか分からなくなっちゃうよ!?
「とにかく、明日はチャンスなんだから頑張ってきなよ。分かった?」
「う、うん、頑張ってくるよ」
結局、私はお姉ちゃんに押し切られ頷いてしまった。
……その夜、私はベッドに横になってもなかなか眠れず、悶々と夢人さんに告白をする自分の姿を思い描いてしまいました。
* * *
2月14日、バレンタイン当日。
去年の事を思い出して、今年もネプギア達からチョコを貰えるかなって思っていた矢先だった。
俺が履歴書を作成していると、ネプギアが家にやってきました。
しかも、隠しているみたいだけど、丁寧にラッピングされている箱を持ってだ。
――つまり、ネプギアは俺にチョコを渡しに来てくれたんだ!
あまりの嬉しさにその場で飛び上がってしまいそうになったが、何とか堪えて俺はネプギアを部屋の中に案内した。
急いでテーブルの上の履歴書を片づけ、2人で向かい合うように座る。
……だけど、そこまでだった。
ネプギアはそわそわと落ち着きのない様子で俺の事をチラチラと見るだけで、一向にチョコを渡してくれる気配がない。
まさか俺からバレンタインの話題を振るわけにはいかないだろう。
だからと言って、せっかくネプギアと2人きりの状況で黙ったまま過ごすなんてもったいない。
よし、ここは場の空気を和ませるために無難な話題から会話を繋げていこう。
「きょ、今日はいい天気だよな」
「そ、そうですね。少し風は強いですけど、晴れてますから」
――絶望した!?
俺の会話の引き出しの少なさに絶望したよ!?
ってか、これ前にも同じことしたじゃん!?
あの時もここで会話が途切れてたよね!?
俺、まるで成長してないよ!?
「え、えっと、今日はアカリはいないんだな」
「はい、今日は、その……大事な用事がありまして……」
俺は諦めずにネプギアと会う時はいつも一緒にいるアカリがいないことを確認した。
すると、ネプギアはもじもじと上目遣いで俺を見つめてくる。
その仕草にドキッとしてしまい、俺は思わずバッとネプギアから顔を逸らしてしまう。
「そ、そうなのか!? そ、それで、その、用事って言うのは……」
「――コです」
声が上ずってしまったのが恥ずかしい。
自分でも顔が赤くなっているのが分かるくらいに頬が熱くなっている。
それでも俺は話題を続けようと、チラリとネプギアの方へと顔を戻す。
――そこには綺麗にラッピングされた箱を両手でぷるぷると震わせながら差し出すネプギアの姿があった。
「バレンタインチョコ、です。夢人さんに作ってきました」
「あ、ありがとう」
「い、いえ!? そんな大したものじゃありませんから!?」
「――ううん、ネプギアからのチョコ。すごく嬉しいよ」
ネプギアの言葉が聞こえるまで、俺は呼吸することも忘れてチョコの入った箱を見つめていた。
受け取る時も、緊張して手が震えてしまったくらいだ。
お礼を言って受け取ると、ネプギアは急に顔を上げてブンブンと首を横に振り始める。
そんなネプギアの仕草が可愛らしく見え、俺はにやけてしまう。
「なあ、今食べてもいいよな?」
「は、はい、どうぞ」
「うん。じゃあ、いただきます」
ネプギアからの了承を得て、俺は箱を開けた。
手作りなのだろう。
同じ丸い形をしているはずのチョコだけど、微妙に大きさが異なっている。
ネプギアが手作りでチョコを作ってくれたことに感激しつつ、俺は1つ掴んで口の中に放る。
「ど、どうですか?」
「――美味しい。美味しいよ」
「よかった……」
オドオドしながら俺にチョコの味を聞いてくるネプギアの瞳は不安そうに揺れていた。
俺が正直に笑って答えると、ネプギアは安心したように胸をなでおろす。
今日会ってから初めて表情を綻ばせ、本当に嬉しそうにするネプギアに俺の心臓は破裂寸前だ。
「あ、あの、夢人さん?」
「え、あ、どうかしたか?」
「い、いきなりこんな不躾な事を聞くのはどうかと思いますけど、その出来れば答えて欲しいなあって思うことがあったりしてですね、ちょっと聞いて欲しいんです」
「お、おう」
思わず見惚れてしまっていた俺はネプギアに呼ばれていることに気付かなかった。
変な顔を見られていないか不安になってしまう。
だが、ネプギアはそんな俺の不安などお構いなしに、顔を真っ赤にして一気にまくし立ててくる。
いきなりのことに驚きつつも、俺はネプギアからどんな質問が来ても答えられるように身構える。
「――その、迷惑じゃありませんか?」
「え、それってどう言う意味だ?」
「だから、迷惑じゃありませんでしたか? こんな急に押しかけて来ても、なかなか本題に入れなかった私のこと」
……その言葉に、俺はガツンと頭を叩かれたような気分になった。
チョコを貰って1人で舞い上がっていたけど、ネプギアはずっと不安だったに違いない。
その証拠にネプギアの声は涙ぐんでいるように聞こえる。
「黙ったままで夢人さんも気まずかったですよね。言い訳みたいですけど、本当はもっとちゃんと渡したかったんです。でも、なかなか言い出せなくて……」
「ネプギア」
「――あ、ああ、そうでした! 私、これからアカリちゃんにもチョコを渡しに行かないといけないので、これで失礼しま……」
「待ってくれ!」
「きゃあっ!?」
わざとらしくネプギアが不安を誤魔化しながら立ち去ろうとするのを見て、俺は衝動的に動いていた。
俺の横を通り過ぎようとするネプギアを背中から抱きしめたのだ。
右手をネプギアの左肩へ、左腕をおへその辺りに添える。
悲鳴を上げるが、ネプギアは俺の手を振り払おうとしない。
「迷惑じゃない。全然迷惑じゃないよ」
「……本当、ですか?」
「ああ、本当だ」
「本当の本当ですか?」
「本当の本当だって」
何度も確かめてくるネプギアに苦笑してしまう。
すると、ネプギアはそっと左肩に回していた手を取り、俺の方へと体を向ける。
ほんのりと染まった頬で俺の顔を見上げながら、ネプギアは口を開く。
「信じてもいいんですよね?」
「えっと、だったら、どうすれば信じてもらえるかな?」
「それは……私にも分からないですね」
ネプギアの言葉に、俺達はお互いに顔を見合わせて笑ってしまう。
完全に不安を取り除くことは出来なかっただろうけど、ネプギアが笑ってくれるだけで俺はよかったと思う。
そう考えると、少しだけ俺は欲が出てきた。
このままネプギアを抱きしめていたいと言う欲が……
「なあ、もう少しだけこのままでもいいかな?」
「――はい」
コテンッと俺の肩へと顔を埋めるように倒れてくるネプギアを優しく受け止める。
その背中に腕を回し、俺はギュッとネプギアを抱きしめた。
ネプギアも俺の背中へと腕を回しているおかげで、紫色の髪の毛からシャンプーの甘い香りが漂ってくる。
理性が崩れないように自制をしながら、俺はネプギアの温もりに改めて自分の気持ちを自覚させられる。
――ネプギアとこれからもずっと一緒にいたい、と。
という訳で、今回はここまで!
甘く、できたかなぁ?
後半とかチョコ関係なかったような気が……
本編での2人を踏襲すると、やっぱりここら辺が限度なのかもしれませんね。
まあ、この関係も今後の展開次第ってことで、どう変わっていくのかをお楽しみに。
それでは、次回をお楽しみに!