超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編 作:ホタチ丸
今日から更新が止まっていたユウ様とのコラボ話の続きを更新していきます。
それでは、 遅れてきた男達 はじまります
「うむ? 誰だ、貴様ら?」
私達が三毛猫がどこから来たんだろうかと思っていると、トリックさんの後ろから赤いドレスを着た女の子が走って来た。
その後ろからはさらに2人の女の子ともう1匹の猫、そして何故かスライヌの姿があった。
多分三毛猫の飼い主なんだろうけど、私達と同じでピクニックに来たのかな?
犯罪組織がなくなってからは結構モンスター達も大人しくなってきているし、私達のように街を離れて遊びに出ることも珍しくないからね。
「しゃべる……トカゲ!?」
「誰がトカゲだ!! 吾輩は全ての幼女達の味方であり紳士!! そこらにいるハ虫類と一緒にするでない、この年増が!!」
「なあっ!? だ、誰が年増よ!? 私はまだ15よ!!」
「ハッ、既にババアの領域ではないか。まったく、無駄に年をとっているだけの年増のくせに貴様は礼儀も知らないのか?」
「こ、の……っ!」
女の子が目を見開いて驚いていると、トリックさんが強い口調で言葉を訂正させようとした。
でも、トリックさんの悪い癖が出てしまったために女の子と言い合いになってしまう。
そして、鼻で笑うトリックさんに女の子は悔しそうに握りこぶしを作る。
……うん、これはトリックさんが悪いよね。
ただでさえトリックさんは見た目のインパクトが強いんだから、女の子のが驚くのも無理ないよ。
「どうどう、落ち着いて飛鳥」
「そうそう、クールダウンだよ」
「ぬら~」
「私は興奮している動物か!? それと、なんで私はそいつにまで宥められなくちゃいけないのよ!?」
後からやって来た女の子2人と何故か一緒にいたスライヌが、怒っている女の子を宥めようと声をかけた。
しかし、それは逆効果だったらしく女の子は2人とスライヌに怒鳴りだす。
「今のはトリックちゃんが悪い(めっ)」
「もー、楽しいピクニックで問題を起こすんじゃないわよ!」
「ぬ、ぬおっ!? だが、吾輩にも紳士としてのプライドが……」
「だったら、そのすぐに人を年増呼ばわりするのをやめなさいよ!」
一方で、こっちではロムちゃんとラムちゃん、それにユニちゃんがトリックさんを叱っていた。
さすがに居心地が悪くなったらしいトリックさんが言い淀む様子に、ユニちゃんは目を鋭くさせて睨みだす。
「いや、年増なことは事実であって、吾輩は何も間違ったことを言っては……」
「――はいはい、そこまで」
それでも譲れないトリックさんが言い返そうとすると、ナナハちゃんがユニちゃん達の間に割って入った。
呆れた様子でユニちゃん達とトリックさんを交互に見ると、ナナハちゃんはため息をつきながら口を開く。
「はあ、トリックの病気はいつものことなんだからユニ達も気にし過ぎだよ。それよりもそっちの人達のことを……」
「――ん? ちょっと待って」
ナナハちゃんがユニちゃん達を宥めながら話を進めようとすると、ファルコムさんが首を傾げながら声を出した。
そして、ゆっくりと赤いドレスの女の子に近づく。
「っ! やっぱり、飛鳥だよね! それに耀にエル!」
「っ、ファルコムさん!? なんであなたがここにいるのよ!?」
確かめるように目を細めていたファルコムさんだったけど、急に思い出したように女の子達の名前を呼んだ。
女の子達の方もファルコムさんの方を見て驚いたように目を見開かせる。
……あれ? もしかしてファルコムさんの知り合いなのかな?
* * *
「――とりあえず、その子達は別の世界から来たってことなの?」
「ええ、ファルコムさんの話が本当ならそう言うことになるわね」
疑っているように目を細める黒髪を2つに縛っている女の子――ユニさんって子の質問に私は頷いて答えた。
……正直ファルコムさんがいなければ、ここまでスムーズに話が進むことはなかったわ。
あのままだったら、絶対に私は人のことを年増扱いする変態トカゲを“ディーン”を呼び出してぶっ飛ばそうとしていたと思うもの。
「へえ、この子の名前はスライヌって言うんだ。でも、あまり犬っぽくないよね? むしろ、古いゲームとかに出てくる雑魚キャラのような……」
「まあ、確かに強くはないわよ。わたし、夢人以外でスライヌにやられている人を見たことがないもん」
「えっ、この子って人を襲うの!?」
私がファルコムさんの仲介でユニさんやネプギアさん、そしてナナハさんって子達と話を進めようとする傍ら、エルさんにラムちゃんが謎生物――スライヌのことを説明していた。
大人しく抱かれているスライヌが人を襲うことを知り、エルさんは大きく目を見開かせてしまう。
私も少しばかり聞こえてきた事実に耳を疑ってしまった。
――こんな強そうにも見えないへんてこな生物に勝てない人がいるってことに。
だって、手も足もない丸いお饅頭のような生物なのよ?
これでもし火を吹くとか、魔法を使うとか、体を自由自在に動かすとかなら、まだ何とか納得もできる。
でも、短い間で見た限りはスライヌにそう言う特殊な能力があるように見えない。
移動するにもぴょんぴょんと跳ねることしかできないのよ?
できて体ごとぶつかってきたり、噛みついてきたりするくらいじゃないの?
それなのにどうやったら負けるって言うのかしら?
「他にもこう言う子達っていっぱいいるの?」
「うん。おっきくて怖いのもいるけど、スライヌみたいなモンスターもたくさんいるよ(つんつん)」
「ぬら~」
春日部さんとロムさんも、エルさんやラムさんと一緒になってスライヌを囲んでいる。
しかし、ロムさんに指で突かれて満更でもない顔でいるスライヌに何故だか無性に腹が立つ。
こう、生理的にイラッとする感じよ。
「う、うーん……」
「どうかしたの?」
「このスライヌ、何だか見覚えが……」
「気のせいじゃないんですか? スライヌなら、今まで何匹も会って来たわけですし」
「だいたい、モンスターの見分けなんて付くわけないでしょ」
難しい顔でスライヌを見つめるネプギアさんに、ナナハさんが不思議そうに声をかけた。
フェル君に気のせいだと言われても悩むネプギアさんに、ユニさんは近づくとその額を軽く小突く。
「イタッ、ユニちゃん酷いよ」
「アンタが変なことを言い出すのがいけないんでしょうが……ところで、飛鳥でいいのよね? 飛鳥達はその箱庭って世界からゲイムギョウ界に来たの?」
小突かれた額を押さえながら上目遣いで睨むネプギアさんを無視して、ユニさんは私へと問いかけてきた。
異世界から来たって言った割には、やけにあっさりと納得されているのが気になる。
ファルコムさんがいるとしても、まるで異世界なんて創作物の中だけのような存在を当たり前のように受け入れているようにも思える。
「ちょっと人を探しててね。探している途中で変な“穴”みたいなものの中に入ったら、もうこの世界にいたわ」
「え、じゃあ、のんびりなんてしている暇は……」
「あー、別にいいのよ。見つけたところで、素直に連れ戻せるなんて思ってないから」
「へ?」
特に隠すようなことでもないので、私はこの世界に辿りついた経緯を簡単に説明する。
それを聞いたネプギアさんが心配そうな声を出すけど、私は適当に脱力しながら手のひらを振る。
「いなくなったのはいつもの病気みたいなものだし、満足するか、つまらなくなったら適当に帰ってくるような奴よ。まあ、心配しても無駄ってことね」
「え、え、え? それじゃ、飛鳥さん達はどうしてその“穴”の中に入ったんですか?」
「面白そうだから」
驚いて固まっているネプギアさんに、私は心配する必要がないってことを伝える。
ネプギアさんって、結構まじめな子みたいだから理解できないのかな?
目的よりも自分の楽しみを優先することが。
* * *
「結構、遅くなっちまったな」
「ぶー、パパがおそいからママにおいていかれた」
「ごめんごめんって」
腕時計で時間を確認しながら呟くと、肩車をしているアカリがポカポカと頭を叩いてくる。
あははと誤魔化しながら謝るけど、なかなか叩くのをやめてくれない。
ギョウカイ墓場にアカリを迎えに行ったあと、俺達はプラネテューヌからの定期船に乗って今ようやくリーンボックスに着いた。
最初はワンダーで迎えに行くことも考えたのだが、メンテナンスだとチカさんに言われて断念。
そもそもアカリが前までのように俺の体の中に入れない以上、2人でワンダーのワープを使うわけにはいかなかった。
仕方なく、イストワ―ルさんにプラネテューヌにある転送装置を起動してもらい、アカリを迎えに行ったのだ。
……本当、忙しいところにすいませんでした。
「それにしても、何だか今日は人が多いな。何かあるのか?」
「うにゅ……あっ! パパ! あっちあっち!」
無事にリーンボックスに辿りついたのはいいけど、あまりの人の多さに俺は疑問を感じた。
肩車をしているのも、アカリが勝手にトコトコと歩いてはぐれてしまわないようにするためだ。
すると、アカリが急に俺の頭を叩きながら大声を出す。
「あっち? あっちに何かあるのか?」
少し視線を上に向けてみると、アカリがとある方向を指さしていた。
俺の視線の高さでは何があるのか分からないけど、肩車をしているアカリには何か見えているのだろう。
「少し見に行ってみるか?」
「うん!」
俺はアカリが何に興奮しているのかに興味を覚え、ちょっとした寄り道を提案してみる。
すると、アカリは嬉しそうに頬を緩めて頷く。
アカリの了承も得たことだし、ネプギア達には悪いけど、俺達はちょっとこの人だかりの理由を探るために行動を開始した。
* * *
人の流れもスムーズであったため、程なくして俺達はこの人だかりができている原因を知ることができた。
「えっと、のど自慢大会?」
着いた場所――野外のコンサートスタジオにでかでかと貼られた看板をそのまま読んでみたが、俺はいまいちピンとこない。
のど自慢大会のこと自体は知っているけど、こんなに人が大勢集まるようなものなのか?
「夢人にアカリ? こんな所でどうしたの?」
肩車からアカリを抱っこに変えた俺が首を傾げていると、後ろから聞き覚えのある声がした。
振り向くと、そこにはリーンボックス特命課のケイブが少し驚いた顔で立っていた。
「あ、ケイブ。いや、人が集まってたから何をやってるんだろうなって思ってさ」
「でも、確かあなた達は今日ピクニックじゃなかったかしら? ナナハが楽しそうに話してくれたんだけど」
「俺はアカリの迎えに行ってて遅れたんだよ。そう言うケイブは特命課の仕事なのか?」
「ええ。こののど自慢大会の警備をしているわ」
ケイブと久しぶりに会えて嬉しく思い、俺の頬は自然と緩んでしまう。
就職活動中は滅多にプラネテューヌの外へは出かけないからな。
ケイブとも特命課の仕事でなかなか出会える機会もなかったし。
「そんなに大きな大会なのか?」
「大きな大会と言うよりも、審査員が5pb.とユピテルだから注目を浴びているわ。大会が終わった後、4人のライブにもなるし、それを目的に集まっている人もいるのよ」
「なるほどな」
ケイブの話に、俺は納得した。
5pb.とユピテルがいるなら、この人の多さも理解できる。
4人とも、今やゲイムギョウ界で知らない人はいないとまで言われるほどの歌い手だからな。
「それじゃこの人だかりの理由も分かったし、俺達はネプギア達の所に行くよ。警備の仕事、頑張れよ」
「ええ。あなた達も楽しんでくるといいわ」
「ああ。アカリもケイブに……」
「――ひったくりだー!!」
『っ!?』
俺がのど自慢大会の看板をキラキラした目で見つめていたアカリにケイブへ挨拶するように促そうとした時、人だかりの中から大きな声が聞こえてきた。
それを聞いたケイブの目は鋭くなり、すぐさま声がどこから聞こえてきたのかを確認しようとする。
「退け退け退け!! 邪魔だ!!」
幸いと言うべきか分からないが、人が多すぎたおかげでひったくり犯はすぐに見つかった。
ピンク色のポーチを大事そうに抱えたまま走って逃げようとしている。
ひったくり犯は大声を出して周りの人を押し退けながら逃げ出そうとしている。
周りの人達はひったくり犯の怒号と剣幕に押され、逆らわず道を開けてしまう。
このままでは逃げられてしまうと思ったその時、道のように開いた人ごみの間に1人の少年が躍り出る。
「退けって言ってんだろ!! 退かねえと痛い目を……」
「――へぇ、やれるもんならやってみろよっと!」
「ほげあっ!?」
少年はひったくり犯が自分に向かって拳を振り上げているのを見ると、にやりと獰猛な笑みを浮かべた。
少年はひったくり犯が拳を振り抜くよりも早く、自らの腕を振り上げていた。
すると、少年の拳が当たったようには見えなかったけど、ひったくり犯は体をくの字に曲げてゴロゴロと地面を転がってしまう。
あまりにも現実離れした光景に俺を含め見ていた全員が唖然としている中、少年はいつの間にかひったくり犯から奪い返していたポーチを手で弄りながら呟く。
「ったく、これから面白いことが起こりそうな予感がしたと思ったら、なんでこんなつまんねえことに出くわすかねえ? 俺への迷惑を考えろってんだ」
自分本位なことを言いながら、少年はつまらなそうに目を細めてあくびをしてしまう。
いったい、金髪の学生服を着ている彼は何者なんだろう?
という訳で、今回はここまで!
約5か月振りですよね。
随分とお待たせして申し訳ありませんでした。
それでは、次回以降の本格的な問題児達との交流パートをお楽しみに!