超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
随分と間があいてしまい、申し訳ございませんでした。
久しぶりにPSPを起動させたら止まらなくって……
それでは、 激突、2人の問題児 はじまります


激突、2人の問題児

「アハハハハハハ!! 随分と気合が入った噛みつきじゃねえかよ!!」

 

「ぐるるるるる」

 

「すいませんすいませんすいません!? こら、アカリもちゃんと謝らないと!?」

 

「やだ!!」

 

 ……この状況、いったいどうしたらいいのかしら。

 そもそも、こんな所でまた騒ぎを起こさないで欲しいわ。

 ひったくり犯を捕まえてくれた少年が夢人のブレスレットに触ろうとした瞬間、何故かアカリがその手に噛みついてしまった――まではまだ許容範囲内だからいいんだけど、一先ずこの場から夢人達を移動させることを優先させるべきだったわ。

 腹を抱えて笑う少年に、威嚇するように見たこともない顔で睨むアカリ……それから、オロオロする夢人。

 本当、頭が痛くなることばかりだわ。

 

「んで、どうしてそんなに目くじら立ててんだよ? 俺は別に何もしねえって」

 

「だめ!! さわっちゃだめなの!!」

 

「減るもんじゃねえんだし、けちけちするなよ。なあ、パパさんもそう思うだろ?」

 

「へ? いや、俺は……」

 

「だめなの!! ぜったいにさわらせちゃだめなの!!」

 

 口角を吊り上げて楽しそうに笑う少年と鬼気迫る勢いで怒鳴るアカリに挟まれた夢人に、どう助け船を出せばいいのかしらね。

 そろそろ大会も始まることだし、騒ぎをこれ以上大きくするようなら、職務上3人を1度この場から退去させなくてはならない。

 でも、それだと根本的な解決にならないのよね。

 アカリが頑なにブレスレットに触らせたくないってことは何らかの理由があるのだろうし、少年の方も簡単に諦めそうには……

 

「ああ、分かった分かった。そこまで言うなら、触らねえから安心しろって」

 

 あら、随分とあっさり引き下がるのね。

 ちょっと予想外だけど、分別がある少年でよかったわ。

 まあ、これで騒ぎが収まるのなら気にしない方が良いわよね。

 

「――代わりにパパさんの本気ってやつを俺に見せてくれよ」

 

『はあ?』

 

「うにゅ?」

 

 好戦的な目でにやりと夢人を見ながら言う少年に、私達は唖然としてしまった。

 しかも、少年は何故かその場で指をポキポキと鳴らし始めてしまう。

 

「……ちょ、ちょっと待ってくれないか? 俺の本気ってどう言う意味なんだ? それに、どうしてそんなに楽しそうに指を鳴らしているんでしょうか?」

 

「そんなの決まってんだろ。力を見るには、これが1番手っ取り早いからな。まあ、安心しろよ。何も今ここでおっぱじめようってわけじゃねえんだし」

 

「そう言うことを聞いてるわけじゃないんだけどなあ!?」

 

 この流れは非常にまずいわね。

 このままだと夢人と少年が乱闘――いえ、少年による一方的な暴虐になるのは火を見るより明らかだわ。

 ひったくり犯を軽々と吹き飛ばせるほどの実力を持っている相手に、夢人が太刀打ちできるわけがない。

 

「何をどう勘違いしているのか分からないけど、俺は力を隠しているとか、そんな設定は微塵もないぞ!? 今が本気の普通の状態ですから!?」

 

「そんな見え透いた嘘なんてつくなよ。別に取って食おうってわけじゃねえんだし、軽い気持ちでワンパンぶつけ合おうぜ」

 

「何だよ、それ!? 上手いこと言っているのかもしれないけど、そんな物騒なことには絶対に付き合わないからな!?」

 

 突き合いと付き合い……確かに、少年の言い回しは上手いかもしれないけど、そろそろ仲裁に入った方がよさそうね。

 このままだと、夢人がしばらく病院で生活することになってしまうわ。

 ただでさえ就職が決まらなくてお金に困ってるって話だし、これ以上負担が増えれば精神的に参ってしまう可能性もある。

 

「やっちゃえ、パパ!!」

 

「ほれほれ、娘からも応援されて逃げ出すようなパパさんじゃないよな?」

 

「いやいやいや!? だから、俺はやらないって!? アカリも煽らないでくれ!?」

 

 アカリまで夢人のことを煽り出し、周りにいる人達もガヤガヤと騒ぎが大きくなり始めたわ。

 これ以上は夢人のためだけじゃなく、会場の警備を任されている身としても黙って見ているわけにはいかないわね。

 

「そこまでよ。悪いんだけど、これ以上騒ぎを大きくするようなら、私にも考えがあるわ」

 

「そんぐらい分かってるさ。じゃあ、街外れまで付き合ってくれよ」

 

「わかった!! いこう、パパ!!」

 

「行かない!? 絶対に行かないからな!?」

 

 縋るような目で私を見てくる夢人に、思わずため息をついてしまう。

 助けたいのは山々だけど、私にもいい考えがあるわけじゃ……あっ。

 

「仕方ないわね。夢人、あなたの実力を見せてあげなさい」

 

「ケイブまで何言ってるんだよ!? 今の俺は魔法も何も……」

 

「ただし、勝手に乱闘騒ぎをされるのは困るわ。だから、私から条件をつけるわ」

 

「へえ、その条件ってのは何だ?」

 

 夢人が焦るのは想定の範囲内だけど、少年の興味が引けたようでよかったわ。

 これはある意味で賭けだもの。

 乗ってくれなかったら、どうしようかと思ったわ。

 

「あなた達が競う場所はここよ」

 

「ここ? つまり、それって……」

 

「――どちらの歌が上手いかで決着をつけなさいってことよ」

 

 強引だけど、これが1番平和的な解決方法よね。

 ……多分。

 

 

*     *     *

 

 

「――ごめんなさい」

 

 沈痛な表情で頭を下げる飛鳥に、私達は困ってしまう。

 軽い感じで事情を説明したつもりだったんだけど、どうにも重く受け止められたみたいだ。

 耀やエルも顔に影が差しているし。

 

「事情を知らなかったとはいえ、不謹慎だったわよね。本当にごめんな……」

 

「わ、わわわわ!? そんなに謝らないでくださいよ!? 今はもうちゃんとお姉ちゃん達と一緒にいるんですから!?」

 

「そうよ!? ほら、もう終わったことなんだし!?」

 

 謝り続ける飛鳥をネプギアとユニが慌てて励まそうとするけど、あまり効果はないみたい。

 うーん、ネプギア達ほどじゃないけど、私もこの暗くなった空気には困ってしまう。

 まあ、話をした私が言えることじゃないけどね。

 

「でも、そのいなくなっていた時は不安だったり、寂しかったりしたんでしょ?」

 

「……うん。わたしはそのことを知らなかったけど、お姉ちゃんが帰ってこなくてさびしかった(しゅん)」

 

「あの時は本当にごめんね、ロムちゃん。わたしがあんな嘘なんかつかなかったら……」

 

「ううん、気にしないで。ラムちゃんがわたしのことを思っていてくれたことはちゃんと分かってるから」

 

 耀の指摘に、ロムとラムはお互いにブランさんがいなかった時のことを思い出しているのだろう。

 その時のことを詳しく知らないけど、2人にとって何か大切なことがあったに違いない。

 

「ぐ、ぐぬぬぬぬ……」

 

「ね、ねえ、トリックはどうしたの?」

 

「……気にしないでいいですよ。多分、ロムちゃんとラムちゃんを見て、罪悪感に苛まれているだけですから」

 

 頭を抱えて低く唸るトリックを、エルは心配そうに見つめていた。

 でも、フェルの言う通り、あまり気にしなくてもいいと思う。

 今でこそトリックは私達と一緒にいるけど、あの時はベール姉さん達を捕らえていた組織の幹部だったんだから。

 ロムとラムの悲しそうな顔を見て、良心――トリックに言わせれば、紳士として責任を感じているのかもね。

 

「にゃーにゃー」

 

「ぬらぬら。ぬーら」

 

「……なー」

 

 ……ごめん、ここが何を言っているのかはさすがに分からない。

 と言うよりも、猫とスライヌで会話が成り立っているのかな?

 耀かエルに聞いてみたいかも……って、そんなことを考えている場合じゃないよね。

 この空気をどうにかしないと――あっ、そう言えば、大事なことを話してなかった。

 

「まあでも、私はネプギア達ほど寂しくなかったけどね」

 

「ナナハちゃん? 何を……」

 

「ベール姉さんとチカ姉さんのことを家族だって思えたのはつい最近だし、いなかった間もそんなに心配してなかったし」

 

 あの頃の私を思い出すと、何だか妙に恥ずかしい。

 ユニみたいに素直になれなかったからなあ。

 ずっと斜に構えて、周りを冷めた目で見下していたんだよね。

 

「アンタねえ、急に何を言いだしているのよ?」

 

「ユニだって知ってるでしょ? 最初に会った時、私がどんな風だったのかって」

 

「それはそうだけど……でも、そんなことを言っていると、またベールさんとチカさんが泣くわよ」

 

 あっ、それは困る。

 今まで散々迷惑をかけてきたのに、これ以上2人を悲しませるような真似はしたくない。

 ――でも、それをまさかユニに指摘されるなんて。

 

「……何よ、その目は?」

 

「別に」

 

「だったら、ちゃんとアタシの方を……」

 

「それで話を戻すんだけど……」

 

「――って、無視するんじゃないわよ!!」

 

 微妙な気分でいると、ユニがジト目で見つめてきた。

 思わず顔を背けてとぼけてしまったが、話を本題に戻す方が先だろう。

 ユニが何かを言って来ようと気にしない。

 うん、気にしない。

 

「そんなユニみたいに捻くれていた私だったけど、あの時ネプギア達――ううん、1番は夢人に会って変われたんだよね」

 

「ちょっと待ちなさいよ!! 誰が捻くれてるって!!」

 

「ロムとラムもそうじゃない? 夢人と会って、何だか救われた気分にならなかった?」

 

「うん、夢人お兄ちゃんがいたから、わたしもラムちゃんと仲直りできた(てれてれ)」

 

「わたしもロムちゃんと同じ……夢人に勇気をもらえたから、ロムちゃんにごめんなさいが出来た」

 

「――アンタ達は揃いも揃って、人のことを……!」

 

「だ、駄目だよ!? ユニちゃん、落ち着いて!? 今、すごくいい話をしている雰囲気なんだから!?」

 

 うんうん、ネプギアは空気を読んでくれて嬉しいよ。

 普段からこれくらいは空気を読んで行動してくれると、私も嬉しいんだけど――まあ、期待し過ぎない方がいいか。

 ネプギアはネプギアだし、仕方ないよね。

 

「話を聞く限り、その夢人さんって人は凄いのね。随分と慕われているみたいで」

 

「そうだね。少なくとも、私は夢人のことが好きだよ――でも、最初の出会いは酷かったなあ。あんな酷い女装で周りを騙せていると思っていたしさ」

 

「……へっ? あ、じょ、女装?」

 

 感心していたように頷く飛鳥だったけど、急に表情を凍りつかせてしまった。

 まあ、確かに夢人の奇行を知れば、そんな顔になっちゃうよね。

 今では笑い話で済ますことができるけど、あの時は真面目に考えた結果だった。

 馬鹿げていると思うことでも夢人が真剣だったからこそ、私も心を動かされたんだよね。

 

「夢人さんって、女装している人なの?」

 

「違うけど……」

 

「変態じゃないのは確かだけど、他にも色々と変なことばっかりしていたから……」

 

「それ、フォローになってないよね?」

 

 耀の質問に、ロムとラムも答え辛そうに視線をさまよわせてしまう。

 絞り出した答えを聞いて、エルも頬が引きつらせている。

 

「お兄さんは……まあ、色々とやらかしてましたからね」

 

「話をそのまま聞くと、夢人君の行動ってかなり変なことばかりだからね」

 

 フェルとファルコムも夢人の擁護を完全に放棄している。

 まあ、それも仕方ない。

 夢人の良さは当事者じゃなければ分からないからね。

 あの時、夢人の存在にどれだけ助けられたのかなんて、それこそ私だけしか知らないことだ。

 ネプギア達もそれが分かっているからこそ、夢人のことをフォローしなくても、口元が少しだけ緩んでいる。

 夢人のことを話題に出すだけで、場の空気が少しだけ明るくなった気がする。

 

「そう言えば、夢人とアカリが来ないわね。ネプギア、ちゃんと連絡したんでしょうね?」

 

「し、したよ!? ちゃんとみんなでピクニックに行こうって誘ったもん!?」

 

「うーん、それにしては遅すぎるような――っと、ケイブから?」

 

 顔を真っ赤にするネプギアを責める気はないけど、私もユニと同じで夢人達の到着が遅すぎるような気がする。

 どうしたんだろうな、って思っていると端末に1通のメールが届いた。

 送り主はケイブだ。

 確か、今日は5pb.とユピテルのイベントがあるからピクニックに参加できないって言ってたはずなんだけど……

 

「……ねえ、みんな」

 

「すごく嫌な予感がするけど、何て書いてあるの?」

 

 ユニはいい勘をしているね。

 まさにその通りだったよ。

 

【夢人が変な少年に絡まれて、のど自慢大会に出場することになったわ】

 

 どう言う状況でそうなったのかは分からないけど、夢人がまた厄介事に巻き込まれたってことだけはハッキリと伝わってくる文面だったよ。




という訳で、今回はここまで!
次回はコラボ編の目玉? 直接対決ですよ。
……まあ、物理的だと十六夜君に軍配が上がるのは目に見えていたのでこんな形ですが。
それでは、次回をお楽しみに!
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