超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
次々とアニメが終わっていくのが寂しいですけど、新しく始まるアニメも楽しみですよね。
それでは、 歌声を響かせて はじまります


歌声を響かせて

『みんなー!! お待たせー!!』

 

『のど自慢大会の始まりだぜー!!』

 

 設置されたスピーカーから5pb.とシュンヤの声が聞こえると、集まった観客達は大きな歓声を上げた。

 

『来てくれたレディーだけじゃなく、ジェントルマンの皆も俺の虜に……って、今日の主役は他にいるんだよね』

 

『そうそう。今日はここに集まって来てくれたみんなが主役なんだもんね』

 

 わざとらしくエースケが前髪を掻きあげ冗談を言うと、カケルもニシシと笑う。

 ファンサービスを兼ねてのジョークに観客達からも笑いが漏れ、会場の雰囲気は盛り上がっていく。

 会場の様子を見て、5pb.は嬉しそうに顔をほころばせる。

 

『今日は集まってくれたみんなが主役ののど自慢大会。今からみんながどんな歌を披露してくれるのか、楽しみだよ』

 

『飛び入り参加も歓迎しているから、歌いたくなったらいつでもステージに上がって来てくれよ。今日は一緒に歌って盛り上がろうぜ!!』

 

 シュンヤがマイクを大きく掲げると同時に、会場から大きな声援が上げられた。

 こうして、のど自慢大会が始まりを告げたのである。

 

 

*     *     *

 

 

「ああー!! もう始まっちゃったじゃない!!」

 

「間に合わなかった(がっかり)」

 

 のど自慢大会で盛り上がる人達を見ながら、ラムとロムは落胆の声を上げた。

 ケイブから連絡をもらってすぐに来たつもりであったが、話しながらであったために遅くなってしまったようである。

 

「うわぁ、よくもまあこんなに人が集まっているわね。そんなにあの人達って有名なの?」

 

「はい、ゲイムギョウ界では誰もが知っている歌姫と男性グループなんですよ」

 

「でも、何だか露出が多すぎない?」

 

 ジト目で5pb.を見つめる飛鳥に、説明していたフェルも苦笑してしまう。

 5pb.のステージ衣装の露出が多いと思っていたのはフェルも同じだからである。

 

「飛び入り参加もOKみたいだけど、どうするの? 参加してみる?」

 

「嫌よ。なんで、アタシがわざわざそんなことしなくちゃいけないのよ」

 

「ほら、ユニって体裁とか気にするタイプだから、即興で歌うのって苦手なんだよ。やるなら充分に練習して少しでも自信をつけないと……」

 

「――って、アンタはまた人のことを勝手に分析するんじゃないわよ!?」

 

 目的である夢人に接触するためには参加者になってしまうのが手っ取り早いのではないかと判断したエルが尋ねると、ユニは不快そうに眉をひそめた。

 すかさずフォローを入れるナナハであったが、逆にユニの機嫌を損ねることになってしまう。

 

「うーん、大会が終わるのを待った方がいいかな? それともケイブを探して裏に入れてもらおうか?」

 

「でも、それだと他の参加者の皆さんにもご迷惑をかけちゃいますし……うん、やっぱり、大会が終わるのを待ってた方がいいですね」

 

「ネプギアはそれでいいの?」

 

 ファルコムの提案にネプギアは少し迷う素振りを見せたが、すぐに待つことを選んだ。

 ここに来るまでに散々心配そうにしていたネプギアがそちらを選んだことが意外に思えた耀は、不思議そうに首を傾げてしまう。

 すると、ネプギアは困ったように笑いながら口を開く。

 

「はい。せっかくのイベントを私達のせいで台無しにしちゃうわけにはいけませんからね。だから、今はここにいる皆さんと一緒に夢人さんがどんな歌を歌うのか楽しみにしていることにしたんです」

 

「へぇ、夢人の歌ねぇ……」

 

「へぇ、ネプギアさんって案外……」

 

「な、何2人とも?」

 

 ネプギアは素直に自分の気持ちを吐露したはずが、ユニと飛鳥に呆れたような目で見られてしまう。

 思わずたじろぐネプギアに、ユニと飛鳥は顔を見合わせる。

 

「言った通りでしょ? 特に最近は頭のネジが緩みっぱなしでずっとこんな調子なのよ」

 

「ええ、だいたい理解できたわ。隠し事ができないタイプなのに自分から自爆しているわけね」

 

「あ、あの、2人はいったい何を言って……」

 

『――それでは、早速最初の参加者から歌っていただきましょう! どうぞ!』

 

 互いに頷き合いながら話すユニと飛鳥に、ネプギアは何故だか妙に嫌な予感を感じた。

 詳しく尋ねようとするが、運悪く5pb.のアナウンスが疑問の声を遮ってしまう。

 

「でもまあ、ネプギアさんみたいなタイプがそうなるのは何だか納得できるかもしれないわ。真面目だから一途と言うよりも愚直って方向に……」

 

「そう思うわよね。本当、馬鹿馬鹿しくてイライラするのよ。前なんて……」

 

「ねえ、2人とも? さっきからいったい何を……」

 

「――ええっ!? そんなことがあったの!?」

 

「うぅぅ、ユニちゃん達が無視するよぉ……」

 

 ステージの上で参加者がギターをかき鳴らしながら歌っているのにも構わず、ユニと飛鳥は耳を寄せあって話し続ける。

 会話の内容が気になるネプギアがいくら話しかけても、傍目から見て楽しそうに2人は会話を続けていく。

 2人に無視されて軽く落ち込むネプギアの肩を、ナナハはポンポンと優しく叩いた。

 

「まあまあ、気になるなら後で聞いてみればいいと思うよ。ネプギアが鈍感なのは今に始まったことじゃないんだからさ」

 

「えっ、ちょっと待って!? 鈍感ってどう言う……」

 

「ほら、そこで聞き返しちゃうところが鈍感だってことだよ。それと、あんまり騒ぐと周りに迷惑がかかるよ」

 

 慰めにならないフォローにネプギアが声を荒げてしまいそうになるが、ナナハに注意されてしまう。

 慌てて口を両手で押さえてしまい、ネプギアはナナハの言葉も否定できなくなってしまった。

 しまった、とネプギアが目を見開くのを見て、ナナハは思わず噴き出してしまう。

 急に恥ずかしくなり、ネプギアは両手で口を押さえたままナナハから視線を逸らすことしかできなかった。

 

「あの人の歌、すごく上手」

 

「えー、そうかな? 何だか勢いだけで歌っているって感じに聞こえるけど」

 

「でも、何だか楽しそー! わたしも今から参加してきちゃおうかな! ねえ、みんなで一緒に歌いにいかない?」

 

「私はパス。人前で歌うのはちょっと苦手」

 

「あ、あははは、ボクもパスで」

 

 ユニと飛鳥、ネプギアとナナハが会話している中で、ロムにエル、ラム、耀とフェルはステージに夢中になっていた。

 それぞれで楽しそうに会話を弾ませる様子に、ファルコムは口元を緩める。

 

「……仲良くできているみたいでよかった」

 

 口に出した安堵の言葉はファルコムの本心だった。

 ネプギア達と飛鳥達、どちらも知っているファルコムは目の前の光景が嬉しかったのである。

 

「うむ? そう言えば、ニートが参加するとなると、アカリはどうなるのだ?」

 

 ネプギア達が楽しそうにしていることにほっこりしているファルコムの後ろで、トリックは頭にスライヌと三毛猫達を乗せたまま呟くのであった。

 

 

*     *     *

 

 

 まさか、暇つぶしで飛び込んだ穴の先で歌を歌うはめになるなんてな。

 

 俺は舞台袖で、これまでのことを思い出していた。

 暇つぶしとは言うが、俺は別に箱庭に飽きたわけじゃない。

 むしろ、次から次へと面白いことが起こって退屈しない毎日だったと言える。

 

 ……だがまあ、退屈しないから暇にならないなんてことはなかったわけだ。

 最高潮の刺激が襲いかかってくるのは大歓迎なんだが、毎回毎回こうも連続で来られると俺もつまらないと感じてしまう。

 次はもっと凄いことが起こる、って頭ん中で考えると、今起こっていることも自然とそこらに転がっている石ころみたいに意味のないことのように思えてくる。

 敢えて言葉にするなら、満足感――いや、なんかちょっと違うかもしれないが、とにかく俺の感覚が麻痺しかけていたような気がしたんだ。

 当たり前のように全力で暴れられる箱庭に不満はないはずだったのに、それを当り前だと受け止めると妙に頭が冷めてくる。

 だから、如何にもテンプレっぽくて呆れちまうような形でぽっかりと空中に開いた穴に飛び込んだ。

 この退屈を紛らわすための何かを求めて、な。

 

 ――結果、俺はあのガキとパパさんに会えた。

 それだけで、俺の目的は達成できたようなもんだ。

 あのブレスレット、それを身につけているパパさん……そして何より、あのガキもただのガキじゃなかった。

 ガキに噛みつかれた時、俺は不思議な感覚に襲われた。

 アレが何だったのかは分からない。

 だけど、分からないってことは俺がまだ理解できてない秘密をあのガキが持っているってことだ。

 加えて、頑なに触らせようとしないブレスレットやそれを身につけているパパさんと、興味は尽きない。

 しかも、ここに来てまさか歌で勝負しろだなんて言われるとは思わなかった。

 

 本当、笑えてくるぜ。

 あのガキ以外がブレスレットの価値を知らないってことが分かっちまったんだからな。

 だからこそ、余計に興味がそそるってもんだ。

 俺がブレスレットの触った時、それかパパさんがブレスレットを外した時にどうなるのかが……

 

『ありがとうございました! 次の方、ご登場ください!』

 

 っと、分からないことを考えるのは楽しかったんだが、もう俺の出番になっちまったみたいだな。

 仕方ねえか、後は頭ん中じゃなくて実際に体験してみるとするか。

 

 そう考えると、自然と口角が上がってしまう。

 同時に、こうも思う。

 

 ――箱庭以外にも、俺が知らないことや退屈しない世界があることが面白い、ってな。

 

『逆廻十六夜さんで、【Unknown World】です! どうぞ!』

 

 

*     *     *

 

 

「アイツ!? あんな所で何やってるのよ!?」

 

 ステージで歌う十六夜を見て、飛鳥は我が目を疑ってしまった。

 建前上とはいえ、探していた人物がのんきにのど自慢大会に出場しているのを見て驚いてしまったのである。

 

「あの人が十六夜さんって人なの? でも、飛鳥達が言うような人には見えないんだけど……」

 

「見た目だけはね。でも、私が言うのもアレだけど、アイツはとびっきりの問題児なのよ」

 

 聞いていた話とイメージがかけ離れていたユニが首を傾げていると、飛鳥はうんざりとした顔で忠告する。

 十六夜の性格を知っているだけ、飛鳥は大人しくステージで歌っている姿にいやな予感を感じていたのだ。

 何か裏がありそうだ、と楽しくユニと話していたのに十六夜のせいで微妙な気分にされてしまったのである。

 

「楽しそうに歌ってるね」

 

「うん、何だかあんな風に笑って歌う十六夜君を見るのって新鮮だね」

 

 耀とエルは十六夜の姿を見て、飛鳥と違った感想を漏らす。

 十六夜が笑うところは2人も何度も見ている。

 本人がよく笑う男でもあり、別におかしいことではないように思うかもしれないが、2人には今の十六夜が浮かべている笑みが違う種類に見えてしまう。

 

「ハア、それはそうかもしれないけど、このことを黒ウサギが知ったら絶対に怒るわよね」

 

「怒るね」

 

「うん、顔を真っ赤にしながらね」

 

 ため息をつきつつも2人に同意する飛鳥だったが、ふと十六夜のことを必死に探していた黒ウサギのことを思い出して口元を歪める。

 だが、黒ウサギが怒ったところで十六夜が大人しくなるわけがないと分かっている3人は今回の件を話した時にどんなことが起こるのかを確信していた。

 黒ウサギが怒鳴り、アベルが宥め、十六夜がヤハハと笑い、ジン達がそれを呆れながら見ているであろう光景。

 いつものように騒がしくなるだろうなと思いながら、3人は十六夜の歌に耳を傾けるのであった。

 

「でも、十六夜さんが見つかってよかったですね」

 

「えぇー、それじゃつまらないじゃない。まったく、十六夜君もなんで簡単に見つかるのかしらね」

 

「こらこら」

 

 3人の安堵している雰囲気を察して、ネプギアも頬を緩ませながら声をかける。

 すると、飛鳥は冗談を言いながら笑う。

 そんな飛鳥をファルコムがくすりと笑ってたしなめると、全員の顔に笑顔が浮かんだ。

 

『――はい、力強い歌声と堂々としたギターパフォーマンスでしたね! ボクも見習いたいなあ』

 

『そうですね。彼には見る者を虜にするようなカリスマがあるような気がしましたよ――まあ、俺も負けてないけどな』

 

『はいはい、エースケ君も5pb.ちゃんも次の人が待っているよ』

 

『そうだぞ。さあ、次の参加者も盛り上がること間違いなしだぜ! それじゃ、次の参加者の登場だ!』

 

 歌い終わった十六夜がステージから姿を消した後、5pb.とユピテルが軽く会話をして次の参加者への期待を募らせた。

 集まった観客達も十六夜の歌で興奮していたこともあり、次はどんな歌が披露されるのかを楽しみにしていた。

 

 ――だが、それも次の参加者がステージに上がるまでであった。

 

 何故なら、ステージに現れた次の参加者はタンバリンを持った夢人だったのだから。

 

 

*     *     *

 

 

 こ、この空気でどうしろって言うんだよ。

 俺が出てきた途端に会場が静まり返ったんだけど……まあ、皆の気持ちも分かるよ。

 十六夜君が盛り上げて、シュンヤがそのままの熱気をバトンにして繋いでくれたのに、現れたのがタンバリンを持った男って。

 俺も皆の立場だったら、絶対に戸惑うよ。

 うん、今までの盛り上がりが嘘のように静かになったね。

 

 ――って、俺こんな状況で歌わないと駄目なのか!?

 え、いや、無理だってこれ!?

 皆の冷めた目が痛くて、今すぐ逃げたい!?

 

『え、えっと、それでは匿名希望のY.M.さん、お願いしますね』

 

 緊張でガチガチに固まっていた俺を、5pb.は心配そうに見つめながら追い詰めていく。

 元から逃げ場はなかったけど、これでもうステージからも逃げられなくなってしまった。

 俺は少しでも緊張をほぐすように深く深呼吸をする。

 

 上手く歌おうとするな、か。

 俺が歌いたいように歌えるのが1番いいんだ。

 そして、思いをそのまま声に出す。

 強く強く心に響かせるような思いを……

 

『曲は【Identity】、どうぞ!』

 

 

*     *     *

 

 

 最初はどうなるかと思われた夢人の歌であったが、次第に盛り上がり始める。

 タンバリンを叩くリズムに合わせて手拍子をする観客もいる。

 気が付けば、集まった全員が楽しそうに手拍子をしながら夢人の歌を聞いていた。

 

「……ねえ、ユニ」

 

「……言わないで」

 

 しかし、その中の1部――ユニとナナハは全員が楽しそうにしている中で渋い顔をしていた。

 2人はこの歌に込められた夢人の思いに気がついてしまったのである。

 その目は寂しそうに揺れるが、2人は片時も夢人から視線を外そうとしない。

 

「まあ、夢人らしいわよね。でも、アタシは負けるつもりなんてこれっぽっちもないんだから」

 

「同感。でも、私の方がもっとキラキラしてみせるから、ユニは早く素直にならないとね」

 

「お生憎さま。アンタのキラキラよりも、アタシの方が先に1番になってみせるわ」

 

 やがて、2人も他の観客達と同じように手拍子を始める。

 夢人の歌を聞いて、また自分の気持ちを再確認したのである。

 わざとらしく口に出すのがおかしくて、2人は思わず笑ってしまう。

 

「むー、2人だけでなに話しているのよ」

 

「わたし達も頑張る(ぐっ)」

 

 いつの間にか近づいて来ていたラムとロムが不満そうに頬を膨らませながらユニ達を見上げていた。

 ラム達も気付いていたのである。

 それは幼いながらもユニ達と同じ思いを抱いているからであろう。

 

「ふふ、忘れてたわけじゃないよ。でも、ごめんね。こればっかりは2人にも譲れないからさ」

 

「そんなこと言えるのも今のうちだけなんだからね!」

 

「でも、決めるのは夢人お兄ちゃんだよね?」

 

「それはそうだけど、その夢人が選んだ奴は……」

 

 4人が視線を向けた先には、楽しそうに手拍子をするネプギアがいた。

 やがて、ネプギアは4人が自分を見ているのことに気付いて不思議そうに首を傾げてしまう。

 

「どうしたの?」

 

 純粋に歌を楽しんでいたようにしか見えないネプギアに、4人はため息をついてしまうのであった。




という訳で、今回は以上!
夢人君が歌った歌、皆さんは分かりますか?
sacraってバンドの曲で、とあるアニメの主題歌でもありました。
まあそれは置いておいて、次回でコラボ編は終了予定です。
ちょうど次回で10話目で区切りもいいですからね。
それでは、次回をお楽しみに!
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