超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編 作:ホタチ丸
ずいぶん長い間投稿できずに申し訳ありません。
と言っても、今回は久しぶりということでリハビリの短編になってます。
それでは、 続いてしまった“もしも”プロローグ編 はじまります
続いてしまった“もしも” プロローグ編
「――ここがギョウカイ墓場ね」
おどろおどろしい雰囲気が漂う世界で、目の前にいる茶髪の少女――アイエフが睨むように辺りを見回しながらつぶやいた。
「うううぅぅぅ、何だかすっごく怖いところですぅ」
「だったら、無理する必要はないわよ。今ならイストワ―ル様に連絡して……」
「だ、駄目です!! わたしだってねぷねぷやギアちゃん達を助けるためにここまでやって来たんです!! 1人でなんて帰れないです!!」
隣にいたクリーム色の髪の少女――コンパが涙目でおろおろしていると、アイエフは気遣うようにその手を握ってプラネテューヌの教会に帰るように伝えた。
事実、今ならばまだ引き返すことは可能である。
しかし、コンパは強い口調でアイエフの提案を却下する。
真っ直ぐにコンパが見つめ返すと、アイエフは苦笑しながら口を開く。
「はあ、仕方ないわね。それじゃ、さっさとネプ子達を助けてこんな陰気臭い場所からおさらばしましょ?」
「はいです!」
これから行うことの重要性を理解しながら軽口をたたくアイエフに、コンパはパアッと顔を明るくさせて頷いた。
俺もそんな2人を見ていて自然と頬が緩んでしまう。
すると、目敏く俺がにやけているのを見つけたらしいアイエフが不満そうに眉をひそめる。
「アンタもにやけてないでしっかりしなさいよ? 何があるかわからないんだからね」
「わかってるよ。油断はしないさ――絶対に」
ほほ笑みながらアイエフに言い返すが、内心では絶対に気を緩めない。
……何故なら、俺はこの後に起こることを知っているんだから。
「ならいいわ。とりあえず、周りに気をつけながらあの黒い塔を目指すわよ。いいわね、コンパ――レイヴィス」
俺の覚悟が伝わったのか、アイエフはそれ以上何もいわずにこれからの方針を簡単に伝えてきた。
当然、異論なんかない俺とコンパは無言で力強く頷く。
すると、アイエフが先頭になって俺達はギョウカイ墓場の奥にそびえている黒い塔を目指して歩き始める。
* * *
――俺の名前はレイヴィス。
厨二病とか頭がおかしいとか思われるかもしれないが、前世の知識を持った『転生者』だ。
どうして死んだのかはわからないが、いきなり目の前に現れた綺麗な女性にもう1度生きるチャンスをもらって生まれ変わった元日本人である。
まっとうな日本人の感性から今の自分の名前に悶え苦しんでしまった過去もあるが、どうにもならないことなので仕方ないと割り切っている。
何故ならば、俺が生まれた世界はゲームの世界なのだから。
『超次元ゲイムネプテューヌmk2』――まあ簡単にいえば、可愛い女の子がいっぱい出てくるゲームの世界に生まれたのである。
目の前にいるアイエフとコンパも登場人物であり、今はゲームで言うところのプロローグが始まったところだ。
これから俺達はギョウカイ墓場を根城にしている犯罪組織マジェコンヌに囚われた主人公――ネプギアを助けに向かうところなのである。
生前にネプテューヌシリーズをやり込んだ俺としては、どうにかして原作をよりよい方向へと持っていきたいと思っている。
最初は憧れたゲームの世界に転生できた嬉しさでどこか夢見心地であったが、犯罪組織のやり方を目の当たりにして俺は強くハッピーエンドを望むようになった。
俺の生まれた村は教会のある都市から離れた小さな村だった。
都市と村を繋ぐ道すら碌に整備されていない。
そのおかげで自然が豊かなことはいいことだと思うのだけど、モンスターに襲われる可能性も高かったのである。
――あの日、近隣の森に凶悪なモンスターが出ると村の若い男性が話していたのを聞いた俺は必死に止めようとする両親を振り切って、1人でモンスターを退治しようとした。
俺には転生した『特典』として、『創生』と言う物体を作り出す力がある。
この力を使って武器を作りだせば、ギルドから派遣される冒険者を待つことなくモンスターを退治することができるはずだった。
ずっとこの力を使いこなせるようにひそかに修行を続けて来た俺には確かな自信があったし、村を救うヒーローになるんだと興奮もしていた。
これから俺の物語が始まる――そう思っていた時、俺の意識は突然途切れてしまったんだ。
【危なーい!?】
【ほぎゅっ!?】
突然横から押し飛ばされた俺はそのまま木にぶつかって気絶してしまったんだ。
原作に関われるかもしれないと浮かれていたせいで、周りへの注意が疎かになっていたことが原因だった。
――そして、目覚めた時には全てが終わっていた。
気がついたら、俺は自室のベッドの上で横になっていた。
何が起こったのかわからずに両親に会いに行くと……
【くっ、母さん!? もう少し手加減して……】
【嫌ですよ、あなた――っと、これで私の勝ちですね!】
【ぬおわあっ!?】
――2人してゲームをしていたのだ。
いったい何があったんだ!?
俺の父親は村長をしている厳格な人だったはずだぞ!?
間違ってもゲームに熱中するような人じゃなかったはずだ!?
母親だって、あんなゲームの名人のように素早い指遣いでボタンを操作するような人じゃない!?
俺が気絶している間に何があったんだ!?
【な、何をしているんだ2人とも!?】
【あっ、目が覚めたのね。夕食ならそこに用意してあるから、好きに食べていいわよ――さて、第2ラウンドを始めましょうか?】
【望むところだ! 次こそは私が勝つ!】
【って、ゲームを続けるよりも先に俺の質問に答えてくれよ!?】
ゲームで勝ったらしい母親は満面の笑顔でテーブルに置かれている1人分の食事を指さすと、すぐに口元を緩めながら項垂れる父親へと語りかけた。
負けたせいで意気消沈していた父親もやる気を出してゲームを再開しようとする姿に、俺は慌てて2人を止めようとする。
しかし、2人はきょとんとした顔をして、どうして俺が声を荒げているのかわかっていない様子だった。
【とりあえず、教えてくれ!? 俺はどうして自分の部屋で寝てたんだよ!? モンスターを退治しようと森に入ったはずなのに……】
【覚えていないのか? お前はモンスターに襲われそうになったところを助けられたんだぞ?】
【助けられた? 誰に?】
まったく状況を理解できない俺が質問すると、父親が目をパチクリとさせながら答えてくれた。
だけど、それだけじゃ助けられたことしかわからない。
【何でも通りすがりのセールスマンらしくてな、道に迷っていたところで偶然お前がモンスターに襲われそうになったのを見て助けてくれたらしい。これも彼がこの村の子ども達の娯楽のためにタダで置いて行ってくれたものだぞ。ええっと、なんて機械だったか……】
【“マジェコン”でしょ。もう、ゲームに夢中になるのはいいですけど、名前を忘れるなんて】
【あははははは! そうだったそうだった! ――ほら、レイヴィスの分もそっちにあるから、今夜は家族全員でゲームをプレイしようじゃないか!】
ゲームの名前を思い出そうとして首を傾げる父親に、母親は苦笑しながら教えた。
恥ずかしさを誤魔化すように父親が今まで一度も見たことのないような声を出して笑うと、俺に近くに置いてあったもう1台のゲームを指さす。
――気絶から目を覚ますと、いつの間にか両親がマジェコン信者になっていた。
どうしてこうなった!?
* * *
……それから、俺の知っている父親と母親はいなくなってしまった。
毎晩母親にゲームで負かされて落ち込みながら酒を煽る情けない父親なんて見たくなかったよ。
それに、母親も村のママ友と一緒になって買い物に行く感覚で【一狩り行きませんか?】なんて井戸端会議で話し合わないでくれ!?
――そう、俺を除いて村の全員がマジェコン信者になってしまったんだ。
皆ゲームに熱中し過ぎて生活が困難に――なるなんてことなく、表向きは今まで通りの日常が続いた。
しかし、俺の村の人達に抱いていた印象が木っ端微塵に粉砕されてしまったのだ。
特に女の子に興味がないと言わんばかりに仏頂面をしていた若い男性が、木陰でマジェコンの画面に映し出されている美少女キャラにキスしようとしていた姿が忘れられない。
他にも、ハアハアとかペロペロとかやめろよな!?
村の人達全員がそんな感じになったとは言わないけど、俺には変わってしまった皆の姿を見ていられなかった。
くっ、これも全部マジェコンなんて物をゲイムギョウ界中にばら撒いている犯罪組織のせいなのか!?
だったら、俺は絶対にお前達を許さないぞ!!
犯罪神を倒して、絶対に元の両親や村の人達を取り戻してみせる!!
そう意気込んだ俺は村を飛び出してギルドで名を上げることに成功した。
その甲斐もあり、俺はアイエフやコンパと一緒に女神の奪還作戦に参加することができたのだ。
原作ではネプギア1人しか救出できなかったけど、できるだけ他の女神達も一緒に救出したい。
救出するために必要なシェアクリスタルにだって、できる限りのシェアをかき集めて作ったのものだ。
後はこれで何人を助けられるのかだけど……いや、不安は禁物だよな。
できる限りのことはしたんだし、後は実行するだけだ。
必ず女神達を助けてゲイムギョウ界を元の平和な世界に戻す――それがこの世界の未来を知っている俺のやるべきことなんだ。
原作以上のハッピーエンドに必ずしてみせる!
そんな誓いを胸に秘め、俺達はギョウカイ墓場を一歩一歩奥へと進んでいく。
すると、そんな俺達の前に予想外の物体が姿を現した。
「……ねえ、これってなんだと思う?」
「……え、えっと、その何だか場違いですよね?」
「……あ、ああ、明らかに周りの雰囲気に合ってないよな?」
あまりにギョウカイ墓場の雰囲気に合っていない物体に、俺達は一瞬言葉をなくしてしまうくらい驚いてしまった。
原作でも見たことのないその物体の名前は――プレハブ小屋。
明らかに周りに山となって積み重なっているゴミと違って、綺麗な塗装をされている小屋は新品のように見える。
少し広くなった場所の真ん中に設置されている小屋の入口には、何故か“女神の小屋”と言う木の札が吊り下がっていた。
……いや、そんなわけないよな?
だって、原作だと年齢制限がかかりそうなくらいにプロセッサユニットが破けた状態で触手みたいなのに囚われているわけだし。
この中に女神達がいるわけがないよな?
「……とりあえず、入ってみましょうか?」
女神を救出するために来たため無視することもできず、罠かもしれないと思いつつもアイエフが恐る恐る小屋の入口をゆっくりと開ける。
そこには……
「よーし、アイテムゲットー!」
「ああああっ!? それ私が出したアイテムでしょ!? なに横盗りしてるのよ!?」
「ふふーん、ノワールがゆっくりしているのが悪いんだよ。早い者勝ちってやつだね」
「ほらほら、油断していると敵が来てしまいますわよ」
「急いでジャンプして避けなさい」
「えっ、ちょっと待って!? ――あああああ!? やられちゃった!?」
――4人で仲よさそうにゲームをしている女神達の姿があった。
女神達はアイエフが扉を開けたことにすら気付かずにゲームを続けている。
俺達もまさか捕まっていると思っていた女神達がのんびりゲームをしていたなんて思っていなかったため、声をかけることもできずに唖然としてしまった。
「やっぱり、ボッチのノワールに協力プレイは無理だったかあ。もう、すぐにゲームオーバーになってばっかりなんだもん。こっちの残機がどんどん減ってきちゃうよ」
「仕方ないわ。だって、ノワールだもの」
「……あなたが私の邪魔をするからでしょ!? 後、ブランも遠まわしに私がボッチだって言ってるでしょ!?」
「そんなことはいいですから、次はわたくしの番ですわよ。ふふふ、ハイスコアを叩き出して差し上げますわ」
「どうでもよくなんて……」
「みなさーん、お茶が入りましたから休憩しませんか?」
『はーい!』
本当に捕まっていたのかと疑ってしまうくらいにのほほんとしている女神4人と女神候補生の姿を見て、アイエフの肩が小刻みに震えだす。
しかし、5人はまったく俺達に気付く様子もない。
やがて、我慢の限界を迎えたらしいアイエフが鬼のような形相で5人に向かって叫ぶ。
「アンタ達は、いったい何をやってるのよ!!」
『ひゃあっ!?』
……これがゲイムギョウ界の命運を賭けた女神と犯罪組織の戦いの始まりで、本当にいいんだろうか?
超次元ゲイムネプテューヌmk2 夢の正社員を目指して 始まりません。
という訳で、今回はここまで!
とりあえず、明日から本編や番外編を投稿する前に1度簡単にリハビリとして以前に投稿した“もしも”のプロローグを書いてみました。
いや、最近は書く時間も取れないせいでアイディアだけが頭の中にどんどんたまっていく一方ですよ。
だから、頭の中をリフレッシュする意味でちょっとだけ書いてみました。
そんなわけで、明日からまた投稿を再開していきますのでよろしくお願いしますね。