超次元ゲイムネプテューヌ 夢のヒーローを目指して 番外編 作:ホタチ丸
今日は雛祭りということで、特別編を書きたく思い書いてしまいました。
今回は別名、ロスタイムバレンタインです。
それでは、 1日お雛様 はじまります
「ぶぅー、あいちゃんったらまったく素直じゃないんだから」
両手で頬づえをつきながら、わたしはあいちゃんに対する愚痴をこぼしていた。
先月にあったバレンタイン、結局あいちゃんはゆっくんにチョコレートを渡さなかったみたい。
後で話を聞いたら【私があの馬鹿にあげるわけないでしょ】なんて、可愛くない言葉をもらっちゃったよ。
もう好きなら好きって言っちゃえばいいのに。
「あいちゃんらしいと言えば、あいちゃんらしいんですけど、少しかわいそうです」
「でしょ? あんなにゆっくんのことを好き好きって思ってるんだから、チョコレートあげちゃえばよかったのに」
「ギアちゃん達に遠慮してあげられなかったんだと思うです。ギアちゃんがあんな一生懸命チョコレートを作る姿を見てたら、わたしも夢人さんに義理チョコでもチョコを渡せなかったです」
そうなんだよね。
直接聞いたわけじゃないけど、ネプギアも多分ゆっくんのことが好きなんだよ。
友達の恋を応援したい気持ちもあるけど、妹の恋も応援したいと思っちゃうんだよね。
こう言う時、わたしってどうすればいいの!?
片方に肩入れし過ぎると、もう片方に申し訳ないって気持ちが溢れてきちゃうし、かと言ってどちらの応援もしないでいるなんてできない。
妹か友達か、これが究極の選択って奴?
……ってか、全部ゆっくんが悪いんじゃん。
そうだよ、ゆっくんがいろいろ気付けば丸く収まることじゃないのかな。
もう少し女心って奴を知ってもらいたい。
そうすれば、ネプギアもあいちゃんも幸せになると思うんだよね。
よーし、それなら早速どうするか決めないと!
「ってなわけで、コンパ。何かいいアイディアってないかな?」
「ね、ねぷねぷ? いきなり何の話です?」
おおっと、今までのは全部わたしのモノローグだったんだった。
「ゆっくんに女心を知ってもらうにはどうすればいいのかな?」
「……どうして夢人さんに女心を知ってもらうって話になったです?」
ああ、コンパが目を丸くして頭から?マークを出しているイメージが見えるよ。
でも、こう言うのって1から10まで説明するのって大変だよね。
ここはお決まりのアレで行くしかないっしょ!
「実は、かくかくしかじかで」
「これこれうまうま……そう言うわけだったんですか」
「って、えええ!? コンパ今のでわかったの!?」
自分でやってってこれはないって思ってたのに、コンパは納得したように頷いて応えた。
「よくわからないですけど、とりあえずあいちゃんのために夢人さんが女心を知ってもらう必要があるんですよね?」
「そ、そうだよ」
若干自分の声が震えて聞こえたのは、仕方ないことだと思う。
コンパの理解力にちょっとだけ怖いものを感じてしまった。
「なら、好都合です」
「……へ? 好都合?」
「はいです! 明日は3月3日ですから」
3月3日……って、何の日だっけ?
特に何かあったっけ?
「ねぷねぷ、明日は女の子の日ですよ」
「女の子の日?」
「そうです。1年で1日だけ女の子のための日、雛祭りです!」
* * *
「結構、人がいるな」
俺はハネダシティのショッピングモールに来ている。
今日、唐突にネプテューヌに一緒にハネダシティに買い物に行ってくれと言われたのだ。
どうして俺に頼むのか、理由を聞いても答えてくれないし、現地で待ち合わせだとか言って勝手に今日の予定を決められてしまった。
……まあ、俺もすることがなかったし、別にいいんだけどさ。
「それにしてもネプテューヌの奴、どこに居るんだ?」
こう人が多くちゃ、ネプテューヌを見つけることが難しい。
どちらかと言えば、小柄な方だから余計に探しづらい。
とりあえず、待ち合わせ場所は入り口付近だってことだから、ここら辺で待ってればこっちに来てくれるだろう。
俺は壁に寄り掛かってため息をついた。
「ふぅ、自分から誘っておいて遅刻かよ」
いや、時間は指定されてなかったけど、どうしても愚痴をこぼしたくなる。
これがネプギアとのデートでの待ち時間なら、期待に胸を膨らませて待っていられたんだけどな……
「はあ、遅いわね。コンパは何してるのかしら?」
「ん?」
少し離れた位置から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「アイ、エフ?」
声の主はアイエフで間違いないのだが、その姿はいつもの服装と違っていた。
スカートなのだ。
具体的に言えば、いつもの青いコートを纏っておらず、デニムのジャケットに黒いインナーを着ている。
スカートは赤い色の裾がふわりとしている、フレアスカートを合わせている。
とりあえず、いつもの恰好とまるで違うアイエフの姿に俺は驚いてしまった。
……アイエフも女の子だし、あんな服装を持っていてもおかしくはない。
でも、普段あんな服装でいることがないアイエフが、どうしてあんな姿でこんな場所に居るのだろうか?
「それにしても、今日は混んでるわ……あっ」
「あっ」
アイエフがこちらを見た瞬間、バッチリと目が合ってしまった。
お互い少し気まずい空気が流れだす。
こ、ここはどうすることが正解なのだろう?
無難にどうしてここに居るのかって聞いてみるか?
それとも、その服似合ってるねとか言った方がいいのか?
俺がどう反応したらいいのかわからず、呆然としていると、アイエフがつかつかと俺との距離を詰めてきて、いきなり胸ぐらをつかみ上げてきた。
「何でアンタがここに居るのよ!?」
「え、あ、それはネプテューヌが……」
「ネプ子? ……そう、そうだったのね。怪しいと思ったら、コンパもグルなのね」
な、何かいきなり顔を真っ赤にして睨んできたと思えば、急に俯いて低い声でぶつぶつと呟きだした。
しょ、正直少しだけ怖い。
「いいわ。アイツらがそのつもりなら、私にだって考えがある」
「アイエフ? いったいどうし……」
「さあ、夢人! 付き合ってもらうわよ!」
「って、おい!? 引っ張るなよ!?」
突然顔を上げたと思ったら、アイエフは笑顔で俺の腕を引っ張りながらショッピングモールへと入っていく。
ど、どう言うことなの!?
* * *
「……作戦は成功みたいだね」
「……はいです。後は、若いお2人にお任せするですよ」
わたしとねぷねぷは、ショッピングモールの中へと消えていくあいちゃんと夢人さんを見て、作戦が無事に成功したと思い、胸をなでおろした。
わたし達の作戦、あいちゃんお雛様計画は、夢人さんにあいちゃんの女の子らしい姿を見てもらい、女心を知ってもらう作戦です!
おあつらえ向きに、ショッピングモールでも雛祭りと言うことであちこちに飾りつけがしてあったり、スイーツのお店なんて苺を使った特別なケーキもあるらしいです。
普段はあまりスカートを履かないあいちゃんのスカート姿に、スイーツを食べて可愛らしく笑う顔を見れば、夢人さんだってキュンと来るはずです。
そのために、あいちゃんに嘘をついてしまったことは申し訳なく思うですが、これもあいちゃんのためだと考えて心を鬼にして見守ることにしたです。
あいちゃんが夢人さんのことを好きだってことは、わたしとねぷねぷ、そしてベールさんの3人だけの秘密です。
夢人さんがギアちゃんのことを気にしていて、ギアちゃんも夢人さんのことを好きだってことも知っていますが、わたしは2人とも応援したいです。
今のままじゃ、あいちゃんが自分の思いを告げることなく、ギアちゃんに遠慮して気持ちを隠してしまうです。
そんなの駄目です!!
わたしはあいちゃんにそんな悲しい恋をして欲しくないです!
だから、今回はギアちゃんには悪いのですが、あいちゃんの応援をさせてもらうですよ!
「それじゃ、わたし達も尾行を開始しますか」
「見つからないように注意しないといけないですね」
わたし達はこっそりとあいちゃん達に気付かれないように見守ることにします。
あいちゃん、頑張ってくださいです。
わたしとねぷねぷは応援してるですよ。
* * *
……はあ、まったくやられたわ。
こんな服を着せられた時点で、怪しいと思うんだった。
「どうした?」
「何でもないわよ」
「そっか……でも、いいのか? 全部おごってもらって」
「いいのよ」
私と夢人はカフェに入って、雛祭り限定メニューを食べている。
苺のムースでデコレーションされているミルクプリンだ。
陶器の器に入っており、上にはカットされた苺とお雛様の形をしたチョコレートが乗せられている。
夢人の物も同じであるが、そちらはお内裏様のチョコレートである。
何でも男女で違う物を販売しているらしい。
……絶対嘘よね。
私達絶対にカップルだって勘違いされてしまった。
私がこの馬鹿と恋人同士になるなんて、絶対にあり得ないのに!?
「ん? 顔が赤いけど、大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ!?」
あ、危ない危ない。
私は火照った顔を冷ますように、プリンを口に運んだ。
冷たいプリンが口の中でとろけるのが、今は気持ちがいい。
「でも、ネプテューヌはいったい何がしたかったんだろうな。急にメールが来て、来れなくなったって。そっちもコンパを待ってたんじゃなかったのか?」
「いいのいいの。アイツらは放っておいて大丈夫よ」
私が夢人を好きだって勘違いしている2人のことなんてどうでもいい。
でも、私を騙してこんなふざけたことをしてくれたんだから、後でお仕置きしないとね。
今日の会計は全部アイツらの財布から支払わせてやる。
「そう言えば、言うのが遅くなったけどさ」
「今度はなによ?」
まったく黙ってプリン食べてな……
「その服、似合ってるぞ」
「……へ」
夢人の言葉を理解した瞬間、プリンを食べて冷えていた顔が熱を取り戻した。
「な、何言ってんのよ!?」
「いやさ、そう言うのって最初に言っとくべきだったろ? だから、遅れてごめんって」
「そ、そうじゃなくて!?」
こ、この男はいったい何を言ったのか自覚しているの!?
私が今着ている服は、青いデニム生地のジャケットに黒いカットオフショルダーのTシャツ、赤いフレアスカートだ。
正直鏡を見てもこれはないと思ってしまうくらい、自分には似合ってはいないと思っていた。
でも、夢人はそんな私の今の状態を見て、似合ってるなんて言ったのだ。
自分でも顔が真っ赤になっているとわかるくらいに頬が熱い。
私には絶対に似合っていないのに……
大体、ネプギアのことが好きなら、ちゃんと告白しろって言うのよ。
そうすれば、私だって……
「……はあ」
「何だよ、急にため息をついて」
「アンタの馬鹿さ加減を改めて理解したのよ」
「へ? 今のどこら辺で馬鹿だって判断したんだよ?」
「全部よ。馬鹿夢人」
私は普通に夢人のことを馬鹿だって言ってるのに、あの3人は愛が溢れているなんておかしなことを言うのよね。
そんなもの込めてないわよ。
「まあ、別にいいでしょ。それじゃ、食べ終わったら次のお店に行くわよ」
「ちょっと待った。はい、これ」
私が立ち上がろうとした時、夢人は自分の財布を取り出してお金を渡してきた。
「何よ、これ?」
「ここの代金だよ」
眉をひそめながら受け取ったお金の量は、2人分であった。
「アンタ、話聞いてた? 私はおごるって言ってんのよ」
「聞いてたさ。それでも、やっぱりこういう場合は男が払うものだろ」
「見栄を張るのはいいけど、財布の中身は大丈夫なの?」
「うっ」
気まずそうに視線をそらす夢人の様子から、無理をしていることは明らかだ。
まったく、こう言う所で意地なんて張らなくてもいいのに。
「それにさ、アイエフにお礼をしたいんだよ」
「お礼? 私は別にお礼なんてされるようなことは……」
「しただろ。リゾートアイラン島で、俺のこと心配してくれたじゃないか」
リゾートアイラン島、私は夢人と激しく言い合いをした。
私が一方的に叫んでいただけだったけど、夢人はそんな私にお礼を言ってきた。
あの時、私は夢人の考えがわからず、自分の中の不安をぶつけていただけだった。
結果として、私の心配は杞憂であり、馬鹿は馬鹿なりに前に進んで行くことを決めていた。
「それに、アイエフにはずっと前から助けられっぱなしだし、こんなことでしか返していけないけど、俺なりにお礼をしていきたいんだ」
「……本当、そう言うところ馬鹿よね」
「何か言ったか?」
「何でもないわ。それじゃ、ありがたくおごってもらうわね」
自然と頬が緩んだ。
大人しくおごられてればよかったのに、わざわざ自分から支払おうとするなんて。
「だったら、もっとおごってもらおうかしら?」
「ちょ、ちょっと!? そんなに俺の懐事情は温かくはな……」
「んー、次はどこに行こうかしらね」
私は夢人の言葉を無視して、店を後にしようとした。
時間は有限なのだ。
今日は思う存分、夢人にお礼をしてもらおう。
「ほーら、さっさと行くわよ」
「で、できれば、お手柔らかにお願いします」
「それは気分次第ね」
慌てて横に来た夢人は、情けない声で懇願してくる。
そこまで高いものは要求しないわよ。
人の波で逸れないように、私はこつんと夢人の手に自分の手を当てた。
それを察してくれたのか、夢人は私の手を握ってくれた。
……今日だけ、今日だけなんだからね。
自分に言い聞かせながらも、弾む鼓動を感じる私がいる。
ネプ子達に仕組まれた物であっても、楽しまないと損よね。
だから、仕方なく隣にいてあげるわ。
「あ、ここ入りましょ」
次に入る店を決めて、私は夢人の手を引きながら店内へと入って行った。
アンタからのお礼、しっかり受け取ってあげるわよ。
私は今日1日をどう楽しむかを考えて口元に自然と笑みが浮かんだ。
今日は満足するまで逃がさないんだからね。
……後日、今日のことを追求して青い顔をする2人がいたことは秘密である。
という訳で、今回はここまで!
昼間に今日が雛祭りだと気づいて急いで書き上げました。
せっかくの女の子の日なのですから、取り上げないといけませんよね。
そこで白羽の矢が立ったのは、前回のバレンタインでチョコを渡していないアイエフ。
……単純にあいちゃん書きたかっただけです、はい。
多分、今日は本編の方は書き終えることができなさそうなので、明日次話を投稿します。
それでは、次回をお楽しみに!