インフィニット・ストラトス 黒と白の騎士 リメイク 作:オラクリオン
こんな感じでいいのかな?
織斑家と更識家、そして兎が此処に来て早三日、彼らもここでの生活にある程度馴れたのか、こちらが設定した立ち入り禁止区域以外を自由に動き回るようになっていた。どこからか織斑兄弟がいるのを嗅ぎ付けたマスコミが何度もしつこく押し掛けてくるが、そのたびに追い払っている。まぁ、マスコミのことはどうでもいいんだが、このごろ更識楯無さんと布仏虚さんがコソコソと立ち入り禁止区域に潜入しようとしているのだ。この前無駄に悪役っぽいことをしたから、変に怪しまれてしまっているのかもしれない。実際の所は警護とはいえロシア、つまり他国の国家代表に、企業の機体開発風景を見られるのはいろいろマズイと思ったからだ。それになにより、今は新兵器の開発が行われているしな。転生する前の知識から楯無さんのことはある程度知っている。人を引き込む人誑し、俺が抱いたイメージはそんなものだった。彼女による行動を黙認することが吉と出るか凶と出るか…仕事をしながらそんなことを考えていると、突然電話が鳴り響く。相手を確認すると第一技術室からだった。第一技術室から電話をかけてくるのはセシルだけだ。そして今、第一技術室ではロイドたちが『ランスロット』の調整の準備を行っている。このタイミングでかかってくるということは、準備が完了したんだろう。
「もしもし、こちら社長室だ」
<もしもし? 社長ですか? たった今、『ランスロット』の調整の準備が終わりました>
「ご苦労だった。今からそっちに向かう」
電話を切り、一夏の部屋へと向かう。扉をノックしても返事がないため、どうしたのかと思っていると、ちょうどエレベーターから一夏と秋十君、千冬さんが出てくる。その手には下の購買で買ったであろう袋が握られている。
「ああ、よかった。一夏、今からお前の専用機のセッティングを行うから付いて来てくれ」
「あ、ああ、わかったすぐに行く」
一夏は急いで荷物を部屋へと置き、俺の後を付いてくる。千冬さんと秋十君、それと何故か、道中あった更識家の人たちに兎までもが後を付いてくる。第一技術室に入るとそこには、コアユニット(原作で言う人間が乗る部分、いわばコクピットにISコアを搭載することで、コアユニットの交換で機体そのものを交換できるようになっている)が取り付けられた『ランスロット』が鎮座していた。
「待ってたよ、社長、準備は万端、すぐに始められるよ~」
「ありがとう、ロイド。後でプリン買ってくるよ」
「おお、ありがたいねぇ」
「えっと、この人は?」
「この人はロイド・アスプルンド、うちの技術チームのリーダーだよ。変人だけど技術者としては凄腕だよ」
「よ、よろしくお願いします!」
「よろしくね~、それじゃ早速、調整に入ろうか。セシル君、始めるよ~」
「わかりました」
そういうとセシルが機械を操作し始める。ロイドに引っ張られながら一夏は奥の部屋へと連れて行かれる。少しすると、特注のISスーツに着替えた一夏が現れ、『ランスロット』に無理やり押し込まれる。すると、『ランスロット』のカメラアイに光が灯る。
「起動は成功。ほんとに動かせるんだねぇ」
「だな、ところでラクシャータとニーナは?」
「今頃自室で寝てると思うよ。ここの所は『ハドロンブラスター』に加えてコレの準備もあったからね」
「悪かった。さすがに大仕事二つはまずいと思ったんだが、どっちも重要だったからさ」
そんな会話をしてる間にもセシルがキーボードを操作しデータを入力していく。そんな中、一夏は興味深そうに『ランスロット』の掌を握ったり開いたりしている。
「終わりましたよ。後は実際に動かした方が良いですね」
「そうか、なら、確かカレンとアーニャが今模擬戦場にいたはずだな…よし行くとするか。ロイド、『ジークフリート』の調整はできているか?」
「もちろんだよ、今すぐ持ってくるよ」
「じゃあ、一夏、地下にある模擬戦場まで行こう」
「わかったけど、これどうすれば…?」
「それなら、待機形態になれ、って念じてみてください」
「は、はい…」
一夏が返事をして、少しの間静かになる。すると次の瞬間、機体は量子変換され、白色の西洋剣の形をしたネックレスへと変化した。それを見届け、不思議そうにしている一夏含め全員に対して促す。
「じゃあ、行こうか」
* * *
剣たちが模擬戦場に移動しているちょうどその頃、アッシュフォード・コーポレーションのエントランスに奇妙な四人組が現れていた。一人はダークブルーの髪をショートカットにした健康的な小麦色の肌をした少女、一人はふわふわとカールした薄緑髪のおっとりとした雰囲気の少女、一人は金髪を方ぐらいの高さで切りそろえている人懐こそうな少女、そして、もう一人は紅い長髪を後ろで束ねた凛々しい少女。四人全員が黒いコートを着ており、そのコートにはそれぞれ、トランプのスペード、クラブ、ダイヤ、ハートの絵が胸元に描かれている。ダークブルーの髪の少女が頭を掻きながら、心底面倒くさそうにつぶやく。
「ったく、なんでアタシたちが…」
「あらあら、仕方ないでしょう? 上からの命令なんだから」
「そうだよ! それになんだかおもしろそうだしぃ」
「全く、お前らはもう少し緊張感というものを持て」
上からの命令? その言葉を聞き不審に思った警備員、
「すみません、当社に何かご用でしょうか?」
「あん? んだよオッサン、邪魔だからどけ」
「出来ません、私はここの警備員ですので、不審なものなどを所持していないか検査させていただきます」
「いいじゃん、教えちゃえばさぁ」
「えぇ? でも…?」
「どうせバレるんだしさ、オジサン、私たちはねぇ―――」
ニヤニヤと笑った金髪の少女が一泊置く、すると少女の右腕に何かが出現する。藤堂は瞬時に
「―――ここの機体をいただきに来ましたぁ!」
一瞬の沈黙とともに悲鳴がエントランスに響き渡る。呆れ顔の紅い長髪の少女ハートも日本のIS『打鉄』を展開する。緑髪の少女クラブはフランスの『ラファール』、ダークブルーの髪の少女スペードはアメリカの量産機『ファング』を、金髪の少女ダイヤはイタリアの『テンペスタ』を完全に展開する。
「さて、任務内容はわかっているな?」
「ここの試作機の強奪、だよね?」
「情報ではこの三十階建ての本社の二十階の第三技術室に二機、その上の第二技術室に残りの二機があるそうです。それと、コアユニットの有無は問わない、とのことです」
「細けーこたいいよ、さっさと済ませんぞ」
「お前は相変わらずだな」
四人の少女は自らの任務のため別々に行動を始めた。
* * *
一方その頃、地下一階の模擬戦場で紅月カレンの乗る『紅蓮弐式』と、アーニャの乗る『モルドレッド』の二機を相手に奮戦する剣と一夏の姿があった。剣は『ジークフリート』に搭載されている
「…無駄」
「容赦なさすぎんだろぉぉぉ!?」
無慈悲にも、両肩部のユニットを合体させた四連ハドロン砲が放たれる。間一髪のところで回避するが、圧倒的な弾幕を前に全く攻勢に出ることができない。一方の一夏も、両手のMVSで必死に反撃しようとするが、一瞬早く繰り出されたカレンの右腕の輻射波動砲を回避する。
「そこっ!」
「うわぁっ!?」
先ほど一夏は近距離から一度、輻射波動砲を叩き込まれてしまっている。その時のダメージを見た一夏はもう一度食らってはマズイと思い、必死に回避をしている。しかし、近距離からでも遠距離からでも放たれる輻射波動砲に翻弄されていた。押しているはずのアーニャとカレンだったが、内心は初の操縦でここまで操作している二人に戦慄していた。このままではマズイと二人が一気にたたみかけようとした、その時
<社長! 大変です!>
「どうした? セシル、そんなに慌てて?」
<社内に侵入者です! 四人何れもISを装備していて…!>
「なんだと!? 敵の現在位置は!?」
<今から『ジークフリート』に送信します!>
送信されてきたデータに目を通してすぐさま判断を下す。
「社内にいるパイロット全員に機体を渡して迎撃させろ、俺もすぐに行く!」
<了解しました!>
「悪いけどみんな、そういうことだから協力してくれ!」
「…了解」
「ウチにケンカ売ろうだなんて良い度胸じゃない!」
「わ、わかった!」
気合十分な二人と少し怯えている一夏。無理もない、特訓をしていたらいきなり実戦だ。そんなことを考えていると観戦のためのモニター室から通信が入る。
<警護のためにいるんだから、私も協力させてもらうわ>
「更識楯無さん、わかりました。よろしくお願いします」
<楯無でいいわ、面倒でしょ? いちいちフルネームで呼ぶの。代わりに私も名前で呼ぶから>
「了解した、頼む楯無」
<お任せあれ>
心強い味方ができたな。後は相手の目的が何なのかだが…とにかく今は敵を撃退しないとな。
今回出てきた四人はオリキャラです。ちなみに今回限りのキャラではありません
あと、原作だと輻射波動砲って一発食らったらアウトですが、さすがにそれはマズイので食らってもシールドエネルギーに大ダメージを受けるぐらいの出力です。
感想などお待ちしております。