今回は、一年生三人組に追われる曜ちゃんの話でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。

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1年生3人組に迫られる曜ちゃんの話

「よ…曜さん…オ、オラと…じゃなくてマルと付き合って欲しいズラ…」

 

ある日の放課後、図書室に呼ばれた曜ちゃんは、一人の一年生の女の子から告白をされていた。

 

同じくスクールアイドルのメンバーである、国木田花丸ちゃんであった。

 

「…えっ…突然どうしたの…花丸ちゃん…?」

 

「聞こえなかったズラか…?…だから、マルと付き合って欲しいって言ってるズラ!2回も言わせないで欲しいズラ!」

 

「いや、聞こえてはいるよ?…でも、そんな事を突然言われてビックリしたっていうか…」

 

「…ダメズラか…?」

 

「うーん…ダメっていうか…そうじゃなくて、何ていうか…あはは…。」

 

「…はっ!まさか、曜さんは…もう既に好きな人とかがいたりするズラか…?」

 

「いやー、そういう訳じゃないよ?」

 

「その相手はこの学校にいる生徒の人ズラか!?それとも、もしかして学校の外の女の人…はたまた男の人ズラか!?」

 

「話を聞いてよ…花丸ちゃん…。」

 

「…マルは、誰が相手であっても、曜さんは譲らないズラ!厳しい戦いになるかもしれないけど…その覚悟は出来ているズラ…神は、乗り越えられる困難しか作らないはずだから…きっとこれから起きるどんな困難も乗り越えられるはずズラ!」

 

「いや、花丸ちゃん、どちらかというと神様っていうより仏様じゃないの…?…お寺の子だし…。そんな事より、花丸ちゃん一人に話を進められても困るんだけど…」

 

「戦いになった時は…『この分厚い本の角』と、『念仏』で対抗するズラ…。」

 

「本の角…?念仏…?…意味がわからないよ…。まあ、突然目の前で念仏なんか唱えられだしたら、大体の人は逃げ出すかもしれないけど…」

 

「…でも、その前に…」

 

「えっ…?ち、ちょっと何…!?花丸ちゃん!!」

 

突然、花丸ちゃんが、まるで獲物を狙うような手つきで、曜ちゃんへと近づき始めた。

 

「まずは…『曜さんとマルがそういう仲だっていう事実』を作るところからズラ!」

 

「はっ…花丸ちゃん…!」

 

「…曜さんは、何も心配をしなくていいズラ…マルに全部任せて欲しいズラ…マル、いろんな本で『そういう事』を勉強したズラ…。」

 

「なっ何…?梨子ちゃんに何か読まされたの?…ってそんな事はどうでも良くて…ってうわっ!」

 

次の瞬間、花丸ちゃんが曜ちゃんへ向かって飛びついた。

 

そしてそのまま、花丸ちゃんに曜ちゃんは床へと押し倒されてしまった。

 

「…じゃ、じゃあ…始めるズラよ…曜さん…って…あっ…そんな所…触っちゃ…ダメ…ズラ…」

 

飛びついてきた、花丸ちゃんを両手で受け止めようとした曜ちゃんであったが、それも虚しくそのまま押し倒されてしまったのであったが、その曜ちゃんの両手は、丁度花丸ちゃんの両胸を下から掴むような状態へとなってしまっていた。

 

『なっ…なんか押し倒されちゃった…。…それにしても…花丸ちゃんの胸ってやっぱり千歌ちゃんのより、大きい…。それに、私が触る度に花丸ちゃん、色んな反応して…何か可愛いかも…むしろこのままでもいっかな…。』

 

曜ちゃんは、花丸ちゃんの下で、そのような事を考えながら、ずっと花丸ちゃんの胸を触り続けていた。

 

「あっ…ダメっ…ズラ…ズルいズラ…曜さん…」

 

曜ちゃんにそうされている内に、花丸ちゃんは力尽きてしまったのか、曜ちゃんの上に完全に覆いかぶさるように横たわってしまった。

 

曜ちゃんは、そんな花丸ちゃんを自分の上から押しのけ、立ち上がった。

 

「あっ…曜さん…待って欲しいズラ…まだマルの方は…」

 

「じゃあね、花丸ちゃん。」

 

そう言って、曜ちゃんはその場を立ち去っていった。

 

「マ…マルは…諦めないズラ…曜さんの事を絶対…絶対にオラのものにするズラ…!」

 

放課後の、図書室に、花丸ちゃんの声だけが響いていた。

 

図書室を出た曜ちゃんは、今日はスクールアイドルの活動が無い日であったために、廊下から校門へと向かっていた。

 

「花丸ちゃん、突然呼び出したりして、何かかと思ったら、まったくもう…。…でも、花丸ちゃんの胸は…やっぱり良かったかも…。」

 

そんな事を考えながら廊下を歩いていた曜ちゃんに、後ろから一人の女の子が声をかけた。

 

「…よ…曜ちゃん…。」

 

「んっ?…って、ルビィちゃんか…。どうしたの、私に何か用事かな?」

 

「曜ちゃん…ついさっきまで、図書室で、誰かと一緒にいたよね…?」

 

「えっ…?あぁ…あはは、花丸ちゃんからなんか呼ばれちゃってね、ちょっとの間、花丸ちゃんと一緒に図書室にいたんだよ。」

 

「そう…なんだ…。それで、花丸ちゃんと、図書室で何をしていたの…?」

 

「えぇっ??そ、それはね…えーっと…」

 

「…曜ちゃんのエッチ…」

 

「!?」

 

ルビィちゃんの、突然の言葉に曜ちゃんは驚きを隠せなかった。

 

「分かっているんだよ…曜ちゃんが、マルちゃんに告白されて、押し倒されて、ずっと、マルちゃんの胸を触っていたこと…ルビィ、ずっと、図書室の扉の窓から見てたもん…」

 

「みっ…見てたの…?ルビィちゃん?」

 

「何か、今日の朝からマルちゃんがおかしくて…ずーっとそわそわしたっていうか、落ち着かない様子だったから…それで、放課後に花丸ちゃんの後をこっそりつけて図書室に来てみたら…曜ちゃんとマルちゃんが…。」

 

「あー…ルビィちゃんと花丸ちゃん、友達だもんね…そんな友達の花丸ちゃんにあんな事をしたのは確かに悪かったかもしれないね…いや、先に押し倒されたりとかしたのは、私の方なんだけどね…?」

 

「…違うよ…。」

 

「えっ?」

 

「違うよ曜ちゃん!」

 

「なっ、何が違うのかな、ルビィちゃん?」

 

「…ルビィは…ルビィだって…マルちゃんみたいに曜ちゃんの事が…好きなの…」

 

「えっ…ええーっ!?ち、ちょっと…ルビィちゃん??」

 

「ルビィだって…マルちゃんみたいに…ううん…マルちゃんよりも、曜ちゃんのことが好きだもん…」

 

驚く曜ちゃんに構わず、ルビィちゃんは話を続けた。

 

「曜ちゃんは…お姉ちゃんや、マルちゃんみたいに、ルビィにとって、すっごく頼りになる人だし…CYaRonで、曜ちゃんと一緒のグループになって一緒に歌えた時は、ルビィすっごく嬉しかったんだよ…。」

 

「そっ、そっかあ…まあ、私もCYaRonでルビィちゃんと一緒に歌えて、楽しかったけど…色々と千歌ちゃんに振り回されっぱなしだったけどねー…」

 

「それで…曜ちゃんと一緒にいるうちにルビィ…いつの間にか曜ちゃんの事が好きになっていて…いつかこの思いを伝えようって考えていたんだけど…まさか、マルちゃんも曜ちゃんの事が好きで…マルちゃんに先を越されちゃうなんて思ってもなかった…。」

 

「…ル、ルビィちゃん…」

「でもルビィ、どっちが先に告白をしたかなんていうの、関係ないと思う!だから、ルビィも曜ちゃんに伝えるよ?…曜ちゃん…ルビィは、曜ちゃんの事が好きです…付き合って下さい…」

 

ルビィちゃんからの突然の告白に、花丸ちゃんの時と同じく曜ちゃんは困惑をしてしまっていた。

 

「ええーっ!?…えーっと…うーん…」

 

どう返事をすれば良いのか分からず、そうして考え込んでしまった曜ちゃんに、ルビィちゃんは近づいて行き、その両手を握って上目遣いで言った。

 

「ルビィじゃ…だめかな…?」

 

その瞬間、曜ちゃんに電流が走り、気がついた時にはルビィちゃんの事を抱きしめてしまっていた。

 

「かっ、可愛い、可愛いいいい!ルビィちゃああああん!」

 

「くっ…苦しい…苦しいよ…曜ちゃん…。」

 

「ごっ、ごめん、ルビィちゃん…。苦しかったよね…?」

 

ルビィちゃんの苦しそうな声に、曜ちゃんははっと我に返り、そのまま抱きしめるのをやめた。

 

「…ちょっと苦しかったかも…でも、これは曜ちゃん、ルビィを曜ちゃんの恋人として認めてくれたって事だよね…?」

 

「い、いや…ごめん…恋人として認めたとか、そういう訳じゃないんだけど…ルビィちゃんが可愛いかったから…つい…」

 

「…そうなんだ…。認めてくれた訳じゃなかったんだ…。」

 

そうして、ルビィちゃんは、今度は今にも泣きそうな顔で曜ちゃんのことを見上げた。

 

『うっ…これは…このままじゃ、ルビィちゃんの思うがままにされちゃう…』

 

泣きそうな顔のルビィちゃんに見つめられてしまった曜ちゃんは、そのままルビィちゃんから、横へ顔を逸らした…のであったが、ルビィちゃんは、そんな曜ちゃんの顔の動きに合わせるように位置を移動し、覗き込むようにして見上げた。

 

「ううっ…ごっ、ごめんっ!ルビィちゃんっ!」

 

これ以上、ルビィちゃんに見つめられてしまうと、ルビィちゃんの思うがままにされてしまうと感じた曜ちゃんは、ルビィちゃんに背を向けて、そのままそこから走って逃げ去っていった。

 

「ああっ!!…曜ちゃん!!…待ってっ…待ってよぅー!」

 

曜ちゃんの後を追ったルビィちゃんであったが、曜ちゃんに追いつけるはずもなく、更に転んでしまった。

 

「ピギャッ…!…ううっ…わぁぁぁんー!痛いよぉー!お姉ちゃーん!」

 

「ルビィィィィィ!!どっ、どうしましたのぉぉぉ!?何がありましたの!?」

 

「ううっ…お姉ちゃん…曜ちゃんが…曜ちゃんがぁ…」

 

「何ですって!?曜さんがルビィを泣かせた…?…許しません…許しませんわよぉ!曜さぁぁぁぁぁん!!」

 

「はあ…はあっ…ここまで来れば…大丈夫かな…?」

 

何とか、ルビィちゃんから逃げ出す事が出来た曜ちゃんは、校門の前に来ていた。

 

「花丸ちゃんも、ルビィちゃんも…本当に何だったの…?…まあ、いいか、取り敢えず帰る事にし…」

 

曜ちゃんが、校門を出ようとした瞬間、突然その肩の上に手を置かれた。

 

「ふっふっふ…待っていたわよ、曜…」

 

「…突然肩を触られたから、誰かと思ったら…善子ちゃんか…。」

 

「善子じゃなくて、ヨハネよっ!…そんな事より、さあ…一緒に帰るわよ、私の部屋へ…くっくっくっ…」

 

「嫌だよ。」

 

「!?…ち、ちょっとっ!そんなあっさり言わなくてもいいでしょ!?」

 

「うーん…因みに善子ちゃんは私を部屋に連れて行ってどうしたいの?」

 

「そんなの決まってるわ…契約の儀式よ…。私と曜…二人の間の愛を誓い合う儀式を行うのよ…。」

 

「じゃあ、やっぱ行かない。」

 

「ちょっ…まっ、待ちなさいよっ!」

 

その場を去ろうとした曜ちゃんの腕を善子ちゃんは掴んだ。

 

「…曜が来てくれるって言うまで、この腕を離さないわよ!」

 

『…うーん…なんか面倒な事になっちゃったなぁ…無理やり善子ちゃんを引き離すことも出来なくもないけど…結構がっしりしがみついてるから、無理やり引き離そうとして怪我させちゃったりしても困るし…それに何か周りの人に見られちゃってるし…』

 

善子ちゃんに腕を掴まれたまま曜ちゃんは暫く考え込んでいたが、面倒な事になってしまうのは困るため、善子ちゃんの家へと行く事にしたのであった。

 

「…分かった…行ってあげるよ、善子ちゃんの部屋に。」

 

「ほっ、本当!?…ふっふっふっ、流石は曜…よく分かっているわね…それじゃあ、行くわよ…」

 

そうして、曜ちゃんは善子ちゃんに連れられ、彼女の家へと向かった。

 

善子ちゃんの家へと向かっている間も善子ちゃんは曜ちゃんの腕をずっと掴んでいた。

 

「…さあ、着いたわよ…」

 

「おっ…お邪魔します…」

 

善子ちゃんの家に着くと、善子ちゃんに引っ張られるように、曜ちゃんは中に入り、そのまま彼女の部屋へと入った。

 

「ふっふっふっ、それじゃあ、早速始めましょう…私達の愛の契約の儀式を…」

 

「…うーん…それで、具体的に何をするつもりなの…?」

 

「そうね…まずは、私と曜の二人でベッドに入って…」

 

「…それじゃあ、私帰るね。」

 

「ち、ちょっと待ちなさい!まだ来たばっかりでしょ?」

 

「だって、善子ちゃんがどんな事をしようとしてるかもう分かっちゃったもん。」

 

「うっ…た、確かにこの儀式はもうちょっと後にやる儀式よね…もうちょっと私と曜の愛を深めてから…」

 

「いや、順序とか関係なく、私そんな儀式はする気無いからね?」

 

「なんでよっ!…ずら丸やルビィの二人も貴方の事を狙っているのよ…。今すぐにでも私は、曜との契約が必要なのに…。ううっ…」

 

そう言って善子ちゃんは泣き出してしまった。

 

「あぁ、もう…泣かないでよ善子ちゃん…うーん、こうなったら…」

 

善子ちゃんに顔を近づけた曜ちゃんはそのまま、泣いている善子ちゃんのおでこのあたりへとキスをした。

 

「!?…ちょっ、ちょっと、何をしているの…!?」

 

突然曜ちゃんにキスをされた善子ちゃんは泣くのをやめると同時に、驚きの表情を見せた。

 

「あっ、ごめん…こんな事されるのやっぱ嫌だったかな?私も善子ちゃんに泣かれたまでいられるのは困るからやったっていうか、何ていうか…」

 

「っ…全然嫌じゃないわ…でも…突然だったから…」

 

善子ちゃんは、ずっと顔を赤らめたままでいながら、曜ちゃんの事を見上げていた。

「でも…曜の方から私にキスをして来たってことは…曜の方もその気があるってことよね…?…じゃ…じゃあ…次はお互いの唇で愛の誓いを…」

「いや…そういう気があったつもりじゃないんだけど…」

『そろそろ無理やりにでも帰ろうかな…』と曜ちゃんが思い始めていたその時、突然善子ちゃんの家のインターホンが鳴る音がした。

「あっ、善子ちゃん、インターホンが鳴ってるよ。荷物とかでも届いたんじゃないかな。」

「…なによ、全く…これから私と曜で契約の口づけをしようとしていたのに…仕方ないわね…」

突然のインターホンに水を差された善子ちゃんであったが、怒りながらも素直に玄関へと向かっていった。

「まあ、どうせ荷物とかよね…。」

素早く部屋へと戻りたかった善子ちゃんは、インターホンの画面を確認せず、リビングでハンコを取り玄関の扉を開けた。

「はーい、ごめんなさい、おまたせし…って…えっ…?」

扉を開けた善子ちゃんの前に居たのは、果南ちゃんと鞠莉さんの二人であった。

「な…何よ…貴方たち…」

困惑する善子ちゃんに果南さんが聞く。

「…曜は今こっちに来てるの…?」

「き…来てるけど…何な…」

善子ちゃんが言い終わる前に、果南さんと鞠莉さんの二人は、家の中へと勝手に入っていった。

「なっ…何なのよ一体…待ちなさいよっ!」

善子ちゃんの止める声も無視し、二人はどんどんと家の奥へと入っていった。

「曜、いるんでしょ?いるんだったら、出てきてー!」

果南ちゃんの呼び声に気づいたらしく、曜ちゃんが善子ちゃんの部屋から出てくる。

「あれー、果南ちゃんに鞠莉さん?どうしたの二人で…って、ええーっ!?」

果南さんと鞠莉さんの二人は曜ちゃんを見つけるや否や、二人で両側からがっしりと腕を掴んだ。

「ちょっと、ちょっと、どうしたの二人とも―!?」

曜ちゃんの叫び声も空しく、果南さんと鞠莉さんはそのまま、善子ちゃんをも跳ね飛ばし、家の外へと走り去っていった。

「いっ…いたたたた…な、何なのよ…二人とも…はっ…!それより、あの二人に曜が連れていかれてしまったわ!…まっ待ちなさいよぉ、二人ともぉ!曜を返しなさいよー!」

善子ちゃんはそう叫び、走り去っていった果南さんと鞠莉さんの後を追い始めた。

「…えーっと…これはどういうことなのかな…?」

果南さんと鞠莉さんに連れ去られた曜ちゃんは、黒澤家へと連れていかれ、そしてそのままルビィちゃんの部屋へと連れていかれた。

そして、果南さんと鞠莉さんにそのまま縄で体を縛られ、動けない状態にされた後、果南さんと鞠莉さんはその場から去っていった。

現在、部屋の中には、ダイヤさん、ルビィちゃん、そして動けない状態にされた曜ちゃんがいるといった状態であった。

「…それはあなた自身が分かっているでしょう…?…曜さん…?」

「…えっと…うーん、分からないです…ダイヤさん…」

「おだまらしゃーい!あなたがルビィを泣かせたことは分かっているのですわ!ルビィが廊下で倒れて泣いていましたのですが…きっと貴方のせいでしょう!?さあ、はっきり言いなさい!」

曜ちゃんは直接的にルビィちゃんを転ばせて泣かせたわけでは無かったが、ルビィちゃんがそうなった原因が自分に全くないわけでは無かったため、ダイヤさんの言葉に反論をすることが出来なかった。

「さぁ、どうなのですか?曜さん!?」

「ね…ねぇ…お姉ちゃん…?」

「ルビィ!?あなたからも曜さんに何か言いなさい?曜さんに泣かされたのでしょう?」

「…違うよ…?」

「えっ?」

「確かにルビィは転んで泣いたけど…それは曜ちゃんのせいじゃなくて、ルビィが勝手に転んじゃっただけだよ…。」

「そ…そうでしたの!?」

「う、うん…だから曜ちゃんは何も悪くないから…ねっ、お姉ちゃん?」

「…ル、ルビィがそう言うのでしたら…まあ…。」

ルビィちゃんの言葉で、ダイヤさんは曜ちゃんに対して謝った。

「ごめんなさい…曜さん。どうやら私のはやとちりだったみたいですわね…。」

「いえ…分かっていただけたならいいんです…それより、この縄を…。」

「…あぁっ!ルビィの事で気が動転していましたが、そういえば私、お母様に任されていた用事があったのを思い出しましたわ!…それではルビィ、私はちょっと外に出てきますから、曜さんの事をお願いしますわよ!?」

突然、用事を思い出したと言ったかと思うと、曜ちゃんの言葉を無視し、ダイヤさんはそう言って外出していった。

そして部屋の中にはルビィちゃんと曜ちゃんの二人だけといった状態になっていた。

「ル…ルビィちゃん…私の事を庇ってくれてありがとう…それで早速だけど…この縄を解いてくれないかなぁ?」

「…えへへ…縄を解きなんてしないよ…。やっと二人きりになれたね…曜ちゃん…えへっ…」

「だよねー。ていうか、今のルビィちゃん、何か怖いんだけど…」

 

「…今のルビィはね…狼さんなんだよ?…だから、これから曜ちゃんの事を食べちゃうよ…?」

「そっかぁ…狼なんだ…。可愛い狼だねー。で、食べるってどういう事かなー?…まあ、大体予想はついてるけど…。」

 

「もちろんそれはぁー…」

 

徐にルビィちゃんは、曜ちゃんに顔を近づけ、曜ちゃんの顔を下から手で支えるようにして顎のあたりを持ち上げた。

 

「えへへっ…どうかな…曜ちゃん?年下の後輩の女の子にこんな事をされてしまう気分は…」

 

「ル…ルビィちゃん…いつもとキャラ違いすぎ…(無理してる感も少し感じるけど)」

 

曜ちゃんは、ルビィちゃんの突然の行為に困惑をしていたが、何となく、このままルビィちゃんに好きにされてしまってもいいのではないかと言った気持ちも全くなかった訳でもなかった。

 

「じゃあ…曜ちゃん、ルビィと…キス…」

 

そう言ってルビィちゃんが曜ちゃんにキスをしようとしたその時…

 

「待ちなさーい!そうはさせないわよぉ!」

 

「ピッ…ピギィィィ!」

 

大声を上げて、部屋に入ってきたのは善子ちゃんだった。

 

「はあ…はあ…や、やっと見つけたわ…それより、こんな所にいないで早く一緒に私の部屋に帰るわよ、曜!」

 

「ま、待ってよ、善子ちゃん!曜ちゃんはこれからルビィと一緒に恋人の誓をするんだから、勝手に連れていかないでよぉ!」

 

曜ちゃんを相手の好きにさせまいとするルビィちゃんと善子ちゃんの二人であったが、そこにさらにもう一人がやってきた。

 

「待つズラ、待つズラー!!曜さんは、マルのモノズラぁー!」

 

「…うっ…ずら…丸…?」

 

「は…花丸ちゃんまで…?…でも花丸ちゃん相手でも、ルビィは譲らないよ…!」

 

「それは、マルのセリフズラぁ!覚悟するズラよ、二人とも!」

 

そうして、部屋の中で三人のケンカが始まってしまった。

 

お互いに、曜ちゃんを譲るまいといった気迫に満ちており、なかなか決着が着きそうになかった。

 

「ち、ちょっと!三人とも、部屋の中で喧嘩なんてしないでよ!」

 

曜ちゃんが喧嘩を止めようとしたが、縛られて動けない状態の彼女には何もすることが出来なかった。

 

そうこうしているうちにやがて、喧嘩の方も終わり、3人とも疲れ果てて床へと倒れ込んでしまった。

 

どうやら、決着はつかなかったらしく、3人共倒れといったようであった。

 

「はぁはぁ、なかなかやるズラね…二人とも…」

 

「あ…あんたもね…なかなかやるじゃない…」

 

「…マルちゃん、善子ちゃん…ルビィ思ったんだけど…」

 

「どうしたズラ、ルビィちゃん?」

 

「私達3人で曜ちゃんを取り合うのはやっぱり止めた方がいいんじゃないかなって思うんだけど…」

 

「つまり、どういう事?」

 

「ルビィ、曜ちゃんの事は好きだけど…その事でマルちゃんや善子ちゃんと喧嘩しちゃったり、お友達じゃなくなっちゃうのは、やっぱり嫌っていうか…」

 

「…そうズラね…ルビィちゃんの言う通りズラ…マルも、2人と仲が悪くなっちゃうのは…やっぱり嫌ズラ!」

 

「…仕方ないわね…私一人で、曜を独り占めにするのは、やめる事にするわ…」

 

「じゃあ、これからは…」

 

仲直りをした3人が一斉に、縛られた状態の曜ちゃんの事を見る。

 

「えーっと…あのー、ちょっと3人とも…なんか目が怖いんだけど…」

 

「曜さんは、マル達3人のモノズラ!…ふふふ…覚悟するズラよ…曜さん…マル達3人で思う存分可愛がってあげるズラ…」

 

「…さっき逃げた事を後悔させてあげるわ、曜…覚悟しなさい…クックック…」

 

「…今度はルビィ1人だけじゃなくて、3人の狼さんが曜ちゃんを襲っちゃうよ、曜ちゃん?覚悟は出来ているよね…?」

 

じりじりと、恐ろしい目付きで動けない自分へと近づいてくる1年生の3人…

 

これから、3人にどのような事をされてしまうのか…その事に恐怖心を感じていた曜ちゃんであった…のだが、何となく期待感をも抱いてしまっていた曜ちゃんでもあった…

 




お読みいただき、ありがとうございました。
ロジャー新田でございます。
今回は、1年生組に言い寄られる曜ちゃんといった話でございましたが、如何でしたでしょうか。
元々は、曜ちゃんが善子ちゃんに襲われる話を書こうと考えていたのですが、どうせなら1年生みんなに襲われる話にしてしまおうと考え、このような話になりました。
今回は、1年生に襲われる曜ちゃんの話でしたが、3年生に襲われる曜ちゃんの話もそのうち書いてみたいですね。
その他には、μ'sの話で、3年生に襲われる海未ちゃんの話とかもどうかと考えております。
何はともあれ、最後まで読んでいただきありがとうございました!
それでは、またの作品にて!


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