ガルパ☆ピコの奇妙な冒険   作:4kibou

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豚骨しょうゆラーメンおいしいよね

 

 前回までのガルパ☆ピコの奇妙な冒険は――

 

「蘭ちゃん! 蘭ちゃんの個性を爆発させるッ!!」

「うおおおおおおッ!?」

 

 意外! それは髪の毛ッ!

 

「あたし、つぐみに……!?」

「蘭ちゃん……!」

「――いいや違うッ! こんなのつぐみじゃない! あたしたちのつぐみはもっと、こう、なんていうかッ! 全力でつぐってるんだッ!!」

「蘭ちゃん……!?」

 

 飛び跳ねる血潮! 爆発する赤メッシュ!

 そしてッ!

 

「これがあたしのやり方だァーーーッ!!」

 

 目覚めたスタンドパワー!

 緋色の像を構えて、美竹蘭は幼馴染みと対峙するッ!

 

 

 

 ☆★☆

 

 

 

Cry out(叫べ)ッ!!』

「なっ――――」

 

 蘭の背後から現れた悪霊が、彼女の『大いなる普通』目掛けて拳を振るう。

 それをつぐみは、すんでの所でなんとか躱した。

 間一髪、さらわれた前髪がはらりと落ちる。

 

「それが……蘭ちゃんの『スタンド』……」

すたんど(・・・・)……? つぐみ、なにそれ」

「えっ」

 

 ……なんて説明すれば良いのだろう、とつぐみは悩んだ。

 言葉で説明するのは簡単なようで難しい。

 というより、彼女も彼女でそこまで詳しいワケでもない。

 結果として返答に窮してしまうのは当然の理だった。

 

「あー……その……えっと……ね……?」

「……この幽霊みたいなのが『スタンド』……ってこと?」

「そ、そう! そう、なんだけど……」

「あたしの髪を爆発させたのも……それ?」

「う…………!」

「…………、」

 

 どこからか聞こえてくる地鳴りのような音(ゴゴゴゴゴ……!)

 本来なら幼馴染みに向けられるべきではない蘭の鋭い眼光がつぐみを射貫く。

 昨日まで病床についていたとは思えないスタンドパワーだった。

 だが、つぐみにとってなによりも驚いたのはそこではない。

 そんな些細な問題ではない。

 

「(なんで……私の爆発が効いてない……?)」

「……つぐみ」

「たしかに……蘭ちゃんの叛骨的な赤メッシュを爆発したのに……!?」

「――――いま」

 

 ゆらり、と蘭の体が揺れる。

 感情に呼応するようにスタンドパワーが膨れ上がる。

 怒髪天を衝くとはまさにこのこと。

 彼女は血だらけの顔も無関心に、肩を跳ねさせたつぐみをしっかりと見遣った。

 

「いまこのあたしの(メッシュ)のこと……なんて言った?」

「えっ?」

 

 

 

「誰の髪の毛がイキリ赤メッシュだとォーーーーッ!?」

『Cry outッ!』

 

 

「言ってないよそんなこと!?」

 

 振り抜かれた拳がつぐみの『スタンド』を掠って地面にぶつかる。

 砕ける路面、ひび割れるアスファルト。

 美竹蘭の『スタンド』は彼女の歌声のように力強いエネルギーを秘めた代物だ。

 速さ、破壊力ともにつぐみの『大いなる普通』よりも上。

 

「……っ!」

「つぐみ!」

 

 逃げる少女の背中を、蘭は即座に追いかけようと駆け出す。

 ――そこへ。

 

「ストップだ、蘭」

「……っ! 巴……?」

「悪いけど、つぐを追わせるわけにはいかない」

 

 今のつぐはつぐってるからな、と走り去るつぐみを尻目に巴が言う。

 もっとも蘭にとっては分からないことばかりで、把握できない事態の連続だ。

 どうしてつぐみが逃げたのかとか、なんでここに巴がいるのかとか。

 そもそも自慢の赤メッシュがどうして爆発するのかと、考え出せばキリがない。

 ただひとつ、彼女が美竹蘭として――『Afterglow』として言えるのはたったひとつ。

 

「……違う。いまのつぐみはつぐみじゃない。あたしの知ってるつぐみじゃない」

「いいや、つぐだ。つぐはいつでも、まあ、つぐってるからつぐだ!」

「――そっか」

「――そうだ」

 

 ふたりの少女がにらみ合う。

 さながら西部劇のガンマンのように。

 腰に『スタンド』という銃を構えて、いつ抜くかを見極めるように。

 

「……蘭も使えるんだよな?」

「……使える?」

「なら、手加減はいらないってことだよな……『スタンド』でッ!」

「!!」

 

 先に抜いたのは巴の方だ。

 彼女の背後から、鋭く伸びる腕が突き上がる。

 輝く液体、立ち上がる煙、そしてなにより理解しがたい形と色。

 

「……なに、これ」

 

 思わず蘭はそう呟いていた。

 無理もない。

 彼女のソレを目にして、そう口にしないほうが平気の沙汰ではない。

 

「これがアタシの『豚骨しょうゆ姉御肌(コッテリ・サバサバ)』だ!」

「……いや、それが、なに?」

「そらっ!」

『ソイヤッ!』

 

 ――不意に、蘭の右手を鋭い打撃が襲った。

 

「うぐあっ!?」

「……油断したな、蘭」

「巴……!」

「アタシの『スタンド』……『豚骨しょうゆ姉御肌』は見た目だけじゃない……パワーだって兼ね備えてる……!」

 

 〝むしろ見た目にパワーがありすぎる……!〟

 そんな蘭の内心を知ってから知らずか、巴はふふんと鼻を鳴らした。

 

「どうした? そっちも見せてくれるんだろ? 蘭の『スタンド』を」

「――ッ、なにがなんだか分からないけどッ!」

Cry()――』

『ソイヤァーッ!!』

 

 バギン、とまたしても打撃に『スタンド』の拳が弾かれる。

 ――否、それは打撃であって打撃でない。

 〝打つ〟という点では等しく同じであるが、用途はまったくの別物。

 彼女の『スタンド』――豚骨しょうゆ姉御肌が握っているのはスティックである。

 どこからどう見てもドラムのスティックを、ラーメンでつくられた腕が握っている――!

 

「う、ぐぅっ……!?」

「見たか蘭! 私の『スタンド』を! 強さを!」

「こんな……ふざけた、格好で……!?」

 

 ぱっくりと殴ったはずの蘭の拳が裂ける。

 その緋色よりも黒い鮮血が地面に滴り落ちていく。

 巴はその光景を、ニヤリと笑いながら見た。

 

「油断してると一瞬でリタイアだ、それでもアタシはいいけどなっ! いくぜダメ押し!」

『――ソイソイソイソイソイソイソイソイソイソイソイソイソイソイソイソイヤーーーーーーーーッ!!』

「うぐあぁッ!?」

 

 ドッパァーン! と蘭の体が打撃の連打に悲鳴をあげる。

 朝から視界にバイオレンスな光景はなかなか重い。

 とくに全身から噴き出る血を眺めるなんて、いくらガールズバンドをやってるからと言っても御免被りたかった。

 後ろには自らを守るように構える緋色の幻像。

 彼方には幼馴染みの背後に構える意味不明な幻覚(スティックを持ったラーメン)

 それは美竹蘭に、究極の精神状態をつくりだした。

 一言でまとめるなら、それはそう――

 

「く……こ、の……ッ……!」

 

 ――カオス! 混沌! あまりにも理解不能な状況ッ!

 人間は慣れる生き物だ。

 脳のキャパシティがオーバーしようと直に慣れていけばなんてことはない。

 受け入れることは難しくとも、順応するのは難しいことではないのだ。

 世界の常識というネジがはじけ飛んだこの状況で、蘭は前者よりも後者を選んだ。

 つまるところ、『理解』という常識を圧倒的に放棄した。

 

「それでも追うッ! あたしは行くッ! つぐみのもとへ!」

「ならアタシの屍を越えて行けぇーッ! 美竹蘭――ッ!!」

「言わずもがなッ! 巴ッ! これが! これこそがあたしの『スタンド』ッ!! これこそがッ!!」

『――Cryッ!!』

 

 ガキン、と再びぶつかり合った拳と打撃が甲高い音をたてる。

 だが力負けはしない。

 二度目の衝突で拳の皮膚はすこしも裂けてはいない。

 それは偏に彼女の感情が呼び起こすスタンドパワーの極致。

 ガールズバンドの根幹に据えられた純粋なまでの願いの象徴。

 緋色の幻像は、夕焼け空をその心に刻み込む――!

 

Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) ――――ッ!!』

「ぐ、うぉおぉおッ!?」

あたしのやり方だぁ(That Is How I Roll)ーーーッ!!」

『――Cry out!』

 

 ――宇田川巴、『豚骨しょうゆ姉御肌』

 敗北ッ!!       




>くわくわ
例の空耳。すごい良い曲

>蘭の『スタンド』
スカーレットです(真顔)

>豚骨しょうゆ姉御肌
これで行くと決めたからには迷わない……!

>ソイヤ
正直ネタにされ尽くした感ある
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