前回までのガルパ☆ピコの奇妙な冒険は――
「これがッ!」
「うおおッ!?」
「あたしのッ!」
「うわあああッ!?」
「やり方だァーーーーッ!!」
「ぐあーーーッ!?」
宇田川巴、敗北! だがしかしッ!
事態は収束までほど遠くッ!
「蘭ちゃん……私、やるよ!」
彼女こそが大いなる普通!
絶対的な普遍性を持つ究極の少女!
そこに〝逸脱〟の二文字は恐らくないッ! たぶんッ!
「――『大いなる普通』ッ! 第三の爆弾!」
いま一度、鮮血が彼女の身を襲う――!
☆★☆
「ここ、は……?」
「……やっと起きた」
「蘭……」
むくりと起き上がった巴を、蘭はじっと見遣る。
「アタシは、いったい……?」
「……いきなり襲いかかってきたんだけど」
「は? いや、そんなこと――おぉっ!?」
「……?」
ぐるん、と勢いよくふり向く少女。
思わず『スタンド』を出してしまった。
こう、反射的に。
「そうだ! たしかに襲った……! おお、思い出してきたぞ。たしか昨日ラーメン食べてたとき、いきなりラーメンが爆発して……!」
「(つぐみだ……)」
やはりあの爆発にはなにかる、と蘭は踏んだ。
ただの爆発であるハズがない。
あの変な胸の高鳴りがその正体であるのか、副産物であるのか。
どちらも可能性としてはあり得るし、両方である可能性も捨てきれない。
「そっから……たしか、つぐが……ん? なんだ? いや、つぐだけど……あれ……?」
「……いまのつぐみはつぐみじゃない。だから、あたしがつぐみを正気に戻す」
「……なんか、目が据わってるな、蘭」
「そりゃあ、まあ……」
こんな状況であれば目も据わるというもの。
だいたい本当に全くもって意味が分からない。
いや本気で意味が分からない。
まともに考えようとすると頭が痛くなる。
ので、蘭は巴との戦いからずっと〝考えない〟ことを意識して考えていた。
「ま、なにはともあれ……ありがとな。蘭のおかげで、目が覚めた」
「あたしの……?」
「ああ。その……なんだ? 蘭の『スタンド』に殴られてるときに思い出したんだ。アタシたちが、バンドはじめたときのこと」
「!」
――ああ、それは、やっぱり。
いまでも忘れることなんてないだろう。
成る程、夢は夢でもただの夢とも違う、と蘭は思い知った。
あの光景に込められたメッセージこそが、きっと彼女の背後に立つソレだ。
「……決めた」
「蘭?」
「黄昏色……だから『
「……Afterglowじゃなくて?」
「……
「そっか」
そう言うのなら仕方ない。
巴は苦笑して立ち上がった。
ま、色々と言いたいところは幼馴染みとしてあるけれども、今ぐらいは側で見守っていようと。
……思い出した先日の看病の件もあわせて、切実にそう思うのだった。
「というか、気になってたんだけど、巴」
「どうした、蘭?」
「……なんで距離とってるの?」
「あー、それはだな。まあ、うん!」
微妙な表情が刺さる。
おもに彼女の不安に。
だがしかし、そんなコトなどいざ知らず。
事態は一向に待ってくれないのだ。
「そろそろなんか、来る頃だなーって」
「は――?」
――直後、美竹蘭の赤メッシュは三度目の爆発を引き起こした。
「うぐぅっ……!?」
「蘭ーーー!!」
ばたり、と血を噴いて倒れ込む反骨の赤メッシュ。
むしろ出血で他の髪まで赤くなりそうな始末だった。
巴の目前では一回目。
しかし蘭にとっては都合三度目のメッシュ爆弾に、ちょっと、もう、なんていうかどんな反応を示して良いか分からない。
「だ、大丈夫か!? しっかりしろ、傷は深いぞ!」
「巴……!」
「なんだ? どうしたんだ、蘭!!」
「逃げてた、くせに……!」
「蘭ーーーー!!」
「――いやー、なんともつぐってるねー」
「「!!」」
と、そんなふたりの耳に聞き慣れた声が届いた。
間延びした声、マイペースな口調。
いつだってどこだってそのスタンスを崩さない少女を彼女は知っている。
彼女
「モカ!」
「モカ……!」
「けれどもふたりはここで美少女戦士モカちゃんにやられてしまうのです……」
青葉モカ。
Afterglowのギター担当。
ゴーイングマイウェイを地で行く彼女の背後から、カッと後光がさす。
そしてなんか
何故だ。
「っ! 『
「しかーし……ふっふっふー……! 『ゴーマイウェイ』ー」
――時空が、歪んだ。
時計が曲がる。
電信柱がいつの間にか引っこ抜かれて空まで上がっていく。
飛ぶ鳥は下に、ウサギは遙か彼方の月まで跳び上がる。
美竹蘭の足下から、突き刺す槍のように〝フランスパン〟が飛び出してくる。
「ッ!? こ、の――!」
『
「まだまだー」
ぽん、と蘭の肩に乗っかってきたなんか
おかしなステッキを握ってそれがポカポカと殴りつけてくる。
「い、痛っ、ちょっ、痛いッ!?」
「さあ、美竹さん。今日こそ魔法少女としてその辺にはびこるめちゃくちゃ悪いやつらを七ページ半ぐらいやっつけるわよ」
「ちょっ、なにこれ、なんか喋ってるんだけど……!?」
「それー」
空から降ってくるコッペパンが地面を抉る。
塀を突き破って出てきた
マンホールの蓋が突如として持ち上がり、かと思えばクッキーになって円盤のように蘭目掛けて突っ込む。
「と、とにかくッ! なんだか分かんないけどくらえッ! 『反骨の赤メッシュ』ッ!!」
「サンシャイーン」
スカッ、とスタンドの拳を避けるモカ。
そのあまりにも洗練された無駄のない無駄に無駄がつくられた無駄な動きが蘭の感情を逆撫でする。
「モカ……!」
「遅い遅いー。ここはもうモカちゃんの世界……蘭の攻撃なんて、ぜんぜん当たらないー……かも……?」
「――いいや、当てる」
「えー?」
しゅるり、と。
「おー……これ、は――」
腕に巻き付いた細い何かに、モカが目を見張る。
蘭の『反骨の赤メッシュ』は射程距離のそんなに長いタイプではない。
ましてや遠回しな手段を取れるタイプでもない。
が、彼女の腕をぐんと引っ張ったのは紛れもない他人の力で――
「これはー……トモちん……!」
「かかったなモカ! 張り巡らせた
「分かってる!」
その一瞬の隙を見逃す美竹蘭ではない。
全速力で歪みきった空間を走る抜ける。
行く手を遮るフランスパンをなぎ倒し、クッキーを撃ち砕き、空から飛来するコッペパンを弾き飛ばす。
肩の妖精はつきまとってウザいので放り投げた。
――彼我の距離、三メートル。
そこならば十分、彼女の
「いくよッ! 『反骨の赤メッシュ』ッ!!」
「……も、もしかして
『――
バッコォーン! と飛んでいくモカ。
解けていく彼女の世界が、現実へと戻っていく。
「――違う、
「う、う~……」
青葉モカ――
――敗北ッ!!
>反骨の赤メッシュ
うn
>地面から飛び出るフランスパン
考えるな、感じろ
>もしかしてくわくわですか~?
くらくらーあっ!
>張り巡らされたラーメン
たぶん半径二十メートル豚骨しょうゆスプラッシュとかやってくれる(確信)