ガルパ☆ピコの奇妙な冒険   作:4kibou

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つぐってる

 前回までのガルパ☆ピコ――

 

「豚骨しょうゆ――」

「えい、えい、おー!」

「さんしゃいーん」

「くらくらーあッ!」

 

 繋がりを取り戻していくAfterglowッ!

 彼女たちの心はいま一度ひとつになりかけた!

 残るパズルのピースはあとひとつ!

 

「私の名前は羽沢つぐみ、羽丘女子学園高等部――」

「つぐだな」

「つぐだね」

「つぐってるー」

「……つぐみ、大丈夫?」

「蘭ちゃんの優しさが逆に痛いっ!」

 

 立ちはだかる『大いなる普通』を前に、少女たちは勝利を掴めるのか――?

 一方その頃。

 

「……ここ、は……?」

「私の部屋よ」

「あ、起きた?」

「一先ず、状況の説明を――」

「目覚めし山吹色の……えーと……うーんと……」

「だ、大丈夫……ですか……?」

 

 青い薔薇に囲まれて、ひとりの少女が目を覚ます――!

 

「そう……やっと理解したわ。あの子たち……ガールズバンドは侮れないということを!」

 

 さーくるを中心に展開された物語は、いよいよ収束へと近付いていくッ!

 

 

 

 ☆★☆

 

 

 

『ま、まあつぐは全然問題なかったからなー!』

『一回もミスらなかったもんねっ!』

『……うん、いつもどおりだった』

『よかったよ~、つぐ~』

『あはは……そんなことないよ……』

 

 〝――私、もっと努力しなきゃ……!〟

 すべてはあの日からはじまった。

 自分を変えようと羽沢つぐみは願った。

 もっと頑張らなくてはと心底思った。

 だからこそ、ふり向かず、ひたむきに努力を続けてきた。

 いつか、それが報われるようにと。

 ――そうして、『大いなる普通』が生まれた。

 特徴を。

 個性を。

 文字通りその人自身を代表する要素を。

 きっと爆発させたなら、変われるはずである。

 羽沢つぐみは魅力に溢れた。

 けれども、

 

『――いまのつぐみはつぐみじゃない』

 

 思考の端に残った記憶の欠片。

 あの紅い瞳が真っ直ぐに見つめる光景を思い出す。

 つぐみの爆発を喰らっても、美竹蘭が魅力に囚われることはなかった。

 どこまでも強く、たしかな意志をもって呪いを撥ね除けた。

 それはたぶん、彼女のなかにあるべき芯の強さだ。

 譲れないものがあるからこそ、美竹蘭は真っ赤に燃える。

 さながら、あの日見た黄昏の空のように。

 

「……見つけた、つぐみ」

「蘭ちゃん……」

 

 だからこそ、彼女も……そして誰もが分かっていた。

 いつかはこうなる時が来ると、はじめてその力を手にしたときから理解していた。

 背後に立った少女の声に、くるりとつぐみがふり向く。

 

「……早かったね」

「……別に」

「……みんな、は?」

「……叫んできた」

「……そう、なんだ」

 

 〝どういう意味なんだろう……?〟

 疑問に思ったが、あえてつぐみは口に出さなかった。

 話をややこしくしたくなかったのと、単に自信たっぷりに言う蘭の気迫に押されてのことである。

 

「あとは、つぐみだけ……」

「――そうなんだね」

「うん。だから……あたしが、このふざけた一日を終わらせる」

 

 ギラリと鋭く眼光を向ける少女の背後に、ゆらりと緋色の幻影が映る。

 

「――出しな、つぐみ(テメー)の……『大いなる普通(キラークイーン)』を……」

「蘭ちゃん…………!」

 

 〝――なんか違うのは蘭ちゃんだよ!?〟

 そう言いたいつぐみであったが、ここはあえて呑み込んだ。

 話をややこしくしたくなかったのと、妙に自信たっぷりの蘭にツッコむ気概が起きなかったからだ。

 おそらく市ヶ谷有咲ならツッコむ。

 容赦なくツッコむ。

 周りにいるべき常識という壁をキラッ☆と飛び越えてしまえるような人間の有無……は、まあ、いないワケでもないので、単純に人となりとしての違いだった。

 

「――けどッ! 私は諦めないッ! 蘭ちゃん!!」

「つぐみッ!?」

「うおおおおおおおッ! 赤メッシュを――!!」

「いいやあたしがッ! 『反骨の――」

 

 高速で動いた拳が、スイッチを構えた『大いなる普通』に狙いを定める。

 ……瞬間。

 

「――爆発させるッ!!」

「――赤メッシュ』ッ!!」

 

 衝撃が響いたのはほぼ同時だ。

 けれどもダメージは段違いに大きい。

 ぶつり、と切れた蘭の額から血が飛び散っていく。

 正確に捉えた拳が『大いなる普通』に――つぐみに吐血させる。

 

「……ッ!?」

「――Cry(くわ)ァ」

 

 地面を転がるつぐみを、蘭は爆発した赤メッシュを撫でながら見遣る。

 

「これで五回目……つぐみの能力は理解した。あたしの赤メッシュを……でも、すでに見切った」

「くっ……!」

「みんなの分もあたしがやる。この『反骨の赤メッシュ』で……」

「六回目ッ!」

 

 カチン、と鳴り響くスイッチの音。

 蘭の台詞をさえぎって、赤メッシュが爆発する。

 

「いまっ! ごめんね! 『大いなる普通』――」

「させないよっ!」

「おー……!」

「!?」

 

 突如として突き立ったフランスパンが蘭を守る。

 わらわらと沸いてきた人形がつぐみを瞬く間に包囲していく。

 そうして手足を触手のように伸びるラーメンが拘束してくる。

 

「なっ……!」

「捉えたぜ、つぐ!」

「もう逃げられないよ!」

「つぐっても無駄無駄~」

「……そういうことだから。もう諦めなよ、つぐみ」

「くっ……」

 

 〝――蘭ちゃん、すごい血が出てる……!〟

 ボドボドと赤メッシュのあたりからつたう流血が凄まじい。

 平気な顔をしているがぜんぜん平気ではなさそうだった。

 こう、重傷なのに格好付けて軽傷ですと言っている感じの。

 

「――それなら私にだって!」

「つぐみ……!?」

「いくよッ! 『大いなる普通』ッ! 第二の爆弾ッ! ロックンロールベイベェーーーーーーッ!!」

 

 ――結論を言おう。

 つまり個性(・・)は、爆発(・・)するッ!!

 

 

 

 ☆★☆

 

 

 

「オゥ、イェェ……」

 

 煙が晴れる。(ゴゴゴゴゴ……!)

 

「つぐみ……!?」

 

 そこに、たしかに彼女はいた。が、(ゴゴゴゴゴゴゴ……!)

 

「馬鹿な……つぐ……!?」

「そんな……!」

「つ、つぐってる……!」

「――いくぜ、おめーらッ!」

 

 その少女は、ロックだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――違うッ! こんなのつぐみじゃないッ! うああああああああああッ!!」

「蘭ちゃんッ!?」

「おおおおッ『反骨の赤メッシュ』ーーーー!!」

Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) Cry(くわ) ――――ッ!!!!!!』

「ごふあッ!?」

 

 ブチン、と蘭のなかでナニカが切れた。

 言うなれば彼女の持つ反骨精神すら吹き飛ぶ圧倒的な感情。

 羽沢つぐみの『大いなる普通』すら上回る感情の爆発。

 加速していく拳が容赦なくつぐみを叩く。

 青く日が昇り始めた空が一気に黄昏色へ染まっていく。

 それは世界を塗り潰す赤色の侵攻。

 ――真紅に染まっていく空の再現。

 

「――Scarlet Skyッ!! That(これが)……!」

「うぐぐぅッ!?」

 

 叩く、叩く、叩く。

 数多の拳がつぐみの『スタンド』を、彼女自身を撃ち抜いていく。

 衝撃はいつか見た光景と共に。

 少女の脳裏によぎるのは、やろうと決めたあの夕焼けで――

 

Is How I (あたしの)……!」

「ぐぅあッ!?」

 

 〝――バンド、やろう!〟

 

Roll(やり方だ)ーーーーーーーーーッッッッ!!!!」

「らん……ちゃん……!!」

 

 夕焼けのもと、赤い日に染まって赤い血を流しながら少女が飛んでいく。

 振るわれた拳に一切の容赦はなく、

 しかして穢された命なんてひとつもない。

 彼女たちのはじまりにこそ、五人は行き着いた。

 

「なんか……」

「懐かしいね……」

「Afterglowだー……」

「……これで、一件落着かな」

 

 やれやれと、美竹蘭は肩を落とした。

 とりあえずは、まあ。

 遠くで倒れているバンドメンバー最後のひとりを、優しく起こしてあげなくては。




>爆発した個性
うn

>ロックンロールベイベェ
いくぜおめーらッ!

>夕焼け
世界を塗り潰す能力って書くと凄い強そうに思える

>つまりどういうことだってばよ……?
考えるな、感じろ(真顔)
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