ガルパ☆ピコの奇妙な冒険   作:4kibou

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勝ち・取れ・今すぐに

 

 前回までのあらすぎッ(・・)!?

 

「キラッ☆」

 

 

 

 ~少々お待ちください~

 

 

 

「キラァ!」

「実に綺麗な手をした女だ……」

 

 ――前回までのガルパ☆ピコの奇妙な冒険はッ!?

 

「この湊友希那には夢がある」

「この味……ウソをついているバタークッキーの味……だね……」

「山吹さん……あなたの行動に、私は敬意を表します」

「わらわたちは……この闇の街を……何事もなく……みんなで脱出するのだ……クックック……」

「わ、わたしはもうやばいと思います」

 

 始動! 本格派ガールズバンド!

 その名も『Roselia』ッ!

 彼女たちの常軌を逸した戦いがいま幕を開ける――ッ!!

 

「(最後の……私の……パン生地……受け取って……ください……伝わって……ください……香澄……)」

「さ、沙綾ちゃん……」

「(あっ違うこれ彩先輩だ)」

 

 吹き飛んできた山吹沙綾ッ!

 そのせいでこんがり焼き上がった撮影機材ッ!

 そしてッ!

 

「な、なんなのこれは!?」

「と、ととと飛んでますぅー!!」

「こ、こういうときこそメイキョウシスイ……ブシドーの心構えです!」

「あははー! こういうのもるん♪って感じだね!」

 

 Pastel*Palettes! 堂々と遊覧飛行中!

 もとい山吹沙綾の激突によって空高く舞い上がってしまってもうなんかどうしようもないが気にしたら負けであるッ!

 そして弦巻邸では――

 

「う、うう……!」

「あっ、美咲! 気が付いたわ!」

「はいはい……っと、あー……戸山さん具合どう?」

「……き、キラキラ……ドキドキ……」

「……うん。落ち着こう。よし落ち着いた。大丈夫。まだ慌てる時間じゃない。花咲川女子学園の異空間とか三馬鹿とかそういうものへの対処だけは誰よりも慣れてるっていうか慣れたくもなかったけどいいやそれよりも――」

「美咲? ……美咲?」

「……はっ! ポピパのみんなは!?」

 

 星の鼓動は止まらない――いいや加速する――!

 

 

 

 ☆★☆

 

 

 

「――リサ、まずいわ」

「え?」

 

 突然、隣で走っていた友希那がそんなことを言い出した。

 

「ど、どうしたの、急に?」

「この道を選んだのは失敗だったようね」

「ゆ、友希那、それって――」

 

 苦い顔で湊友希那は断言した。

 彼女はぐっと拳を握り締めながら駆け抜けている。

 その目がチラチラと時折周りに向けられているのを、リサは見逃さなかった。

 

「(この通り、野良猫が多いわ……!)」

「(あーあれはネコのこと考えてる顔だなー……)」

 

 長年の幼馴染みの勘から理解して、そういうことかと結論づけた。

 たしかに野良猫が多い。

 横を見ても上を見ても下を見てもネコがいる。

 にゃんにゃんと鳴く姿はたしかに彼女からして相当なものがあるのだろう。

 おそらくきつく握った拳はそれを我慢してのものだ。

 

「(相変わらずだなー)」

「来るわよ、リサ」

「? 来るって……ネコが?」

「いいえ――彼女が」

「!」

 

 ――そう、それは完全に見落としていた思考の穴。

 上を見てもネコがいる。

 そんなありえない光景すら受け止めてしまった異常事態の連続。

 降り注ぐネコの群れに混じって、月島まりなが跳び上がった。

 

「見つけたわ! 湊友希那に今井リサッ! ここで仕留める『サークル』ッ!!」

「リサ」

「任せて……!」

 

 少女の背後から現れた像が、すぐ側のブロック塀を殴りつける。

 

「友希那っ!」

「ええ――それじゃあ、叫ぶわ(・・・)

 

 バラバラと崩れていくブロック塀がクッキーへと変わる。

 お菓子の欠片が地面へと落ちる。

 ――その直前に、湊友希那のスタンドが勢いよく吠え叫ぶ。

 

「『ブラックシャウト』……そのクッキーが」

「なにッ!? これは――」

「――あなたへの餞別よ」

 

 叫ぶとはつまり声をあげるということだ。

 感情を外へと放出する抑圧からの解放をともなう行為だ。

 音と衝撃が成す破壊力は凄まじい。

 叫ぶだけでガラスも割れる。

 きっと耳元で叫べば人間の鼓膜など容易く破れる。

 故に、叫びとはまさしく強力な威力を誇る。

 

「クッキーですってぇ……!?」

 

 打ち上がったクッキーの欠片がまりなへと襲いかかる。

 だがしかし、やはりPoppin‘Partyを打ち破った彼女の敵ではない。

 戸山香澄の拳に比べれば鈍すぎて欠伸が出る。

 花園たえのウサギに比べればタネが分かりすぎて驚きもしない。

 

「無駄無駄無駄無駄無駄! 無駄ァーーーーーッ!!」

 

 バキバキと砕けていく脆いクッキー。

 強度はない。

 加えて大した効果もない。

 正真正銘ただのクッキーとするならば、こんなものは時間稼ぎにもなりはしない――と、まりなは確信して地に降り立った。

 

「無駄ァッ!」

 

 ずん、と彼女の足がアスファルトに突き刺さる。

 

「ふふ……逃げずに勝負をしようじゃない……Roselia……」

「空から着地したのに、そんな、ギャグまんがみたいに……!?」

「リサ、驚いている暇はないわ」

「う、うん。分かって――」

「いいや分かっているものですかッ! 『CiRCLE』ッ!」

 

 ――すべての音が、停止する。

 

「(しまっ……!?)」

「(……まずいわね)」

「ふふふ……そこのポケットから、なにか見えるわね」

 

 一歩、まりなが友希那へと足を進める。

 

「……!」

「当たりかしら。湊友希那。そのピックを突き刺したあなたが持っていると思うのは当然のこと……!」

「(友希那……!)」

「(…………、)」

 

 近付くまりなに、だがふたりとも動けない。

 止まった音の世界では彼女だけが絶対的な存在だ。

 いまだそこに介入できた者はいない。

 反撃の一手を加えた山吹沙綾ですら、意地と根性でなんとか止まっていない瞬間に一撃入れただけに過ぎない。

 音の停止は見破られこそ、打ち破ることのできない圧倒的な能力だ。

 

「――取った! そしてくらえッ!」

「!!」

 

 放たれた『サークル』の拳が友希那の腹を深く抉る。

 鋭く刺すような痛みに、彼女はつい先ほど山吹沙綾の行おうとした反撃の凄まじさを痛感した。

 この痛みを耐えて動こうとするなど、とてもじゃないが信じられない――!

 

「――音は響き出す」

「うッ――!」

「友希那ッ!!」

 

 殴り飛ばされた体がガードレールにぶつかって静止する。

 ベキベキと折れ曲がっていく防護柵がその威力を明確に突きつける。

 車の衝突もかくや、といった一撃だった。

 

「楽勝だったわね……これで……」

「――これで、なにかしら」

「!」

 

 傷ついた湊友希那が、ニヤリと笑いながら立ち上がる。

 たったの一瞬、十秒にも満たない間で負った痛みをものともしない精神はまりなも評価するほどである。

 が、それは単なる意地であって結果は変わらない。

 なにを言おうがピックが彼女の手に渡った時点で決着は既に――

 

「あなたの手にあるそれは……本当に、ピックかしら」

「なにを……っ、い、いや……ま……待ち、なさい……まさか……そんな……?」

「ええ……どうやら、上手くいったようね、リサ(・・)

「――いや……友希那の傷は予想外なんだけど……?」

「なにを、言っているの……これぐらい……なんとも……なんとも、ないわ……」

「…………、」

 

 彼女の足は生まれたての子鹿みたいだった。

 

「――く、クッキーだわッ! これはピックではない! 三角形のクッキーよ! そんな馬鹿なッ! う、生み出したというの!? こんな、形も色も似たような代物をッ!?」

「そうよ……Roseliaの本気……なめないで欲しいわ」

「友希那、じっとしてて……」

「いえッ! まだよリサッ! まだ私の攻撃は終わっていないッ!」

「友希那ッ!?」

「今すぐにッ!」

 

 ――SHOUT(叫べッ)

 

「WRYYYYYYYYYYYYYYYッ!!??」

「く、クッキーが叫んだ! アタシのつくったピック型のクッキーが!」

「ブラックシャウトはすでにクッキーに触れたわ……そして」

 

 友希那の傷という傷から目に見えない叫び声が漏れていく。

 叫ぶとはつまり抑圧からの解放。

 自分自身を解き放つ言わば自由への咆哮。

 自らのなにかを外へ向かって放つ感情の発散方法だ。

 であれば、傷を叫び出して(・・・・・)治すことすら可能とする――!

 

「傷なんてもう治ったわ……これでふりだし、ね」

「く……! これが、本格派ガールズバンド……!」

 

 ――Roselia

 ボーカル担当、湊友希那。

 狂い咲く紫炎の薔薇は、今日も華麗に乱れ咲く――!




>パスパレ飛行中
ギャグ漫画みたいな吹っ飛び方をご想像いただこう……

>ハロハピ?
伏線みたいなのがあったような無かったような気がしたけどそんなことはなかったぜ!

>クッキー
安パイすぎてむしろなんの捻りもない

>ブラックシャウト
今作屈指の応用範囲の鬼

>叫ぶクッキー、叫ぶまりなさん
正直文章書いてるときに「ん~?」と首をかしげること数十回に及んだのであまり深く考えてはいけない(戒め)
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