【完結】北斗の拳 TS転生の章   作:多部キャノン

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第十五話

★★★★★★★

 

 

普段は人の気配などない荒野に、耳障りな笑い声が木霊する。

 

「ヒャァ~~ハハ、まてぇいアマ~~!! これほどの上玉なら高く売れるぜハハハ──ッ!!」

 

声の主は、一人のフードを被った人物を追いかける、見るものを威圧する出で立ちに凶悪な人相を乗せた男達。

 

まだ顔が見えていないのにも関わらず、上玉の女と決めつけ血走った目で追う悪漢と、為す術無く逃げ惑う被害者。

何も知らずにこの光景を見たものの多くは、この先フードの人物が辿る過酷な運命を憐れむしかないだろう。

 

「…………お前、達、食料は持っているの、かい?」

 

フードの人物が辿々しく男達に問いかける。

もはや逃れられぬと見て、せめて従順に振る舞えばおこぼれに預かれると判断したのだろうか。

その態度に男達はいっそう気を良くしながら返答する。

 

「おうよ! いい子にしてたらたんまりやるぜぇ~!!」

 

 

その言葉を聞くとフードの人物は一瞬だけ逡巡したと思うと、意を決したようにバサッとそれを脱ぎ捨てて。

 

 

「────ならば、それをいただきます!」

 

「ゲッ!?  おと……いや、普通に女だな」

 

 

普通に(マコト)が出てきた。

 

 

★★★★★★★

 

 

ジャッカルを倒し、村へと戻った私を出迎えたもの。

それは、トヨさん達のねぎらいの言葉と……とある一つの朗報だった。

 

「マコトが行っている間に、子ども達の面倒を見てくれる村が見つかったんだ!」

「おお、それはいいニュースですね。ナイスです」

 

……この村がこのまま存続していくことを考えると、ネックとなるのが子どもの数だ。

いくら水が出たからと言っても、それだけで働き手となりえない、多くの子ども達をいつまでも養うということは難しい。

生活基盤を整えるためにも、村の自衛力の向上のためにも、出ていった男達を呼び戻し労働力とすることは必須と言えた。

 

そのため、労働力の男と入れ替わる形で、村の子ども達のうち希望者を中心に他に移住させる必要があり、バットくん達はその移住先を捜してくれていたのだ。

 

それ自体はとてもめでたい話だが、そこはこの世紀末、ただでおいしいばかりの話などあるはずもなく。

でも、とリンちゃんが補足してくれる。

 

「それには条件があって……その村はある野盗の武装グループに狙われていて、その集団を追い払ってくれたら必ず面倒を見るんだって」

 

私が知る原作と同じ条件なところを見ると、やはりあの村なのだろう。

あそこなら安心、と私が二つ返事で引き受けようとする、と。

バットくんがさらに懸念事項を付け加えてきた。

 

「それと……この村に残す食糧も考えると、その村に行くまでの食糧がちょっとだけ足りないんだってよ。おまけに最近その街道は、人さらい連中も出るって話もあるぜ」

 

あ、原作と違い生存者が増えると、こういう違いが発生することもあるのか。

 

「野盗なんざはケンとマコトが居たら心配ないだろうが、食糧はなあ……なんとか切り詰めて我慢させるしかねぇかなー」

 

そうして考え込むバットくん達。

 

 

「う……うーん、そう、ですねぇ……」

 

……原作の知識がある私は、これらに対する一つの解決案もすでに頭に浮かんでいる。浮かんではいる、が。これは。

 

 

「…………いち、おう……そのどちらもまとめて解決出来るかも知れない方法が……あるには……まあ、あります」

「え、本当か! いやーさすがマコトだぜ!」

 

そのやり口は完全に『パクり』な上、進んでやりたい手段ではなかったので、さすがと言われると少々複雑なモノがある。

とはいえ、子どもたちのためだと割り切り、結局それを実行することにしたのだった。

 

 

 

 

そうして、本来辿る歴史では女装して食糧を奪い取っていた漢、レイさん。

後にケンシロウさんたちの、かけがいの無い友となる彼が取った手法をまね、無力な娘を演じて人さらい達を打ち倒すと。

 

私は無事手に入った食糧を抱え、改めて移動先の村へ向かったのだった。

 

……一つだけ気になることがあるとすれば、襲ってきた男の得物が、うっすら覚えのある十字の刃物が付いたヌンチャクだったこと。

私の記憶が確かなら、これの持ち主は本来はレイさんを襲い食糧を提供するはずだった男のはず。

 

(…………そーりー、レイさん)

 

まあ、すぐ同じ村に来るでしょうし、一食抜くぐらい大丈夫ですよね?

 

 

(あと、このやり方はもう二度とやらない……多分)

 

男の意識も残しながら女の身体を武器にする、ということへの羞恥心や抵抗感はやはりまだ強い。

やるたびにこの世界で生きるのに大事な、心ががりがり削れていってしまいそうだ。

 

いや、むしろ本当に怖いのは、続ける内に抵抗感が無くなったり、ましてや楽しくなってくる可能性がありそうなことか。

すでにこの身体に精神性はだいぶ引っ張られているし、そこまでこだわるものでも無い気はするが……

 

……そういえば、レイさんやマミヤさんと出会ったなら、そういった男と女の、性差の話題にも触れることになるのだろうか。

 

 

私がどっち側の判定を下されるにしても、複雑な気持ちになりそうだ。

 

 

 

 

「あ、見て!! バット、マコトさん!!」

 

私達が件の村に着くと同時、リンちゃんが喜色の声をあげ、私達を呼ぶ。

 

「おぉ、これは」

「花だ! すげぇ~これじゃ野盗が狙うわけだぜ。他に比べりゃここは天国だ」

 

この村は豊かな水のおかげで自給自足が出来るようになり、非常に環境が安定していると村長は語る。

誇るだけあって村の人達も活気に満ちていて、人柄も良さそうだ。

ここならば子どもたちも安心だろう、と私達は頷きあった。

 

その時。

 

 

「その花は、あなた達の幸福な未来をしめしているのよ!」

 

後ろから聞こえてきた声に振り返る、とそこに居たのは、一人の女性。

 

 

(わーお、すっごい似てる……)

 

 

その女性の顔は、ここに居るはずの無い姉さん……ユリアと瓜二つのものだった。

生き返ったのか、と原作でケンシロウさんが一瞬思わされただけあって、輪郭、目鼻立ち、背格好、髪の長さに至るまでそっくりだ。

普通に私より似ている……別にショックなわけではないが。

 

強いて言うなら姉さんに比べると若干髪に癖があって、目つきが鋭く強い印象がある、というところか。

 

ケンシロウさんも、彼にしては珍しく汗をかくほどに驚いているようだ。

 

とはいえ、驚いてばかりいる場合でもない。

自分達が、用心棒として雇われたことを含め自己紹介をしあって、改めて彼女がマミヤという名前であること。

そして、この村の実質的なリーダーを彼女が務めていることを、私達は知ったのだった。

 

 

その後、マミヤさんと入れ替わるように、一人の男が現れる。

 

「今のマミヤとかいうのは、お前の女か? それならば、他人に取られんようにすることだな!」

 

そんなぶしつけな質問をケンシロウさんに投げながら、目つき鋭く佇む男。

 

「俺の名はレイ……覚えておくがいい!」

 

彼はそれだけを名乗ると、そのまま歩いて去って行った。

村の人達の反応を見るに、彼も用心棒として雇われたようだ、と私達は判断する。

 

 

────そして、彼が去った後、リンちゃん達が悲壮な表情で囁きあった。

 

「ケ、ケン! だめよ、あの人の目は、誰かを助けるような人のものじゃない!」

「俺もそう思うぜケン! あいつはとんでもねー大悪党のツラだ! 違いねぇー!」

 

「……分かっている」

 

「なー! マコトもそう思うだろ!?」

「うぇっ!? あーいや、ど、どうかなあ……ま、まだ初対面ですし、まあ、うん」

 

どうフォローしようかと考えていた所に振られ、思わず口ごもってしまった。

 

(……まあ実際、この時期はあの問題で、色々荒んでいたっていうのもあるだろうし)

 

少なくともこの段階では、野盗側に雇われて潜り込んだスパイだったりするわけで、その意味でもリンちゃん達の見立てはそう間違ってはいない。

が、それはそれとして裏を知る私は、ちょっとずるいがノーコメントということにしておいた。

 

いや、いい人なんですよほんと……

 

 

 

 

その後、マミヤさんにリンちゃんと……半ば強制的に私も連れられ、水浴び場に着いた。

村の守りに関しては連行される瞬間、ケンシロウさんと交代で、ということで話をつけたので心配ないだろう。

 

ちなみに私達が連れられた理由は、マミヤさん曰く女の子のキレイな髪が旅で台無しになっているとかなんとか。

 

(……これで"女を捨てている"、は無理があるのでは)

 

原作でこの先、戦士として生きていることを知らしめるためマミヤさんが言うセリフだが、少なくとも男二人が隣に居る状態で旅慣れしてしまっている私などよりは、よほど女子力が高く思える。

 

とはいえ、水浴びが出来ること自体は大変ありがたい。

一応、バスタオル一枚でリンちゃんの髪を洗うマミヤさんの方は出来るだけ見ないようにしながら、私も旅の汚れを落とす。

 

────と、その時。

 

この女(?)の花園に忍び込もうとする、不埒な足音が一つ。

鍛え上げられた拳法家特有の、静かな足音の持ち主は当然村人でも、ましてや野盗でもない。

 

「はっ!! だ、誰!?」

 

カッコつけたポーズで堂々と水浴び場に佇む彼は、先程会ったばかりの男、レイ。

当然、マミヤさんは招かれざる侵入者に怒りの声を上げる。

 

「どういうつもり!? 出ていって! 人を呼ぶわよ!」

「呼ぶが良い、来た人間が死ぬだけだ!」

 

レイさんは話にならぬと殴りかかるマミヤさんの拳を軽く避けると、巻いていたバスタオルを剥ぎ取る。

裸身をあらわにされたにも関わらず、悲鳴を上げるでもなくただキッと睨めつけるマミヤさんを見て、彼は一言漏らした。

 

「いい女だ……野盗にくれてやるには惜しい」

 

……その目に宿る色。

そこに下劣な欲情の色は一切無い。

それは、ただただ純粋に人を慮る優しさに溢れたものだった。

 

リンちゃんも、先ほどまで感じていた嫌悪はすでに無く、ただ驚きと共にその様子を見ている。

 

行動だけ取ってみれば完全に純然たる変質者そのものな彼を、来るのが分かっていてあえて排除に動き出さなかったのは、これをマミヤさんやリンちゃんにも見てほしかったからである。

……羞恥心よりそういう打算が勝つあたり、やはり私は女子力が足りていない気がしてきた。

 

一瞬自分の在り方に悩みかけた私の態度が伝わったわけではないだろうが、隅で気配を殺していた私とレイさんの目が合う。

しばらく何事かを考えていたかと思うと、これまたフッと優しい顔で笑った。

どういう想いで私を見ていたのかは分からないが……もしかしたら、妹さんと何かしら重なるものでもあったのかもしれない。私も妹だし。

 

 

「みんな! 野盗が、野盗が攻めてきたぞ──ッ!」

 

 

その時、聞こえてきたのは村の男の叫び声。

もう来やがったか、という舌打ちとともに走り去るレイさんと、それを追うマミヤさん。

 

遅れて私も、リンちゃんを守りながら外へ出たのだった。

 

 

 

 

「あぁたたたたた──っ!!」

               

広場に出た私が見たものは、村を襲った野盗が、ケンシロウさんの拳の前に為す術無く沈む光景。

そして、生き残りの野盗が助けを求めたレイさんに、あっさりと素手で切り刻まれ怨嗟の言葉と共に果てる姿だ。

 

素手……そう、レイさんはシンと同じく南斗の一派であり、その中でも最も華麗で、美しい拳と評される南斗水鳥拳の使い手。

南斗六聖拳に数えられるほどの達人だ。

 

北斗神拳のケンシロウさんと、南斗水鳥拳のレイさん。

私達がただの用心棒ではないことを見抜いたのだろうか、レイさんは自分の目的、その一端を明かす。

 

 

「フフ……奴らとお前達とでは勝負は見えている、だから俺は強い方に寝返った」

 

そして、俺はなんとしても生きねばならん、と力強く続ける。

 

 

「そう、胸に七つの傷を持つ男を殺すまでは!!」

「────────ッ」

 

 

私が知る原作通りのはずのこのセリフ……しかし、私はこれに密かにショックを受けていた。

 

胸に七つの傷を持つ男……当然ケンシロウさんでは無いその犯人の心当たり。

それは、一つしか無い。

 

が、しかし腑に落ちない。

元の世界でケンシロウさんが伝承者に選ばれた際、逆上してケンシロウさんに襲いかかったその男、北斗四兄弟が三男、ジャギ。

この世界ではケンシロウさんが伝承者ではなく、彼が本格的に狂ったその事件も私が知る限り起きていない。

である以上、彼がケンシロウさんに成り代わってまで罪を犯す必要性が、まるで感じられなかったからだ。

 

とはいえ、今のうちからそこまで考えていても仕方がない、とレイさんに何事か声をかけようとした時。

 

またも村の男が、今度は先ほどよりさらに緊迫感のある声で叫ぶ。

 

 

「た、大変だ! また野盗が! こ、コウが、コウが捕まっちまってる!!」

 

 

 

 

村の仕切りのようなものを隔てて、ずらっと並ぶ野盗集団。

その中心にいる男は、まだ少年と呼べるほどの年齢の男の子を羽交い締めにして、こちらに叫ぶ。

 

「貴様ら~! よくも俺たち同胞の血を流してくれたな! 血には血を! 命には命を! それが我ら一族の掟!!」

 

一族……そう、この村を襲ってきた男たち。

獣の皮のような特徴的な服装を身にまとった彼らは、ただの野盗集団ではない。

 

彼らの名は牙一族。

首領である牙大王を『オヤジ』と慕い、あたかも一つの家族のように結束して徒党を組む彼らは、ジャッカル達とはまた別の意味で厄介な集団だ。

 

お互いの仲間意識のようなものなど無いに等しかったジャッカルと違い、彼らは同胞が傷つけられると、必ず報復に走る。

それも、統制された情報網をフルに活用し、より復讐対象にダメージを与える形で、だ。

今回のこの所業も、その意味で非常に効果を上げていると言えた。

 

……何しろ。

 

「ッ────!!」

 

隣で野盗達……いや、正確には捕まえられている少年を目にしたマミヤさんの顔が、歪む。

必死に顔に出ないようにこらえているが、前提知識がある上で見ると、その内心の動揺は一目瞭然だ。

 

私とは違う形……これまで過ごしてきた経験から事情を知る村人は、焦りと共に叫ぶ。

 

「ククッ! 外道共が! みんな出ろ! コウを助け出すんだぁ!」

 

「────待ちなさい!」

 

が、その言葉に待ったをかけるのは、他ならぬマミヤさんだった。

 

「助けに行くことは私が許しません! コウが捕まったのは、彼に逃げる力が無かったから! そんな男のために、あなた達まで犠牲になることはありません! コウも分かっているはず!!」

 

……その言葉を聞いた私達よそ者の反応は様々だ。

 

辛いことだが仕方がないのか、と割り切ろうとしているようなバットくん。

なんとか助けられないかと心配そうにこちらとあちらを見比べるリンちゃん。

少しの驚きとともに、感心したとばかりの表情を見せるレイさんと、読み取れない無表情のままのケンシロウさん。

 

(……強い、な)

 

私は、どんな顔をしているだろうか。

捕まっている少年、コウ……彼がマミヤさんのたった一人残った家族、実の弟であることを知る私は。

 

 

原作知識という形で、この先に起こるであろう展開、未来の予測がつく私。

その理性の部分は、今コウくんを助けるためにこの力を振るうこと……その危険性を冷徹に算出している。

 

それでも、死を目前にして早く殺せ、と気丈に振る舞うコウくんと、村のために心を殺すマミヤさんの姿を見て私は、はじめから決まっていた答えを、改めて選び直したのだった。

 

 

もはや村人が出るのも間に合わないだろう。

牙一族の男が刀を手に、コウくんのもとににじり寄る。

 

「ハッハァ~見ろ! これが、俺達の血の代償だぁ~!! ────あ?」

 

その言葉と同時、ボンボンボボン、と場違いなほど軽妙なリズムを奏で、剣を持つ男、コウくんを拘束する男、そして両脇を固める男二人の頭が破裂した。

 

「……は、ぁ?」

 

あまりに唐突な死に、あっけにとられ硬直する牙一族。

その瞬間、私は再度闘気を練りながら、ケンシロウさんと共に彼らの下に疾走する。

 

その時、いち早く我に返った男の一人が、またもコウくんを捉えようと手を伸ばす。

が、それに対しても闘気を撃ち出し、止める。

 

「あ、あいつ! あの女だ! あいつが手から何か出して来てやがる!」

 

その情報が伝播するやいなや、形勢不利と見て逃げ出そうとする牙一族。

それを見た私は、追いついた牙一族に襲いかかりながら、ケンシロウさんに叫んだ。

 

 

「ケンシロウさん! 絶対に一人も逃さないでください! 全員ここで倒します!」

 

 

 

 

掃討戦、あるいは殲滅戦か。

それが終わり、コウくんと共に村に帰った私達を、村人達が喜びの声で迎え、称える。

 

驚いたことがあるとすれば、レイさんも掃討戦に参加してくれたことか。

 

話を聞くに、私達がコウくんを助け突っ込んでいった際にマミヤさんが見せた表情。

そして、それに対する村人の反応から、彼女たち姉弟の関係……そして、マミヤさんが取った覚悟の重さを察し、動いたというのだ。

 

原作のような悲劇的なシーンを見せられるまでもなく心が動いた彼は、今は荒んでいてもやはり義星の男なのだろう、と思った。

 

 

その後。

マミヤさん達のご両親の墓だろうか。その前で、人目を避けるような形で涙を流しながら抱き合い、謝罪の言葉を繰り返すマミヤさんとコウくん。

 

見捨てようとしてごめんなさい、と。

捕まってしまって、辛い決断をさせてしまってごめんなさい、と。

 

そして、生きていてくれて本当に良かった、と。

 

ケンシロウさんやレイさんと共にその様子を見た私は、自分がしたことが決して間違っていなかったことを再認識し……

 

 

(腹をくくろう、やれるだけやるしかない)

 

 

そう、改めて覚悟を決めた。

 

 

レイさんの協力もあって、開戦時に把握出来た限りの牙一族は全滅させられたはずだ。

しかし、それ以上に確信が持てること……それは、彼ら一族の狡猾さと周到さ。

間違いなくあの場において牙一族は、矢面に立っていた戦闘員だけではなく、偵察部隊も何処かに混じっていただろう、ということ。

 

つまり私が、あるいは私達が遠距離での攻撃が出来る、という事実は牙一族に知れ渡ったと見て間違いない。

そして、牙一族首領である、牙大王。

彼が使う拳法の特異性と、私が知るこの先の展開を考えると。

 

「────────ッ」

 

激しい運動のはずの、先程の掃討戦でもかくことは無かった汗。

それが今、一滴。私の額を流れるのを感じた。

 

 

これから私達は。

絶対に死なせてはならない人質を抱えた、おそらく原作以上に私達を警戒する牙大王と、対峙することになる。

 

 

────私の天破活殺が、封じられた状態で。

 

 




北斗の拳において人質作戦は何度も実行されていますが
その中でも最もそれを活用しケンシロウくん達を追い詰めたのは、多分こいつらだと思います

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