【完結】北斗の拳 TS転生の章   作:多部キャノン

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心の叫び編
第四話


★★★★★★★

 

 

核の炎により荒廃した世界。そこにおける唯一絶対の法────暴力。

それを思うがまま振るい、弱者からの略奪を繰り返すことを生業とする、この世紀末を象徴するような存在……

 

その中でもひときわ優れた力を持つと自負する男、ジードは、しかして今その凶悪な人相に困惑の色を浮かべていた。

 

自らの名、ジードを掲げた徒党Z-ジード-。

荒野における絶対者であるはずの自分たちの仲間……いうなれば自分という存在の一部が、何者かによってその命脈を絶たれているのを目撃したからだ。

 

無論、そのリーダーとして抱いた怒りは治まる程度のもののはずがない。

激高するジードに、死体を検分していた仲間の一人が告げる。

 

「それにしても変な死体だ。内部から破裂したようなものと、そうでない、ただ化け物みたいな力でぶん殴られたような死体が並んでやがる」

 

死体は割合にして内部破裂6、殴打が4といったところか。

その不気味きわまる状況に、検分中の男の背中を冷たい汗が流れる。

 

「ジード!! こっちはまだ息がある!!」

 

息も絶え絶えだが、何事かこちらに伝えようとしている仲間。

ジードは安否の確認も忘れそれを揺さぶると、答えを急かした。

 

「おい! なんだ! 何があったんだっ!?」

「ほ……ほく、と……おん、な」

「ほく……おんな?」

 

そこまで言った途端、硬い頭蓋骨に覆われているはずの仲間の頭部がグニョり、と。

まるで出来損ないの粘土細工のように歪んだかと思うと、内側から血しぶきとともに爆散し弾けた。

 

すわ爆弾かと戦慄する仲間だが、ジードはこの世界にそのような精巧な武器が残っているはずはないと返す。

そして残されたのは、物言わぬ骸たちと共に訪れる静寂。

 

そして、彼らの仲間が遺した言葉、『ほくと』と『おんな』。

 

────『おんな』……女? いや、女にこんな真似が出来るはずがない。それに『ほくと』とは。

 

 

……その異様な死に様のインパクトも手伝ってか、自分以外の仲間は気づいていなかったが、不自然な点はもう一つある。

 

(これはなんだ……飛び道具か?)

 

死体の多くはせいぜいひと数人分程度の間隔で散乱していた。

しかし、何名かは明らかに離れた位置関係にありながら殺されていたのだ。

 

その死体には、まるで複数の精巧な矢で一斉に穿たれたような無数の穴が空けられていた。

……マシンガン?

まさか。それこそ爆弾以上にありえない過去の利器だ。

 

 

──── 一体、何が起こっている。

 

 

これまで自身の力を疑ったことなど一度として無かったジードだったが、拭いきれない不吉な予感は、無意識の底に泥のようにへばりつき離れることはなかった。

 

 

★★★★★★★

 

 

さんさんと照りつける太陽の下、歩く。ただただ歩く。

 

道行きが過酷な環境であることは想定、いや"予習"しており、持てる限界まで水は詰め込んだはずだったが、それでもなお今覚えるどうしようもない渇きは、結局避けられることはなかった。

 

途中襲いかかってきた通行人A……もとい、野盗の皆様からいくらかの食料や水は"拝借"出来たが、それを使い切ってもなお足りないこの道中。

もしかしたら、この先私達が行うことになる長い旅における、最大最悪のピンチが今この時なのかも知れない、なんて詮のないことも考えていた。

 

……いっそあと何度か野盗が襲いかかってきてくれやしないだろうか。

そんな不謹慎な愚痴を漏らしたくなったがさすがに隣を歩く彼、ケンシロウさんにたしなめられそうだ、と。

私は黙って歩き続けることを選んだ。

 

そう、私は今、ケンシロウさんと二人で旅をしている。

 

……本来の歴史よりも若干死の灰による身体への影響が抑えられたためか、今の時点では十分旅にも耐えることが出来る、というのがケンシロウさんの判断だ。

むしろ、私が旅をすることへの心配のほうが大きかった気さえする。

 

一方トキさんは、すでに本来の道……北斗神拳を医療に役立たせるための旅に出ている。

 

見送る際、トキさんに伝えたのはこれまでの世話と修行に対する大きな感謝と……あともう一つ。

 

 

 

 

「えっと、トキさん。今のこの世の中、どのような危険が待っているかわかりません。トキさんの不在を狙ったシンの例もあります」

 

少しでも耳を傾けてもらうよう、実例も出しながら続ける。

 

「だから、腰を落ち着ける場所が見つかったあと、もし可能なら、トキさんが居ない時に何者かに襲われた……そんな時の対策があると良いと思うんです」

 

それは早急に機能する連絡手段だったり、はたまた村人たちによる自衛手段だったり。

……これは、トキさんの村以外にも同じことが言える。

悲劇は何も、私達の目の前でばかり起こるものではないのだ。

 

「そう……だな。その通りだ。ありがとうマコトさん。肝に銘じておくよ」

 

……これで、全ての悲劇が未然に防がれる……なんて甘い考えは出来ない。

それでも、一つでも拾える命があるかもしれない。

 

トキさん自身の身体の安寧を、そしてトキさんが得るべき平穏の無事を祈りながら、私達はトキさんを見送ったのだった。

 

 

 

 

……トキさんのことばかり心配している場合ではない。

私なりの道を行く、とは決意したが流石に何も為せず荒野で渇いて果てました、なんてオリジナリティ溢れる終わり方は求めていない。

 

────それに、隣のケンシロウさんも、表情に出さないようにはしているがやはり辛そうだ。

予習のおかげでおそらく原作よりは多くの水が確保されていたはずだが、病の影響で若干弱った分も考えると"プラマイゼロ"といったところだろう。

 

そうした心配も抱えながら歩いて、歩き詰めて……やがて目すら霞んで来た頃────

 

 

「ぁ……ゃっ……た……!」

 

 

ようやく、目的としていた村に到着した。

ケンシロウさんと頷き合って村に足を踏み入れる。

 

────と、その時。

 

村に仕掛けられていた罠が作動し、私とケンシロウさんはまとめて網にかけられ宙に持ち上がった。

それを囲むのは、それぞれが武器を手にし、剣呑な雰囲気で私達を見やる村人と思わしき人たち。

 

……この後の流れは分かっている。

 

私達にも襲いかかってきた野盗一味、Z-ジード-。

彼らの仲間ではないかと嫌疑をかけられ、私達は牢に入れられることとなるだろう。

 

それ自体は構わない。

そこで水ももらえるはずだし、何よりそこではとても、とても大事な出会いが待っている。

抵抗なんてしないからとにかく早く進めてくれ、と声を大にして言いたいぐらいだ。

 

が、その前に。

意識がまだぎりぎり残っているうちに、どうしても一つだけ、言わなければならないことがある。

 

……それは命乞いなどではもちろんなく、私を取り囲む、彼らのための言葉。

最後に残った力を振り絞り、乾燥しきった唇がひび割れ血を流すのもいとわず声を出す。

 

「き……ぃて、ください……。この、近くを……野盗の集団、が……ぅろついて、います……私達も一度……おそわれ、ました……」

 

────それは、警告。

 

「すぐにでも、この村、に……来る、かも……しれません……たたかぅ、か、にげる、準備を……どうか……」

 

驚いた顔を見合わせて何事かを話す村人たち。

 

……それを確認すると、伝えるべきことは伝えた、と。

あとの流れを天に任せることを選択し、私の意識は一旦その活動を放棄した。

 

 

 

 

「さあ、ここに入れ!」

 

乱暴に牢屋に叩き込まれた音と衝撃に、再び意識が戻る。

 

どうやら、ケンシロウさんの向かいとなる別の牢屋に入れられたらしい。

性別面での配慮があったためかもしれないが、私としては少しだけ残念に思えた。

 

何故なら、ケンシロウさんが入った牢屋には、とある先客が一人。

 

 

「へ! またバカどもがドジ踏みやがったな」

 

(あっ……!)

 

 

悪態をつきながら笑う、おそらくこの後、私達に付いてくることになるであろう、その少年の名はバット。

 

この頃から憎まれ口こそ叩いてばかりの子だがその実、誰よりも優しい心を持っていることを私はすでに知っている。

 

その顔、その素直じゃない言葉を意識におさめた途端、抑えようとしてもどうしても口元が緩んでしまうのを感じた。

 

「ぃっ……な、なんだ、ニヤニヤ笑いやがって! そっちの無愛想な男といい、気味が悪いぜっ!」

 

ちょっと怖がらせてしまった。ごめんなさい。

 

 

……そうこうしているうちに、もう一つの"運命"が近づいてくる音を耳が捉える。

 

たどたどしく、幼い足取り。

平時ならともかく、この世紀末の世を生きるにはあまりにも儚い……

そんな音と共に現れる、その少女の名は。

 

 

(────リンちゃん)

 

たとえ原作の知識など無かったとしても、このまま成長すれば将来掛け値なしの美人に育つだろう────

そんな確信をいだかせる、幼くも可愛いらしい少女の顔は、しかし今は年齢特有の屈託さもなく、憂いの色に染まっていた。

 

無垢な少女が見させられた地獄。

それを想う私をよそに、リンちゃんはケンシロウさんとバットくんが居る牢屋に近づく。

村の大人の指示で世話役を任された彼女は、水を渡そうとしているのだ。

 

しかし、リンちゃんがケンシロウさんにそれを手渡そうとした瞬間、ガシャアンっと金属が軋む音が響く。

 

手渡すその腕を突然、バットくんが強く引っ張ったことで幼いリンちゃんの身体が鉄格子に押し付けられた音だ。

そのまま抑えつけながらバットくんが吠える。

 

「は、早くカギをっ! ……なにをグズグズしてんだ!! てめぇらも盗みに入って捕まったクチだろ!! 早く逃げねえと殺されちまうぞ!」

 

……リンちゃんよりは上とはいえまだまだ幼いと言っていい年齢の身で、まあたくましいものだ。

このバイタリティがあってこそ、これまで一人の旅で生きてこられたのだろう。

素直に尊敬出来る力といえる。

 

 

────が、それはそれとして。

 

(その乱暴はちょっと、NGです)

 

ケンシロウさんがバットくんの腕をガッと掴むのと同時、私はごく軽い力ながら"ソレ"を眼の前の牢目掛けて飛ばす。

 

ビキィッ!

べしぃんっ!

 

「う、うっぎゃぁあぁっぶべふぇっ!? こ、このクソタコいきなり何しやがるんだ~ッ!!」

 

ケンシロウさんに掴まれた腕の激痛に加え、突然"なにもないところからはたかれた"ような頬の衝撃に、少年は混乱の声を上げながらもんどり打った。

 

 

…………多分バットくんは、どちらもケンシロウさんのせいだと思うだろうけど、まあわざわざ訂正する必要もないだろう。

痛みの割合でいうとおそらく8:2ぐらいでケンシロウさんのほうが大きいだろうし。

彼は女子供をイジメるものには怖いのだ。

 

もちろん彼ほどじゃないが、私も同じ考えだ。乱暴は良くないよバットくん。

ましてやその娘は、将来の君の────

 

…………いや、今の時点でそれを考えるのは、さすがに気が早すぎるか。

 

 

直近ならともかく、イレギュラーを抱えたこの世界が歩むはるか先の未来のことなんて、もう誰にも分からないのだから。

 

 

 

 

その後、私が知る流れ通りにリンちゃんが、今度は水と食料を持って戻り、私達に振る舞われる。

 

水は常温で食事も有り合わせの、質だけの話をするなら粗末と言っていいもの。

しかし飢え、渇き切った私達からすれば天上からのたまわり物だ、とありがたくごちそうになった。

ケンシロウさんも言っていたが、まさしく生き返った心地といえる。

 

 

また、一つ興味深いことが起こった。

それは、リンちゃんが水と食事を運んで戻ってくるまでの間のことである。

 

お互いに名前を名乗るだけの簡単な自己紹介を終えたあと、バットくんが目ざとくケンシロウさんの背中に異変を感じ取ったのだ。

 

「んん? ……なんでぇお前、ケガしてんじゃねえかよー! ……ケッ、しょうがねえなあ、薬塗ってやるよ! 貴重品だぜっ!」

 

(あれ……ケガって、いつの間に? そんなことあったっけ? …………ああ、いや、そうか)

 

それは私の知る原作の────その最後の最後の段階で明かされた、空白の話。

 

遠い遠い先の未来で、記憶を失ったケンシロウさんとリンちゃんがこの地に再び訪れた時、ここでバットくんが掘った『ケンのバカ』という文字。

それと、土に塗れたこの時の薬。

 

それらを見つけたことで記憶を取り戻す糸口にする、ということがあった。

これは、このタイミングで起こったやり取りだったんだ。

 

「おい! そっちのおん……ねーちゃんも使うか!?」

 

一度使ったなら一人も二人も同じとばかりに私にも声をかけてくれるバットくん。

薬は特に必要では無いが、その私が知る記憶と変わらず在る暖かさは、薬以上に私の心に沁み入った。

 

「っ……今は、私は特にケガはしていないので大丈夫です。…………ありがとうございます、本当に」

「……こそ泥にしては、優しいな」

 

ケンシロウさんも軽口と微笑をもって返すが、実際のところあれはかなり嬉しく思っている時の態度だ。

 

……この荒廃した世界で一人擦れて生きながらも、本質の優しさまでは失っていない少年の存在に、どこか救われた気持ちになっているのだろう。

 

とはいえ、ここで会ったばかりのこの少年がそんな私達の心など知るはずもない。

いらないこと言うなら塗ってやらねえぞ、と照れ隠し混じりに悪態をつく。

 

 

「それより! 貴重な薬まで使ってやったんだからな! これからあんたらのことケン、マコトって呼ぶぜ! いいよな!」

 

 

その後すぐ、何事かの事情聴取のためか、大人に連れて行かれたことで話は打ち切られた。

結局薬により施された手当も、このやり取り自体もほんの一瞬の時間……長い人生から見れば、なんの他愛もない一エピソード。

 

 

────それでも。

 

 

「この嬉しさと、彼の優しさは……"決して忘れない"ようにしたいですね、ケンシロウさん」

 

「む……ああ。…………そうだな」

 

 

(……それともう一つ、考えなければいけないことが増えたかな)

 

 

 

 

食事を終えたあと、会話の流れでバットくんの口からリンちゃんの過去が明かされる。

 

そして、眼の前で両親を惨殺されたトラウマで声を発せなくなったという彼女の顔に、ケンシロウさんは優しく指を添え、"ソレ"を突いた。

あとは彼女自身の心の叫び次第だ、とはケンシロウさんの(ゲン)だ。

 

と、その時。

村人達が慌ただしく牢屋に押し入り、ケンシロウさんと私を抱えて牢屋から出させる。

 

誤解が解けて無罪放免……というわけではもちろん無く。

身体のどこかにZ-ジード-の刺青が無いかどうかを確認するために、まずケンシロウさんに服を脱ぐよう要求してきたのだ。

 

 

……服といえば、この旅をするにあたって私もケンシロウさんも、もちろん稽古中とは異なる装いとなっている。

 

ケンシロウさんは原作読者ならもはやおなじみとなっているだろう、身体にピッタリフィットしたジャケットだ。

そのあつらえたかのようなピッタリっぷりに、気合とともに弾け飛ぶこともしばしばある。

ジャケットの中のシャツは、その日によって着たり着なかったりしているようだ。

 

一方私は、上は形状、質ともにトレーナーに近いような柔らかめな素材の服に、気休め程度に巻いた革ベースの腹当てと、小さめの肩当てという装い。

 

腹当ては別に修行中に受けたケンシロウさんのアレがトラウマになったから……というわけではない……はず。

 

また、肩当ては「これが世紀末のトレンドらしい」っとびっしりとトゲの生えたものも一応用意してみせたが、やんわりと止められた。

 

……まあしょうがない。

私も仮にこれをつけたリンちゃんが隣を歩いている、と想像するとげんなりするし。

しかし、原作ファンとしてはちょっとだけ残念に思う気持ちもある。

 

あとは下に、動きやすさを重視したショートパンツのようなものに加え、防塵などを兼ねた厚目の黒いタイツを履いているという形だ。

これなら蹴り技を放っても、お見苦しいものを見せることもあまりないだろう。

 

そんな思考をしているうちに、ケンシロウさんの胸元がはだけられ、北斗七星にかたどられた七つの傷があらわになる。

『北斗現れるところ乱あり』……そんな言い伝えを思い出し、村長は震えおののいた様子だった。

 

……まあ今の世の中、北斗関係なくそこら中で乱れたおしてるとは思うけど。

 

 

予想外のものを目撃し時間はかけたものの、ケンシロウさんの身体に刺青が無いことの確認は済んだようだ。

そして次は、私の方にも目を向けられる。

 

(……あれ?)

 

のんきに見ていたがこれは、もしかして私も脱がなきゃならない流れなのでは?

元男としての意識もあるとはいえ、そっち方面のベースとしては(マコト)に大きく引っ張られているので、人並み程度の恥じらいはあるわけで。

 

…………困った。なんとか穏当に誤魔化せないものだろうか。

 

と、内心で冷や汗を流す私を見かね待ったをかけようとしたのか、ケンシロウさんが足を一歩踏み出した、その時。

 

「そ、村長! 大変だ、Z-ジード-が! Z-ジード-のやつらが、本当に来た!」

 

駆け込んできた村人の言葉に、即座に尋問が打ち切られ。

私達はすぐさま再び牢に放り込まれた。

 

…… 一瞬、牢に戻るのも拒否して向かったほうが早いかもしれないとも思ったが、それに伴う問答の時間を考えれば余計なことはするべきでないか。

ケンシロウさんも戻る気満々だったので、おとなしくそちらに合わせた。

 

そして私達……特にケンシロウさんを見て、何事かを決意したような目の輝きを見せたリンちゃんは、鍵を投げ入れて、走っていったのだった。

 

……このあと彼女が陥る危機を考えると、それを見送るのは空恐ろしいものがある。

しかし、あの鮮烈なシーンは、きっと彼女の……心の叫びを呼び覚ますためにも必要なはずだ。

 

────それに、私には"アレ"もある。

 

だから今は、私に出来ること……少しでも早く駆けつけるため、力を集中することに意識をさく。

バットくんから村を襲うZ-ジード-の脅威とリンちゃん達を襲う危機。

それを改めて教えられた私達は、目を合わせて頷きあうと、冷たく、固い格子にその両手をかけた。

 

……本来、如何に高い底力を持つこの世界の人間でも、人が人を逃さないために作られた、この無慈悲な鉄格子の前には無力だ。

それなりの道具を駆使してようやくといったところで、ましてや素手での脱出など夢物語もいいところだろう。

 

しかし、北斗神拳ならば……その不可能を、可能にすることが出来る。

 

本来人間が眠らせている潜在能力、70%。

それを自在に操る私達は今、おとぎ話を現実のものに変える────ッ!

 

 

「────────!」

「ふっ──────!」

 

 

通常、人の身から発せられるものとしてはありえないその圧力。

グシャァッという清々しいまでの破壊音とともに鉄格子はあっけなく白旗をあげる。

 

人一人が簡単に通れるほどのスペースを空け完全にひしゃげたそれは、まるで早く出ていってくれ、と恐ろしい侵入者に訴えかけているかのようだった。

 

 

────ケンシロウさんの格子の方は、の話だが。

 

 

「……………………」

 

私がやった方といえば……ひしゃげてはいるが、ギリギリ人が通れないぐらいの意地悪な変化に留まっていた。

 

…………もう一回。

 

「ふん、ぎっ────!!」

 

ギギギィ、とサビまみれの水道管が発するような不快な音とともに。

今度こそ人が通れる程度のスペースになったのを確認し、急いでくぐって脱出をする。

もはや私達を阻むものは何もない。

 

…………ただ一つ、気になったことがあるとするなら。

 

ケンシロウさんがやったときは純粋な驚きと畏敬の念で見ていたバットくんの目が、今はなんとも言えない複雑な色に変わっていたことぐらいか。

 

 

────すみません、まだまだ未熟者なんです。

 

 




2年漬けで得た、バット少年を微妙な感じに戦慄させたマコトくんの超パワー、次回炸裂(予定)


※2019/7/14
一応、挿絵というか主人公マコトくんのイメージイラスト的なナニかを描きました。
ほぼ自分用です。

◆北斗の拳原作のタッチにはまっったく合わせていません。
◆あくまで作者が勝手にイメージしているものなので、すでにイメージが固まっている方などは見ないほうが良いと思います。
◆もっと可愛いorカッコいいと思ってた! などがっかりするかもしれません。あと後日恥ずかしくなったら取り下げます。

それでも良い方は見てやってください。

【挿絵表示】

2019/8/7追加

【挿絵表示】

2019/8/13白岩@様よりいただいた支援絵

【挿絵表示】

2019/11/20白岩@様よりいただいた支援漫画

【挿絵表示】
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