んだよコイツ。全身緑で妖精っぽい、んでもって自身と同じサイズの葉っぱを持ってる...え、キモリは?俺のキモリどこいった?
「リプン!!」
えーっと、なんか興奮してんな。キャタピーと対面してるし、指示出せってか?つかいつの間に戦闘態勢取ってんだよ。さてはせっかちだなテメェ。
「プー...」
「わーったよ。よく分かんねぇけど頼んだ」
旅に出る為にはこのイベントクリアしなきゃだしな。この緑は見た感じキモリ的なスピードタイプのような雰囲気があんな。キャタピーの技は"たいあたり"と"いとをはく"辺りか?"いとをはく"は面倒だな...
「右周りで走ってくれ」
先ずは様子見だな。"いとをはく"で素早さを下げられるのは厄介だし、コイツの攻撃性能を確認したい。
「ピー!!」
おっと、キャタピーは"いとをはく"か。口から吐かれた糸は、この緑のスピードには追い付けずに地面にハラハラと落ちていく。
...この緑、何覚えてんだ?定石通りなら"たいあたり"だろうか?
「その勢いのまま"たいあたり"だ!」
「...プ?」
あーらら。覚えてなかったみたいだな。んじゃ何覚えてんだ?他だと"ひっかく"か?
「プ!?」
考え事してたら、遂に糸に捕まってしまったようだ。これで素早さは一段階ダウンか。確かに糸が纏わりついて動きが鈍くなった。そう言えばoriginではイワークが"いとをはく"の糸を引きちぎってたな。あれなら...
「糸を引きちぎれ!」
「プー!!」
緑は必死に藻掻くが、糸は纏わりついたままだ。何故...?パワー、パワーか。糸を引きちぎっていたのはイワーク、あの巨体でなら出来た事も、この小さな体では出来ないという事か?普通に考えればそうか。
「ピータッ!」
いつの間にかキャタピーが緑のすぐそばまで近付いていた。あれは明らかに攻撃の意思を持っている眼をしている。"たいあたり"だろうか。
「"ひっかく"で迎え撃て!」
コイツの耐久がどの程度なのかは分からない。だけれども、コイツの素早さは信頼していいものだ。キャタピー程度の速さなら、鈍くなっていても...
「プン!!」
こっちのが疾い。
右手の爪で攻撃を喰らったキャタピーは、それを受けて滑り込む様に倒れた。
「ピィ...」
「最後の一撃は、儚い...」
いや儚くは無いか。
地面に突っ伏しているキャタピーとは対称的に、伸びをしているこの緑。労いの言葉を掛けてやるべきか。
「よくやった。えと...お前の名前は」
「リプン?」
勝利したと言うのに、この緑はツンとした表情でコチラに視線を向けてくる。この程度余裕という事か?中々の自信家じゃないか。
「ぜぇ...ぜぇ...いやー、野生のポケモンを調査しようと草むらに入ったら蹴っちゃってね...いやはや助かったよ。ありがとう!」
「ん?あー...どういたしまして?」
「おや?君はヤテツ君じゃないか!」
そーいや顔は知られてるんだったな。
...顔、顔?待て。余りにも自然過ぎて忘れていたが、あのミドリってやつ。名前ハルカじゃないどころか、顔も服装も違ったじゃねぇか!...って事は、俺も?服は〜...3世代主人公はこんな感じじゃないよな。うん。これは十中八九顔も違うな。
...俺の知ってるホウエンじゃない。いやそれは隕石云々の話から察せられるか。
まあ、楽しめればなんでもいいか。
「こんな所ではなんだから、うちの研究所まで来てくれないか?」
「いいっすよ」
俺はオダマキ博士の後を追って、研究所へと向かった。ここ、101番道路から研究所までは、徒歩で10分ほど掛かった。その間に、俺は博士から様々な情報を聞き出した。
纏めるとこんな感じだ。
・3年前にアクア団マグマ団はある少年トレーナーによって壊滅済(レックウザが話に登場した事から、恐らくエメラルド主人公)
・ある日、ホウエン地方に巨大隕石が飛来。各地に甚大な被害を及ぼした。今も尚復興中らしい。
・隕石の飛来によってポケモン達の分布が変化
新種ポケモンの発見(この緑や、
・ホウエン地方チャンピオン─ダイゴ 及び ルネジムジムリーダー─ミクリの失踪
・俺の知らない悪の組織?が存在している
ミシロタウンでは町の南部が特に酷いらしく、俺や博士宅等がある北部は後回しにされているらしい。が、そんな事どうでもいい。新種ポケモンも気になる...が、それよりもダイゴとミクリだ。コイツは臭ぇ!危険な事件の臭いがプンプンするぜぇ!!恐らく、2人は新たな悪の組織、若しくはアクア団マグマ団の残党狩りをしてるのだろう。旅をしながら、二人を捜してみるのもいいかもしれないな。金銀の時のワタルみたいな感じで、悪の組織と戦う時に手を貸してくれるかもしれない。ザ・主人公みたいなポジションなら悪の組織と戦うことになるだろうしな。
「さて、ここが研究所だ。ささ、中へ」
考え事をしていると、いつの間にか研究所の前へと着いていた。ゲームでは一階建てにしか見えなかったが、現実では三階建てだった。研究所の外見は研究所らしい見た目で、キチンと綺麗にしてあった。中へ招き入れられると、玄関周りは綺麗にしてあった。そこから俺は来客用の部屋へと連れていかれた。
「さて、ヤテツ君。君の事はお父さんから偶に聞かされていたよ!自分のポケモンをまだ持ったことが無いんだよね?」
「あー...まぁ」
そう言えば、俺の父親ってなんなんだ?ウツギ博士の仕事と関係があって、オダマキ博士と面識がある...もしかしてポケモン博士の助手?
「それにしてはさっきの戦いは見事だったよ!まるでユウキ君の様な」
「ユウキ?」
「いやいや、忘れてくれ」
うん。3年前の事件を解決したのはエメラルドの主人公──ユウキ──で決まりだな。
「話が逸れたね。さっきのポケモンは私から君へのプレゼントにするよ!」
「リプン?」
うをっと。コイツ自分からボールから出てきやがった。あっ、そーいやコイツの名前俺知らねぇな。
「ありがとうございます。あの、コイツの名前って」
「あぁ、そう言えば言ってなかったね。その子の名前はリープン!そうだ、折角だしニックネームを付けてみないか?」
リープン...リープンか。ニックネームは基本付けない主義なんだが、ゲームとは違うからな。ニックネームがあった方が同じ種族同士になった時に俺が分かりやすい。付けるか。
さて、何にするべきか...コイツの特徴は巨大な葉っぱだから『リーフ』とか、いや面白味が無いな。んー...身軽、速い、疾風...『サイクロン』?違うな。サイクロン...風...ハリケーン...あ、身軽と言えば忍者。ハリケーンと忍者...ハリケーン忍者...?
「じゃあ『風魔』。今日からお前は『風魔』だ!」
「『風魔』!いい名前じゃないか!」
「プー」
お気に召した...のか?いや、どうでもいいって感じか。
「これから更に経験を積んでいけば、良いトレーナーになれそうだ!」
ほーん。まぁ、なるようになるか。
「うちで預かってるミドリも手伝いをしながらポケモンの調査をしてるんだ。ヤテツ君、一度ミドリに会ってやってくれないか?」
「えぇ...」
「そこをなんとか!!」
笑顔で煽てたからってそう簡単に乗る俺では無いぞ???...って言っても、この選択肢は『はい』じゃないと、進まないやつか。
つか、コイツの目的はなんだよ。同年代の友達を作らせたいとかか?まぁいいや。
「良いっすよ。で、ミドリちゃんはどこに?」
「今は103番道路にいる筈だ。ミドリにトレーナーがどんなものか教えてもらうといいぞ!」
ありがた迷惑なんだけどな、それは。大丈夫、なんとなく理解はしてるから。
俺はその後、オダマキ博士と一言二言言葉を交わして研究所を後にした。
「にしてもまさかお前が♀だとはな」
一番驚いたのはコイツが♀であるという事。オスメスの比率は8:2、2割を引けるとは幸先いいという認識で良いのだろうか。というか、コイツが♀で『風魔』なら、HURRICANE NINJA(cv,影山ヒロノブ)よりもツンデレスパイスガールの方が合ってるな。丁度コイツもツンツンしたとこあるし、お似合いの名前だな。
さて、と。漸く着いたな、改めて踏みしめようか101番道路。チラホラと火山灰らしき砂粒が落ちてるのが気になるが、大した問題は無さそうだ。
「ヌキキ!」
「ん?」
早速野生ポケモンのお出ましのようだ。頭に葉っぱを乗せた狸っぽいやつ、こいつも新種だろうな。
「さて、改めて宜しくな...相棒」
腰のボールホルダーの一つに備え付けられたボールを手に取り、顔の手前まで持って...裏拳の要領で
「投げる!」
二度目の戦闘だ、卒無く熟していこう。
「行け、風魔!!」