三兄弟の系統樹   作:出来立て饅頭

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二次創作の小説を書きたくなった作者ですw

この作品は<Infinite Dendrogram>の二次創作です。ジョブやモンスターなどはいくつか捏造しますので、それらを踏まえてお読みください。


第一話 系統樹の始まり

「<Infinite Dendrogram>は新世界とあなただけの可能性(オンリーワン)を提供します」

 

 ――<Infinite Dendrogram>――

 

フルダイブ型VRMMOでは唯一の成功例。今までに発売されたVRゲームはどれもこれもが失敗作だったと言われている。中には健康被害まで出したゲームもあるのだから、失敗作と言われるのもわかるという物だ。

 

この<Infinite Dendrogram>もリリース当初はまた失敗作だろうと言う意見が大半だった。何せリリース直前まで何の情報もなかったのだから疑われるのも当然だろう。しかし、極少数の購入者によって評価はがらりと変わる。

 

リアルと変わらない世界に人間と疑ってしまうNPCの受け答え。迫力満点すぎるモンスターにリアルの一時間がゲーム内では三倍になる技術などなど購入者の口コミやネット掲示板による書き込みで<Infinite Dendrogram>が失敗作ではない本物であると世の中に認知された。

 

<Infinite Dendrogram>は超人気ゲームとして世界規模で売れに売れまくっている・・・・

 

 

 

『じゃあ、ようやく手に入れたんだな!』

「ああ・・・遅くなってしまって悪かった」

『気にするな!あれほど人気なんだ。むしろもう少しかかるかと思っていたぜ?』

 

俺こと水谷 高次は兄である水谷 流と電話で話している。話の内容は人気ゲームであるフルダイブ型VRMMO<Infinite Dendrogram>をようやく俺が買うことができたことを兄に報告したところだ。

 

半年前に兄から『一緒に<Infinite Dendrogram>をやらないか?』と言われてようやく手に入れることが出来た。最初は<Infinite Dendrogram>がどう言う物かわからずに兄に呆れられた。

 

その頃の俺は日々の時間と仕事に追われて少々活力不足だった。兄ほど多趣味でもないし近頃は心躍るゲームも出なかったから、世の中の流行を知らずに過ごしていた。

 

兄に言われて調べてみると、VRゲームとして初の成功例としていろいろ情報はあふれていた。曰くリアルと疑うような世界。曰く人ではないかと疑うほどのNPCの受け答え。そして何より驚きなのがゲーム内では三倍の時間で時が進んでいると言うのだ。リアルで一時間遊んでもゲーム内では三時間遊んだことになる。

 

調べて行くにつれて久しく忘れていた高揚感を感じ、すぐさま購入しようとしたがあいにく俺の知っている購入先ではどれも品切れ。店舗はおろかネット通販ですらいつ入荷できるかは不明と言うのだから、人気の高さがうかがえる。

 

そんなこんなで手に入れるのに半年もかかってしまった・・・ちなみに俺達は三兄弟なのだが、末っ子である水谷 芳樹も兄は誘ってすでに手に入れている。ただ、二人はまだゲームを始めていないとのこと。せっかくだから昔みたいに三人でやりたいと言ってくれたのだ。

 

・・・俺としては手に入れるのに半年もかかってしまったので申し訳ない気持ちでいっぱいだ。二人には何かお礼を考えるとしよう。

 

『じゃあ、前に相談した通りアルター王国所属で始めるよな?』

「もちろん」

『よし!じゃあ、一足先に待っているぞ!』

 

そう言って兄は電話を切った。俺は弟にもメールで連絡し返信を受け取ってから<Infinite Dendrogram>を始める・・・・

 

 

 

「はーい、ようこそいらっしゃいましたー」

 

気付いた時にはどこかの書斎に居た。そして書斎の真ん中には安楽椅子に座るベストを着た白猫が居た。

 

「とりあえず、こんにちは?」

 

多分だが、ここはチュートリアルの空間なのだろう。情報収集していた頃にそう言うことを書き込んでいた提示板を見た。

 

「いいねー挨拶をしてくれた人はなかなかいなかったよー」

 

ネコは嬉しいのか尻尾を揺らしていた。・・・いや、うれしい時に尻尾を揺らすのは犬だったな・・・

 

「あ、僕は<Infinite Dendrogram>管理AI13号のチェシャだよーよろしくねー」

「よろしくお願いします」

 

とりあえず挨拶は大事なのできっちりと頭を下げる。

 

「いやー本当に礼儀正しい人だねーすごく好感が持てるよー まぁ、雑談はこれくらいにしてここではチュートリアルとしていろいろ決めてもらいますー まずは描画選択ねー今からサンプル映像に切り替わるからねー」

 

目の前の猫・・・・チェシャがそう言うと俺の視界はどこかの大通りになりそこには人が行きかっていた。しばらくすると周りの建物がCGになり、さらに時間が進むと今度はアニメ映像になった。

 

それもしばらくすると元の書斎に戻った。リアルだってことは知っていたがCGやアニメの視界もできるのは知らなかったな・・・

 

「今の見た映像でどれにしたいかなー」

「ちなみにどれが一番多いのかな?」

「一番はやっぱりリアルだねーそれと、ゲーム内で映像切り替えるアイテムがあるから不満があればすぐに替えることができるよー」

「じゃあ、リアルのままで」

 

アニメとかも気になるけど、せっかくリアルと変わらないと騒がれているのだしまずはそれを経験したい。

 

「オッケー、次はプレイヤーネームの設定だよー ゲームの中の名前は何にするー?」

「ゲイル・アクアバレーで」

 

ゲイルって名前に関しては単純にカッコいいから他のゲームでも使っている。ファミリーネームは兄と弟と話し合って決めた。水谷を英語に変換しただけだが・・・・

 

「了解ー次は容姿設定だよー」

 

チェシャのセリフの直後、俺の目の前にマネキンといくつもの項目が並んだ画面が出現した。

 

「このマネキンを目の前の画面に並んでいる項目を使ってゲーム内アバターを作ってねー」

「んー時間かかりそうだからリアルの容姿を弄ることはできるかな?」

「お安い御用だよー」

 

そう言ってチェシャは何やら操作する動作をし、その直後マネキンは俺そっくりになる。

 

「これでいいかなー?」

「ありがとう」

 

兄や弟が待っているかもしれないので髪の色を緑色に両目は黄色。体も引き締めて筋肉質に変える。

 

「これでOKっと」

「お疲れ様ー次は一般配布アイテムを渡すねー」

 

チェシャがそう言うと俺の目の前の頭上からカバンが落ちてきた。

 

「それは収納カバン、ゲームではお馴染みのアイテムボックスだよー。中は異次元の収納空間だからーゲイルの持ち物は入るけど、他の人のは入らない仕様だからねー」

「他に注意点はあるかい?」

「そのアイテムボックスの広さは学校の教室くらいでー入る重さは地球換算で一トンくらいー。それとそのアイテムボックスは《窃盗》スキル対策がされてないから盗まれる可能性があるよー」

「き、気を付けるよ・・・」

 

何を気を付ければいいかはわからんけど・・・・

 

「後はーアイテムボックスにも耐久度があるよーそれを超えると中身が溢れちゃうからそれも注意してねー」

 

耐久値か・・・壊れないアイテムボックスとかもあるのかね?

 

「次は初心者装備ですー、ゲイルはどれを選ぶー?」

 

チェシャは本棚から取り出した本を俺に見せる。ページを開くとそれは色々な装備が書かれている所謂カタログだった。

 

「そうだな・・・これにするよ」

 

そう言ってカタログのページをチェシャに見せる。ページに描かれているのは動きやすそうな革鎧、ブーツ、皮手袋にズボンを穿いているなんとなく冒険者の様な格好だ。

 

「了解だよー続いて初期武器はどうするー?」

 

カタログの別ページには武器が書かれていた。ここは即決だな。

 

「剣はあるかな?」

「模擬剣だけどあるよー」

「じゃあそれで」

「わかったーじゃあ装備と武器を・・・ほりゃー」

 

気合が入っているのかいないのかわからない掛け声をチェシャが上げると、俺の姿はアバターに変わり装備は先ほど決めた冒険者風に。腰には模擬剣が鞘と共にベルトに括り付けられていた。書斎にある姿見で確認すると違和感はないので満足だ。

 

「それとー最初の路銀も渡しておくねー」

 

そう言ってチェシャは俺の5枚の銀貨を渡した。

 

「銀貨五枚で5000リルだよーちなみにおにぎり一つで10リルくらいだねー」

 

日本円だと・・・めんどくさいので思考放棄。ぶっちゃけた話一々日本円に直そうとするのは意味が分からん。

 

「さてー次は<エンブリオ>の移植だよー」

「<エンブリオ>・・・・」

 

<エンブリオ>とはこの<Infinite Dendrogram>を人気ゲームにした最大の特徴である。プレイヤー一人一人に渡され、千差万別と言っていいほどの能力を得る。誰一人として同じ<エンブリオ>を持たず真の意味でのオンリーワン。それが<エンブリオ>だ。

 

「<エンブリオ>の説明は聞くー?」

「お願いするよ」

「オッケーまずは・・・」

 

チェシャの説明だと<エンブリオ>はチュートリアルで渡されて、渡した直後は第0形態と言い卵のような状態なんだとか。最初は誰もがこの形態であり、進化して第一形態になるとそのプレイヤーだけの<エンブリオ>になるとのこと。あと千差万別であるがカテゴリーという物がある。

 

プレイヤーが装備する武器防具、道具型のTYPE:アームズ

プレイヤーを護衛するモンスター型のTYPE:ガードナー

プレイヤ-が搭乗する乗り物型のTYPE:チャリオッツ

プレイヤーが居住できる建物型のTYPE:キャッスル

プレイヤーが展開する結界型のTYPE:テリトリー

 

このほかにも珍しいレアカテゴリーや進化し続けることで上位のカテゴリーにもなるとのこと。ちなみにこのゲームはキャラの作り直しはできない仕様だという。脳波データを登録しているので新しいハードを買っても同じキャラで始まるとのこと。

 

そして説明を聞いている間に俺の左手の甲には<エンブリオ>が。今はまだ卵のような状態だが、俺のエンブリオはどんなのになるのかな?

 

「次は最初の所属国家を決めてもらいますー」

「アルター王国で」

「・・・・早いねーちなみに軽いアンケートなんだけどなんでそこを選んだのー?」

 

この<Infinite Dendrogram>には7つの大きな国があり、プレイヤーはどこかに所属することになる。簡単に国々を紹介すると・・・

 

騎士の国【アルター王国】 

刃の国【天地】

武仙の国【黄河帝国】

機械の国【ドライフ皇国】

商業都市郡【カルディナ】

海上国家【グランバロア】

妖精郷【レジェンダリア】

 

西洋ファンタジーのアルター王国。東洋の神秘天地。中華ファンタジー黄河帝国。近代国家なドライフ皇国。砂漠のオアシスと共に生きるカルディナ。大航海時代なグランバロア。エルフと妖精の国レジェンダリア。

 

一言付け加えるならこんなとこか。あと、俺がと言うか三兄弟がアルター王国を選んだかと言えば・・・

 

「アルター王国が一番おもしろそうだと思ったんだ」

「ふむーなるほどー答えてくれてありがとうねー」

 

もう一つ言えばやはり西洋ファンタジーは王道だと思うのですよ。

 

「じゃあ、アルター王国の王都アルテアに飛ばすねー」

「ああ、そうだその前に聞きたいことがある」

「なにかなー?」

「このゲームではプレイヤーは何をすればいいんだ?」

 

ふつうのRPGなら魔王を倒せとかあるいは何かしらのストーリーがあってそれをなぞることになるが、いくら調べてもこの<Infinite Dendrogram>にそんな情報はなかった。だから運営側である管理AIに質問したんだが・・・

 

「何をしてもいいよー」

「え?」

「英雄になるのも魔王になるのも、王になるのも奴隷になるのも、善人になるのも悪人になるのも、何かするのも何もしないのもすべては君の自由だよ」

 

チェシャはこれまでの間延びした語尾をせずにそう言った。

 

「<Infinite Dendrogram>へようこそ。これから始まる無限の可能性をどうか楽しんでね?」

 

そう言った直後、俺の周りは天高い大空の真っただ中に投げ出された。

 

「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁ~!!!!」

 

俺の叫びは誰にも聞こえることなく地上に落ちてゆく・・・・




原作のプロローグに似ているのは作者も自覚しているので、指摘しないで頂けるとありがたい・・・
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