三兄弟の系統樹   作:出来立て饅頭

13 / 69
第十三話 <UBM>討伐準備

  ◇  【重騎士(ヘビィーナイト)】ゲイル・アクアバレー

 

 

昨日は話し合いが白熱してしまい、気付けば夜遅くになっていた。話の続きはデンドロの24時間制限が解除され、王都で情報収集をしてからと言う事になった。

 

翌日。俺は24時間制限が解除された直後にログインした。俺から遅れてクロス兄貴やウッドもログインしてきた。

 

「まぁ、待ちきれないならこうなるな」

 

俺の呟きに二人とも苦笑で答えた。

 

「なんにせよ、行動開始だ。リアルで話した通りに」

 

クロス兄貴の言葉に真剣な顔で頷き、俺達は各自の役割を開始した。クロス兄貴は知り合いのティアン、<マスター>から【破岩巨人 バルギグス】の目撃情報がないかそれとなく探る。

 

俺は、冒険者ギルドと騎士団が【バルギグス】の情報を掴んでいるかを確認しに。ウッドはグリフに騎乗して<サウダ山道>の【バルギグス】に出会ったところまで向かい、居なければ周囲の探索を。

 

まずは俺達がデスペナになってから、【バルギグス】の存在が王都に伝わっているのか。伝わっているならもう討伐されたのか確認することから始めた。

 

調査が終わり、俺達は王都にあるあまり流行っていないオープンテラスの喫茶店に集合して各自の報告を行った。

 

「まずは俺からだが、とりあえず俺の知り合いにあのモンスターのことを知っている奴はいないようだ。噂にすらなっていないかもしれないな」

 

念のため、この話し合いでは<UBM>とか【バルギグス】の名を出すことはしない。どこで誰の耳に入るかわからないからだ。

 

「俺の方は冒険者ギルドであいつの討伐記録や討伐依頼はなかった。騎士団の方もあいつに関する情報はない様だ」

 

騎士団に関しては知り合いの【騎士】に就いているティアンに【バルギグス】のことは伏せてモンスターに倒されたと言い、俺が居ない間に何か大きなことは無かったか尋ねた。

 

<UBM>が王都の近くに現れたと知れば騎士団なら過剰に反応する。討伐されたとしてもニュースにはなっているはずだからな。しかし、訪ねたティアンは特に変わったことはなかったと言っていた。

 

「僕の方は、さすがに同じ場所にはいませんでした。なので周囲を空を飛んで探索した結果、あいつを見つけました」

 

ウッドの言葉に俺と兄貴は思わず叫びそうになった。正直もういない確率の方が高いと思っていたからな。

 

「後は奴を倒すための準備か・・・」

「でも、時間はそう長くないでしょう?」

「だろうな。<マスター>は言うまでもなくあまり時間をかけて目撃者が増えれば、騎士団長である超級職の【天騎士】や王国の”魔法最強”【大賢者】が出張る可能性がある」

 

超級職。このデンドロで上級職のさらに先にあるジョブで就けるのは各超級職にたった一人。そのためかなり強力なジョブであり就けたティアンは国の役職に居ることがほとんどだ。

 

アルター王国にも二人ほどいる。騎士団団長であり騎士系統超級職【天騎士(ナイト・オブ・セレスティアル)】の座に就いているラングレイ・グランドリア。

 

もう一人は何百年の間も王国の相談役および国の守護神、国内外から”魔法最強”と呼ばれる魔術師系統賢者派生超級職【大賢者(アーチ・ワイズマン)】。この人物に関しては名は分っていない。

 

「それに、あいつを放っておいたら犠牲者も出るかもしれない。思ったほど時間はないかもしれないぞ。正直な話今からでも冒険者ギルドと騎士団に情報提供した方が実入りはあるぞ?」

「全くやる気のない提案をどうも」

「クロス兄貴。言葉に真剣さが足りないよ?」

 

俺達三人は笑いあい注文した飲み物を飲み干す。お金を払い討伐準備を始める。

 

「時間がないし放置してティアンが犠牲になるのも避けたい。時間との勝負だ。効率重視でいくぞ」

「「おう」」

 

ここから俺達の人によっては無謀とも言われる挑戦が始まった。

 

 

 

  ◇  【騎兵(ライダー)】ウッド・アクアバレー

 

 

まず、僕たちは今のジョブをカンストするためにジョブクエストを受けたり、<墓標迷宮>に挑戦したりを繰り返した。

 

途中で王都のジョブクエストではもう効率が悪いと判断して<墓標迷宮>でのLv上げに集中した。

 

<墓標迷宮>では5階層のボス【スカルレス・セブンハンド・カットラス】と6階層から9階層で主にLv上げをしている。

 

探索に費やす時間もなく、あくまでLv上げ主体でダンジョンに挑戦している。兄弟の時間が合わないときは無理をせずにジョブクエストを知り合いと一緒に行っていた。

 

知り合いのティアンと<マスター>たちには初デスペナになってしまったから鍛え直していると説明。他の<マスター>からは理解を得られ、なんとなく見守られているような感じだ。

 

Lv上げにドロップ品の売買。および装備品探しやリアルでの戦術相談など。僕たちは時間が許す限り、【バルギグス】を倒すための努力を続けた。

 

その甲斐あって二つ目のジョブはカンストし、三つ目のジョブを選ぶことに。【バルギグス】にリベンジすることを考えた上で僕たちはジョブを選択。

 

僕は【従魔師(テイマー)】を選択。【バルギグス】相手にするのなら自分の戦闘力を上げるよりもグリフの強化を選んだ。

 

ゲイル兄貴は予定通り【盾騎士(シールドナイト)】を選択。今からAGIを上げるジョブになっても焼け石に水と判断し、今まで通りの戦い方の強化を選択。

 

クロス兄貴は正直一番何にするべきか悩んだ。まず【剣士】は除外。【バルギグス】相手にするのに魔法攻撃が使えなくなる【剣士】は最初に選択肢から除外した。

 

なので候補としては【魔術師】の派生下級職が有力なんだけど、各属性の派生下級職は色々あり決めるのに時間がかかりそうだった。

 

時間がないので、クロス兄貴の好みを優先して【風術師(ウィンドメイジ)】を選択。

 

三つ目のジョブのLv上げのために最初はジョブクエストを受けて、効率が悪くなったら<墓標迷宮>挑戦。このような生活を続けてリアルで2週間。デンドロ内では約一か月半が過ぎようとしていた。

 

僕たちは今日もデンドロにログインして、まずは情報収集を開始。これは【バルギグス】にリベンジするための準備をし始めてから欠かさずにしていることだ。

 

その結果は僕たちにとっては歓迎できない物だった。ここ最近<サウダ山道>で見慣れないモンスターの目撃情報があり、<UBM>ではないかと言う噂があるのだ。

 

さらにこの噂の真偽を確かめるために騎士団が動き出すかも知らないことが、ゲイル兄貴の知り合いのティアンから聞かされたと言う。

 

この情報は<マスター>の間でも広がっており近く、有名どころも動き出すだろうと予想されていた。

 

【バルギグス】がまだ討伐されずに<サウダ山道>に居ることは僕が確認済み。未だに討伐されていないのはある意味奇跡だが、もう時間はないだろうね。

 

「よし。挑戦しよう」

 

こうなることはもはや必然だよね。とうとうリベンジの時だ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。