三兄弟の系統樹   作:出来立て饅頭

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第二十一話 Lv上げと転職

  ◇  【盾騎士(シールドナイト)】ゲイル・アクアバレー

 

 

装備を整えてからの数日間は再びLv上げの日々だ。ギデオンの周辺や時には遠出をして、モンスターと戦った。

 

その結果、【盾騎士】をカンストしてステータスのHPは五ケタにSTR、ENDは四ケタに到達。なお、他のステータスは三ケタ台だ。騎士系統のステータス補正は基本、HP、STR、ENDが高く他は低めだから仕方なし。

 

クロス兄貴やウッドも三つ目のジョブはカンストしたので、俺達は四つ目のジョブに就いてLv上げをする予定だ。

 

俺はリオンの強化のために就いた【従魔師】のLv上げを。ちなみに【従魔師】を選んだ理由だがステータス補正とスキルで選んだ。

 

【騎兵】でもよかったが、ステータス補正がAGI以外は平均的だから候補から外した。今更俺がAGI補正のあるジョブに就いても焼け石に水だからだ。

 

【従魔師】はHP、MP、SP以外は平均より低いがHPとSPが高めなのは俺にはありがたい。スキルも《魔物強化》は凡庸スキルではないが、騎士系統なら《乗馬》持つ関係上問題なく使える。

 

まぁ、【従魔師】をメインジョブにしている間は騎士系統のスキルは使えないので、注意が必要だがね。

 

クロス兄貴は【剣士】をメインジョブに。ウッドは【弓騎兵】に就いた。おそらくは四つ目のジョブがカンストする頃には上級職に就けるようになっているだろう。

 

と言うか、クロス兄貴はすでに条件をクリアしているのだが、俺達に合わせて上級職になりLv上げを行いたいと言って、【剣士】になっているのだ。

 

兄貴の自由なので文句などないが、なんだかすごく申し訳なく思える。頑張ってLv上げをしよう。

 

今日は《クルエラ山岳地帯》に遠出する予定だ。ここはカルディナとの国境に近く、モンスターの種類も多い。理由はカルディナに近いので時折、砂漠に居るワーム系やサソリ系のモンスターが迷い込むのだ。

 

アルター王国側にある林や森などからも狼などの魔獣系、森に生息する昆虫系の魔蟲などもたまにだが目撃され、商人などが通る際に被害を受けるケースがあるとか。

 

そのため、国境の砦を守護する者たちから定期的に魔物討伐の依頼がされる。今回は依頼がなかったので受けずにモンスターを探すだけだが、割と出会う確率は高いと言う話だ。

 

Lv上げをしたい俺達にとっては願ってもない。ティアンの人たちもあそこに強いモンスターが居ると困るらしいので、早速向かうとしよう。

 

 

 

  ◇  【弓騎兵(ボウ・ライダー)】ウッド・アクアバレー

 

 

僕達は四つ目のジョブに就いて現在は上級職に就くために条件クリアのために戦闘を繰り返している。

 

そして現在。僕たちは少し遠出をして《クルエラ山岳地帯》でモンスターと戦っている。相手は亜竜クラスモンスターの【デミドラグスコルピオ】。茶色の甲殻に覆われた約5m越えのサソリ型モンスターだ。

 

「《ファイヤーソード》!」

「クルー!」

「BURU!」

 

クロス兄貴が相手の鋏の攻撃を躱して後ろへと抜ける合間に攻撃スキルで斬り付ける。攻撃されて鈍った所にグリフとリオンが攻撃を加える。

 

「ハァ!」

 

さらに追撃として、リオンに乗馬しているゲイル兄貴が持っている馬上槍で駆け抜ける時に斬りつけている。兄貴の槍は突撃槍(ランス)ではなく、ハルバードに近いので問題なく攻撃している。

 

僕も《インパクトアロー》を多用して攻撃している。と言うか、何気にこのスキル使用頻度が高いんだよね。他のスキルも使ってはいるけど、堅い敵にも有効だからだね。

 

なんて考えながらも、攻撃の手も緩めずに行い続けて、後に残ったのは【亜竜毒蠍の宝櫃】だった。

 

「よし!亜竜クラスでも十分戦えるな!」

『俺とは相性悪い奴だったけどな』

「確かにね。堅い上に素早いモンスターはクロス兄貴にはきついよね」

 

あのモンスターは堅い甲殻に覆われて、動きも素早く攻撃も麻痺毒の尻尾でこちらを刺そうとするのでクロス兄貴は、慌ててリオンに乗馬したんだよね。

 

『やはり、俺のビルドはもう少しAGIも考えた方がいいのか?』

「じゃあ、【騎兵】でもなる? リオンもいるし上級職に【重装騎兵(アーマー・ライダー)】なんてのもあるよ?」

『ふむ。調べてみるか』

 

ゲイル兄貴は僕の言葉にちょっと興味を持ったようだ。

 

「ビルド相談は帰ってからかリアルでしろよ? 次のモンスターを探すぞ」

『わかった』

「了解」

「クル!」

 

クロス兄貴の言葉にグリフも含めて返事をして、僕達は獲物を求めて《クルエラ山岳地帯》を進む。

 

それからも出会うモンスターと戦い、順調にLv上げを行った。グランとスオウも戦闘に加わり全体での連携も深めた。

 

その結果、僕達のジョブLvは25になった。さらにはゲイル兄貴のリオンが上位のモンスターになった。

 

今までのリオンは【シルヴァリオン・ホース】と言う種族だったが、進化したことで【シルヴァリオン・スターホース】となった。

 

鬣が星のように煌めく美しい馬となり、ステータスも亜竜クラスの域に。さらにはスキル《星の祝福(スター・ギフト)》によって自身と乗馬状態のゲイル兄貴に光属性を付与できるようになったと言う。

 

「ゲイルよ? リオンに合わせて【聖騎士】になった方がいいんじゃないか?」

『断固拒否する』

 

リオンを見てクロス兄貴はそう言ったが、ゲイル兄貴にそうするつもりはないらしい。確かに今のリオンと【聖騎士】は似合うだろうけど、ゲイル兄貴の好みではないので無理だろうね。

 

リオンの進化を見てグランやスオウも進化して強くなろうと意気込んでいる様だった。二人がどんな進化をするのか楽しみだ。

 

なお、モンスターの進化は光輝いた後に成長したモンスターが現れると言う感じだった。これを見た僕は未だに根強い人気があるデジタルなモンスターを思い出したよ。

 

 

 

  ◇  【剣士(ソードマン)】クロス・アクアバレー

 

 

俺達は上級職になるための条件クリアを目指してしばらくはモンスター討伐を繰り返した。冒険者ギルドでクエストを受けて資金も増やしながら。

 

俺はすでに条件をクリアしているのだが、剣士系のスキルが不足していると考えて【剣士】のLv上げをしている。

 

まぁ、俺だけ上級職になるのも二人と一緒に楽しみたいと考えている身としては、どうせなら三人一緒に上級職になりたいのだ。

 

そんな考えの元、戦闘をし続けてリアルで2週間くらい経過した。その間に俺達は亜竜クラスのモンスターとも渡り合えるようになり、冒険者ギルドの依頼もこなして所持金を増やして行った。

 

そして、ゲイルとウッドも上級職の転職条件をクリアして転職する時が来た。

 

「いよいよ上級職だな」

「ふふ、震えてくるな」

「楽しみだね」

 

俺も含めた三人は上級職転職を前にして興奮している様だ。上級職の転職は下級職と違い少々演出があると言うので、それも楽しみだ。

 

俺達はそれぞれの上級職に対応したクリスタルに三人一緒に向かうことにした。まずはウッドからだ。

 

ウッドが就く【強弓騎兵】は騎兵ギルドにあるクリスタルで転職可能だ。早速騎兵ギルドへ向かい転職するのに必要な巨大なクリスタルが置かれている部屋に向かう。

 

転職をするにはこの巨大なクリスタルに触れて、表示されたジョブを選択するのだ。転職した後のメインジョブ切り替えはセーブポイントやジョブクリスタルと言う使い捨てアイテムでも可能だが、新たなジョブに就くのは対応したクリスタルに触れる必要がある。

 

ウッドがクリスタルに触れて操作をして少し経つと、クリスタルが輝きだした。

 

「こんな演出なのか」

「上級職でこれなら、超級職はどれくらい派手なのかね?」

 

ゲイルの言葉に俺は頷いた。かなりド派手な演出のような気がする。

 

「兄貴たちお待たせ」

「よし。次行くぞ」

 

その後、順番にゲイルの騎士ギルドに。その次は俺の剣士ギルドへと向かい無事に上級職へと転職できた。その後は適当に入ったカフェで食事をしながら今後の相談である。

 

「上級職に就いたし、しばらくはLv上げかな?」

「それもあるが、上級職のスキルには覚えるのに条件もある。それを調べて習得を目指す」

「リアルのネットだけでなく知り合いのティアンにも聞いて方がよさそうだ」

 

上級職に就いてもやることは多い。まぁ、焦らずに三人でやっていくさ。その後は今日はこれまでとしてログアウトした。


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