三兄弟の系統樹   作:出来立て饅頭

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第二十二話 指名依頼

  ◇  【強弓騎兵(ヘビィ・ボウ・ライダー)】ウッド・アクアバレー

 

 

上級職に就いてLv上げの相談をした結果、ジョブクエストを受けながらLv上げを行うことに決めてしばらくの間クエストと戦闘をこなして過ごした。

 

リアルで三日が経過した頃には、僕達のLvは25くらいにはなり次のジョブクエストを受けようと僕たちが就いているジョブギルドを回っていると、従魔師ギルドで声を掛けられた。

 

「貴方たちに指名依頼を頼みたいのですが、お話を聞いていただけませんでしょうか?」

 

受付嬢の頼みにとりあえず話だけでも聞かないと判断ができないと三人の意見が一致。ギルドの部屋の一つを借り話を聞くことに。

 

受付嬢の話によると《クルエラ山岳地帯》の所々にある林や森のモンスターが最近減ってきている様だと言う。原因は<マスター>が主だとも。

 

詳しい話を求めると、どうも野盗まがいの<マスター>たちが考えなしに狩りを続けているようで、モンスターの生態系に異常が出始めていると言うのだ。

 

《クルエラ山岳地帯》の林や森には希少な魔獣型や魔蟲型モンスターが生息していて、従魔師ギルドとしては野盗まがいの<マスター>たちに絶滅される前に一定数確保したいと考えて信頼できる従魔師に話を持ち掛けているのだとか。

 

報酬はお金か高性能【ジュエル】を提示されて、僕としては今の持っている【ジュエル】よりも性能が良く欲しいと考えた。ゲイル兄貴も同じ考えのようだ。

 

クロス兄貴にはメリットがないけど、僕とゲイル兄貴にプラスになるならと喜んで引き受けると言ってくれた。ただ・・・

 

「なんで俺達にその指名依頼を? こう言ってはなんだが、そこまで信頼されるようなことはしていないと思うんだが?」

 

受付嬢に確認をしていた。受付嬢の答えは・・・

 

「とんでもない! あなたたちのおかげでこちらは助かってますよ」

 

どうも王都の従魔師ギルドの依頼とギデオンに到着してから受けてきた依頼はギルドからしたらすごく助かっているのだとか。

 

僕達が受けた依頼は【モンスターのお世話】や【指定モンスターの納品】などだが、これらの依頼は<マスター>には不人気だと言う。

 

人気なのは【危険モンスターの討伐】やそのモンスターをテイムしろなどで、僕達が受けてきた依頼は一部の物好きしか受けないとか。

 

モンスターのお世話するだけで経験値が手に入ったり、可愛いモンスターのお世話ができるからと僕達は結構楽しんでいたのだけど、人気なかったんだね?

 

モンスターの納品に関して言えば、自分が手に入れる訳でもないモンスターをテイムするのは無駄だと言う考える人が多いとか。

 

まぁ、僕達の場合は偶然なんだけど。前に亜竜クラスの地竜と遭遇した時なんて、ゲイル兄貴がその地竜の攻撃をことごとく受け止めるから、勝てないって判断して服従のポーズをしたし。

 

ゲイル兄貴はその地竜を手持ちにする気がなかったから、従魔師ギルドにちょうどいい依頼があったので引き取ってもらった。そう言えばその時の受付の男性が凄く喜んでいたっけ?あの地竜今どうしてるのかな?

 

モンスター販売専門の商店で売ると言う選択肢もあったけど、何となく売ってお金に替えると言う行為はしたくなかった。従魔師ギルドなら誰か別の人に引き取ってもらうこともあるしね。

 

とにかく信頼されている様なら、この依頼必ず達成したいね。受付嬢からたくさんのモンスターを入れられる【ジュエル】を受け取り、僕達は目的地へと向かう。

 

 

 

  ◇  【重厚騎士(ソリッド・ナイト)】ゲイル・アクアバレー

 

 

指名依頼を受けて、俺達は目的地である《クルエラ山岳地帯》の林や森を周っていた。すでに何体かのモンスターを確保済みだ。

 

金色甲虫(ゴールド・ビートル)】と言う金色に輝く大型犬くらいのヘラクレスオオカブトムシのような見た目の魔蟲。

白銀熊(シルバー・グリズリー)】と言う名称の白銀色に鈍く輝く毛皮の熊の親子連れ。

羽刃蜻蛉(ブレイド・ヤンマ)】と言う名の羽が刀のように鋭い魔蟲。

【黒鋼虎狼】と言う虎の様な体格の狼で毛皮が鋼のように硬くなる魔獣。

 

これらのモンスターを確保と言うか、保護と言った方がいいのかねこの場合は? なお、【白銀熊】以外は戦闘をして弱らせてからスキルの【魔獣言語】で降伏を呼びかけた。

 

【白銀熊】は子連れでお腹を空かせていたので持っていたレムの実を食べさせてから交渉して、こちらの目的を説明。衣食住を提供できる場所で保護されることが分かってくれたようでテイムに抵抗しなかった。

 

なお、交渉した父親熊はダンディーな声の紳士口調であった。新たなジャンルのクマ紳士。

 

閑話休題。

 

その後は目新しいモンスターに出会わずに戦闘の痕跡がある林や森を見かけるようになった。どうも例の野盗まがいの<マスター>たちが暴れた後のようだ。

 

このままではその<マスター>たちと遭遇することも考えられたので、この近くに有る比較的大きな森を探索したら帰ることに決めて、俺達はその森に向かった。

 

だが、その森へと近づくにつれて激しい戦闘音が聞こえてきた。もしかしたら野盗まがいの<マスター>たちが今から向かう森で戦闘をしているのかもしれない。

 

俺達は予定を変更して、ギデオンへと帰ることを相談したが、その森へと続く道から傷だらけのティアンが現れた。俺達は彼に近づいて回復ポージョンを飲ませる。

 

「ハァハァ・・・助かった・・・・ありがとう」

「何があったんですか?」

「この先の森で野盗に襲われたんだ。そいつらは<マスター>で俺は仲間が逃がしてくれたんだ。頼む! 仲間を助けてくれないか!?」

 

さすがにこれで知らんぷりはできない。二人に視線を向けると黙って頷いてくれたので同じ気持ちだろう。俺達はまだ体力が回復してない彼を比較的目立たない場所に移動させて、彼の仲間の救助に向かうことに。

 

森へと近づくにつれて、戦闘音が聞こえてきた。だが、俺達がよく聞く武器同士の激突音や防具で受け止める金属音などではなく重火器の発射音が聞こえてきた。

 

おそらくは銃型の<エンブリオ>持ちが戦闘をしていると予想。俺達はさらに急いで現場に向かうと、そこには四人のティアンが地属性魔法の壁で重火器を放つ<マスター>の攻撃をなんとか耐えていた。

 

「はっはっは! おらおらどうした! そろそろ壁が脆くなっているぞ!」

「く、くそ!」

「まずいぞリーダー!MPが無くなる!」

「回復アイテムも切れた・・・」

 

重火器のおそらくミニガンと呼ばれる銃を構えて撃ち続ける<マスター>は下品な笑い声と顔でティアンたちを嬲っていた。その<マスター>の周囲には仲間と思われる二人の男女が居た。

 

「ちょいといい加減にしなよ? そろそろお遊びはやめてとっとと経験値にしたいんだけど?」

「右に同じ」

「ああ? しょうがねぇな。じゃあここらで終わりにするか! 【イフリート】! 《弾丸交換(ブリット・チェンジ)》! 《爆裂弾(ブラスト)》!」

 

ミニガン持ちの<マスター>が何かのスキルを宣言した。そうして再度ティアンたちに銃口を向け・・・

 

「これで終わりだ」

 

そう言ってミニガンから発射される前に俺はリオンに乗馬して駆け出し、ティアンたちの前でリオンから飛び降り、スキルを宣言。

 

『《ガード・ウォール》! 《ガード・オーラ》!』

「あん?」

 

俺は自身の防御力を+200するスキルに、自身のENDの数値を20%アップする【重厚騎士】で覚えたスキルを同時発動した。さらに【ボルックス】のスキル効果で数値は倍に。

 

俺が乱入したことに構わずにミニガンを構えた大男の<マスター>は弾丸の発射。無数の弾が俺に当たり小規模の爆発もおまけで与えたが、俺は耐えた。

 

「なんだお前は? 経験値稼ぎの邪魔すんなよ!」

 

突如乱入した俺に対して大男は苛立ちを募らせた言葉を放つ。それに対して俺は無言で《瞬間装備》で特典武具の【破岩盾】を装備する。これは対人戦闘向きなのでモンスター相手には使っていなかったのだ。

 

俺の後ろではクロス兄貴とウッドがティアンたちに回復アイテムを手渡して事情を説明。俺は目の前の奴らの見張り。このまま対人戦闘になるだろうからな・・・

 

 

 

  ◇  【紋章剣士(ルーン・ソードマン)】クロス・アクアバレー

 

 

間一髪のところでゲイルの行動で救ったティアンの人たちを俺とウッドは回復アイテムを渡して、事情説明を行う。

 

「き、君たちは?」

「貴方たちの仲間から助けを求められた<マスター>です。ここは僕たちが時間稼ぎをするので、逃げてください」

「す、すまない」

「恩に着る!」

 

そう言って、ティアンたちは俺達が来た道に向かって行った。もちろん彼らを襲っていた<マスター>たちは・・・

 

「俺らの経験値に何しやがる!」

 

ミニガンを構えている大男がティアンたちに弾丸を放つが、目の前にいるゲイルにすべて防がれる。

 

「てめぇら! 邪魔すんじゃねえ!」

「正義の味方プレイかい? 流行らないことしてるねぇ?」

「ウケるw」

 

俺達の行動に憤慨する大男に、最低限の服着てなまめかしい肉体を晒している女性の<マスター>に、何がおかしいのか笑っている身長の低い若い男の<マスター>。

 

『どうとでも言ってくれ。どんなことをしようがこっちの自由だろう』

「あん? むかつく野郎だね。ハチの巣にしてやろうか!」

 

ゲイルの言葉にミニガンを構えてる大男は額に青筋を立てて、いつ戦闘が始まってもおかしくない。俺とウッドもいつでも動けるようにしている。

 

「そうだねぇ? こっちのLv上げを邪魔してくれたのは腹が立つし、ちょっと痛めつけてやろうか」

「ふふふ、賛成」

 

そう言うと女性の<マスター>の周囲に5体の狼が出現。直前に狼の顔の様な紋章が光ったから<エンブリオ>だろう。

 

背の低い男性も背中に6個のサブアームが付いたバックパックのような物を背負っている。これもおそらくは<エンブリオ>だろう。

 

一触即発の空気になりつつある場に、俺達は緊張していた。デスペナの掛かった対人戦闘は最初のログインの時のPKたちが最初だったが、それ以降は知り合いと模擬戦をするくらいで一切の経験がない。

 

などと考えていると、森の奥から爆発音が響いた。何が起こったのかわからずにいると目の前の三人組が何やら言っている。

 

「あいつら派手にやってるな。<UBM>だから仕方ねえが」

「特典武具が欲しいからだけど、あたしにはわからんねぇ? 態々強い相手と戦うなんて」

「同意」

 

何と、森の奥に<UBM>が居て目の前のやつらの仲間が戦っている様だ。

 

『この森、<UBM>が居たのか・・・』

「そうだよ。たまたま見つけてねぇ? で、特典武具欲しさにほとんどの奴らが戦いを挑んだのさ」

「あんたらは行かないのか?」

「なんで強い相手と戦わないといけないのさ? そんなことよりも騒ぎを聞き付けた奴らを狩る方が効率いいのさ」

「おい、余計な事を言うなよ!」

「別にかまやしないさ。あいつらだってたまたま目的が似通っただけの赤の他人なんだ。付き合いが長いアンタら二人なら話は別だけどね」

 

どうやら、仲間意識は薄い様だな。

 

「とは言っても、さすがに義理は果たさないとね? 悪いけどあんたたちにはデスペナになってもらうよ!」

 

そう言って女性の<マスター>は腰にぶら下げていた鞭を手に取り、地面を打ち鳴らした。それを合図に狼たちが襲いかかった。俺は避けて、ウッドはグリフに乗って上空へ退避。ゲイルはその場を動かずに狼たちを盾で吹き飛ばした。

 

その直後、ゲイルに弾丸が殺到。犯人は当然ミニガンを持っている大男の<マスター>だ。

 

『く!』

「てめぇの相手は俺がする!」

「じゃあ、あたしはそこの剣士っぽいあんただね?」

「やるしかないか・・・」

「クロス兄貴!」

「お前は俺」

 

こうして俺達のとっては二度目となる<マスター>同士の戦いが始まった。

 

 

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