三兄弟の系統樹   作:出来立て饅頭

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第二十六話 その後の活動

  ◇  【紋章剣士(ルーン・ソードマン)】クロス・アクアバレー

 

 

野盗まがいの<マスター>たちとの戦闘後に俺たちは急いでギデオンへと帰った。ギデオンに到着して俺たちは手分けして冒険者ギルドと従魔師ギルドに騎士詰め所へと向かった。

 

<UBM>も絡んだ話だけに、冒険者ギルドと騎士団詰め所にも話しておいたほうがいいと判断した。

 

冒険者ギルドには俺が。従魔師ギルドにはウッドが依頼されたテイムしたモンスターを入れたジュエルもすべてウッドが持っていくことに。騎士団詰め所には知り合いが多くいて同じ騎士であるゲイルが。

 

俺が冒険者ギルドへ行き、報告をするとすでに助けたティアンの人たちが話を拡散していたらしく、詳しく話をする必要はなかった。冒険者ギルドではその森に調査依頼を<マスター>に出して俺たちと入れ違いで出発したという。

 

俺のやることがないようなのでウッドと合流するために従魔師ギルドへと向かうことに。途中でゲイルとも合流してお互いの話を聞くことに。

 

「じゃあ、騎士団にも話は伝わっているんだな?」

「ああ。<UBM>のランク次第では王都の近衛騎士団長の【天騎士】殿にも応援に来てもらおうか考えているそうだ」

 

ゲイルの話では騎士団もすでにこの話は伝わっていて、《真偽判定》スキルも使って話の信憑性も確認済み。よって調査をした結果次第では王都の超級職に就いている近衛騎士団長ラングレイ・グランドリアが応援に来ることもあり得るとのこと。

 

「すべてはその<UBM>次第ということか・・・」

「そうなるな」

 

ちなみに、ゲイルは今は町での活動用に買った軽鎧のシリーズ装備だ。本人曰く町の中で全身鎧を装備すると休んでいる気がしないという。

 

「まぁ、この町には実力者がかなりいるようだし<UBM>が近くにいると分かれば<マスター>が討伐に動くだろう」

「そうだな。案外すぐ解決するかもな?」

 

今回の<UBM>に俺はかかわるつもりはない。前の戦いでは遭遇戦でのリベンジという側面があったからな。それに前の戦いで<UBM>の強さを多少は理解できた。

 

前よりは実力は上がっているが、それでも苦労することは目に見えている。何よりもかかわるならほかの<マスター>との討伐競争になるだろう。さすがに勝てる気がしない。

 

などと話し合っていると、従魔師ギルドに到着。早速中に入りウッドと合流したが、助けたティアンの人たちにも再会して改めてお礼を言われた。その後は助けてくれたお礼に食事をおごってもらうことに。

 

従魔師ギルドで指名依頼の報告を済ませたウッドから報酬をもらい、彼らの行きつけの酒場に向かい大いに楽しだった・・・

 

 

 

  ◇  【重厚騎士(ソリッド・ナイト)】ゲイル・アクアベレー

 

 

俺たちが野盗まがいの<マスター>を倒してからリアルで数日、デンドロ内では一週間と二日が過ぎていた。

 

その間に起ったことは、まず野盗まがいの<マスター>たちが言っていた<UBM>の存在が確認された。ランクは驚きの古代伝説級クラスであると予想され、名は【武血蠱人 ディセンブル】と言う魔蟲種の人間サイズらしい。

 

<UBM>では小型の分類になるらしく、最初は噂を聞き付けた腕に覚えのある<マスター>たちが強力な特典武具目当てに討伐に向かった。古代伝説級クラスなら特典武具の装備補正やスキルも強力になるという話だ。

 

結果は・・・・すべて返り討ち。その戦闘をティアンの冒険者たちが記憶していたので能力は判明している。

 

ティアンの人たちによれば古代伝説級以上だと戦闘スタイルが明確に分かれるらしく、その分類は純粋性能型、多重技巧型、条件特化型などに分けられているらしい。

 

そして今回の【武血蠱人 ディセンブル】は純粋性能型。特にHP、STR、EMDが高いタイプだと予想されている。

 

ほとんどの<マスター>がディセンブルにダメージを与えられずに拳によって粉砕されているのだ。少数の拮抗できる<マスター>たちも何度か攻撃を受けて倒されている。

 

それならばと遠距離攻撃主体の<マスター>たちが討伐に向かった。弓や銃に魔法攻撃主体の<マスター>たちが戦いを挑むがこれまた返り討ち。

 

どうもディセンブルは自身の血液を操作固体化するスキルを持っているらしく、投げ槍に固体化して投擲。さらには肩から針に固体化した物を発射したりして遠距離に対処した。

 

さらにどうもこの血液は毒でもあるらしく、針の攻撃に耐えても【毒】や【猛毒】の異常状態になって物理防御能力が脆弱な彼らでは耐えられなかった。

 

そんなわけで今もって討伐されずに生き残っている【武血蠱人 ディセンブル】 現在も<マスター>懲りずに挑戦中なのだが、倒す奴いるのかね?

 

ちなみにその挑戦した<マスター>の中に有名どころはいない。決闘ランカーであり、王者である”化猫屋敷”【猫神(ザ・リンクス)】トム・キャットはここしばらく姿を見かけていない。

 

決闘ランク二位の【大闘士】フィガロは日課である《墓標迷宮》へと探索へ出かけているらしく、いまだに帰ってきていない。

 

決闘ランク三位でありクランランキング二位の<バビロニア戦闘団>オーナーの【剣聖】フォルステラはホームである城塞都市クレーミルにクラン全員と一時帰還している。どうもクレーミル周辺にも<UBM>が現れてその対処をしているらしい。

 

他の決闘ランカーや討伐ランカーなども各々の諸事情でログインしていなかったり、別の用事でギデオンを離れていたりと間が悪い状態だったのだ。

 

知り合いの【騎士】によれば【武血蠱人 ディセンブル】が森から動かずにいてくれているから助かっているが、このままでいる保証はない。ギデオン伯爵も王都から【天騎士】殿に出向いてもらえるよう王都に連絡しようか迷っているらしい。

 

近衛騎士団長が王都を離れるのはいろいろな意味でまずい。もう一人の超級職【大賢者】が居るが、それでも躊躇してしまうものなのだそうだ。

 

ギデオン周辺の変化はこんなところかね? ちなみに俺たちは討伐にはノータッチだ。三人で話し合った結果、挑戦しても勝てないだろうと考えが一致したからだ。だからこそ俺たちは・・・

 

 

 

  ◇  【強弓騎兵(ヘビィ・ボウ・ライダー)】ウッド・アクアバレー

 

 

ギデオン周辺に<UBM>がいるという情報が<マスター>及びティアンの人たちに知れ渡ってから、ギデオンは正直に言って慌ただしい。

 

<マスター>の大半は特典武具欲しさに我先にと挑戦しては返り討ちになり、諦めずに挑戦し続ける者とさっさと見切りをつけて諦める者に分かれている。

 

ティアンたちも<UBM>を危険視して町を一時的にでも離れる者や有名どころの<マスター>たちが帰ってくればすぐに解決すると楽観視する者と意見が分かれている。

 

そんな中、僕たちはというとスキル習得のためにジョブクエストを受けたり、周辺モンスターの討伐でLv上げをしている。

 

僕たちは<UBM>には挑戦しなかった。理由は三人では敵うはずがないからだ。もうすでに一体の<UBM>を倒しているけど、あれはこちらの能力と相手の能力とがうまくかみ合ったから勝てただけ。

 

今回の相手は古代伝説級と高いランクだし、能力的にも僕たちが叶うとは思えない。三人の意見が一致して地力を上げるために鍛えているというわけだ。

 

それとは別に大半の<マスター>たちが<UBM>を討伐に向かっているので、少々ギデオン周辺のモンスターも活発になっている。

 

<UBM>を危険視して町を一時的にでも離れる人たちもいるため、襲われることも増えているらしい。<マスター>は護衛依頼に不向きだから、モンスター討伐で頑張ることにした。

 

そのおかげで僕たちは今のメインジョブがLv50を超えた。しかも習得条件のあるスキルも覚えることができた。

 

まず、クロス兄貴は《精神統一》、《魔力武装》、《スパイラルセイバー》、《アブゾーブ・アクティブティ》を習得した。

 

《精神統一》はパッシブスキルでMPとSPが20%アップし、魔法剣技スキル限定で消費MP10%軽減する。《魔力武装》はアクティブスキルで自身の体に魔力を纏い通常攻撃を魔法攻撃扱いにして、自身のダメージを10%軽減する。毎秒MP5消費するけど。

 

《スパイラルセイバー》は魔法剣技スキルで貫通力のある魔力刺突を放つ。最後の《アブゾーブ・アクティブティ》はパッシブスキルでMP自動回復量アップし、消費MP20%軽減。

 

ただ、《アブゾーブ・アクティブティ》は習得条件があって、その条件は《最大MPを3分の2消費した状態になり、アイテムを一切使わずに全回復する。これを一日一回三日間行う》である。アイテムを使えずに全回復はきついよね? スキルには記載がないからスキルで回復はOKなんだろうけど。

 

クロス兄貴には簡単な条件だよね? なんせ《サークル・トランスファー》があるし。あれはパーティーメンバーにMPを譲渡するスキルだけど、本人には効果がないとか本人にはできないなんて記載がないし。

 

そんなわけでクロス兄貴は《サークル・トランスファー》を使って簡単にスキルを習得した。

 

次にゲイル兄貴は《ダメージ減少》、《ダメージ軽減》、《カウンター・ウェポン》、《プリズンウォール・バースト》を習得。

 

最初に三つはパッシブスキルで《ダメージ減少》はダメージを一割減する効果が。《ダメージ軽減》は200ダメージを減算する。《カウンター・ウェポン》は攻撃を受けて20秒以内は自身の攻撃力に相手からのダメージをプラスする。このプラスするダメージはスキルで減算したダメージ分も計算するとか。

 

最後の《プリズンウォール・バースト》は【重厚騎士】の奥義と呼ばれるスキルだ。アクティブスキルでSTRとENDを30%アップし、相手から受けたダメージを相手に与える効果がある。効果時間は10分でクールタイムは30分。ただし、全身鎧に分類される防具を装備した時のみ発動可能。

 

奥義と呼ばれるスキルはデメリットがきつくない限りは習得条件があり、この《プリズンウォール・バースト》の習得条件は《全身鎧を装備した状態で亜竜クラスモンスターを5体以上ソロ討伐。その際、与えるダメージと受けるダメージが合計で三万突破》である。

 

ゲイル兄貴曰く、結構苦労したらしい。ソロ討伐は問題なかったらしいが与えるダメージと受けるダメージが合計で三万突破が大変だったと言っていた。

 

ゲイル兄貴はENDが高く現時点で2,000を軽く超えている。防具の防御力も高く最終的な防御力は相当なものだ。そんな高防御力の塊では受けるダメージも微々たるものであり、攻撃力は防御力ほどではないが高めだが、亜竜クラスに大ダメージを与えるほどの攻撃力ではないし、ダメージを与えるアクティブスキルも強力なものはない。

 

結果、5体ソロ討伐でいいのに10体以上も討伐することになったとか。ゲイル兄貴にとって攻撃力不足はこの先問題になりそうだね。

 

最後に僕が習得したスキルは《一矢動体》、《アクティブバランス》、《スカイ・アローレイン》、《ストライクアロー》の四つ。

 

最初の二つはパッシブスキルで、《一矢動体》は騎乗状態時に騎乗者のDEXが20%アップし、SPの自動回復量アップ。さらに騎獣のSTRとAGIが20%アップ。《アクティブバランス》は騎乗時に矢を放つ動作がしやすくなるセンススキル。

 

あとの二つは攻撃スキルで《スカイ・アローレイン》は天空に放った矢が雨のごとく降り注ぎ、100の固定ダメージを与えるスキル。《ストライクアロー》は矢の射程距離と命中力が上がり、敵との距離が離れているほど威力が上がる。

 

僕はまだ、習得条件のあるスキルを覚えてないけど、挑戦中だ。この調子で地力を上げていこうと考えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・・つまらんな)

 

森の奥にある比較的太い木に背中を預けているとある者は、ここ最近の状況を一言で表した。最近は自身を倒そうとやってくる者たちが多いのだが、どいつもこいつも物足りない。

 

大半の者は自身に傷一つ与えられないし、与えたとしてもかすり傷がやっと。こちらが攻撃すれば拳の一撃で倒れる。一撃を耐えた者でも瀕死状態だ。

 

何より戦ってきた者たちは個々の能力は高いと思えたのだが、どいつも単体で戦いを挑むのだ。

 

(なぜ、協力をしないのか・・・)

 

これまでに彼が戦ってきた者たちの中には、群れを率いて戦いを挑んだ者たちがいた。個々の能力は低くとも連携が見事で何度かひやりとした時があった。

 

しかし、ここ最近になって挑んでくる者たちは率直に言って連携のれの字も知らない者たちばかりだった。中には明らかに挑んでくる者たちを妨害する者が居たほどだ。

 

(場所を変えるか・・・)

 

あのような者たちが次もまた挑みに来るかもと考えたところで、彼はこの場所を離れることに決めた。ここはかなり居心地がよかったが、つまらん戦いを彼は望んでいない。

 

(次はどこに行くか・・・)

 

彼は別に目的があってここに居たわけではなく、単に居心地がいいから住み着いただけ。最近の状況が好ましくなければ移動するのに躊躇はない。最もAGIが高くないので移動速度はゆっくりだが・・・

 

かくして・・・【武血蟲人 ディセンブル】はゆっくりと確実に移動を開始した。このことがギデオンにとってどのような影響を与えるかはまだわからない・・・

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