三兄弟の系統樹   作:出来立て饅頭

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第二十七話 護衛依頼と再会×2

  ◇  【重厚騎士(ソリッド・ナイト)】ゲイル・アクアバレー

 

今日もデンドロでクエストを受けに冒険者ギルドへやってきた。今日はクロス兄貴とウッドも一緒である。スキル習得のためにソロで討伐をしていたりしたから、三人での活動は久しぶりかね?

 

なんてことを考えながら冒険者ギルドへ入ると、入り口近くなぜか居たギルドの受付嬢が声を掛けてきた。

 

「申し訳ありません。実は緊急の依頼があり、話だけでも聞いていただけませんか?」

 

特に予定は決めていなかったので話だけ伺うことに。話の内容はとある商人の護衛をしてくれないとかいう依頼だった。

 

護衛依頼ということで遠慮しようとか思ったが、そもそも<マスター>が護衛依頼に向いていないのは冒険者ギルドも把握しているはず。なのでより詳しい話の聞くことに。

 

まずこの依頼主はギデオンでもトップクラスの商人で商人系統上級職【豪商】にもなっているその道のプロ。今回の護衛はその依頼主の商隊をカルディナとアルター王国の間にある砦まで護衛するというもの。

 

商隊が運ぶ物はギデオン周辺で問題視されている【武血蟲人 ディセンブル】の騒動で、ギデオンを離れる資産家や富豪から買い取った美術品や装飾品だとか。なんでも離れるのに荷物を減らし、資金を増やす意味でも安くてもいいから売りに出した物ということだ。

 

アイテムボックスという便利な物があってもやはり、荷物という物は嵩張るものらしい。それに後で聞いた話だが、美術品や着飾るだけの装飾品などは保存や保護の観点から専用のアイテムボックスがあるが、結構お高いらしい。

 

話が逸れたが、カルディナまで行くという護衛ならティアンに依頼するところだが、片道だけの護衛であれば<マスター>でも問題ない。カルディナでの護衛は依頼主のカルディナ支店から別の<マスター>に依頼しているとのこと。

 

「依頼主はすでに知り合いの<マスター>に声を掛けたそうですが、その<マスター>から自分一人ではきついとの意見があり、冒険者ギルドに依頼をしたとのことです。残念ながらその<マスター>の交友関係は全員手が離せないらしくて・・・」

 

俺たちは受付嬢にいったん相談したいから時間をくれと言い、受付嬢は了承。彼女は受付に戻り、俺たちはギルドの中にある酒場のテーブルの椅子を確保して、相談する。

 

「どうする?」

「片道だけなら問題ないんじゃないかな?」

「そうだな。帰るだけならいったんログアウトしてギデオンのセーブポイントからスタートすればいいし、特に問題はないだろう」

「ああ、そうか。<マスター>ならその方法もあるのか」

 

反対意見も出ず、最終的に報酬を確認してから受けた。ちなみに報酬は一人30万リル。かなりおいしい依頼である。

 

「ほかにもこの依頼を受けた三人の<マスター>がおります。依頼主のお店は・・・」

 

受付嬢から依頼主のお店の場所を聞き、すぐさま向かうことに。場所はギデオンの商業区である四番街。そこの中央闘技場に近い高級店が並ぶところだった。

 

ただし、高級店と言っても品物は美術品だったり、戦闘に使うアクセサリーではなく完全に美しさ優先の装飾品などだ。俺達には縁がない場所だろうな。

 

「なんか場違い感がすごいな・・・」

「「言えてる」」

 

戦闘用の軽鎧や革鎧を装備した者たちが進むには、かなり浮くような場所だ。俺たちは気持ち早歩きで目的の店へと向かう。

 

目的の店は中央闘技場に一番近い場所にあり、かなり大きな店だった。そんな店の中央広場近くに竜車が三台も並んで店の従業員らしき者たちが、荷台部分の点検やアイテムボックスの確認をしている。そんな中に・・・

 

「早く出発しないかな~」

「まだ、依頼受ける人がいるかもしれないから我慢我慢」

「ど、どんな人たちが来るんでしょう?」

「「「ニャー」」」

 

まだ王都に居た頃、一緒に亜竜クラスモンスターを討伐したシルク、タタン、ガルドの三人が居た。彼らの腕の中には猫のようなモンスターがいる。

 

「三人とも久しぶりだな?」

「「「あ!」」」

 

クロス兄貴が声を掛けて、三人が気付くと俺たちは彼らのもとへと歩いていく。

 

「皆さん!お久しぶりです!」

「こ、こんにちは」

「久しぶりー!」

「「「ニャー?」」」

 

三人は元気よく挨拶してくれた。腕に抱かれている猫にそっくりな【ファングタイガー】の子供たちは首を傾げ、疑問符を浮かべているようだが。

 

「クロスさんたちもこのクエストを受けたんですね!」

「ああ。一緒のクエストは出会ったころ以来だな? よろしく頼む」

「「「こちらこそ」」」

 

三人はそろって頭を下げた。王都に居た頃はたまに話もしたが、三人と一緒に何かするのは出会ったころ以来だな。

 

「そういえば、もう一人<マスター>がいるって聞いたんだけど?」

「はい。居ますよ」

『クエスト受けた人来たガル?』

 

ウッドが訪ねると、シルク君が答えた直後に声が聞こえ、竜車の陰から見覚えのあるカンガルーのような着ぐるみが現れた。

 

「「「着ぐるみさん!え?知り合い?」」」

『おや?これは奇遇ガル』

 

 

 

 

  ◇  【強弓騎兵(ヘビィ・ボウ・ライダー)】ウッド・アクアバレー

 

 

シルク君にタタン君やガルド君と再会しただけでなく、着ぐるみさんとも再会するとは思わなかった。しかも、兄貴たちとも知り合いだったなんてね。

 

そこら辺の話をしたかったが、今回のクエストの商隊責任者がそろったのなら早く出発したいと言ったので俺たちは竜車の一つに乗り込む。

 

護衛なのに乗り込んでいいのかと思ったが、今回の旅ではスピード重視の地竜に荷台を引いてもらうため、護衛も荷台に乗ってもらいたいって言っていた。

 

モンスターの群れや巨大なモンスターに囲まれたり行く手を遮られたら、僕たちにお願いしたいんだって。まぁ、囲まれるのはともかく、通せんぼする奴ならどうにかなるでしょ。なんせ・・・

 

ドッコ~ン!

 

現在、護衛依頼の真っ最中なのだが、商隊の先頭を行くのは着ぐるみさんの<エンブリオ>。キャタピラで大地を進み、砲塔を敵に向け巨大な砲撃音を響かせて相手を爆散させている。戦車型の<エンブリオ>だ。

 

「あんな<エンブリオ>もあるんですね?」

「ま、タタンのゴーレムだって機械式なんだし戦車くらいあるだろう」

「そ、そうだね」

 

着ぐるみさんが最初に<エンブリオ>出したときはシルク君たちは目を丸くしていた。気持ちはわかるよ。露骨に兵器なものだからね~基本ファンタジーであろうデンドロでは違和感しかないね?ここがドライフ皇国だったら違和感なかったけど。

 

『俺の<エンブリオ>の【バルドル】は上級になって戦車になったガル。ほかの<マスター>も上級になると全然予想できない進化をすることはままあるガル』

「「「へぇ~」」」

 

着ぐるみさんの言葉に年少組三人は感心して声を出した。なお、護衛依頼中なので虎の子供たちはタタン君のジュエルの中だ。まだまだ戦闘力が低いと言っていた。

 

さらに、商隊の殿にはグリフにリオン、グランにスオウが走りながら周囲を警戒してくれている。いくら戦車があると言っても知能の高いモンスターなら隠れてやり過ごし、その後に襲うことも普通にやる。

 

「いや、しかし驚きましたよ?俺たち三人と知り合いだったとは」

『世間は意外と狭いガル』

 

クロス兄貴が着ぐるみさんに話しかけた。

 

『色々話したいと思うが、まずはお互いの自己紹介からガル。言い出しっぺの俺はシュウ・スターリング。メインジョブは【破壊者(デストロイヤー)】ガル』

「あ、そうですね。私はシルクです。メインジョブは【司教(ビショップ)】です」

「ぼ、僕はタタンって言います。い、いまのメインジョブは【高位付与術師(ハイ・エンチャンター)】です」

「俺はガルドだ!メインジョブは【大戦士(グレイト・ファイター)】だぜ!」

 

シルク君たちも強くなって上級職に就いたんだね。意外なのは着ぐるみさんが壊屋系統上級職の【破壊者】なことかな? 確か壊屋系統ってSTR特化でバランスの悪いジョブだったはず。

 

「俺はクロス・アクアバレー。今のメインジョブは【紋章剣士】だ」

「俺はゲイル・アクアバレー。メインジョブは【重厚騎士】だ」

「僕はウッド・アクアバレーです。メインにしているジョブは【強弓騎兵】です」

 

自己紹介が済んだので、まずはシルク君たちが近況を話してくれた。彼女たち三人は俺たちとクエストを受けた後は時間が空いた時に、ログインしてはLv上げと虎たちのお世話をしていたという。

 

従魔師ギルドでお世話のレクチャーを受け、他の子供モンスターと遊ばせたりと意外と楽しかったと笑いながら語ってくれた。

 

たまに初心者の狩場で戦わせてもいるとも言っていたが、まだ戦闘になれずに四苦八苦しているらしい。

 

ちなみに、ギデオンに来たのは上級職に就いたので次の装備をギデオンで買うために冒険者ギルドで実入りのいい配達の依頼を受けて、冒険者ギルドで依頼達成した後に今回の依頼を持ち掛けられたという。

 

「報酬がいいので、三人と相談して受けたんです」

「これの依頼を達成すれば、もっといい装備が買えるからな!」

「さ、最近はこの子たちのお世話にもお金を使っていましたし・・・」

 

三人はそう言うが、今三人が装備している物も結構いいものだと思うけどね?シルク君はシスター風の服なのは変わらないけど、青と白のバランスが美しい。

 

タタン君は魔術師風のローブと杖の先端に緑色の水晶がくっついているもの。ガルド君は黒と赤の装飾が目立つ軽鎧を。三人とも似合っている。

 

「そういえば、<エンブリオ>の形態はどのくらいだ?」

 

ゲイル兄貴は気になったのかそんな質問をした。三人の答えは・・・

 

「私たち全員第三形態です」

「スキルは教えられないけど、結構使いやすくなったんだぜ!」

「ガ、ガルドの<エンブリオ>はそうだね」

「僕たちも第三だよ?ちなみに着ぐるみさんは?上級の第四にはなっているようですが・・・」

『ふふふ。秘密ガル』

「「「えぇ~」」」

 

護衛依頼中ではあるが、僕たちは楽しく話し合っていた。

 

 

 

  ◇  【紋章剣士(ルーン・ソードマン)】クロス・アクアバレー

 

 

商隊がギデオンを出発して、目的地まで半分の地点で現在休憩中。速度重視の竜車とは言え一度くらいは休ませる必要があるらしい。

 

商隊の人たちは地竜たちに水や食事を与えていた。俺たちはもちろんその間に護衛をしている。むしろこういう時のほうが襲われることが多い。案の定、いくつかの群れが襲ってきた。

 

さすがに休憩中に戦車の砲撃音が響くと休めないだろうと、着ぐるみさんには最終防衛ラインとして商隊の近くに待機してもらって俺たちが対処することに。

 

「どらー!」

「ふん!」

 

俺はガルド君と組んで魔獣型の狼【グレイウルフ】を数体相手している。ガルド君の<エンブリオ>はレーヴァテインという名の片刃の大剣だ。以前は刃が熱を帯びていたが、今回はそれだけではなく刃が伸びていたのだ。

 

もっとも刃が長くなったというよりは、熱が不可視の刃となり大剣の間合いを伸ばしたといったところか。しかもガルド君はこのおそらくはスキルを効果的に使い、すべての攻撃時に使うのではなく間を開けて使用している。

 

これにより相手の【グレイウルフ】は混乱してガルド君に近づけないでいた。

 

「《フォースヒール》!」

「《アジリティブーステッド》!」

「GOGOGO」

 

シルク君とタタン君はタタン君の<エンブリオ>であるガードナーのタロスを援護しながら、戦っていた。タタン君のタロスは以前は武骨な機械式ゴーレムでシンプルな作りだったが、今の体はさらにロボット感が増している。

 

各部位に装甲が追加され、前のずんぐりむっくりな体から人間に近づいている。攻撃も以前はパンチだけであったが、今は蹴りも行っている。さらには・・・

 

「タロス!《アームマシンガン》!」

 

タタン君がスキルを宣言すると、タロスの敵に右腕を向けると腕から銃身が出てきて、連続の発砲音が響いた。このスキルを何度か使い、敵を倒していた。タロスは遠距離攻撃スキルを手に入れたようだ。

 

ウッドとゲイルはタッグで大きな【ロックゴーレム】と戦っている。こちらに関しては全く問題ない。相手の攻撃はゲイルが完全に防いでいるし、攻撃はウッドとグリフに二人の従魔たちが行っている。

 

やがて問題なくモンスターたちを倒し、念のため周辺を警戒していたが、次が現れる様子はなかった。警戒を解いて商隊の元へと戻る。

 

『お疲れ様ガル』

「着ぐるみさんも警戒お疲れ様です」

 

労をねぎらってくれた着ぐるみさんに俺はそう答えた。

 

『みんななかなか強いガル。これなら残りの道中も安心ガル』

「当然だぜ!」

「調子に乗らない!」

「そ、そうだよ・・・」

 

着ぐるみさんの言葉にガルド君は同調して、シルク君とタタン君がくぎを刺す。この三人は相変わらずだ。

 

『<エンブリオ>もシンプルながら強力ガル。そういえばみんなは【カテゴリー別性格診断】って知ってるガル?』

「「「なんですかそれ?」」」

 

調子に乗っているガルド君と口論になりそうなシルク君とタタン君は聞こえなかったようだが、俺たち三人は着ぐるみさんの言葉に答えていた。

 

商隊の休憩が終わり、出発するころにはシルク君たちも落ち着き改めて着ぐるみさんが言った【カテゴリー別性格診断】の言葉を聞いていた。

 

「聞いたことないな?」

「私も」

「こ、言葉から察するに血液型性格判断のようなものですか?」

『似たようなもんガル。デンドロが発売されて半年くらいから最近まで流行ってたガル。主にゲーム内で』

 

リアルのほうでは意味がないのかね?

 

『これは<エンブリオ>のTYPEで<マスター>の大雑把な性格がわかるんじゃないかって話から始まったものガル。第零形態が第一形態になるには、<マスター>の行動や人格その他もろもろを観察して生まれるからな』

 

ああ、なるほど。確かにそれならそういう話になったのも納得だ。

 

『最も上級以上だとほかのTYPEとのハイブリットなることが多いから、下級までのTYPEでの話ガル』

 

ん?それでいうと俺たち兄弟のTYPEはどうなんだ?

 

「じゃあ、TYPE:アームズはどんな性格なんだ?」

『アームズの<マスター>は勇気のある人、傷つくことを恐れないなんて人が多いガル』

「ふ、二人は確かにそんな性格だね」

「「そうかな?」」

 

興味を持ったガルド君が質問すると着ぐるみさんの答えにタタン君は納得していた。当の二人は疑問符を浮かべているようだが。というか、シルク君もアームズだったのか・・・

 

「では、ガードナーの人はどうですか?」

『ガードナーは臆病な人、傷つくことを恐れる人が多いガル』

「「合ってる」」

「ひ、否定できない・・・」

 

二人の言葉にタタン君は反論したいようだが、自分でも納得しているようだ。

 

「着ぐるみさん。俺たちの場合は最初からほかのTYPEとのハイブリットだったんですが、これってどう判断するんでしょう?」

 

ゲイルがそんな疑問を着ぐるみさんに投げかける。俺としても気になることだ。

 

『最初からほかのTYPEとのハイブリットはいないわけではないガル。割と珍しいことではあるが。ただ、その場合は断言はされていないな。おんなじTYPEのハイブリットでも用途や能力が違うなんてこともあるからな』

「そうなんですか・・・残念。僕も気になってたんですが」

 

ウッドも気になっていたようだな。

 

『ただ、個人的な意見を言わせてもらえば、最初の段階からハイブリットってことは一つのTYPEではその<マスター>には十分ではないとか、もしくは足りないと<エンブリオ>が判断したんだろうな。<エンブリオ>を嫌いになる<マスター>には俺は会ったことはないし、<マスター>は<エンブリオ>の能力を気に入ったり、納得するのがほとんどだ。そういうことから判断すると最初からハイブリットっていうのは、根拠があるんだろうな』

 

着ぐるみさんの個人見解を聞いて、ちょっと考えてみる。俺の場合はTYPE:テリトリー・アームズ。テリトリーの性格はわからんが、アームズだけの場合では足りない何かがあったってことなのか?

 

ゲイルの場合はTYPE:アームズ・ガードナー。この二つの性格は全くの真逆だ。しかし、二つの性格を聞いた俺からしたら、ゲイルがこのハイブリットになるのはすごく納得する(・・・・・・・) あいつもいろいろあったからな・・・

 

ウッドの場合はTYPE:チャリオッツ・ガードナー。チャリオッツの性格がわからんから何とも言えんが、ガードナーという部分には心当たりがある。

 

この際だ。テリトリーとチャリオッツの性格も聞いてみようと質問をしようとしたところで・・・・

 

ドッコ~ン!ドッコ~ン!ドッコ~ン!

 

今まで一発だけ響いた砲撃音が連続で鳴り響いた。




今回三兄弟の<エンブリオ>についての記述がありましたが、深く追求するのはしばらく後になります。
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