三兄弟の系統樹   作:出来立て饅頭

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明けましておめでとうございます。今年最初の更新です。


第四十一話 カンストまであと一歩

  ◇  【銃騎士(ガン・ナイト)】ゲイル・アクアバレー

 

 

【アレハンドロ商店】でガチャをしたリアルで二日後に三人そろって狩りに行くときに、全員がガチャをやって当たりを引いたと判明。なんということでしょう。

 

「こんなことあるんだね?」

「まぁ、無欲の勝利ってことだろうな」

「ああ~」

 

確かにそんなこともあるな。まぁ、とにかく全員が有用なアイテムを渡し合う。俺はウッドから【オリハルコン・バトルシールド】を。俺はクロス兄貴に【魔導の腕輪】を。クロス兄貴はウッドに【呪殺の心得】を。

 

もらった装備を俺以外は装備していた。まぁ、俺の場合はこれから上級職に就くために装備しないといけない盾があるからな。盾が増えるのは純粋にありがたいが。

 

三人の準備ができたので、今日の狩場である<クルエラ山岳地帯>のカルディナに近い国境付近へと移動することに。なんでもそこで純竜級モンスターである魔蟲の目撃情報があるらしく、冒険者ギルドで注意喚起が行われていた。

 

俺たちにとっては渡りに船なので、目撃情報があった場所でレベル上げを行うことにしたというわけだ。とりあえずはそこまではノンストップで向かうために俺はリオンに騎乗して、クロス兄貴は自前の足で、ウッドは当然グリフに騎乗。さっさと行くとしよう。

 

 

そして現在、たどり着いた国境付近をうろうろしているところだ。途中で出てくる亜竜級の敵を倒しながら、今も【亜竜甲蟲(デミドラグワーム)】2体と戦っている。

 

「GIEEAA!」

『《フィジカル・ダッシュ》!《シールドアタック》!』

 

突っ込んでくる【亜竜甲蟲】の攻撃を騎兵系統のスキルで躱す。《フィジカル・ダッシュ》は騎乗物にENDとAGIを固定値アップするスキルだ。さらに躱して相手と交差する瞬間に自身のENDの数値で攻撃力を計算するスキル《シールドアタック》をぶつける。

 

「GIEA!?」

 

その攻撃で【亜竜甲蟲】はバランスを崩し地面に転がる。その隙をリオンは逃さずに光魔法で追撃する。光の矢と槍が突き刺さる中、上空から急降下して【亜竜甲蟲】の頭に前足を叩き込んだ。もちろんやったのはウッドが騎乗しているグリフだ。

 

「グルー!」

 

攻撃した頭が爆散して、【宝櫃】が転がる大地にて勝鬨の咆哮を上げるグリフはなかなかにかっこいい。もう一体はクロス兄貴とグランとスオウが相手をしている

 

「GIEA!?」

 

ちょうど視線を向けると、グランのゴーレム創造で創ったゴーレムと【亜竜甲蟲】が激突しているところだ。戦況はゴーレムの方が不利だな。まぁ、グランのゴーレム創造は覚えたてだしスキルレベルは低いからな。徐々に後退させられてるが、一撃で粉砕されないだけで十分だ。

 

「灼熱の槍よ! 穿て! 《ヒート・ランス》!」

 

【亜竜甲蟲】の後ろに回り込んだクロス兄貴が《詠唱》で底上げした火属性魔法を相手に放つ。いくつのもパッシブスキルと装備スキルで底上げされた魔法は相手の甲殻を溶かして肉体にダメージを与えた。

 

「GIEAAA!?!?」

 

自慢の甲殻を溶かされてダメージを負い【亜竜甲蟲】は混乱しているようだ。さらにそこへ追い打ちとして気配を消していたスオウが亜音速で急接近。傷口を爪でえぐる。そのまま離れたがえぐい攻撃するな~

 

「!?!?」

 

もはや鳴き声を上げることもできない激痛に【亜竜甲蟲】は硬直する。その隙を逃すことなくゴーレムはというかグランは反撃に出た。

 

「UON!」

 

グランが吠えるとゴーレムは【亜竜甲蟲】を地面に叩きつけ、傷口に拳を叩きつけた。その一撃が致命傷となり光の粒子になった後に【宝櫃】が転がる。

 

 

 

  ◇  【火術師(ファイヤーメイジ)】クロス・アクアバレー

 

 

【亜竜甲蟲】2体を倒した後に休憩として近くの岩陰で食事と水分補給をしている。デンドロはリアルだから飲まず食わずで過ごすと【飢餓】や【脱水】なんていう状態異常になるからな~休憩は大事だ。

 

「【宝櫃】や他のドロップ品もだいぶたまったな」

「亜竜級と戦うと僕とクロス兄貴は転職条件達成するのは難しいけどね」

『俺はそんなことはないから、条件達成まであと少しだな』

 

俺とウッドは特定攻撃でのモンスターを倒すのが達成条件だからな。亜竜級だと狙うことは難しいからな。反面、ゲイルは装備条件をクリアした盾で攻撃を受けるだけだから問題なくできる。

 

『今のジョブがカンストする前には条件達成できそうだ』

「俺たちはまぁ、ギデオン周辺のモンスターを倒せば問題なくクリアできるから焦る必要はないしな」

「だね」

 

わざわざ亜竜級のモンスターを倒す必要はないだろう。そういう指定があるわけでもないのだし。さて、自分たちの分とリオンたちの食事も終わったようだし狩りの再開としようか。

 

「続きと行こうか?」

「了解」

『今日で今就いているジョブはカンストまで行きたいところだ』

 

ゲイルの言葉にうなずきながら、俺たちは戦闘準備をして再度モンスターを探しに出発した。

 

そうして狩りを再開しようと移動しているのだが、モンスターに全く出会わない。それどころか不自然なくらいに静かだ。何か嫌な予感がするな・・・

 

「二人とも察知スキルに何か反応はあるか?」

『俺の方にはないな』

「僕もないよ。スオウの方も反応してないようだね」

 

二人のスキルにも反応なし。だが、二人ともいつでも動けるように構えている。二人の察知スキルはそれほどスキルレベルが高くはないからな。完全に信用するのは危険だと本人たちがよくわかっている。スオウも覚えた手でまだスキルレベルは低いしな。

 

慎重に警戒をしながら進んでゆく。しばらく進むと地面が揺れだした。しかも徐々に大きくなってゆく!揺れに対処していると目の前の地面が盛り上がり、そこから出てきたのは・・・

 

「SYA!!」

 

鋏の腕を左右に2本ずつ持ち体が大きく盛り上がっているサソリのようなモンスターだ。ご丁寧に尻尾も長く先は棘付き鉄球のようだ。

 

頭上に名称が出た。【クワトロ・シザーアームズ・スコーピオン】と。

 

「ふむ・・・純竜級か?」

「多分そうだね」

『なかなか強そうだな・・・』

 

出てきたモンスターにも慌てることなく俺たちは立ち位置を変える。上空から見ると三角形になるように前にゲイルが陣取り、左右の二歩下がったところに俺とウッドとグリフがいる形だ。

 

なお、純竜級ということでゲイルはリオンから降りている。グランと一緒に俺たちの後方で援護してもらうためだ。スオウは上空で旋回中。隙があれば急降下して攻撃するだろう。

 

『それとさっきから《危険察知》のスキルが反応しない。目の前の奴はそういうスキルを無効化する類の奴を持ってるな』

「こっちも反応なしだよ。地面に潜ったら厄介だね」

「実力よりもそっちが厄介だな・・・」

 

目の前の奴を逃がすと見つけるのが絶望的だな。などと考えてると、目の前のサソリが意外な速さでこちらに接近してきた。

 

『《ガード・ウォール》! 《ガード・オーラ》!』

 

早いが亜音速には達していないので、ゲイルは余裕をもって防御力とENDを上げるスキルを使用。それに対してサソリは構うことなく鋏でゲイルを攻撃する。四連続で。

 

「「『何!?』」」

 

移動速度は大したことがなく攻撃も同じくらいだろうと考えていたが、鋏の攻撃は移動速度とは比べると段違いの速さでゲイルに襲い掛かる。

 

『く!?』

 

ゲイルは最初の一撃は盾で受け止めたが、続く攻撃を無防備なところにヒットして吹き飛ばされた。そのままサソリは尻尾で追撃を放とうとするが・・・

 

「BURU!」

「《ファイヤーボール》!」

 

それを阻止するためにリオンが光の矢を放ち、俺もスピード重視で下級火属性魔法を4つほど放った。それはサソリの鋏と頭に当たり軽い爆発を起こし、リオンの光の矢も体に当たったのだが・・・

 

「ほとんど効いてないな!」

 

多少甲殻は白熱化しているがそれだけだ。リオンの光の矢も刺さっていない。それでも攻撃を中断するくらいにはなったので目的は達成しているが。

 

「《スパイラルアロー》!」

「グルー!」

 

さらにウッドとグリフが追撃を放つ。ウッドは貫通力が強化されるアクティブスキルを選択し、グリフは《ウィンドブレス》を放った。

 

スキルで強化された矢は相手の甲殻を貫通して突き刺さるが、甲殻を貫通しただけで深くは刺さらなかった。だが、次の攻撃である《ウィンドブレス》が相手に当たると同時に矢を押して深く突き刺したのだ!

 

「SYA!?」

 

自身の甲殻を貫かれ体に達した痛みにサソリは驚いているようだ。吹き飛ばされたゲイルも何とか体勢を立て直したので、ここからが反撃開始だな!

 

 

 

  ◇  【弓狩人(ボウ・ハンター)】ウッド・アクアバレー

 

 

僕の放った矢をグリフの《ウィンドブレス》が押して相手に大ダメージを与えるというちょっと予想外なことが起こったけど、こちらにとってはうれしい結果だ。

 

ゲイル兄貴も体勢を立て直して相手の甲殻の頑丈さを考えて《瞬間装備》で武器の銃をしまい、代わりにメイスを取り出した。

 

相手の防御力を見て、メイスの方がいいと判断したみたいだ。今持っている銃は性能が弱いし剣でも相性は悪そうだしね。

 

そんな中、サソリは喰らったダメージに怒りをあらわにしゲイル兄貴へと突貫していった。その勢いのまま尻尾を身体ごと回転して兄貴に叩きつけようとするが・・・

 

『《ヘビィアンカー》! 《シールドガード》!』

 

自身に衝撃や吹き飛ばしに耐性を付与するスキルと盾で受け止めた攻撃のダメージを軽減するアクティブスキルを使い、自身と同等の大きさの棘付き鉄球を受け止めた。

 

「!?!?」

 

自慢の尻尾の攻撃を受け止められてサソリは驚愕しているようだけど、そんな暇あるのかな?

 

「灼熱よ! 弾けよ!《フレイムボム》!」

 

まずはクルス兄貴が相手の顔に中規模の爆発を発生させるアクティブスキルを使用。ダメージはあんまり与えられないだろうが、視覚を短時間ではあるが封じることができた。

 

「UON!」

 

続いてグランがサソリの周りに大きな土でできた腕を四本出現させ相手を物理的に拘束する土魔法《グランドホールダー》を発動して、サソリの四つの腕を拘束した。

 

「SYA!」

 

爆煙が晴れたサソリは力任せに拘束を解こうとして徐々に拘束している腕に亀裂が生まれ始める。だからそんな時間はないよ。

 

「《オーバー・マジック》! 《ファイヤースロー》!」

 

サソリの正面に回ったクロス兄貴が前面に展開した魔法陣から火炎放射を浴びせる火属性魔法を発動した。ゲイル兄貴はすでに退避しているし、問題なく火炎放射は敵だけを炙る。

 

しかも、《オーバー・マジック》で威力を高めたスキルだ。相手の自慢の甲殻はすぐに白熱化し、いつ溶けてもおかしくない状況だ。その前に土でできている腕が溶岩化しサソリの四本腕を溶かしているが。

 

「SYA!?!?」

 

突如として腕を失い、激痛に叫ぶサソリ。この瞬間サソリに勝ち目はなくなった・・・

 

 

【クワトロ・シザーアームズ・スコーピオン】を倒していくつかのドロップアイテムを手に入れた。その中に【救命のブローチ】という有用なアイテムがあって、僕とクロス兄貴はゲイル兄貴に譲っているところだ。

 

『いいのか?』

「だってゲイル兄貴が一番ダメージ受けるしね?」

「この中で一番デスペナになりやすいのはゲイルだしな。それならお前が持つべきだ」

『じゃあ、ありがたくもらっとく』

 

ゲイル兄貴はそう言ってアイテムボックスにしまった。今ゲイル兄貴はアクセサリーの装備欄埋まってるからね。どれを外すか後で検討するのかな?

 

その後も僕たちは探索と戦闘を続けて、今のメインジョブをカンストしてゲイル兄貴は【大盾騎士】の条件をクリアした。ギデオンに帰る道中で群れで襲ってくるゴブリンやウルフ系のモンスターがいたおかげで僕とクロス兄貴も転職条件をクリアした。

 

ギデオンに就いた僕たちはさっそくそれぞれをジョブに就きログアウト。ログアウト後は三人で相談して予定通り、王都の《墓標迷宮》でお金稼ぎに行くことに。楽しみだ。




これで三兄弟もカンストまであとわずかです。それとあと何話かでアルター王国編は終わりです。次はドライフ皇国編となりますのでお楽しみに。
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