◇ 【
俺たちはドライフのバルバロス領を出立し、ドライフ皇都ヴァンデルヘイムを目指していた。バルバロス領で出会った新たな仲間である真宮寺アキラも一緒に。
アキラはカルチェラタン領で一緒に<UBM>を倒したアーク・ランブルの友人でもあったので一緒に行くこととなった。
現在はリオンに馬車を牽いてもらい、その馬車に仲間が全員乗っている状態だ。
「いや~馬車の旅ってのも風情があるな」
「乗るのはやっぱり始めてか?」
「まぁ、<エンブリオ>がチャリオッツだからな。 他の乗り物に乗る機会なんてないんだよ」
俺は馬車を操縦しながら他愛無い会話をして、街道を進む。
なお、アキラは<エンブリオ>がチャリオッツで戦闘力のあるロボットだから操縦士系統上級職【高位操縦士】に就いている。下級職は【操縦士】 【整備士】と残り二つちょっと風変わりなものに就いている。
それが兵士系統下級職【
兵士系統は様々な変わり種スキルを一つ持っているジョブだ。基本職の【兵士】もステータスはHPにMPとSPは高めだが、他のステータスはDEX以外は下級職の平均を下回っている。
そんな【兵士】が持つスキルは《耐久効率》ただ一つ。装備品の耐久値を上げて、《破壊耐性》スキル効果を底上げするだけのスキルだ。雑兵である【兵士】は長く戦うのが仕事と言わんばかりのスキルだ。
その派生職である【機械兵士】はMPとSPが高めでDEX以外は平均以下。スキルは《機械適正》と言う物で機械アイテム装備の能力と効果を底上げするだけだ。
「なんでその二つに就いたんだ?」
「これらのジョブに就いて、操縦士系統をメインに経験を積むと複合職業である【
詳しく話を聞くともともと【操縦士】と言うのは戦闘メインのジョブではないと言うのだ。《操縦》スキルは馬車なども操れるし、そっち方面を専門としたジョブも存在するとか。
もっとも操縦士系統上級職には【装甲操縦士】や【疾風操縦士】などタイプの違う戦闘に特化したものもある。ただ、アキラの【オーパーツ】にとってはどちらもいまいちだとか。
【装甲操縦士】はEND型特化で【疾風操縦士】はAGI特化型。変形でどちらのタイプにもなれる【オーパーツ】ではこれからの進化に影響してしまう。
その為いろいろなジョブを情報を集めていたアキラはティアンから【兵士】と【機械兵士】に就いた先にある複合系上級職【戦闘操兵】のことを教えてもらった。
この【戦闘操兵】は戦闘特化であり、乗っている特殊装備品の性能と装備スキルを含めて強化するスキル《
「だから、この二つに就いてその上級職を目指してるってわけだ」
「なるほどな」
「今はロストしてるらしい超級職もあるらしいから、それの情報も探す予定だ」
なお、【機械兵士】の上級職は【
「そっちも超級職は目指してるんだろう?」
「就きたいが難しいだろうな。特に俺は」
騎士系統は【天騎士】くらいしか情報がなく、その【天騎士】にしてもアルター王国の要職だから条件を探すのは難しい。国として秘匿もしてるだろうし、現在はティアンが就いてるからな。
俺の上級職の【重厚騎士】と【大盾騎士】は超級職があるのかさえ不明だ。と言うかアルター王国は騎士の国なのに騎士系統超級職の情報が少ないんだよな? 以前に就いていたティアンが居た【聖焔騎】はアルター王国由来じゃないらしいし。
クロス兄貴やウッドのジョブは俺のように国特有のジョブではないので探しやすいが、それとて難しいだろうしな。
「お?」
「着いたぜ。あれがドライフ皇国皇都ヴァンデルヘイムだ」
などと考え込んでいると目の前に白煙が立ち込める大きな町が見えてきた。
◇ 【
僕たちはドライフ皇国の郊外に向かっている。アキラ曰く僕たちの目的地である<叡智の三角>の本拠地はその活動内容と人数の多さに加え、必要な敷地も多いため郊外に本拠地を作ったんだって。
そして現在、その場所に着いた僕たちは馬車をしまい案内役のティアンの女性の後に続いている。そんな僕たちが進むのは見せても問題ない区画らしく・・・
「おい、そのグレラン火薬詰めすぎじゃあないか?」
「これでいいんすよ。砲身も専用にするんで」
「・・・予算オーバーじゃねえか?」
「・・・あ」
何やら大きな大砲の周りで作業している者や・・・
「んん~関節部のバランスをもう少し何とかしたいっすね?」
「それは防御的な意味で? それと動き的な意味で?」
「動き的な意味で。まずはスムーズな動きを目指したいっす」
「馬鹿言え。まずは防御的な意味でだろうが。関節部はマジンギアの弱点の一つだぞ?」
「そっちこそわかってないっす。スムーズな動きができるようになれば運動性能が向上して、攻撃回避につながります」
「あん?」
「なんすっか?」
「にらみ合ってないで作業しろや」
話し合っていたのにいきなりにらみ合う二人に周りがやれやれまたかって感じで苦言するところや・・・
「この新型のコンセプトはなんだ?」
「格闘戦特化。目指すはGガン〇ム」
「何言ってやがる。格闘戦ならボ〇ムズだろうが。アームバンカーを造るんだよ」
「あんな動く棺桶に格闘戦なんかできん」
「そっちこそ達人の動きをトレースなんて無理に決まってんだろう」
「「・・・やるか!?」」
「・・・話まとまってから造ろうな」
何やらガ〇ダム派とボト〇ズ派がけんかしてるような会話が聞こえた。気のせいかな? そんなことをティアンの女性は特にリアクションなく進み続けてる。これがここの日常なのかな?
そうやってクラン内を進むとドアの前で女性は立ち止った。掲げているプレートには会議室と書かれている。
「現在、アークさんはお友達の皆様と何人かのクランメンバーとこちらに居ます」
「そうですか。案内ありがとうございます」
そう言ってクロス兄貴と俺たちは頭を下げる。
「いえいえ、これも仕事の一つです。それと忠告としてあまり驚かないで上げてくださいね?」
「「「はい?」」」
何やら変なアドバイスと言うか忠告を残して女性は去っていった。アキラを見ると何やら苦笑してるし。
「まぁ、入ればわかる。多分俺の想像通りの事が起こってるしな」
「「「はぁ?」」」
よくわからないけど、とりあえずアキラが扉を開けて入るとそこで行われていたのは・・・
「だーかーらー! この特典武具でマジンギア造るのなら、END型でミサイルを積んだ遠距離援護タイプだって!」
「まだミサイルは実用化されていない! そんな半端なもの積んだらすぐ自爆するぞ!!」
「なにを!?」
「それよりもこの特典武具の元となった<UBM>は指揮官タイプだ。ならばそれ用にレーダー機能特化の支援タイプがいい」
「それこそ無理だろう! そもそもそんな用途はスキルで事足りるじゃん!!」
「なんだと?」
「わかってないな? そんなコンセプトよりもスナイパーライフルでの遠距離特化が現実的だ」
「「「マジンギア用のスナイパーライフルはまだ実験段階だろうが!!!」」」
入った会議室では、ホワイトボードが乱立しその中にいろいろな設計図が殴り書きされていた。そして、技術者たちが自らの案を勧めようと鎬を削っている。
そんな会議室の奥ではアークさんが苦笑している。何このカオス?
「あ~予想の三割増しにひどい状況だな」
アキラもこの状況は予想していたようだが、予想よりもひどかったらしく乾いた笑みを浮かべている。
「どういう状況?」
「これがこのクランの日常の三割増しな状況だよ。いつも己のポリシーや趣味のぶつかり合いだから」
何ともコメントの困る答えだ。そんな僕たちに・・・・
『まぁ、否定はできないね~特典武具でマジンギア造るのはうちでも初だしね?』
「あ、オーナーも来たんですね?」
『趣味で造った物がなかなか進まなくてね? 様子見と進展状況を見に来たのさ』
後ろから声がして、アキラがすぐに答えた。オーナーってことは<叡智の三角>のクランオーナーかな? 挨拶しようと後ろを振り返ると・・・
『君たちがアーク君と<UBM>を倒したマスターかい? 私からもお礼を言うよ。おかげで貴重なデータが取れるしね』
「「「・・・」」」
『ん? どうしたんだい?』
いや、だっていきなりまじかにペンギンの着ぐるみ来た人が居れば驚くでしょう?
「なんで着ぐるみ?」
『趣味だね! 好きで着てるんで気にしないでくれたまえ!』
ゲイル兄貴がなんとか質問をひねり出したらそんな答えが返ってきた。それを聞いて僕たち兄弟は「着ぐるみさんの同類か」と納得。・・・なんか「そいつと同列視はいやガル!!!」って幻聴が聞こえた。
『ともかく自己紹介だね? 私がクラン<叡智の三角>のオーナにしてロボット作りの発起人Mr.フランクリンだよ。以後よろしく』
◇ 【
とりあえずオーナーさんの自己紹介の後に俺たちも改めてあいさつをした。さらにその後に・・・
「私はAR・I・CA オーナーの親友にして<叡智の三角>のエースさ! よろしくね!」
赤髪の中に白銀のメッシュが一部入っている女性。来ている服はなかなか派手なビキニのようなインナーにフライトジャケットで下半身はホットパンツ。出るとこは出てくびれてる。
そんな女性・・・AR・I・CAさんは僕たちを見渡し、満面の笑みを浮かべる。
「う~ん三人ともイケメンだね! あとでアタシとベットでいいことしない?」
「「「お断りします」」」
「即答!?」
「相変わらずのようで・・・・」
何やら大人のお誘いを受けたが、俺たちはこのゲームではそう言うことはしないと決めている。その横でアキラはため息をついた。
『アッハッハッハ! 最速で断られたねAR・I・CA』
「ぶぅぶぅ~」
何やらかわいい感じでふてくされてるAR・I・CAさん。それを大笑いするオーナーさん。そんな感じで挨拶しているとアークさんがこちらに気付いて近づいた。
「皆さんお久しぶりです。まさかアキラと一緒とは思いませんでしたよ」
「たまたま出会ってな? 助けてもらったしその後も一緒にパーティを組んだんだ」
久しぶりの再会に挨拶を交わすアキラとアークさん。俺らも挨拶を交わす。
「フランクリンさんもこんにちは。作業はひと段落したんですか?」
『気分転換と様子を見に来たんだよ。相変わらず進んでいないようだね~』
「あっはっは・・・」
オーナーとも挨拶を交わしているが、言葉に対して乾いた笑みしか出ないアークさん。その間にも後ろの技術者たちの話はヒートアップしている。
『とは言えさすがにこのままだと国の依頼に影響するねぇ~仕方ないかね?』
と言って、オーナーは話し合いの近くまで行き・・・・
『ハイハイハイ! いったんストップ!! このままじゃあらちが明かないよ?』
「あ、オーナー」
「今日は着ぐるみ着てるんですね?」
技術者たちはヒートアップしていた話し合いをオーナーの登場と言葉で一旦やめる。
『色々造りたいのはわかったけど、今回の依頼はアーク君のご厚意で任せてもらうんだよ? もともとの<UBM>の能力も考えて造る必要はあるし、何より依頼主の意見を聞かないのもどうかねぇ?』
「「「・・・あ」」」
『わかったのならまずはアーク君の意見を聴いた上で、データ取りながら造るようにね? 特典武具でマジンギア造る機会なんてうちじゃあ初の試みだからねぇ。私も特典武具素材は持ってるけど私にアジャストしたんじゃモンスター製造特化だしね』
「まぁ、そうっすね」
「手伝いに行った奴がごくたまに特典もらうけど、ほとんど追加パーツか武器だしなぁ~」
へぇ~オーナーも特典武具素材持ってるのか? モンスター製造特化っていうしそう言う<エンブリオ>もちなのか?
『理解したのなら始めなよ? また暴走しないように私も話は聞いてるからねぇ』
「「「了解~」」」
そう言うわけでアークさんの意見を聴くこととなった。俺たちももともとの<UBM>の討伐経験から話を聞かれることに。
「では、<UBM>についてまとめると本体の戦闘力は純竜クラスよりちょい上くらいでリザードマン系のモンスターの従属と指揮能力特化って感じでOK?」
「はい。合ってます」
「ふむ・・・それでアークさんにアジャストしたのなら、スキル的にはパーティ枠拡張とか従属キャパシティー倍加かね?」
「それか、<エンブリオ>能力も考えて個体のパーティ編成可能とか? あるいは従属キャパシティーがあってその数字ないで仲間連れてけるとか?」
「後者の方がありそうだな? どちらにしろそう言う系のスキルがありそうだからそれらを踏まえて、アークはどんなマジンギアを造ってほしいんだ?」
特典武具の能力に当たりをつけた技術者たちが今度はアークさんにマジンギアのコンセプトについてリクエストがあるのか尋ねた。
「そうですね・・・END型で盾持ち、さらにコックピット周りはドライバーの生存重視で」
「ドライバーの生存重視ってなんでだ?」
「これまでの僕の戦闘スタイルだと、僕と言う最大の弱点が無防備なので。この際のマジンギアに乗れるようにしてもらってドライバーの生存や負荷に対して考えるだけの対策を乗っけてもらおうかと」
「それならEND型で盾持ちってのにする理由は?」
「僕が乗っても操縦するわけではないのでAGI型にする意味は薄いからですね。それにもともとの<UBM>もEND型だったので」
アークさんの意見をホワイトボードに書きこんで、技術者たちはとりあえずの方向性を確認する。
「よし。方向性としてはアークさんの意見をコンセプトにEND型で盾持ちにする」
「盾はいいけど武器は?」
「特典武具素材を見たが、バトルナイフなら造れそうだ。あとは標準装備のハンドキャノンでいいだろう」
「ドライバーの生存重視の件は?」
「安全第一に考えてるやつらがいたよな? そいつらに手伝わせるか」
さすがに話の方向性が示されたら行動は速かった。そのままアークさんの意見を取り入れて造り出すマジンギアの方向性を決めてゆく。
最終的にマジンギアはEND型で大盾持ちのドライバー生存重視の機体で落ち着いた。どんなのができるのかねぇ?
原作キャラは主人公のライバルでおなじみMr.フランクリンにその親友にしてユーゴ―の押しかけ師匠AR・I・CAです。
今回はフランクリンは着ぐるみで登場させましたが、理由としては着ぐるみ枠なのに原作ではその設定が息してないからですw