◇ 【
事態が動いたのは採掘班が見つけた新しい遺跡の扉を開けた直後だった。突如として俺とゲイルの後ろ後方に巨大なコンテナと思しき物体が二個出現して・・・
『GIYAAAAAA!!??』
『VAMOOOOO!!??』
そのコンテナを派手にぶち壊して現れたのは機械部品を身体に組み込まれた地竜種二体だった。一体はちょっと前に相手した【大衝角亜竜】に似ている。もっとも角は巨大ドリルに変わり両足も完全に機械化しているが。
もう一体は先ほど相手にした【グラトニー・ファング・ドラゴン】に似ている。もっとも両腕は手ではなく砲塔に変わり、背中に大きな大砲クラスの砲塔を二門積んでるが。
前者は【螺旋機竜 スパイドロン】と後者は【剛爆機竜 カノンボルス】とネームが頭上に出た。
「<UBM>!?」
「しかも機械とモンスターの融合だと!?」
「マジか!? かっこいい!!」
「スクショ撮れ!! 今後の研究に役立つ!」
出てきたモンスターの姿かたちにロボットオタクと言っても喜ぶ採掘班は嬉々としてスクショを撮りだした。なお、スクショを撮るためのアイテムがあるが、彼らはそれを何個も常備している。
『そんなことしてる場合か! すぐに逃げろ!!』
「いやだ! 可能な限りスクショを撮るぞ!」
「「「当然!!」」」
『死んだらランダムドロップでスクショデータの入ったアイテムをロストするかもよ?』
「「「「「任せた!!」」」」」
ゲイルが慌ててスクショを撮っているメンバーに逃げろと言うが聞くわけはない。ストレートに言っても聞くわけがないから、彼らが逃げたくなることを俺が言うことに。
すると効果は抜群でメンバーの一人の装甲車のような<エンブリオ>に全員が乗り込もうとする。
すると二体の<UBM>は【螺旋機竜】は両足の機械を稼働しているのか電気を放電しながら、こちらへと突っ込んで来た。
【剛爆機竜】は尻尾が伸びて地面に刺さり、背中の砲塔が稼働し砲口が赤熱しだした。
『俺は【螺旋機竜】を相手にする。遠距離攻撃は自信が無い!』
『わかった! 俺が【剛爆機竜】を相手にする!』
事態が動いたことで俺とゲイルは簡単にどちらを相手するのかを言い、ゲイルは【螺旋機竜】へと向かう。
『まずは小手調べだな!』
俺は初っ端に唯一の攻撃スキルを使用するのはやめた方がいいと判断し、近くにあった大岩を持ち上げる。
『おらよっと!!』
それを【オーパーツ】のステータスと俺のスキルの強化で放り投げた。さすがにこれでダメージを与えられるとは思わんが、それでも相手がどう対処するかを見れる。
頭上から迫る大岩に対して、【剛爆機竜】は背中の砲塔を大岩に向けて・・・
ドッコォォオン!!!!
大きな爆音とともに赤熱した砲弾を発射。数秒ほど空を進み大岩に着弾すると・・・
ボッカアァン!!!
大きな爆発音とともに大岩は熱量に溶けてしまい、辺りに溶岩化した大岩の慣れの果てが飛び散った。
『マジかよ・・・』
こいつやかなりやばいなとその惨状を見て俺は戦慄した・・・・
??? とある機械化モンスターのコンセプト
【工学王】ゾルデット・オルゲンが機械化モンスターを造る上で一番実験に使用したのは地竜種のモンスターだった。
特に理由があるわけではない。ただたんに最も流通し、数が多かったのが地竜種のモンスターだったからだ。その為、実験材料は多く集まりもっともデータが多くもっとも機械化されたモンスターになってしまったが。
その地竜種の一体である【グラトニー・ファング・ドラゴン】に注目した。ゾルデットはまずはこのモンスターの決定力不足を補うことにした。
【グラトニー・ファング・ドラゴン】は高いステータスと食料を食べてそのリソースを溜め込み、ダメージを受けたら回復すると言うスキルを有していた。
その為、【従魔師】の間では優秀なタンク役として重宝した。いや、言い方を間違えた。タンク役しかできなかったのだ。
スタータスは高いと言っても他の地竜種にはもっと高い別の地竜もいるし、何より攻撃役としてはステータス面もスキル面も攻撃手段としても決定力不足だった。
しかも、回復スキルである《ストマック・ヒルディング》も十分な食料がないと機能しないため、懐に余裕がある一部の【従魔師】や資金力がある【商人】の間で人気なモンスターだ。
それも、【グラトニー・ファング・ドラゴン】よりも高いステータスと安い食料で手元における地竜種が発見されると途端に見向きもされなくなったが。
だからこそ、ゾルデットにとっては都合がよかった。だれも見向きもされなくなったことで自分が大量購入しても研究のためと本当のことを言えるし、人気がなくなったことで取り合う者もいない。
何よりも自分ならこの地竜の欠点を解決することが出来るのではないかと考えた。
まずゾルデットはこの地竜が持つ回復スキルが必要かどうかを検討した。その結果は必要なし。この地竜のスタータスで最も高いのはHPにSTRとEND。
防御力が高くHPももともと高いので下地がすでに死ににくいタイプ。コストが高い回復スキルは不要と判断した。
ゆえに、ゾルデットはこのスキルを変質させ攻撃に利用しようと考えた。溜め込んだリソースをHPにではなくSPやMPなどの攻撃用エネルギーに転嫁し、それらを利用できる機械と攻撃用のパーツを造ればいいと。
そのコンセプトをもとにとある研究施設で誕生したのが機械化モンスタープロトタイプ三号である。
回復スキルをエネルギー生産スキル《マジックタンク・リチャージャー》へと機械部品を組み込むことで変質。さらにそのエネルギーを効率よく攻撃に転用するために専用砲塔【二連装魔導砲塔】をフラグマンの技術を参考に作成。
それらを試行錯誤を重ねてようやく完成した。失敗作として。
スキルや機械化部品に欠陥はない。問題点はいかにしてリソースを溜め込むかと言うこと。機械部品を大半組み込んだせいで食料を食べる必要がなくなってしまい、リソースを摂取することが出来なくなってしまった。
その問題を解決する武装も取り付けてはいるが、起動実験する前に研究施設を破棄する羽目になり、この機械化モンスターの完成を目にすることなくゾルデットはこの世を去った。
その組み込んだ武装も問題なく稼働することを知らないまま。
◇ 【
大岩の飛散した溶岩化した物が完全に地面に落ちてから、俺は【剛爆機竜】に対して接近戦を挑むために突撃した。
(奴の武装はほとんどが中距離から遠距離攻撃用の砲塔! 両腕の小さな砲塔は接近戦用かもしれないが、あの小ささじゃあ背中の砲塔よりは威力が低いはずだ! 尻尾も背中の砲塔の反動を軽減するためのものになっているようだし、接近戦ならこっちに分があるだろう!)
それに場合によってはぶっつけ本番になるが、第四形態で進化した新しい力を使う!
【剛爆機竜】もこちらが接近してきたことで尻尾を元に戻して迎え撃つために腰を落とす。だが・・・
『GIYAAAA!!!』
突如として【剛爆機竜】の背後から【グラトニー・ファング・ドラゴン】が襲い掛かった。もしかしたら俺たちが倒した奴の番か兄弟かもしれない。
完璧な奇襲ではあったが、【剛爆機竜】は慌てることなく体ごと回転させ尻尾で相手を吹っ飛ばした。
『GIYA!?』
奇襲が失敗したことが意外だったようで【グラトニー・ファング・ドラゴン】はすぐには体勢を立て直せなかった。
その間に【剛爆機竜】は次のアクションを開始。両腕の砲塔を構え連続発射。弾は俺でも見える三角錐の形でその後ろには何やらアンテナらしき機械が付いている。
まともに回避できない体勢の【グラトニー・ファング・ドラゴン】は次々と命中。すると深く体内に入り込んだ三角錐の物体はアンテナ部分が蒼く光りだして・・・
『GIYAAAAA!?』
すると、徐々に【グラトニー・ファング・ドラゴン】が干からび始めた。数十秒後には完全にミイラ化と化し、光の粒子となりドロップ品も残さなかった。
『まさか・・・リソースをすべて吸収したのか!?』
??? 機械化モンスタープロトタイプ三号の追加武装について
プロトタイプ三号の問題点を解決するために追加武装として相手のSPとMPを吸収する特殊弾頭を発射する砲塔を取り付けることにした。
それもフラグマンの技術を参考しにして、【工学王】の技術とスキルをフル活用して造り出した。言っておくがこれは誰にでもできることではない。
フラグマンの技術があるからと言ってそれらを参考にして新たなシステムと機械を造るなど、【工学王】として規格外の才能を有するゾルデットだからできるのだ。
この特殊弾頭は名を《アブソープ・アンカー》と命名され、効果は生物の身体に当たればさらに体に食い込みまずはMPを吸収し、それを吸収しきれば今度はSPを吸収すると言う物だ。
吸収率はそれほど高くはないが、ダメージとしては低くゆっくりと吸収するため相手は吸収されているという事実に気付きにくい。
《二連装魔導砲塔》が連射よりも一発の威力重視で、ここぞと言う場面で撃つ物なのを考えると悪くない武装と言えた。
後は実際に稼働実験を繰り返して、問題点の洗い出しと試行錯誤の繰り返しで完成するはずだった。
結局は日の目を見ることなく製作者が死にこれらは動くことはないはずだった。
ところが研究施設を発見され、自爆システムもエラーで動かず封印処理していたプロトタイプを迎撃用に封印解除したことで世界のシステムに発見され<UBM>化してしまった。
<UBM>となったことで機械とモンスターの体がさらに適合し、より完成度が高くなった。それらは武装にも表れており武装の強化にもつながった。
本来の《アブソープ・アンカー》はいくつも命中したからと言って、モンスターをミイラ化させるほどの吸収率はない。
それらの結果をもたらした要因は、<UBM>と化したことで個体としての完成度が完璧になったから。機械と生物の融合。これらの相反する要素が<UBM>と化したことで生物としての格が上がった。
現在は逸話級だが、この場を生きて世界を渡り生き残れば古代伝説級最上位かその先まで到達するかもしれない。この場を生き残れればの話だが。
◇ 【
アキラは先ほどの光景を見たことである決断をした。このままでは自分は高確率で負けると。勝つためには新たな力を試すしかないと。その決断を下した。
『ぶっつけ本番だが頼むぞ! こい! 《ソード・ファルコン》!』
アキラが叫ぶと【オーパーツ】の頭上に魔法陣のようなものが出現。その中央には鳥が描かれていた。さらにその魔法陣からとある物体が出現。
上空の飛翔するその物体は機械の鳥。あたかもアキラの大好きなアニメに登場する合体メカのような。その考えは正しいとこの後証明される。
『《獣機合体》!《ファルコン》!』
その宣言がなされると機械の鳥はばらばらになり、【オーパーツ】へと向かう。両肩に腕に背中にパーツが合体し最後に鳥の頭が頭部にドッキング。
そして鳥の尻尾は剣となり、鳥の両羽は二つ合わさり盾となりそれぞれが【オーパーツ】の両腕に装備された。
『これが第四形態になった【籠胴人巧 オーパーツ】TYPE:ギア・レギオン・アドバンスの新たな力だ!!』
上級へと進化したことで【オーパーツ】は新たなレギオン体を生み出しさらに主体のギアとの合体が可能なアドバンスの力も得たのだった。
アキラの<エンブリオ>についての詳しい解説は次回に。
なお、【オーパーツ】の能力は完全に作者の趣味です。正直な話原作の作者様も似たような<エンブリオ>を考えてると予想してますw
後になって【オーパーツ】にガーディアン要素はないと気づき修正しました。