◇ 【
俺とアークさんが素材採取の護衛から帰った日は驚きの連続だった。ゲイルとアキラが<UBM>と戦い特典をゲットしたこと。その<UBM>が機械化されたモンスターで<叡智の三角>のクランメンバーがすごく歓喜していたこと。
まぁ、話を聞いたらロボット好きなら反応するのは致し方ない話題だろう。さらに素材採取に行っていたメンバーの中にカメラ型の<エンブリオ>を持っていた<マスター>が居て、<UBM>の写真を撮りまくっていたのも話に拍車をかけた。
この<エンブリオ>は能力的には鑑定と看破の上位互換で写真に撮った相手やアイテムの情報なども写真に載るので、いろいろ情報が手に入ったのだ。しかもその情報によるとそれらの<UBM>の元になったのは先々期文明時代のとある人物が造った機械化されたモンスターだと言うのだ。
そのとある人物は技師系統超級職【工学王】と学者系統超級職【大教授】に就いていた規格外だったため、【工学王】の情報もあるのではと、クランメンバーが遺跡調査に出かけようと準備に忙しくしていた。
だが、そこに待ったをかけたのはクランオーナーであるフランクリンさんとサブオーナーであるホールハイムさんである。二人曰く・・・・
『さすがにこんな大発見を国に報告もなく勝手に調査したら、今後の活動に影響が出るねぇ~』
「そのせいでお金が減ったらだれが責任をとるんですか?」
フランクリンさんの言葉よりもホールハイムさんの言葉の方が胸に突き刺さったらしく、全員肩を落としていた。その後、お二人は国に報告するために出かけて行った。
まぁ、報告したらしたで色々大変な事態になったが。まず、<UBM>を倒した二人にいろいろ事情聴取され、特典武具も見せることとになり、問題の遺跡もだれを調査に向かわせるかで国の上層部が揉めたらしい。
<UBM>になるようなモンスターが封印されていた遺跡だから、調査には戦闘力も必要で誰を向かわせるかに対して実力者を有する貴族たちが揉めに揉めたとのこと。
だが、結局は遺跡の場所がバルバロス領だったためバルバロス家が調査することになり、その際に<叡智の三角>にも調査に同行してほしいと依頼が来た。
そして現在、調査に適した<エンブリオ>持ちによる誰が向かうかの厳選なるあみだくじ大会が行われている。ちなみにあみだくじを作ったのはホールハイムさんだ。
フランクリン氏は調査に同行したかったためあみだくじをする方で参加。彼の場合は戦闘&調査両方ができるのと純粋に興味があると言って同行しようとしているとか。
まぁ、俺たちはそれ以上かかわるのは控えた。俺たち兄弟は他国の所属だし、国として話してはいけないこともあるだろう。
アークさんの新たな仲間のために素材集めをしなきゃいけないしな。なお、アークさんの新たな仲間を創っているメンバーはこの話に完全ノータッチだ。この件もクランとしては重要なことだと言っていた。未練はありそうだったけど。
それに・・・俺たちにはもう一つ確認しなきゃいけないことが出来たしな?
◇ 【
現在俺は<叡智の三角>の創った機体をテストする演習場でリオンに乗って駆けている。途中に点在するスクラップの鉄塊に右手に装備した螺旋衝角馬上槍と言うべき凶悪なフォルムのランスで攻撃しながら。
このランスが【螺旋機竜】を討伐したことで手に入れた特典武具だ。形状と武器にスキルの特性上リオンに乗って使うのが前提の武器だ。なお、気になる性能は・・・・
【電駆旋槍 スパイドロン】
<
螺旋衝角で障害物を破壊する機械竜の概念を具現化した逸品。
武具として高い耐久値と攻撃性能。そして騎馬の速さを攻撃力と雷撃に転換する。
※譲渡・売却不可アイテム
※装備レベル制限なし
・装備補正
攻撃力+600
合計レベル分の耐久値+
・装備スキル
《ハイスピード・サンダーブレイク》
《???》
こんな感じだ。これを最初見た時は「なんでこんなに高性能なんだ?」と頭に疑問符が浮かんだ。明らかに【バルギグス】よりも性能が上だ。武具としてのレア度は下なのに。
気になってアキラの手に入れた特典武具の性能を見せてもらったが、こちらも性能が高い。アキラにとっては初の特典武具だとしても腑に落ちない。ただ、フランクリン氏曰く・・・・
『おそらくは君たちが倒した<UBM>は生まれたてだったんだろうねぇ。ああ、モンスターとして生まれたてではなく<UBM>になりたてって意味だよ。遺跡なんかで封印処理していたモンスターがその封印を解除した場合にまれにあることだよ。そして、その場合の<UBM>って一番弱い逸話級なんだよねぇ~』
「あの強さでですか?」
『うん。もちろん君たちが倒されていたりしたら、すぐに伝説級ぐらいにはなったと思うよ? ただねぇ~どんなに力が強くても最初はすべて逸話級からなんだよねぇ~潜在能力がいくら高くともね。そんな<UBM>を倒すと逸話級でもかなり高性能の特典武具になるんだよ。特典武具になった時点で潜在能力込みで武具性能が決まってるんだろうねぇ~』
それってつまりは俺たちが負けていたら、どんどん強くなっていってたわけだよな? 話を聞いて背中に嫌な汗が流れた。
もしもの話に意味はないが、性能が高いのはそう言う理由があるわけだ。詳細が分からないスキルもあるが、それに関しては条件を満たせば使用できるようになるとフランクリン氏は言っていた。条件がどんなのかは分からないとも言ってたが。
分かっているスキルに関しては・・・・
《ハイスピード・サンダーブレイク》 パッシブスキル
武具を装備した状態で、騎馬に乗ると駆ければ駆けれ程に攻撃力が上がり、雷撃を纏いその力も増す。
という物で現在そのスキルの確認と使い勝手を確かめるための実験をしているわけだ。スキルに関しては特に問題なく機能している。リオンに乗らないと意味がないが、今までリオンに騎乗した時のメインウェポンがなかったからちょうどいい。
俺はそのままクロス兄貴とウッドが待っている場所までリオンを走らす。
「どうだ? その特典武具は」
『かなりいいな。スキルが条件付きではあるが、リオンに騎乗した時のメインウェポンとしては文句なしだ』
「雷撃はリオンにダメージを与えないの?」
『それも確認したが、そう言うこともなかったな』
『BURU!』
ウッドの懸念ももっともなのでそこも確認したが、問題なかった。むしろ駆ければ駆けるほど強くなるこのスキルは俺の戦闘スタイルと相性がいい。これからはリオンに騎乗するのが増えそうだ。
『俺の方は問題ないが、アキラの方はどんなのかね?』
そう言って俺は同じく特典武具を手に入れた仲間に視線を向けた。
◇ 【
ゲイル兄貴が視線を向けた先には、アキラの新たなレギオン体である《ソード・ファルコン》と【オーパーツ】がいくつものガラクタを前に実験をしていた。
新たなレギオン体の背中にはアキラが手に入れた特典武具【爆音双砲 カノンボルス】を装備している。《ソード・ファルコン》はステータスが低いが装備スロットがあったらしく、特典武具を装備できたことをアキラは喜んでいた。
その特典武具の性能はというと・・・・
【爆音双砲 カノンボルス】
<
大型魔導式双砲ですべてを破壊する機械竜の概念を具現化した逸品。
少ない魔力で高威力の砲弾を発射する。さらには特殊な弾頭ですべてを溶かす。
※譲渡・売却不可アイテム
※装備レベル制限なし
装備補正
攻撃力+700
合計レベル分のMP+
装備スキル
《ツイン・ボルケーノブリット》
《???》
《ツイン・ボルケーノブリット》 アクティブスキル
特殊な弾頭である溶岩弾を発射する。左右の砲塔に6発。一発撃つと再度補充されるのは24時間後。
スキル以外の通常の砲撃には《ソード・ファルコン》のMPを消費する。《ファルコン》のMPは少ないがコスパに優れているために連続で左右二発撃つのに三連射できた。威力もなかなかでガラクタが半壊している。
『よし! 《獣機合体》! 《ソード》!』
それを確認した直後アキラがスキルを宣言し、【オーパーツ】と《ソード・ファルコン》が合体。【カノンボルス】はパックパックのように背中に装備される。
『発射!』
そして再度【カノンボルス】から魔力弾が発射。次々とガラクタを破壊してゆく。
「合体したほうが威力が高い?」
『合体したらアキラのMPを消費するんだろう。アキラの方が最大MPが多いからその差で威力が変わったんだろう』
僕の疑問にゲイル兄貴が答えた。それが正しいとアキラのMPが増えれば威力は上がっていくことになる。使い勝手は抜群だね。
『続けていくぜ! 《ツイン・ボルケーノブリット》!』
そのまま今度はスキルの方を試すようだ。二つの砲塔の先端が赤くなり・・・・
ドッパァン!!!
『どわぁ!?』
赤い弾頭が発射されると大きな発射音と共に【オーパーツ】がバランスを崩した。結構な衝撃があったのかな? バランスを崩したことで弾は予想外の方向に飛んで行き・・・・
「「「「ぎゃあああ!!!」」」」
見学していた<叡智の三角>の皆さんの近くで着弾した。
アキラはあわやデスペナになるとこだった人たちに謝り、一旦実験を終了し昼飯を食べることに。なお、昼飯は旅のために買ったバーベキューセットで焼き肉だ。
「参った参った。スキルの方はおいそれと使えないな」
「それは回数がある以外の理由でもか?」
「ああ、予想以上に衝撃があるから、踏ん張らないと狙いがつけられない。それに通常弾と違い発射に多少時間がかかる。弾速も遅いしな」
ゲイル兄貴の質問にそうアキラは答えた。確かにスキルの方は山なりにゆっくり飛んでたね?
「まぁ、それでも威力は高いし合体した時の切り札になりえるから俺的には満足だよ。ところでこの焼き肉のタレうまいな!」
「自家製だ。家族以外にふるまったのは初めてだが、口に合ったのなら何よりだ」
アキラの合体スキルは合体した後の攻撃スキルがないから決め手不足という欠点があるらしい。それを補える特典武具を手に入れたからアキラは満足しているようだ。
その後は特典武具の話をしてたんだけど、焼き肉の匂いに腹を空かせた人が次々と合流してちょっとした宴会になってしまった。
騒ぎすぎて、全員がホールハイムさんからお叱りを受けたけど楽しかったね。
◇ フランクリン
「ふむ・・・以前から可能だと考えていたけど、やはり機械とモンスターの融合は不可能ではなかったわね・・・」
「規格外のティアンしか造らなかったのが不安要素だけど・・・私の<エンブリオ>を使えば問題ない・・・けど・・・」
そう言って設計図を描いていた手を途中で止める。
「問題はどんな機能を持たせるかね・・・・今回の遺跡は情報以外はめぼしい物がなかった。その情報も機械関係ではないし・・・」
悩みだした手はペンを規則正しく机を叩く。
「どこかにないもんかしら? 先々期文明の戦略級の機械部品か兵器が・・・・」