【ナザリック円卓の間】
ナザリック円卓の間。ここにはタブラから連絡を受けたギルドメンバー、守護者、プレアデスが集まっていた。
ウルベルト「それで、説明してくれませんか。スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンに似ている像について」
タブラ「取り敢えず、これを見てください」
タブラはそう言うと、遠隔視の鏡を見せた。鏡には要塞のような建物があり、その中央に位置する場合には一つの像が置かれていた。その像は人らしき形をしており、その右手には七匹の蛇が絡み合った杖を握っていた。
ぶくぶく茶釜「タブラさん・・これ、もしかして」
タブラ「間違いないでしょう。これは恐らく、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを模した物でしょう」
たっち・みー「なら、この像の人物はもしかして」
ぷにっと萌え「間違えなく、モモンガさんでしょうね」
ぷにっと萌えの言葉でこの場にいる全ての者が声をあげた。
ペロロンチーノ「タブラさん、今すぐここに行きましょう!!」
タブラ「待ってください。取り敢えず、朝を待ちましょう。夜にいきなり、我々のような輩が行けば襲撃と勘違いされかねませんし。それに、ここの住人がどれぐらいの強さなのかを我々はまだ把握しきれていません。なので、人に近い見た目の人達に明日この要塞に行ってもらいます」
タブラの言葉に異論を持つものはいなかった。その為、要塞に向かうメンバーはスムーズになる決まった。
タブラ「では、明日はこのメンバーで要塞に行ってもらいます」
決まったメンバーはたっち・みー、弐式炎雷、セバス、ユリ・アルファ、ルプスレギナ・ベータの五人。
タブラ「それと、皆さん。今から私とあまのまひとつさんと源次郎さんの三人で宝物殿に行こうと思います」
タブラの言葉で、この場にいるギルドメンバー達は一斉にタブラの方に顔を向けた。
ヘロヘロ「・・・どうして、宝物殿に?」
タブラ「理由はシンプル。我々は裸同然の初期装備しか身につけていません。今後、この世界で我々が活動をしていく上で、今ナザリックに何があり、何がないのかを把握しておく必要があります。」
他のギルメン「・・・・・・・」
深い沈黙が続いた。宝物殿にはこのギルドが集めてきた多くの金貨、武器、そして世界級アイテムがある。しかし、恐らくそれらのアイテムはもうないだろう。何故なら、ギルドには維持費がかかる。ナザリックには変わった場所はない。なら、モモンガが一人でこの巨大な拠点を維持するには宝物殿のアイテムなどを売って金貨にするしかない。
タブラ「皆さんの気持ちはわかります。しかし、宝物殿に行かなければ我々は彼を探すどころか、彼の今までの想いを知ることさえ出来ない」
ウルベルト「タブラさん・・俺とたっちさんも宝物殿に連れて行ってくれ」
タブラ「理由をお聞きしても」
ウルベルト「あの人を一人にした原因は俺たちだ。なら、俺たちには
あの人の想いを知る義務がある。だから・・」
たっち・みー「私からもお願いします」
たっち・みーはそう言うとタブラに頭を下げた。それに続き、ウルベルトも同じように頭を下げた。
タブラ「・・・分かりました。お二人も一緒に行きましょう」
たっち・みー「ありがとうございます」
タブラ「それでは、この五人で宝物殿に行きますので、皆さんは待機してて下さい」
【ナザリック宝物殿】
あまのまひとつ「タブラさん・・・これは!?」
彼だけではない。宝物殿に来た全員が驚いた。宝物殿にはあの時と同じ、大量の金貨が置かれていた。
タブラ「多すぎる。どうして?」
源次郎「取り敢えず、先に進みましょう。武器などはこの先の通路のにあるはずです」
源次郎に続き、他の四人も歩き始めた。だが、何度記憶を思い返してみても、宝物殿はあの頃と何も変わらない。歩いているうちに胸騒ぎがした。虫の知らせのような嫌な予感が。そうしていると、通路を出た先に大きな場所に出た。しかし、五人の視線は同じところに向いていた。
あまのまひとつ「嘘!!一体どうなって」
最初に声をあげたのはあまのまひとつだった。彼らの視線の先に居たのは、純銀の鎧を身に付けた戦士。たっち・みーだった。しかし、彼のはずが無い。彼は自分達と共に此処に来た。なら、目の前にいるのは一体。
たっち・みー「誰ですか貴方は?」
たっち・みーが質問をしたが、返事は返って来ない。もし、あれが敵なら厄介だ。こちらは裸同然の装備しかない。数で押しても、もし、あの鎧が本物なら相手はワールドチャンピオンの可能性がある。最悪一撃でこちらのHPが尽きかねない。五人が戦闘態勢に入ったその時。
たっち・みーの姿をした者がグニャグニャと身体の形を変えていった。その姿は欧州アーコロージー戦争で話題になったネオナチの親衛隊の制服に酷似していた。顔に視線を向けると、卵のような頭に埴輪のような顔をした異形。恐らくドッペルゲンガーだろう。弐式炎雷のNPC、ナーベラル・ガンマも同じドッペルゲンガーで見た目が似ていたのを思い出した。
???「ようこそおいで下さいました、至高の御方々」
カツンとオーバーなアクションで右手を帽子に添えて、敬礼する。
ウルベルト「お前は誰だ?」
パンドラズ・アクター「お初にお目に掛かります。私はモモンガ様に作られた宝物殿領域守護者。パンドラズ・アクターと申します」
パンドラズ・アクターと名乗る者言葉に、全員が反応した。モモンガの作ったNPC。
たっち・みー「モモンガさんの・・・NPC?」
ウルベルト「何故、たっちさんの姿をしていた?」
パンドラズ・アクター「はい、ウルベルト・アレイン・オードル様。私はモモンガ様に作られたただ一人の存在にして、至高の御方四十一人全ての外装をコピーし、その能力の80%程度を使うことが出来るからです」
源次郎「そう言えば昔、モモンガさんが外装データが欲しいと言っていた覚えがあります」
源次郎の言葉で彼が間違いなくモモンガの作ったNPCであると分かった。
タブラ「パンドラズ・アクター、我々は此処に今何があるのか知りたいのですが」
パンドラズ・アクター「成る程、分かりました。では、こちらへどうぞ」
そう言うと、パンドラズ・アクターは歩き始めた。すると、一つの入り口の前で止まりこちらを向いた。
パンドラズ・アクター「この先には、モモンガ様が皆様が戻られた時の為の装備やアイテムが保管されています。それと、入る前に指輪を外していって下さい」
タブラ「何故ですか?」
パンドラズ・アクター「指輪を付けて入ると、中にいるゴーレムに襲われますので」
ゴーレムを待機させる程の物が、この先にあるのか?。パンドラズ・アクターの言葉が妙に引っ掛かる。
【宝物殿霊廟】
ウルベルト「嘘・・・だろ」
ウルベルト達が見たもの、それは不恰好な形をした像。そして、かつて自分達の身に付けていた主武装だった。
源次郎「なんで・・・ここに?」
たっち・みー「説明してくれるか。パンドラズ・アクター」
たっち・みーは震えながら、弱々しい声でパンドラズ・アクターに説明を求めた。
パンドラズ・アクター「はい、たっち・みー様。まず、ここは霊廟と呼ばれる場所で、ここには皆様がお隠れになられる前に、モモンガ様に預けられた装備とアイテムを保管している場所でございます」
パンドラズ・アクターの言葉が理解出来なかった。いや、理解したくなかった。その方が正しいのだろう。パンドラズ・アクターの言葉を最後に沈黙が続いた。
タブラ「取り敢えず、一度円卓の間に戻りましょう。・・・・パンドラズ・アクター。貴方も一緒に来て下さい」
パンドラズ・アクター「畏まりました。タブラ・スマラグディナ様」
たっち・みー「・・・」
ウルベルト「戻りますよ。たっちさん」
たっち・みー「・・・ええ、そうですね」
今にも消えてしまいそうな程の小さな声を後に、彼らは霊廟を出た。
そして、改めて理解した。自分達の罪を。自分達の愚かさを。そして彼の・・・・数年間の孤独を。
【??????】
???「久し振りだな。ツアー」
黒いローブを身に付けた男が 目の前の白銀のドラゴンに喋りかけた。
ツアー「・・・」
???「どうした。挨拶を忘れたか」
ツアー「違うさ、友人との再会に身を震わせただけさ」
???「友人・・・俺を友と呼んでくれるのはお前を含めても片手でたりる」
ツアー「だろうね。むしろ、神様と友達でいろという方に無理があると思うよ」
???「神様と呼ばれる程、俺は立派じゃない。それに、俺は神なったつもりなど一度もない」
ツアー「ところで、君は今冒険者をやっているそうじゃないか」
???「ああ、なかなか面白いぞ。お前もどうだ?」
ツアー「それが出来ないのは、君もよく知っているだろ。・・・それよりも、ここに来た理由を聞いてもいいかい」
???「・・・知っているだろう、あれから100年経った。いつ、次のプレイヤーが来てもおかしくない」
ツアー「今度はリーダーのような人だと嬉しいな」
彼の言葉からは一つの願望のようなものが感じられた。しかし、そんな都合よくはいかない。
???「・・・俺はエ・ランテルに戻るが、何かあれば連絡する。またな、ツアー」
ツアー「君もね、アインズ」
アインズ「それと、たまには鎧以外で運動した方がいいぞ」
ツアー「ああ、気が向いたらね。君も、記憶が戻るといいね」
アインズ「・・・ああ」
男はドラゴンに背を向けそのまま姿を消した。