Fate/Equip Servants   作:浅葱瑠璃

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2章:開戦
第2話


 俺は月白結月(つきしろゆづき)。ごく普通の男子高校生だ。名前が女っぽいってからかわれることがあるが、俺は名前を気に入っているから屁とも思っていない。最近ハマっていることといえば『Fate/Grand Order』というゲームかな。キャラもストーリーも素晴らしい。さすがTYPE-MOONだ。課金はあまりしていない。新年や夏の有料ガチャのためには課金しているが、確実じゃないのに入れるのはナンセンスだと思っている。

「月白!見て見て!アンリマユ当てたよ!」

 目の前には大きな山脈。つまり女だ。

 山脈の正体は白藍桜(しらいさくら)。隣のクラスの女子生徒。同じくFGOをやっている。

「は?死ねよ。……あーなるほど。おまえの名前が触媒にでもなったな」

「えへへ、名前に感謝だね」

「うるせえ廃課金勢。始めて2ヶ月で俺に追いつきやがって。いくらつぎ込んでんだおまえは」

「え?1ヶ月10万くらいだよ?」

 どうして高校生がそんなに入れることが出来るんだ。さすが経営者の娘。金持ってんなぁ……。

「20万……。俺の小遣い何ヶ月分だよ……」

 ちなみに高2の今は1ヶ月5000円だ。え?俺の小遣いはどうでもいい?うるせえ!

「さて、そろそろ授業が始まるね。真面目に受けるんだよ?また授業中に()()やって生徒指導されないようにね」

「あーはいはい。わかったわかった。おまえも早く戻れ」

 もちろんやるに決まってるだろ。つまらねえ授業を受けるよりマシュと種火でも集めていた方がいいさ。

 そう思い、桜の前では落としたスマホの電源を再びつけたその瞬間、俺の意識は遠のいた。

 

 目が覚めると目の前には地球のような星があった。

(なんだここは……。俺は学校にいたはずじゃ……。異世界転生……?そんなことが本当に有り得るのか?でも俺死んだ覚えも殺された覚えもないし……)

『目の前の星はあなたの故郷の星である地球を模した天体、模倣地球(ネオアース)です』

 頭の中に心地の良い、女性の柔らかい声が響き渡った。

(ネオ……アース……?)

『これよりあなたには様々なマスターたちと戦っていただきます』

(マスター……ってまさか!?)

 その後に何かが頭の中に流れていたような気がするが、マスターという言葉に気を取られて何も聞こえてこなかった。

 程なくして、俺の意識は再び飛んだ。

 

「……っ。ここ……は……?」

 目が覚めると、敷き布団の上で寝ていた。どうやら民家のようだ。

(これはマンションの一室か?俺はここで何をすれば……)

 リビングに向かったが、何も無い無機質な部屋だった。先程の部屋には大きな本棚がおいてあったり、アニメのポスターが貼ってあったりと、俺ごのみになっていたんだが……。

「ここでしばらく暮らしていろとでも言うのか?」

 台所に向かい、食料を探していると、手に赤い模様があるのに気が付いた。

「これは……!」

 令呪だ。なんてことだ。俺もマスターになったのか。

「令呪があるなら、この部屋のどこかに召喚用の魔法陣もあるんじゃないのか」

 台所の反対側にある和室に向かうと、それはあった。

 が。

「機能……しないな……。クソッ!!どうしろってんだ!!」

 もしかしてこれじゃないのか?

 そう思うが早いか、体は動いていた。

 部屋中をくまなく探した。床を始め、天井、壁、クローゼットの中などすべて。

(部屋の中にないってことは……)

 外か。

 扉を開け、外に駆け出した。

 しかしマンションであることを忘れていた。目の前には壁があり、上半身が空中に投げ出された。ここは7階。落ちれば死ぬのは分かりきっていることだろう。

(焦らずに……エレベーターに向かうんだ……)

 足がすくんでうまく歩けない。たった十数メートルなのに無限に感じられる。

(俺ってこんなにビビりだったか……?)

 異界に来たということ、マスターになったこと、魔法陣が使えなかったことなどが重なって頭の処理が追いついていないのだろう。

(まずは落ち着くことから……)

 深呼吸をしようとしたその刹那、目の前にPCのウィンドウのようなものが開いた。

「ゲホッケホッ……な、なんだぁ!?」

『〔Flash〕さんから戦闘を申し込まれています。承認しますか?Y/N』

(戦闘……だと……!?サーヴァントも呼び出せていない状態でどうしろと……?!)

 焦っていると、肩に手を置かれた。

「君が結月白さんかい?」

「うわぁぁぁ!!」

 大声を出してしまった。恐怖映像見てる時に驚かされるとビックリするだろ?あの原理だ。

「なっ、大声を出すな!僕は何もしていない!」

 振り向くと好青年が立っていた。

「い、イケメン!?お、俺に何の用だ!」

「君に戦闘の申し込みをしたんだけど、返事が来ないから」

 じゃあこの人が Flash さんか。

「サーヴァントも呼び出せていないのに戦いなんてできるものか……」

「呼び出す……?ああ、この聖杯戦争じゃあ呼び出さないみたいだよ」

「なんだって?」

 そう言うと Flash さんは空中で何かを操作するような動きをした。

「これで準備完了。[キャスギル]!」

 叫ぶと、Flashさんはキャスターのギルガメッシュの第三再臨の姿になった。

「す、げぇ……」

「こうやって戦うみたいなんだ。僕ら自身が英霊となって、ね」

(プリズマイリヤみたいな感じか……)

「で、君に戦い方は教えたわけだけど、勝負を受けてくれるかい?」

 そうだった。共に行動することは出来ないのか。

「いや、今はやめておく。慣れてから戦いたい」

「そうか。わかった。じゃあまた。次会った時には戦おうね」

「ああ。また会おう」

 さて、わざわざ動く必要もなくなった。部屋で色々試そう。

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